明けない夜がないように 昇らない太陽がないように ワタシとアナタの世界は終わる… それでも…二人の柩に灯る夜は アナタのくれたワタシの陽だまり… ■あらすじ■ 「この国のどこかに隠されているという一対の指輪。それを共に身につけた二人は、契約者となり、一 人が「牙」 、一人が「棺」となって命を共有する。牙の命は棺に預けられその体は不死身となり、棺が生 き続ける限り、牙も決して死ぬことはない。そして契約を交わせるのは、穢れた血を持つ者…混血のみ。 」 太陽のない地下国家ヴァンディアに古くから伝わる伝承。その伝承故に、純血であるヴァンディアの民 と地上の民との混血は化け物を生むと忌み嫌われ、迫害を受けるようになった。混血であることを隠し ながらひっそりと生きる混血の者たち。しかしとある村で、混血の契約者が生まれる。それにより村は 混血を匿っていることが公になり、国により滅ぼされた。 外部からの助けにより、村から唯一逃げ延びた混血のアッシュとセレン。 村を滅ぼされた恨みは、やがて混血の契約者を生んだ「牙」に向く。なぜなら、契約者となった「棺」 は二人にとって大切な姉のような存在である女・カーミラであったのだ。 契約後姿を消したカーミラ。カーミラと混血の契約を結び棺という化け物にした「不死身の牙」を追う ため、契約を破棄しカーミラを化け物から解放する為、アッシュとセレンは大きな決断をする。 “不死身の牙を討てるのは牙のみ” アッシュとセレンは混血の契約を交わし、アッシュが「不死身の牙」、セレンが「棺」となって自分たち も化け物になる道を選んだのだ。こうしてヴァンディアに、二組の契約者が生まれた。 しかし、契約を結んで後すぐに、セレンもまたアッシュの前から姿を消すのであった。 一方国は、契約者が生まれたことをきっかけに、地上との交流を進めてきた王が、その信頼も厚かった クロイツの謀反により殺され、新王としてクロイツが治める国となっていた。 クロイツは冷酷な仮面王と呼ばれ、地上との交流を一切許さず、 「太陽を奪った王」として独裁国家を築 き上げた。 カーミラとも交流があり、最初の契約者が生まれた日に村でクロイツを見かけたことから、クロイツが 「不死身の牙」であると睨んだアッシュは、その身を隠しながら、クロイツを追う。 そんなある日、アッシュは地上から降りてきたカルトの民と出会う。 カルトの民、クロイツへの反乱軍と共に、クロイツの命を狙うアッシュ。 ようやくその時を迎えようとしたとき、アッシュを止めたのは、三年ぶりに出会えたセレンだった。 そして、クロイツのそばには、記憶をなくしたカーミラの姿が…。 契約に隠された真実、化け物の意味、そして本当の「不死身の牙」とは…。 ヴァンディアの闇に隠された様々な真実が、少しずつ少しずつ明らかになっていく。 牙と棺という契約で結ばれたアッシュとセレンを軸に、純血と混血、兄と妹、人と人の“繋がり” “繋が ること”を描くファンタジー。 太陽のないヴァンディアのその闇で、化け物として生きた人々の「陽のあたる場所」の物語。
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