中央区地域防災計画の修正について(PDF:252KB)

中央区地域防災計画の修正について
計画修正にあたって
本区では、平成24年4月に東京都が公表した「首都直下地震等による東京の被害
想定」に基づく中央区の新たな被害想定に対して減災目標を掲げ、東日本大震災の教
訓や本区の実情を踏まえた防災対策の向上を図るため、平成25年2月に地域防災計
画の大幅な修正を行ったところである。
その後、平成25年6月の災害対策基本法の改正に伴い、災害時の避難に特に支援
を必要とする者の名簿の作成やり災証明書の早期発行などが区市町村長に求められ
るとともに、被災者安否情報の提供が可能になるなどの対策が示された。また、内閣
府では、過去の災害の経験等を踏まえて「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガ
イドライン」を全面的に見直し、平成26年4月に改定した。さらに平成26年7月に
東京都地域防災計画が修正され、平成25年10月に発生した大島町での土砂災害の教
訓等を踏まえて、災害時における都と区市町村間の連絡体制の強化など防災対策の充
実が図られた。
本区においてもこうした国や都の動きに対応し、かつ、前回修正時以降の本区防災
対策の進捗状況を反映するため、地域防災計画を修正するものである。
目 次
1 平成25年6月改正の災害対策基本法等への対応
(1)避難行動要支援者名簿の作成及び取扱いの明示
(2)屋内退避による安全確保
(3)避難指示等の判断基準の明示
(4)東京都との情報連絡体制の強化
(5)避難者に係わる安否情報の提供
(6)り災証明書の早期発行
(7)地区防災計画
2 平成25年2月修正時以降の本区防災対策の進捗状況の反映
(1)高層住宅の防災対策の充実
(2)帰宅困難者対策の充実
(3)災害時要援護者対策の充実
(4)医療救護態勢の強化
(5)動物救護対策の充実
(6)学校危機管理マニュアルの修正
(7)し尿処理対策の充実
(8)新型インフルエンザ対策の充実
(9)災害時に活用できるトイレ・公園施設の整備
3 その他
1 平成25年6月改正の災害対策基本法等への対応
(1)避難行動要支援者名簿の作成及び取扱いの明示
災害対策基本法(以下「法」という。
)の改正により、災害時に円滑、迅速な避
難のため特に支援を要する者(避難行動要支援者)の把握及び名簿作成が区に義
務付けられ、名簿の作成や活用等に係る事項を地域防災計画に定めることとされ
た。
区では既に整備している災害時地域たすけあい名簿について地域防災計画に必
要事項を定め、「避難行動要支援者名簿」として運用する。
[地域防災計画において定める必須事項]
・ 避難支援者等関係者となる者
・ 避難行動要支援者名簿に掲載する者の範囲
・ 名簿作成に必要な個人情報及びその入手方法
・ 名簿の更新に関する事項
・
名簿情報の提供に際し情報漏えいを防止するために区が求める措置及び区
が講ずる措置
・ 避難支援等関係者の安全確保
(2)屋内退避による安全確保
既に河川が氾濫している場合など、災害によっては屋外を移動して避難所等へ
避難する途上で被災することも考えられる。避難のための立退きがかえって危険
な場合は、自宅等の屋内に留まったり、建物の上階へ移動(垂直移動)したりす
るほうが安全な場合もありうることから、法改正により屋内退避の指示ができる
ようになったため、避難指示の一つとして新たに屋内退避を加える。
さらに、本区は中高層建物の占める割合が高く、また、区内に土砂災害警戒区
域等の指定もないことから、大雨、高潮、洪水などの水害発生時に消防署等の関
係機関と協議の上、屋内に留まったまま安全確保が図れる区民等に対しては、屋
内退避を促していく。
なお、津波避難については、本区ではこの考え方を先取りして導入済みである。
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(3)避難指示等の判断基準の明示
平成26年4月に、国が避難勧告等の判断・伝達に係るガイドラインを改定し、
判断基準をわかりやすく具体的に示すとともに、空振りを恐れず早めに夜間であ
っても避難勧告等を出すことを基本とするなどの考えを示した。
区では、高潮、洪水などの水害発生時における避難指示等の判断基準について
地域防災計画に記載する。
なお、避難指示等の情報伝達は、防災行政無線、緊急告知ラジオ、安全安心メ
ール、ホームページ、ツイッター、ケーブルテレビ、広報車などの手段により行
う。
ア 高潮
区 分
判断基準
避難準備
情
報
・気象庁から高潮注意報が中央区を含む地域に発表され、台風等の
接近その他の気象条件により高潮被害が発生するおそれのある
場合
避難勧告
・気象庁から高潮警報又は高潮特別警報が中央区を含む地域に発表
された場合
・海岸管理者から海岸にかかる水防警報(洪水又は高潮によって災
害が起こるおそれがあるとき、水防機関に対し水防を行う必要が
ある旨を警告するもの)が発表された場合
・その他台風等の接近その他の気象条件により高潮被害が発生する
おそれが非常に高いと判断される場合
避難指示
・高潮による人的被害発生のおそれが非常に高いと判断される場合
・海岸堤防の倒壊又は決壊のおそれがある場合
・異常な越波又は越流が発生するおそれがある場合
イ 津波(平成25年2月修正の地域防災計画に既に反映済み)
区 分
判断基準
避難指示
・気象庁から津波警報又は大津波警報が発表された場合(Jアラ
ートにより防災行政無線及び緊急告知ラジオが自動起動)
ウ 洪水(荒川のはん濫に伴うもの)
本区では荒川のはん濫に伴う洪水被害が想定されるが、本区に浸水が始まるの
は荒川堤防の破堤から12時間後の想定であるため、状況に応じて警察、消防等の
関係機関と協議の上、避難指示等の判断をすることとなる。
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なお、破堤付近の自治体における一般的な判断基準は下表のとおりである。
(参考)
区 分
判断基準
・国土交通省が気象庁と共同で発表する荒川の洪水予報における水位
避難準備
観測所(下表参照)のいずれか 1 地点の水位がはん濫注意水位(水
情
害を未然に防ぐため各水防機関が出動する目安となる水位)に到達
報
し、さらに上昇する見込みとなったとき
・荒川の洪水予報における水位観測所のいずれか 1 地点の水位がはん
濫危険水位(洪水により相当の家屋浸水等の被害を生ずるはん濫の
避難勧告
起こる恐れがある水位)に達する見込みとなったとき。又は、避難
判断水位(洪水による災害の発生を特に警戒すべき水位)に到達し、
さらに上昇する見込みとなったとき
避難指示
・堤防が決壊した場合。又は、堤防の決壊につながるような大量の漏
水や亀裂が発見されたとき
荒川洪水予報発表基準水位
水位観測所名称
(所在地)
熊谷
(埼玉県熊谷市)
はん濫
注意水位
避難判断
水位
はん濫
危険水位
零点高
3.50m
4.80m
5.60m
A.P. +26.457m
治水橋
(さいたま市西区)
7.50m
10.80m
11.10m
A.P.
-0.229m
岩淵水門(上)
(東京都北区)
4.10m
7.00m
7.70m
A.P.
0.000m
A.P. = 荒川工事基準面
※ 避難準備情報
区長が、必要と認める地域の居住者等に対し、避難のための立退きを準備して
もらうために発表する情報
※ 避難勧告
区長が、必要と認める地域の居住者等に対し、避難のための立退きを勧告する
こと。
※ 避難指示
区長が、急を要すると認めるときに、必要と認める地域の居住者等に対し、避
難のための立退きを指示すること。
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(4)東京都との情報連絡体制の強化
法改正により、区長は避難勧告等の判断に際し、専門的な知見等を有する国や
都に必要な助言を求めることができるようになり、助言を求められた国や都に応
答義務が課された。
都では、平成25年10月に発生した大島町での土砂災害の教訓を踏まえて、東
京都危機管理監と区市町村長との間にホットライン(携帯電話による連絡体制)
を構築し、災害が差し迫った場合で、かつ緊急性や危険度が非常に高い場合は、
通常の連絡手段に加えホットラインを活用する体制が整備されたため、地域防災
計画に反映する。
(5)避難者に係わる安否情報の提供
東日本大震災では、被災者の安否について個人情報保護条例との関係から被災
者の家族等に回答することも逡巡した自治体があったことを踏まえ、被災自治体
(都道府県及び区市町村)において、安否情報の回答が可能となるよう、法に規
定された。区は、避難所に避難した被災者を避難者名簿により把握するとともに、
警察、消防、医療機関等の関係機関と連携して死亡者、負傷者等の情報の迅速な
収集に努め、安否情報名簿の作成を行う。また、安否情報を提供する旨を避難者
に周知した上で、避難者の親族や知人、勤務先等からの照会に対し、照会者の区
分に応じた安否情報を提供する旨、地域防災計画に記載する。
なお、各避難所で収集した避難者情報については、災対本部が集約を行い、死
亡者・負傷者等の情報については、災対本部が警察、消防、医療機関等から収集
を行う。
安否情報の照会において提供することができる情報(災害対策基本法施行
規則第8条の3第3項)
照会者の区分
提供する情報
同居の親族
死亡・負傷等の状況、居所、連絡先
別居の親族、職場関係者等
死亡・負傷等の状況
知人等
安否情報保有の有無
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(6)り災証明書の早期発行
被災者生活再建支援金等の支援措置の申請に活用されるり災証明書については、
東日本大震災では交付までに数カ月を要した市町村もあったことを踏まえ、災害
発生後、被災者から申請があった場合に区市町村長が遅滞なく交付しなければな
らない旨、法に明記された。
本区では既に生活再建支援システムを構築しているが、これに基づく早期発行
体制について地域防災計画に記載するとともに、平成28年1月から利用開始予定
の社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の活用を図っていく。
(7)地区防災計画
災害に備えた自助・共助の取組を推進し、地域の防災力を向上する目的で、区
市町村の一定地区内の居住者及び事業者(地区居住者等)による自発的な防災活
動に関する「地区防災計画制度」が新たに創設された。
この制度により、区の判断で地区居住者等が策定した地区防災計画を中央区地
域防災計画に位置付けることができるほか、地区居住者等が中央区防災会議に対
して、中央区地域防災計画に地区防災計画を定めることを提案することが可能と
なった旨、地域防災計画に記載する。
2 平成25年2月修正時以降の本区防災対策の進捗状況
の反映
(1)高層住宅の防災対策の充実
東日本大震災の教訓や本区の新たな被害想定を踏まえて、マンション向けの防
災対策パンフレットの内容を震災時にも住み続けられる対策に取り組めるよう一
新し、貸出用DVDについても改訂版を作成する。
さらに、マンションの自主的な防災対策の推進及び地域コミュニティの醸成を
図るため、平成26年度に優良マンション認定制度を創設し、町会との連携状況な
どソフト面に関する認定基準を設け、AEDなどの防災資器材や防災訓練に要す
る費用助成などの優遇措置を行う。
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(2)帰宅困難者対策の充実
帰宅困難者一時待機施設について、区内の市街地再開発事業の進捗状況等を踏
まえて対象施設名を追加するとともに、帰宅困難者受入マニュアルや帰宅困難者
支援用案内図を作成する。
(3)災害時要援護者対策の充実
中央区介護保険サービス事業者連絡協議会と協定を締結し、災害が発生した場
合、居宅介護サービスを利用する要介護高齢者の安否確認や福祉避難所での居宅
介護サービスの提供などへの協力体制を整備した。
(4)医療救護態勢の強化
医師会では、災害時に各救護所に配置される医師を決定するなど、医療救護態
勢を強化している。
また、聖路加国際大学と包括連携協定を締結したことにより、今後、防災分野
での協力関係について協議していく。
(5)動物救護対策の充実
平成25年8月に環境省が策定した「災害時におけるペットの救護対策ガイド
ライン」及び東京都が改訂した「避難所管理運営の指針」中に同行避難が明記さ
れたことから、区内の各防災拠点運営委員とともに、同行避難のためのルールに
ついて協議し、各防災拠点での被災動物の受入マニュアルを作成する。同行避難
にあたっては、ペットのしつけを含めて飼い主による平常時からの準備が重要と
なるため、飼い主への周知を図る。
また、区内開業獣医師と連携し、「動物救護活動の初動マニュアル」を作成し、
動物救護体制を確立させていく。
※ 同行避難とは・・・
災害発生時に飼い主が飼育しているペットを同行し、避難所まで安全に避
難すること。避難所において人とペットが同一の空間で居住できることを意
味するものではない。それぞれの避難所のルールに従ってペットを受け入れ
ることとなる。
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(6)学校危機管理マニュアルの修正
平成26年3月に学校危機管理マニュアルが修正されたことに伴い、震災時の中
学生の集団下校を保護者への引渡しに変更するなどの安全対策の充実や夜間、休
日における防災拠点運営委員会との連絡体制の確保等による連携強化などの取組
みを、地域防災計画に反映する。
(7)し尿処理対策の充実
災害時のし尿処理については、特別区の特性として下水道普及率が高くバキュ
ーム車の確保が困難であることから、仮設(マンホール)トイレを使用した下水
道処理を優先することを原則としつつ、携帯トイレ・簡易便器により排出される
し尿は清掃工場での焼却処理を検討する。
(8)新型インフルエンザ対策の充実
平成25年4月に新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行され、国及び地方
公共団体に新型インフルエンザ対策実施に関する行動計画策定の義務が課された。
区では既に任意で行動計画を策定していたが、東京都が平成25年11月に同法に
基づく行動計画を策定したことを踏まえ、26年度中に法定の計画として新型イン
フルエンザ等対策行動計画を新たに策定し、区民等への予防接種や政府が緊急事
態宣言した場合の措置等内容の充実を図る。
(9)災害時に活用できるトイレ・公園施設の整備
災害時対応型公衆便所を新たに霊岸橋際、江戸桜通り地下、黎明橋公園内の3か
所に整備して合計34か所となり、約46万人分のし尿の貯留が可能となった。
かまどベンチについては、あかつき公園、あやめ第二公園、黎明橋公園の3か所
に整備し、合計32公園となった。
太陽光照明については、あかつき公園、本石町公園、黎明橋公園の3か所に整備
し、合計32公園となった。
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3 その他
東京都地域防災計画等との整合を図るほか、平成25年2月の地域防災計画修正
時以降の数値の時点修正等を行う。
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