水辺 の 環境 イトモロコ コイ科カマツカ亜科スゴモロコ属 Squalidus gracilis gracilis 糸諸子 ロコという名をもつ魚は何種か モ 日で孵 化します。孵化直後の仔魚は全長 あり、日本産コイ科魚類で最も 2.6mm、約 1 週間で卵黄を吸収し、満 1 年 美味で、関西で高級魚として知 で 4cm 以上になり成熟します。成魚はホ られるホンモロコなどが有名です。イト ンモロコの代用として佃煮などに利用さ モロコは、同じコイ科のなかでもバルブ れてきましたが、県レベルでは、長崎県で ス亜科タモロコ属に属するホンモロコと 絶滅危惧Ⅰ類、香川県、滋賀県、三重県で は類縁関係が遠い、カマツカ亜科スゴモ は絶滅危惧Ⅱ類に指定されるなど、貴重 ロコ属に属する魚です。 な魚種になってきました。 体長は 5 〜 8cm で、鱗 は金属光沢をも 日本固有種で濃尾平野以西の本州、四 ち、目が大きく長い口ヒゲがあります。 国北東部、九州北部、壱岐島、五島列島に 体側に沿って横に並んだ側 線鱗と呼ばれ 分布します。川の中・下流域や灌漑用水 るウロコが上下に細長いことが、他のス 路などの流れの緩やかな砂底・砂礫底に ゴモロコ属の魚と異なる特徴です。背側 多く、水底近くを小さな群をなして泳ぎ には不鮮明な斑点が点在し、体側中央に 回ります。 は暗色の帯が横に走り、その背側の縁に 平成 25 年の台風 18 号でも活躍した水 沿って金色の細線が走ります。雑食性で、 資源機構が管理している高山ダムや比奈 水生昆虫、プランクトン動物、付着藻類な 知ダムなどがある木津川の支流名張川上 どを食べます。 流域や、建設中の川上ダムが位置する木 うろこ そくせんりん 産卵期は 5 〜 6 月。卵は径約 1mm の弱 い粘着卵で、水草に産み付けられ、4 〜 5 ふ 津川上流域に広く生息していることが確 認されています。 【参考文献など】 ・ 『日本の淡水魚』山渓カラー名鑑 川那部浩哉ほか編・監修 山と渓谷社刊 2001 年 ・ 『原色日本淡水魚類図鑑』 宮地伝三郎ほか著 保育社刊 1982 年 ・ 『日本の淡水魚』増補改訂フィールドベスト図鑑 木村義志監修 学研刊 2009 年 ・パンフレット 「木津川上流の環境 木津川上流域の代表的な生き物」国土交通省近畿地方整備局木津川上流河川事務所作成 2008 年 ・日本のレッドデータ検索システム HP 水辺の環境 ● 23
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