豊後高田市学力定着状況調査(2015年1月実施)の結果及び分析と今後

豊後高田市学力定着状況調査(2015年1月実施)の結果及び分析と今後の対策について
2015.3.9
※1・2年生については,学校独自で実施。1~3年生は,国語・算数。4~6年生は,国語・算数・理科。
【1年生】
〈国語〉平均正答率期待値69.3に対して84.8でした。物語文では,時間の経過による場面の移り変わ
りが理解できにくかったようです。課題文を短時間で読めるよう長文問題に慣れさせたいと思います。書かれ
ていない登場人物の心情を想像することができにくかったので,台詞を書かせるなどの経験を積ませる必要が
あると考えています。説明文では,文の構造がややむずかしく,理解が難しかったようですので,教科書以外
の説明文も扱い,慣れさせるようにしていきます。また,物語だけでなく,科学読み物なども学級に常備し,
読書活動の一層の推進を図りたいと思います。漢字,カタカナの復習にも重点を置いて取り組みたいと思いま
す。
〈算数〉平均正答率目標値67.6に対して87.0でした。引き算の場面理解が十分できていないので,具
体物や半具体物を実際に操作させ,イメージ作りを繰り返し行いたいと思います。式から問題文を作る文章力
が弱いようです。また,情報を読み取って,立式することが難しい文章題も学習中なので,【問題文←図示→
立式】の両方の練習を繰り返し行いたいと思います。さらに,速く正確に計算する力を伸ばしたいと思います。
【2年生】
〈国語〉平均正答率期待値73.4に対し75.8でした。言語事項(漢字・カタカナ・文法)は毎日の家庭学
習,冬休みの補充学習において反復練習を行った結果,正答率が高くなりました。説明文・物語文において長
文や問題文の読み取りができておらず,正答率が低くなっているようです。
(説明文 48.5%,物語文
50.9%)
特に物語文において人物の心情を読みとる問題の正答率が低くなっていますので,今後,授業・チャレンジタ
イムの中で情景や人物の心情を考える活動を増やしていくようにしたいと思います。
〈算数〉平均正答率期待値59.1に対し63.3でした。基礎的な計算問題は毎日の家庭学習での反復練習
を行やチャレンジタイムの取り組みなどで,正答率は高くなっています。しかし,繰り上がり・繰り下がり・位
の計算を忘れるなど初歩的なミスもみられました。図形の問題に対しては,補充学習を行った結果,正答率が
高くなったようです。体積の量感が身についていないので,授業の中で再度指導を行っていきます。問題文の
意図を読み取れていない部分が見られますので,国語科と連動して文章を確実に読みとり,問題場面を把握す
るように授業・チャレンジタイムの中で指導していきたいと思います。
【3年生】
〈国語〉平均正答率期待値44.6に対し61.2でした。漢字の読み・書きは家庭学習等で繰り返し練習を
しているが,まだ十分定着ができていないようです。時間がたつと忘れてしまう子どもも多いので,繰り返し
指導を継続していきたいと思います。また,ローマ字は,拗音・促音混じりの語で半数以上が間違えていまし
た。個別指導も含め,指導の徹底を図りたいと思います。主語・述語の整った短文を作る問題では「早い」と
いう言葉を使うのに「速」の意味との混同が多かったので,言葉と意味についての指導を行いたいと思います。
説明文・物語文とも,長文の読解に課題があります。文章全体を読み通して答えたり,文章に書かれているこ
とを○字でまとめたり,別の言葉で言い換えたりすることが難しかったようです。活用問題では,メモをもと
に言葉の続きに合った言い方で表現することができていない子どもが多かったようです。読解力の向上のため
に,長文になれさせる工夫・言い換え問題・条件作文などに取り組んでいきます。
〈算数〉平均正答率期待値58.7に対し77.2でした。簡単な四則計算はできていますが,計算ミスをす
ることがあり,見直しをしても気づかないままのことが多かったようです。あまりのある割り算で,検算の仕
方がわかっていない子やあまりの処理の仕方がわかっていない子もいました。正確な計算力と検算の指導を行
います。時刻と時間の問題で,○時間前と○時間後の理解ができていない子どももいました。個別に指導して
いきます。図形では,直角三角形の識別,正方形の周りの長さ,さいころの頂点と面の数,作図が正確でない
子どもがいましたので,三学期の図形学習や復習の時間に指導していきます。活用問題では,文意を正確に理
解できていなかったり,順序立てて考えていったりすることが苦手な子どもが多かったようです。また,言葉
で答える問題では,わかってはいても,きちんとした文章で書くことができない子どももいましたので,国語
の指導と合わせて書く指導を大切にしていきたいと思います。
【4年生】
〈国語〉平均正答率期待値51.4に対し66.8でした。説明文,物語文の読解に課題があります。限られ
た時間内で,初見の文章の内容を正確にとらえることが難しいようです。特に前後の文のつながりを考えて,
空所に当てはまる言葉を文章中からさがして抜き出したり,登場人物の行動について話の流れから考えたりす
る問題ができていませんでした。問題文の内容を理解していない子どもも見られました。教科書以外の長文に
出会わせたり,空欄補充や内容の読み取り力を高めたりする指導を行いたいと思います。また,時間が足りず,
最後までいきつかない子どもがいましたので,速度を上げて読む練習にも取り組ませたいと考えています。
〈算数〉平均正答率期待値62.4に対し79.2でした。重さの単位が理解できていませんでした。1kg
=1000g,1t=1000 ㎏があいまいになっているようです。数直線を読む問題や台秤のめもりを読む問題,折
れ線グラフに表わす問題などで,1めもりが表わす数が理解できていない傾向が見られました。活用問題では,
言葉や式で書く問題ができていなかったり,答えができていても,前後の文につながるように,大切な言葉を
落とさずに説明できたりしている子どもは少なかったようですので,具体物操作・図示・問題作りなどに取り
組みます。
〈理科〉平均正答率期待値51.8に対し77.5でした。空気鉄砲で,空気の代わりに水を入れたときの前
玉の飛び方を空気の時と比べるときの実験方法についての問題で,中に入れる水の量やおし棒をおす力を空気
の時とそろえないといけないと思っていない子が多かったようです。条件制御については5年生での指導事項
であるし,4年生では条件制御をしないといけない実験は少ないためであると考えられます。月の形の変化の
周期をしっかりとらえている子どもが少なかったようです。活用問題は,説明されたことの意味をとらえきれ
ていない解答が目立ちました。また,空所補充や記述式の問題で,問われていることとつながらない解答が多
かったようです。追求する場,活動や映像視聴を行う場を設定と共に, 実験結果について,図や言葉などで
説明・考察させ,活用力を高めていきたいと考えています。
【5年生】
〈国語〉平均正答率期待値63.7に対し69.6でした。漢字の書きは,家庭学習とミニテストとの反復お
よび,学期ごとのまとめ問題にも取り組ませていますが,定着が不十分でした。説明文・物語文ともに,少し
ずつではあるが読み取る力とその速度が高まってきているようです。誤答と判断される解答には読み取り自体
はできていると考えられるものが複数あったと思われます。しかし,初めて出会う文章の内容を正しく読み取
れなかったり,問題文で問われている内容を捉えられなかったりする子どもが少なくないと考えています。活
用力を問う最後の問題は,時間が足りなかったことが大きな要因ではありますが,早合点して回答しているも
のが多く見られました。
〈算数〉平均正答率期待値58.9に対し71.6でした。基礎的な内容を問う問題は,くり返し扱ってきた
が誤答の割合が高い。少し時間が経つと学習内容を忘れてしまったり,単純なミスも多かったりするので,全
体指導・個別指導を一層きめ細かく行うようにしていきたいと思います。活用力を問う問題は,式で答えると
ころに答えを記している子どもが約半数と,「注意書き」「条件」等に則って回答できていませんでした。単
位量あたりに関する文章題は,数直線を用いてほとんどの子どもが立式できるようになってきました。また,
難しい問題も,空欄・無回答のままにしないで,あきらめずに答えようとする姿勢は高まっているようです。
〈理科〉平均正答率期待値47.1に対し71.6でした。復習に取り組ませ,ほとんどの子どもが基礎的な
問題を正答できるようになってきました。しかし,ちょっと問題文が複雑に変わると解けなくなってしまった
り,すぐに忘れてしまったりするようです。二学期末から個別に課題を与え家庭学習で取り組ませていますの
で,引き続き指導していきます。判断する条件が複数になるととたんにわからなくなる。基礎的な事項は覚え
ていても,条件に合わせて出力できないようです。活用の問題のように,長い説明文によって状況の説明と条
件が出てくると,文意をうまく読み取れず,いくつかの項目を関係付けて考えることがうまくできず誤答が増
えるようですので,実験結果について,図や言葉などで説明・考察させるとともに,活用の場面を仕組んでい
くようにしていきます。しかし,空欄・無解答にしないで,なんとか答えようという意識は高くなってきまし
た。
【6年生】
〈国語〉平均正答率期待値57.7に対し72.2でした。ことわざと慣用句は家庭学習等で復習をしていま
すが,定着が不十分です。色々な言葉を調べる習慣を身につけることができていませんでした。説明文,物語
文ともに,読み取りに課題があります。問題で問われていることが正しく理解できていない子どもや初めて読
む文章が正しく読み取れない子どももいました。初見の文章の読解力を高めるために,教科書以外の多くの長
文に出会わせ,速度を上げて読ませ,問題を解くようにさせます。また,答える際に与えられた条件をもとに
書けない子どももいました。活用問題は十分な時間がとれなかったため,小見出しを書く際,2つの条件を正
しく入れて答えることができていませんでした。文章中の言葉を使って,○字以内で書くなど,条件を設定し
て答える活動を行っていきます。
〈算数〉平均正答率期待値60.9に対し82.7でした。基礎的な内容はよくできていました。活用問題は
たくさんの条件がある中から必要な条件を選んで立式することができない子どもが半数以上いました。(1円
あたりの枚数,1枚あたりの値段を出す)また,その式と合わせて短い言葉で説明をすることができない子ど
もも多くみられましたので,式や図,数直線などを用いて言葉で説明する活動や具体物を操作したり,図に描
く・問題作り等をしたりして,四則の意味を理解させる活動を行っていきます。
〈理科〉平均正答率期待値51.3に対し72.3でした。比較対象と変える条件は1つだけだという実験に
おける条件制御が完全に身についていないようです。問題文に書かれている条件を読み落としている(または
気づかない)子も見られました。そのため,実験の方法等を記述させると,そろえないといけない条件があい
まいになってしまっています。今後,実験結果について,図や言葉などで説明・考察させるとともに,活用の
場面を仕組んでいきます。実験や観察ができずに,図や画像などで学習せざるをえなかった内容(体のはたら
き等)についての定着度が低く,学んだことを生活の中の事象と結びつけて考えようとすることが苦手ですの
で,活動や映像視聴を行う場の設定やできるだけ生活場面での体験を増やすことや振り返りなどに取り組みま
す。
今後の対策
豊後高田市立真玉小学校
学力向上プラン(平成26年度・2015年2月)より
○基礎的基本的な力の定着を図るための授業力向上 ○朝読書の取り組みを通した読書の習慣化
を目指した授業改善(年間 2 回以上の互見授業の実 ○家庭学習に関する家庭と学校との連携(学びの手引
施)
き)
○構造化された板書にもとづく授業の展開
○職員の共通理解に基づく学習規律の徹底(学習の約
○ICT を活用した授業や学習形態を工夫した授業の
実施
束7か条)
○子どもの実態から,内容を焦点化したチャレンジタ
イムの実施
◇国語【読解力の向上が課題】
①
読解力向上に向けて,読解の授業の中で,文章中の言葉を使って,○字以内で書くなど,条件を設定し
て答える活動を行う。登場人物の気持ちと行動を結びつけて読む活動を行う。
②
初見の文章の読解力を高めるために,教科書以外の多くの長文に出会わせ,速度を上げて読ませ,問題
を解くようにする。
③
言語(漢字,ローマ字,ことわざなど)定着の取り組みとして,繰り返し練習と定期テストの実施,掲
示物の工夫を行う。
◇算数【活用力の育成・・・言葉や式で説明する活動を増やす】
①
式や図,数直線などを用いて言葉で説明する活動を行う。
②
具体物を操作したり,図に描いたり,問題作りをしたりして,四則の意味を理解させる活動を行う。
③
児童の実態に応じた,きめ細かな指導を行うための習熟度別指導,TT指導を工夫する。
◇理科【説明する活動や身の回りのことと結びつける力を伸ばす】
①
科学的なものの見方や考え方を育成するために,課題を明らかにし,追求する場を設定する。
②
実験方法や観察方法が身につく,活動や映像視聴を行う場を設定する。
③
実験結果について,図や言葉などで説明・考察させるとともに,活用の場面を仕組んでいく。
◇全体
①
1時間毎のつけたい力を明確にした1時間完結型授業を行う。
②
子どもの思考の足跡がわかる板書に努める。
③
ICT を有効に活用した授業を実施する。
◇学習規律の徹底(学習の約束7か条活用)
①教職員の率先した行動による児童のチャイム行動の徹底を図る。
②名前をよばれたら「はい」と言う返事の習慣化を図る。
③学習用具や家庭学習など忘れ物0の徹底を図る。
◇チャレンジタイム
①問題データベースやまとめの問題集を活用して,基本的な問題を行う。
(国語の読解問題,言語問題,算数
の復習問題)
②新聞記事等をもとにした活用問題に取り組む。
◇個別指導
①学力調査の正答率が低い児童を中心に,計画的に個別指導を行う。
(朝,休み時間,放課後に行い,見える
化シートでチェックする)
②つまずきを明らかにして,個に合った指導を行う。
◇家庭との連携
①保護者に学校での人間関係や学習状況を伝え,家庭と学校で協力して児童に関わる。
②家庭学習を定着させる。
(学びの手引き活用)
・家庭学習の時間の目安を子ども・保護者に提示する。
・家庭学習を毎日出す。
(算数・文字・言葉・音読)