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MIRAIが
走るしくみ
駆動用バッテリー
ボンネットを開けると、燃料電池から
送られてくる電力を制御する
パワーコントロールユニット
が見えた。
図1
アクセルを踏み込むと、高圧水素タンクから水素
が燃料電池に供給されて、外から取りこまれた空
気中の酸素と反応。水ができるとともに電気が発
生する。これを利用してモーターを回転させ、自
動車を走らせる。燃料電池が発電した電気の一部
はバッテリーに溜められ、走り始めや坂道を上る
ようなパワーが必要なときに使われる。
水素タンク
駆動用モーター
燃料電池
O2
発電
燃料の水素を反応
させるため、燃料
電池に多くの酸素
を取り入れる必要
がある。そのため
MIRAI は一般的な
自動車に比べて口
もとが大きく開い
ている。
O2
燃料電池自動車が走
ることで排出される
のは水だけ。ガソリ
ンや軽油で走る自動
車のような排ガスが
出ることはない。排
出される水は 1㎞走っ
て 60cc 程度。
H2
車外に
H2Oを排出
考えられています。その後も燃 料 電池の研究は進めら
ことに成功したのですが、さらなるコストダウンを目指
れたものの、自動車を動かすだけの電気を得るにはと
して研究は続いているといいます。
ても大きな燃料電池が必要でした。
ほとんどを燃料電池が占めていたといいます。これでは
700気圧に耐えられる
水素タンク
市販の自動車として利用することはできないでしょう。
燃 料 電池の小型化とコストダウンが実現したわけで
それから 20 年、燃 料 電池の発電性能を高め、普通自
すが、燃 料 電池を使うためには、従来の自動車にガソ
1994 年にトヨタ自動車の研究グループにより最初の
試作車がつくられていますが、ワンボックス車の荷台の
動車の座席の下に配置できるほどの小型化に成 功した
リンや軽油を給油していたように、燃料となる水素を
のです。
充 填しなければなりません。水素を溜める方法につい
また、図 2 に示す通り、水素と酸素を反応させる触
て、野正さんがこう説明してくれました。
媒には高価な白金(Pt)を含む合金が使われています。
「一度の充填で長距離を走行しようとすれば、より多
白金の使用をできるだけ抑えなければ、とんでもなく
くの水素を蓄えるタンクが必要となります。しかし、
高価で、誰も買うことはできなくなってしまうでしょう。
気体の水素をたくさん充填しようとすると高圧になり
白金の使用量を抑える研究も進められ、大幅に減らす
ます。かといって、分厚い鉄板でできたタンクを使っ
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2015.2