ブラジル中央銀行が0.5%利上げを決定 政策金利は12.75%に

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マーケットレポート
2015年3月5日
ブラジル中央銀行が0.5%利上げを決定
政策金利は12.75%に
~4会合連続の政策金利引き上げでインフレを抑制~
ブラジル中央銀行(以下BCB)は、3月4日の金融政策決定会合において、政策金利(翌日物国債レポ取引金
利)を0.5%引き上げて12.75%にすることを発表しました。利上げは4会合連続で全会一致の決定となりました。
BCBは前回会合の議事録においてインフレとの闘いを制するために一段の利上げが必要との見方を示唆して
おり、今回の追加利上げも市場では幅広く予想されていました。
◆ 利上げの背景
ブラジル政府はインフレを抑制しながら景気刺激を図り、財政赤字の削減を目指すという極めて困難な課題
に直面しています。ブラジルのインフレ率は高止まりが続いています。1月の拡大消費者物価指数(IPCA)は、干
ばつによる食料品価格の上昇や運賃、電気料金の値上げなどから前年同月比+7.14%とBCBのインフレ目標
上限(同+6.5%)を上回り、2011年9月以来の高水準となりました。先行きについても、干ばつの影響や燃料に対
する税率引き上げなどから、高止まりが続くと見られています。
一方、ブラジル景気は厳しさを増しています。鉱工業生産は伸び悩みが続き、消費者信頼感指数は過去最低
水準に低下、失業率も上昇し、小売売上高は前月比で過去最大の落ち込みを記録しました。BCBが実施した民
間エコノミスト調査でも、2015年の成長率はマイナス成長に転じると予想されています。なお国営石油会社ペト
ロブラスの汚職疑惑の政治家への広がりを懸念して節目の1米ドル=3レアルへ接近していたブラジル・レアル
相場は、今回の利上げを受けて、足もと1米ドル=2.98レアル近辺で概ね落ち着いた動きとなっています。
◆ 今後の見通し
ブラジル政府は、国債の格下げ観測がくすぶるなか、財政収支の目標達成に向け、歳出削減策や給与税など
の減税政策の見直しなどに着手しています。このような財政緊縮の動きから、中期的にはインフレ圧力は沈静
化に向かうことが期待されるものの、当面は金融引き締めを続けざるをえない状況です。今回の声明文におい
ても「マクロ経済シナリオとインフレ見通しを考慮に入れて0.5%の利上げを行った」と政策変更を示唆する表現
はなく、引き続き民間予想でも小幅な追加利上げが予想されています。
ブラジル経済は、鉄鉱石などの資源価格の低迷、景気減速とインフレの同時進行、ペトロブラスを巡る汚職問
題などの懸念材料はくすぶるものの、通貨レアルは、政府が推進する財政健全化の進展などに伴って中長期
的には堅調さを取り戻すことが期待されます。
以上
政策金利の推移
ブラジル・レアルの為替レートの推移
(2010年3月1日~2015年3月4日、日次)
(2013年3月1日~2015年3月4日、日次)
(%)
70
3月4日0.5%の
利上げを決定
13
(円/ブラジル・レアル)
(ブラジル・レアル/米ドル)
対米ドル
(右軸)
60
12
11
1.6
50
2.0
40
2.4
9
30
8
7
13/03
13/09
14/03
14/09
15/03
(年/月)
20
10/03
対円
(左軸)
11/03
12/03
2.8
13/03
14/03
3.2
15/03
ブラジル・レアル安
10
1.2
ブラジル・レアル高
14
(年/月)
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
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