金融と財政

2015年3月3日
楽読
(ラクヨミ) Vol.931
金融と財政、両面の政策調整により
景気支援の姿勢を示した中国
中国人民銀行(中央銀行)は2月28日、1年物貸出基準金利の0.25ポイント引き下げ(5.60%→5.35%)および1年
物預金基準金利の0 5ポイントの引き下げ( 5%
物預金基準金利の0.25ポイントの引き下げ(2.75%→2.50%)を発表し、翌3月1日より実施しました。中央銀行は、
50%)を発表し、翌3月 日より実施しました。中央銀行は、
昨年11月に、景気の下振れ懸念に伴ない約2年4ヵ月ぶりとなる利下げに踏み切り、また今年2月には銀行の預金
準備率を引き下げるなど、金融緩和策を講じていました。しかしながら、1月の消費者物価指数の伸びが前年同月
比+0.8%と、5年2ヵ月ぶりに1%を下回るなど、デフレ懸念の高まりに伴ない、景気の下振れ回避に向けて約3ヵ月
で二度目の利下げを行なったと考えられます。これにより、企業向けの貸出や住宅ローンなどの金利の低下を通じ
て、急激に景気が落ち込むリスクの抑制が期待されます。また今回の発表では、金利の自由化の促進を目的とし
て、金融機関が設定する預金金利の上限を基準金利の1.2倍から1.3倍に引き上げることも発表されました。
景気減速が懸念されるなか、中国政府は以前から、ある程度、経済成長率が鈍化することを「新常態(ニューノー
マル)」として容認し、無理に高成長を実現させるよりも、構造改革を優先する姿勢を貫いており、大規模な景気刺
激策を講じるのではなく、小刻みな政策調整を通じて景気の下支えを続けています。2月25日には、零細企業向け
法人税減税の拡大、失業保険料の軽減、水資源関連事業の早期着工などの財政面での政策を強化しました。
中国では、3月5日から15日まで全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開催され、2015年の経済成長目標
が示される予定となっています。そこでは、やみくもに高い経済成長率の達成を目指すのではなく、構造改革を優
先し 経済を安定軌道に軟着陸させることを目的として 2015年の成長率目標は昨年の7 5%程度から引き下げら
先し、経済を安定軌道に軟着陸させることを目的として、2015年の成長率目標は昨年の7.5%程度から引き下げら
れると見られています。このような見方が拡がるなか、金融および財政の両面での政策の微調整が実施され、小刻
みながらも、さまざまな方向から景気支援を行なう姿勢が鮮明となり、市場は、全人代開催前という絶妙なタイミン
グで、同国が質や効率を重視した新たな経済成長のステージを目指していることを、再度認識したものと考えられ
ます。
GDP成長率(前年同期比)の推移
政策金利の推移
(2010年1月初~2015年3月2日)
(2010年1-3月期~2015年10-12月期予想)
(%)
12
(%)
7
6
5
8
4
6
3
1年物預金基準金利
年物預金基準金利
2
4
予想
2
1
0
0
10
11
出所:中国人民銀行
向こう4四半期
の市場予想は
7.2%~7.0%
10
1年物貸出基準金利
12
13
14
15
(年)
10
11
12
13
14
15
(年)
中国国家統計局などの信頼できると判断した
データをもとに日興アセットマネジメントが作成
※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建
資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが
あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付
目論見書)をご覧ください。
1/1