税 務 ガ バ ナ ン ス の 整 備 の 進 め 方

行動規範、戦略、組織、情報収集体制
税務ガバナンスの
整備の要点
税務ガバナンスの整備を短期間で
行うことは難しく、企業グループ全
体の取組みとして相互の理解を深め
ながら、一定の期間をかけ段階的に
取 り 組 ん で い く こ と が 必 要 と な る。
また、税務ガバナンスを整備する具
構築しようとするガバナンスの水準
体的なアプローチは、企業の状況や
て、企業グループの税務に関する透
などによって異なってくる。海外で
白崎 亨
中原 拓也
値の向上を図っていくため、今後も
明性を確保し、ステークホルダーへ
の事業活動の規模、海外子会社の所
PwC税理士法人
公認会計士・税理士
PwC税理士法人
税理士
海外展開を拡大していくことが不可
の説明責任を果たしていくことが可
を行っていくことが必要となる。
あわせ、絶えず、見直しを図り 改善
環 境や 企 業グループの状 況の変 化に
とが非 常に重 要である。 また、外 部
それ を 適 切に運 用・実 践 していくこ
構築すれば十分というわけではなく、
さ らに、 税 務 ガバナンスは 体 制 を
ていくのが効果的であると考える。
性を考慮しながら、段階的に整備し
別の取組みについて、重要性・緊急
し、それを実現するために必要な個
適な税務ガバナンスのあり方を検証
しながら、自社グループにおいて最
念・ビジョン、企業文化なども考慮
部門との関係などを踏まえ、経営理
務部門の人員体制や事業部門・本社
欠な日本企業は、こうした税をめぐ
税務ガバナンスの
整備の進め方
税務ガバナンスの
意義とその必要性
ループ全体による取組みとして、税
在する国、地域統括会社の有無、税
今、税をめぐる世界的な潮流とし
の透明性を確保し、国内外のあらゆ
税務ガバナンス
Tax Governance
税務リスクマネジメント
Tax Risk Management
能となる(図表1)。
て、税務当局だけでなく投資家や市
るステークホルダーに対して説明可
税務に関する透明性の確保・ステークホルダーへの説明責任
る 世 界 的 な 潮 流 に 適 応 し、 企 業 グ
民・社会も含めたステークホルダー
これを実現するためには、「税」を
能な税務行動を実践していくことが
た す こ と の 必 要 性 が 増 加 し て い る。
経営課題として捉え、日本親会社が
に対して、企業グループの税務に関
経 営 者 は、 自 社 グ ル ー プ に お い て、
中心となり、企業グループにおける
必要になる。
事業活動の実態に即した適切な納税
税務行動を指揮・統制し、合理的な
する透明性を確保し、説明責任を果
が行われているか、グループ全体で
意思決定を行うことができるしくみ
とが重要な課題となる。有効な内部
の税務リスク管理は適切に行われて
無駄な税務コストが発生していない
統制を基盤とした税務ガバナンスの
である税務ガバナンスを整備するこ
か、などといった問に対してきちん
しくみのなかで、税務コンプライア
いるか、あるいは、二重課税による
と説明できる体制を整備することが
ンス、および税務リスクマネジメン
トを適切に実行していくことによっ
求められている。
持続的な成長と中長期的な企業価
(図表1)
税務ガバナンスの意義
税務コンプライアンス
Tax Compliance
有効な内部統制
Internal Control
Ⅲ
18
経理情報●2016.10.20(No.1460)