追徴リスクのある取引は請求前に確認を タイの税金還付制度の 概要と実務上の留意点 柴田 智以 伊藤 進 井戸 志生 2012年は 2015年は %、 2 0 1 3 年 ~ %)や、 2 0 1 3 年 末からの政治混乱による国内経済の 停滞の影響等により税収不足が懸念 されるなか、その不足分を税務調査 の強化によって補おうとする税務当 局の動きが見受けられる。 この還付請求に伴う税務調査もそ の例外ではないため、還付請求の先 には、厳しい税務調査が待っている といえる。法人所得税について、主 を行う場合、課税実務の慣行上、原 タイでは、企業が税金の還付請求 るものではなく、たとえば、付加価 請求の対象となった税目に限定され て特に重要な税目である法人所得税 の依頼がくるという流れになる。 轄税務署から税務調査に必要な資料 と、企業の主たる事業の売上が源泉 下の中間申告額が過納となる場合 に還付が生じるケースとしては、以 則として税務調査が実施され、それ 値税 ( Value Added Tax 、以下、 「V AT」 という)の還付請求を行った結 およびVATについて、還付が生じ 得に基づき申告・納付することが要 間申告額は、原則として年間見積所 申告・納付が求められる。タイの中 を経過する日から2カ月以内に中間 同様に、その事業年度開始後6カ月 タイにおいても、日本の法人税と ⑴ 中間申告額が過納となる 場合 徴収の対象となる場合である。 が完了しない限り還付金が入金され 果、法人所得税や源泉所得税といっ るケースおよびその留意点ならびに 法人所得税の 還付請求 本稿では、タイの現地企業にとっ ない。そのため、税金の還付手続は た他の税目にまで調査範囲が及ぶと る。 実際に還付請求を行ったはずが、 現地企業の頭の痛い問題となってい 当該税務調査は還付金が少額であ 調査担当官の指摘により追徴税額が 対応策を解説する。 る場合を除き、税目ならびに還付の るため、企業は還付請求にあたって、 発生してしまったというケースもあ ら、 還 付 請 求 に 対 す る 税 務 調 査 は、 法 人 所 得 税 の 還 付 請 求 期 限 は、 ここで企業が留意しなければならな 入念な準備とともに慎重な判断が求 、 Revenue Code Section 27ter い点が、年 度 末の確 定 申 告にお ける 求される。 税金の還付手続は、タイ歳入法典 年間確定所得と中間申告時の年間見 税務当局が主体的に動くものではな 申告書の提出期限日から3年以 たり、終焉が見通せてきた税務調査 で定められている法人所得税、個人 Section ) 63と さ れ て お り、 還 付 請 求 が さ れ た 場 合 に は、 原 則 と し められる。 にもかかわらず、調査担当官の異動 所 得 税、 V A T の い ず れ の 場 合 も、 積所得を比較し、その差異 (不足) が 内( により振出しに戻ったりすることな て 税 務 調 査 が 行 わ れ る。 タ イ に お 30 %以上となった場合、合理的な理由 原則として申告書上の還付申請欄に %から ど も あ り、 場 合 に よ っ て は 還 付 金 下 げ( 2 0 1 1 年 ま で の い て は、 法 人 所 得 税 率 の 急 激 な 引 を記載して提出することで、後日所 還付金額および企業の代表者の署名 る。また、税務調査は必ずしも還付 の入金までに数年かかるケースもあ いため、調査担当官の対応が遅かっ 理由を問わず行われる。しかしなが いったことがしばしば見受けられ KPMG Phoomchai Tax Ltd. 税理士 KPMG Phoomchai Tax Ltd. 税理士 有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 20 23 る。 第2章 がない限り、不足額の %相当額の延 25 20 12 経理情報●2015.3.10(No.1407)
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