更年期障害(PDF:294KB)

更年期の症状は、ひとによってさまざま。我慢しないで、まずは婦人科に相談を!
女性ならだれもが避けて通ることのできない更年期。
この時期に起こるさまざまな体の変化を正しく認識しましょう。
●「更年期障害」とは?
更年期とは、閉経前後の数年間を指します。閉経とは、卵巣機能が低下し月経が停止することです。個人差はあ
りますが、45歳から55歳(平均50歳)頃に閉経を迎えます。この時期のホルモンの変化により現れる身体的、精
神的不調を更年期症状といい、日常生活に支障をきたすほど重度なものを更年期障害といいます。
女性ホルモンの1つであるエストロゲンの欠乏によって起こる
心身の変化には、
ほてり、のぼせ、動悸、異常な発汗、肩
こり、関節痛、頭痛、めまい、耳鳴り、
不眠、不安、憂うつ、食欲不振、排尿時
痛、全身倦怠感など
① 更年期障害
② 心血管障害(狭心症や心筋梗塞、動脈硬化など)
③骨粗しょう症などがあります。
なかでも多いのが更年期障害です。
●更年期の症状をチェックしてみましょう
症状に応じて自分の点数を入れてください。その合計点をもとにチェックします。
更年期セルフチェック表
症状
強
中
弱
無
① 顔がほてる
10
6
3
0
② 汗をかきやすい
10
6
3
0
③ 腰や手足が冷えやすい
14
9
5
0
④ 息切れ、動悸がする
12
8
4
0
⑤ 寝つきが悪い、眠りが浅い
14
9
5
0
⑥ 怒りやすく、イライラする
12
8
4
0
⑦ くよくよしたり、憂うつになる
7
5
3
0
⑧ 頭痛、めまい、吐き気がよくある
7
5
3
0
⑨ 疲れやすい
7
4
2
0
⑩ 肩こり、腰痛、手足の痛みがある
7
5
3
0
点数
合計点
合計点による自己採点の評価方法
0 ~ 25点・・・異常ありません
26 ~ 50点・・・食事、運動に気をつけましょう
51 ~ 65点・・・婦人科や更年期外来など医療機関に相談しましょう
66 ~ 80点・・・長期にわたる計画的な治療が必要です
81 ~100点・・・各科の精密検査にもとづいた長期の計画的な治療が必要です
参考:小山嵩夫,「簡略更年期指数:SMI」より
●更年期外来
日常生活に支障をきたす不調を感じたら、「更年期外来(女性外来、または婦人科)」を受診しましょう。更年期症
状と思っていたら、甲状腺疾患、高血圧や心臓病、貧血、精神疾患など別の病気が見つかったというケースもあり
ます。更年期障害以外の病気が疑われるときは他科を紹介してもらい、適切な治療を受ける必要があります。
●更年期障害の治療法について
更年期障害の治療法は症状や状況に応じてさまざまです。

ホルモン補充療法(HRT)
減少していく女性ホルモンを飲み薬や貼り薬などで補充します。
乳ガンや子宮ガン、血栓症などのリスクのある方は使用できません。

漢方療法
更年期障害のつらい症状を緩和し、ホルモンが減っていく状態に体を慣らし、体調を整え
ます。 HRTと合わせて併用することも可能です。

自律神経調整薬、向精神薬(抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬など)、カウンセリングによる精神療法
更年期障害の精神症状が悪化して、うつ病を発症する場合もあります。一人で悩まずに、まずは受診し、
医師に相談してみましょう。
●更年期は、からだとライフスタイルを見直す時期
更年期は誰にでも訪れる身体の変化です。この時期には、子どもが就職や結婚で独立して家族構成に変化があ
ったり、老親の介護が必要になるなど、生活にも変化がある時期です。
生活の変化に加え、更年期の症状や閉経を迎え女性でなくなるような喪失感から心身の不調が重くなってしまうこ
ともあります。
その時期のつらい症状を我慢して過ごすのではなく、自分の身体や心の状態を受け止め、
様々な対処法の中から自分に合ったものを探しましょう。
今までのライフスタイルを見直すのに必要な時期、まさに、“人生のターニングポイント”といえます。前向きに快適
な生活を送れるようにしましょう。
●更年期をうまく乗り切るための10か条
①バランスの良い食事を、美味しく楽しく
(更年期にお勧めのレシピ)
②休養は大切なセルフケア、質の良い睡眠やリラックスできる時間をとるよう心がけよう
(起床時間を決めて。適度な運動もよい眠りをもたらします)
③無理なく続けられる運動をはじめよう
(からだを動かすことで、更年期症状が軽快することも。また運動には骨を丈夫にする効果も)
④更年期に起こるからだの変化を知っておこう
(からだの変化に対する心の準備ができます。周囲の過剰な情報にふりまわされないようにしましょう)
⑤何事も完璧を求めず、気を楽に
(頑張り屋タイプの方は、時には自分を甘やかすことも大切です)
⑥ひとりで悩まず誰かに話そう
(専門家や友達・家族などに本音で話すことで楽になることも)
⑦趣味をもって、自分の時間を大切に。 おしゃれも楽しもう
(日々の生活を、こころ豊かに)
⑧チャレンジ精神を持とう
(更年期は人生のターニングポイント。今までの自分を見直し新しい事に挑戦を)
⑨定期健診・検診を受けよう
(その不調は更年期の症状?定期的に健康状態のチェックを)
⑪ パートナーなど周囲の人とのコミュニケーションを見直してみよう
(思いやりのある人間関係づくりを)