メカニズムが明らかになってきました。

NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
2015年03月04日放送
今回のテーマは「耳鳴り」です。
耳の中で「キーーン!」という音がしたり、虫が飛んでいるような「ジーーッ」という音がした
りする耳鳴りを経験された人は多いと思います。
ただ、耳鳴りはすぐ治まることが多いため、病院に行くなどの対策をとっている人は少ない
のではないでしょうか。
ところが、いままではさほど苦でもなかった耳鳴りが、ある日を境に“極悪耳鳴り”になっ
てしまうことがわかりました。
眠ることすらできずに、うつ状態になってしまうなど、極悪耳鳴りに悩む人は、全国に
300万人近くもいるそうです。
いままで、耳鳴りは治療が難しいとされていましたが、最近、ついに科学の力で耳鳴りの
メカニズムが明らかになってきました。
耳鳴りの原因や、改善法などのほか、耳掃除の新常識もあわせてご紹介します。
知っているだけで耳鳴り予防に!
今回、番組の制作を通して「耳鳴り」がいかに繊細な病であるかを実感しました。中でも悩
ましかったのは「耳鳴り」を気にすればするほど悪化してしまう可能性があること。
既に耳鳴りに悩む方々をむやみに不安がらせないか、今悩んでいない方々にも関心を
持っていただけるかのせめぎ合いで、何人もの医師のみなさんにご協力いただき、言葉の
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言い回しや演出方法などいつも以上に苦心しました。
番組で最もお伝えしたかったのは2つ。
1. 耳鳴りのメカニズムの理解が治療の第一歩であること。
2. 耳鳴りはいくつになっても改善すること。
です。番組が少しだけでも耳鳴り治療の一助になれば幸いです。
(耳掃除に関する、貴重な耳の映像も必見です!)
登山から帰ってきた翌朝、ひざや腰に痛みを感じると同時に耳鳴りが起きたAさん。そこ
で耳鼻科へ行き、薬を処方してもらいましたが、効果はまるでなし。その後も、さまざまな
治療をためすも、耳鳴りはさらに悪化していきました。
耳鳴りが始まって1か月たつと、Aさんはとうとううつ状態になってしまい、食事をとることも
できなくなってしまったそうです。
8年以上耳鳴りに悩むBさんは、耳鼻科に6軒も通ったものの一向に治らず、耳の中で常
にセミが鳴いているような音がしているそうです。
Bさんの聴力を調べると、左耳の聴力が落ちていることがわかりました。加齢による難
聴でした。
実は耳鳴りの原因は、難聴だったのです。ではなぜ、聞こえにくくなる難聴になったの
に、耳鳴りが聞こえるのでしょうか。
私たちは、耳から届く空気の振動を蝸牛(かぎゅう)という場所で電気信号に変えて脳に
送っています。ところが、Bさんの場合、蝸牛の老化によって振動を信号に変えること
ができなくなっていたのです。
脳に電気信号が届くと、視床という場所が音の選別や調整を行います。ところが、Bさんの
ように難聴によって脳に入ってくる信号が低下すると、視床は脳が電気信号を受け取るよ
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う感度を上げるのです。
脳にはさまざまな電気信号が飛び交っているので、感度が上がっているとその信号をノ
イズとして感知し、耳から届いた音でもないのに、「キーン」といった音を作ってしま
うのです。
感度を上げるのは一時的なので、通常であればすぐに感度はもとに戻ります。ただ、脳が
興奮状態だと感度を上げ続けてしまうのです。つまり、耳鳴りとは、脳の異常な興奮で
脳が作った音なのです。
脳の興奮によって起こる耳鳴り治療として使われているのが、補聴器です。
病院で補聴器をすすめられたBさんは、聞こえにくい高音と低音の音を増幅させることで、
今まで脳に届かなかった信号が復活しました。すると、視床は感度を上げる必要がなくな
り、その結果、耳鳴りも改善しました。
補聴器による治療を行う場合は、まず補聴器相談医のいる病院で、補聴器のタイプや
調整具合を診断してもらい、あわせて販売店を紹介してもらいます。
価格は1つ10万円程度で、貸し出しするところもあります。
脳が新しい音に慣れるのは時間がかかるため、補聴器はなるべく長時間つけることがポ
イントです。
耳鳴りは、「もっとひどくなるのでは……」「もしや病気では……」といった不安も悪化させる
原因なので、不安を取り除くだけで軽減することが可能です。
また、日中は耳鳴りが気にならないものの、静かな場所にいると耳鳴りが起こる人は、自
然の環境音やラジオなどを聞きながら寝ることで、軽減することができます。
補聴器を使わない場合もあります。耳鳴りの治療はさまざまあるので、お悩みの人は、最
寄りの耳鼻科で耳鳴りの専門医を紹介してもらってください。
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3年前、左耳に薄い膜がはられているような感覚になったCさん。何度も耳掃除をするもの
の、何も出てきませんでした。ところが、2週間後の入浴中に、突如左耳が聞こえなく
なったのです。すぐに病院で診察を受けたところ、耳あかが原因とのことでした。Cさん
の左耳からは、ひまわりの種ほどの巨大な耳あかが出てきました。Cさんの場合、耳垢
栓塞(じこうせんそく)という、耳あかの詰まる病気でした。
耳の中の皮膚は、鼓膜の中心から徐々に外側に移動しています。そのスピードは1日
に0.1mmと非常にゆっくり。その皮膚が耳の穴の出口に近いところではがれ落ちます。これ
が耳あかです。Cさんは耳掃除をするたびに、綿棒によって耳あかを奥へと押し込ん
でしまっていたのです。
耳掃除をする時は、さわると敏感に感じるところの手前までにとどめるのがポイント。
綿棒は耳あかを押し込みやすいため、耳の穴の壁をなでるように行うのがコツです。
また、耳掃除は、やりすぎると炎症が起きやすいので1か月に1回程度がおすすめ。耳
あかがカサカサタイプは耳かき向きで、しっとりタイプは綿棒が向いています。
聞こえが悪くなったと思ったら耳垢栓塞が原因かもしれないので、耳鼻科へご相談くださ
い。
つらい耳鳴りについて
耳鳴りの多くは、加齢などによる聴力の低下が原因で起こることが明らかになりました。私
たちは、耳から届く空気の振動を、蝸牛(かぎゅう)という場所で電気信号に変えて脳に送っ
ています。ところが、蝸牛は老化などで、振動を信号に変えることができなくなってしまいま
す。
通常、脳に電気信号が届くと、視床という場所が音の選別や調整を行いますが、信号が低
下している場合、視床は脳が電気信号を受け取るよう感度を上げるのです。脳にはさまざ
まな電気信号が飛び交っているため、信号をノイズとして感知し、「キーン」といった音を
作ってしまうのです。
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つらい耳鳴りの治療について
つらい耳鳴りの治療に使われ始めているのが補聴器です。聞こえにくい音域の音を増幅さ
せることで、今まで脳に届かなかった信号を復活させます。すると、視床は感度を上げる必
要がなくなるため、耳鳴りが起きなくなるのです。
補聴器による治療のポイントは下記の通りです。
補聴器相談医のいる病院へ
補聴器のタイプや調整具合を診断してもらい、あわせて販売店を紹介してもらいます。
補聴器の価格は10万円程度
貸し出ししてくれる場合もあります。
できるだけ長くつける
脳が新しい音に慣れるのは時間がかかるので、補聴器はなるべく長時間つけます。
その他にも、耳鳴りに対して不安に感じることも悪化させる原因なので、不安を取り除くだ
けで耳鳴りを軽減することができます。また、日中は耳鳴りが気にならないものの、静かな
場所にいると耳鳴りが起こる人は、自然の環境音やラジオなどを聞きながら寝ることをお
すすめします。
耳掃除の新常識について
耳掃除を正しくやらないと、耳垢が詰まり、聞こえが悪くなる「耳垢栓塞(じこうせんそく)」と
いう病気になることも。正しい耳掃除のやり方は下記の通りです。
やり方
耳あかは耳の穴の出口付近にたまるもの。耳掃除はさわると敏感に感じるところの手前ま
でにとどめるのがポイント。
頻度
やりすぎると炎症が起きやすいので1か月に1回程度がおすすめ。
道具
耳あかがカサカサタイプは耳かき向きで、しっとりタイプは綿棒が向いています。綿棒は耳
あかを押し込みやすいため、耳の穴の壁をなでるように行うのがコツです。
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