交流及び共同学習における教師間の連携の在り方に関する研究

発表 3
交流及び共同学習における教師間の連携の在り方に関する研究
-特別支援学級と通常の学級の連携に関する実態調査の分析を通して-
特別支援教育室
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稲 荷 邦 仁
信 藤 昭 子
宮 本 祥 恵
蒲 池 慎 一
客 野 美 保
研究の目的
中央教育審議会初等中等教育分科会より出された「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育
システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」や小学校学習指導要領等に、交流及び共同学
習の推進等の事項が明記されている。障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との相互理解を促
進し、共生社会の実現を確かなものにしていくために交流及び共同学習は重要である。小・中学校
においては、特別支援学級と通常の学級間で交流及び共同学習が日常的に行われているが、先行研
究や調査結果等から、学習評価や打合せ不足等の教科学習における連携に関する課題が挙がってい
る。この課題を改善するためには、教師間で情報の共有を図ることが必要であると考える。
そこで、本研究では、教科学習における交流及び共同学習の連携に関する取組の課題等を受け、
情報を共有するための方策を明らかにし、望ましい教師間の連携の在り方を検討したい。
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研究の内容
⑴ 実態調査を行うためのアンケートの作成
先行研究や研究員の意見等を基にアンケートの項目を選定した。
⑵ 小・中学校への実態調査の実施
小・中学校の特別支援学級にアンケートを送付し、特別支援学級担任と通常の学級の教員に回
答を求めた。
⑶ 調査結果の整理・分析及び考察
調査結果から、児童生徒の実態に即した目標設定とそれに準拠した学習評価の設定が必要であ
ることが推測された。また、打合せの必要性は感じているものの、時間の確保が難しい現状が伺
え、打合せを効率よく行う方法や会の持ち方について工夫が必要であることが推測された。
⑷ 教師間の連携の在り方の検討
調査結果を受け、個別の目標や評価及び児童生徒の支援方法について、特別支援学級担任と通
常の学級の教員が事前に情報共有できる連携シートを作成した。また、その連携シートを個別の
指導計画の作成の時期に合わせて活用することで、情報共有の時間を確保するなど、望ましい教
師間の連携の在り方について検討した。
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研究のまとめ
交流及び共同学習における教師間の連携に関する実態調査から、「個別の目標や支援方法等を含
む学習評価の設定」と「事前の打合せや情報交換の時間の確保」について課題があることが明らか
になった。
この課題を受けて、個別の目標や評価等の情報が共有できる連携シートを作成した。
今後は、連携シートの検証を通して、望ましい教師間の連携の在り方を探り、提案できるように
したい。