【実践事例】 「やってみよう!! 全員授業から学ぶ授業の【型】」 大阪市立 大規模校の取り組み ◆ 専門を活かした自由選択型の全員授業 菅原小学校 ~ まずは『やってみよう!!』~ ~授業の【型】を学ぶ~ 本校は教職員 41 名、児童数 780 名の大規模校である。 全員授業の科目は、それぞれの専門性を活かすため教科は限定せずに行っ た。対象 34 名の教員が、学年の実態に応じて魅力ある授業を公開した。 全 35 回の全員授業を学びの機会として捉え、授業力の向上に努めるととも に、若手教員を中心に授業の『型』(授業の進め方・全体的な流れ)を学んだ。 ◆ 全員授業の取り組み方法 ・教科主任型授業 →各教科主任(教育実習生へも公開) ・専門教科型授業 →体育・算数・音楽の研究員(メンター研修対象) ・研究教科型授業 →学校研究教科体育(全6回の公開授業・講師招聘) ・学年一斉型授業 →学年音楽(合奏・合唱・鑑賞) ・学年協力型授業 →前時・プレ・本時(学校研究教科体育との連動) ・リンク型授業 →理科&食育 (T.T.) ・習熟型授業 →算数習熟コース(スピード・バランス・パワー) ・専科型授業 →理科・音楽・食育(全クラス対象) ・特支学級型授業 →算数・体育など(メンター研修対象) ・C ネット型授業 →担任&外国語教員(T.T.) ・情報モラル型授業 →高学年対象(携帯・インターネット) ・小中連携型授業 →年次研修の公開授業(小学校教員⇔中学校教員) ※指導案は校務支援 PC に保管(次年度以降の教員が自由に印刷して使用可) ◆ 全員授業の例 4年生(4学級)の実践 【4学年教員の感想】 ○学年協力型授業 ・学年打ち合わせは、教室・職員室・運動場や [体育 ゲーム(ベースボール型) 全8時間] 体育館など実際に試しながら何度も行いまし 【授業の流れ】➡1~2時(バットレスベースボール) た。 ➡3~6時(三角ベースボール) ・4学級が同じ授業をすることで、「捕ったボ ➡7~8時(菅原リーグ大会) ールを箱に入れよう」「ボールのキャッチが苦 手だから防球ネットに当ててはどう?」等、 【全員授業】 ➡バットレスベースボール(4年3組) 色々な意見が出て実態に応じた授業に変わっ ➡三角ベースボール(4年1組 前時) ていきました。 ➡三角ベースボール(4年2組 プレ授業) ・学習カードは透明シートにシールを貼り、重 ➡三角ベースボール(4年4組 本時) ねて見えるようにするなどの工夫ができまし ➡ た。 ・菅原リーグ大会を学年でも開催できたので、 全員授業の達成感を子どもと一緒に感じまし ワークショップ形式での研究協議(校内研究教科 体育) ◆ 学び合い・高め合うグループ協議 8人程度のグループ4つに分けて話し合った。メンバーは若手・中 堅・ベテランが一緒になるように配慮した。また、各テーブルには研究 部員と学年の授業に携わった教員が1名ずつ入り、本時までの流れや質 問にも答えられるようにした。 「こんな場作りはどう?」 「なぜ~を使っ たの?」など、質問に対する取り組みの説明が即座に行われることでよ り深い話し合いができた。グループ内では気軽に発言したりわからない ことを聞いたり、小さなつぶやきも拾われ議論になるなど、少人数なら ではのメリットが活かされた協議会になった。 ◆ 研究の視点を意識した話し合い グループ協議では、指導案を拡大したものに、青(良い点)・黄(改善点)・赤(課題)の3種類の付箋を貼 って話し合った。付箋によって色分けされているので論点の整理に役立ち、研究の視点に対するアプローチの 評価が行いやすくなった。また、色ペンを使用してそれぞれの付箋を研究の視点ごとに分けて囲んだり、説明 書きを加えたりするグループや掲示して書き記した説明箇所を示しながら発表するグループなども見られた。 そうすることにより、他のグループにも班で話し合った内容が話と同時に視覚的にも伝わりやすくなった。グ ループ内での話し合いの工夫が回数を経て行われるようになった。 『授業面』 ・『環境面』の充実 ◆ 教職員みんなで、『やってみよう!!』 ~授業面と環境面~ ① 校内研究教科『体育』 校内の研究テーマは、 『進んで運動に親しむ子どもを育てる~運動の楽しさや喜びを味わうことができる運 動用具・施設の充実~』である。全員授業においても 15 回という積極的な体育の授業が行われた。 ② ICT機器の積極的な活用 全員授業では、校長先生も授業を行った。算数部で長年研究されている経験を活かし、電子黒板ユニット とプロジェクター、パワーポイント使った授業が行われた。ICT機器の実践効果を校長先生自らが発信し たこともあり、全員授業のバリエーションの中にICT機器が多く取り入れられるようになった。 ③ がんばる先生支援 がんばる先生支援に全職員連名で申し込み、配当を受けた。一輪車・一輪車練習スタンド・竹馬・ジャン ピングボード(大・中)等を購入し、施設開放や学校芝生化事業との連携・協力を経て、学校での遊びを飛躍 的に充実させることができた。体育や学級活動の授業にも積極的に使用している。 【全員授業を終えて・・・教員の感想】 ・今後どの教科を担当しても、全員授業で学んだことを参考にして授業作りができると思いました。 ・色々な教科の授業を見ることができたので、授業の『型』を学ぶことができました。次年度からに活か せます。 ・高学年を担当したことがないので、家庭科や理科、外国語などの授業の進め方がわかりました。 ・専門に研究している教員の授業を見たら、改めて「自分もがんばろう!!」という気持ちになりました。 ・学年の先輩先生に教えてもらって授業に工夫が生まれたので、とても勉強になりました。 ・学年で協力して授業を組み立てていくと想像以上の完成度になり、子どもたちの喜ぶ姿に感動しました。 ・ICT機器を使用した全員授業を見てから、デジタル教材などを使って授業をするようになりました。
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