ANN No.14 (スギ花粉アレルゲン)

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△ 最近の話題
メールニュース No.14
:-スギ花粉アレルゲン- ▽
△ 特異的 IgE 検査 :‐特異的 IgE 検査の信頼性とは‐▽
ファディア株式会社 発行
(サーモフィッシャーサイエンティフィック グループ)
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スギ花粉のコンポーネント(アレルゲンタンパク)では、Cry j 1 および Cry j 2 のみが WHO/IUIS に登録されています
が、その他にも以下に示すコンポーネントが同定されています。
Cry j 1
Pectate Lyase
Cry j 2
Polygalacturonase
Cry j 3
Thaumatin-like protein(TLP)PR-5
Cry j 4
Polcalcin(カルシウム結合タンパク)
Cry j AP
Aspartic Protease
Cry j Chitinase
Class Ⅳ Chitinase PR-3
Cry j CPA9
Subtilisin-like Serine Protease
Cry j IFR
Isoflavone Reductase
Cry j LTP
Lipid Transfer Protein(LTP)PR-14
参考:http://www.allergome.org より引用、改変
スギ花粉症では、ハンノキやシラカンバなどのように多種の果実、野菜、木の実などの食物でアレルギー症状を起こ
すことは、トマトを除いてあまり知られていません。
しかし、スギ花粉においても果実や野菜と交差性の可能性があるコンポーネントが同定され、一部のコンポーネントで
は果実のアレルゲンコンポーネントとの交差抗原性(アミノ酸配列の高い一致率)も報告されています。また、欧州で
は、スギと近縁のヒノキ科の花粉と果実の交差性がいくつか報告されています。スギ花粉も食物アレルギーの発症に
少なからず関与している可能があると考えられます。
ここでは、スギ花粉中のコンポーネントの交差性について概説します。
1. Group 1 アレルゲン(Cry j 1):Pectate Lyase
スギ花粉中の Pectate Lyase は、スギ花粉症の原因アレルゲンとして最初に同定され、後に Cry j 1 と命名されました。
スギ花粉の Major allergen です。下の表に示すようにキク科、ヒノキ科の Pectate Lyase もアレルゲンとして同定され
ています。花粉以外にも、Asp f PL(アスペルギルス)、Pen c 32(ペニシリウム)が Pectate Lyase です。スギを含むヒ
ノキ科花粉間の Pectate Lyase は互いにアミノ酸配列の一致率が高く、臨床的な交差反応性を示すことが知られてい
1)
ます 。ブタクサの Major allergen である Amb a 1 も同様に Pectate Lyase ですが、Cry j 1 とのアミノ酸配列の一致
2)
率は 45%程度とあまり高くなく 、臨床的な交差反応性は示さないと考えられています。
主なアレルゲンとしての Pectate Lyase
Amb a 1
ブタクサ
Art v 6
ヨモギ
Cha o 1
ヒノキ
Cup a 1
アリゾナヒノキ
Cup s 1
イトスギ(属)
Jun a 1
ビャクシン(属)
Jun c 1
セイヨウネズ
Jun o 1
ケードネズ
Jun v 1
エンピツビャクシン
Thu p 1
ベイスギ
参考:http://www.allergome.org より引用、改変
2. Group 2 アレルゲン(Cry j 2):Polygalacturonase
Cry j 2 も ス ギ 花 粉 の Major allergen で す 。 ヒ ノ キ 科 、 ス ズ カ ケ ノ キ 科 ( プ ラ タ ナ ス ) 、 イ ネ 科 に お い て も
Polygalacturonase がアレルゲンとして報告されています。その他にトマト果肉(Sola l PG)、菜の花種子(Bran n PG)
1)
が知られています。Pectate Lyase と同様にヒノキ科間の交差反応性に関与しています 。
主なアレルゲンとしての Polygalacturonase
Cha o 2
ヒノキ
Cup a 2
アリゾナヒノキ
Cup s 2
イトスギ(属)
Jun a 2
ビャクシン(属)
Pla or 2
カエデバスズカケノキ
Ant o 13
ハルガヤ
Dac g 13
カモガヤ
Ory s 13
イネ
Phl p 13
オオアワガエリ
Zea m 13
トウモロコシ
参考:http://www.allergome.org より引用、改変
3. Group 3 アレルゲン(Cry j 3):Thaumatin-like Protein
ソーマチン様タンパク(TLP)は、ヒノキ科、カバノキ科、キク科、スズカケノキ科、モクセイ科(オリーブ)の花粉のみなら
3)
ず種々の果実でアレルゲンとして同定されています。スギ花粉症の 27%が Cry j 3 に感作されています 。スペインで
4)
もヒノキ科花粉症の 63%に Cup a 3 特異的 IgE が認められました 。環境汚染が進んだ地域のアリゾナヒノキ花粉中
4)
には Cup a 3 含有量が増加すると報告されています 。また、従来みられなかったアリゾナヒノキ花粉症において花粉
5)
関連食物アレルギー症候群(PFS)が報告されるようになりました 。スペインにおいて多施設共同で植物性食物の交
差性における TLP の関与が調査され、TLP は重要なアレルゲンのひとつで、PFS の原因として念頭に置くべきと報告
6)
されています 。
ちなみに、ソーマチンは西アフリカ産の植物の果実から精製され、甘味料だけでなくマスキング作用、エンハンス作用
7)
を有していることから食品や医薬品に使用されています 。
花粉由来ソーマチン様タンパク
Cup a 3
アリゾナヒノキ
Cup s 3
イトスギ(属)
Jun a 3
ビャクシン(属)
Bet v TLP
シラカンバ
Cor a TLP
ハシバミ
Art v TLP
ヨモギ
Pla a TLP
カエデバスズカケノキ
Ole e 13
オリーブ
参考:http://www.allergome.org より引用、改変
果実由来ソーマチン様タンパク
Act d 2
キウィ
Bra o TLP
ブロッコリー
Cap a 1
パプリカ
Cuc m TLP
マスクメロン
Mal d 2
リンゴ
Mus a 4
バナナ
Pru av 2
サクランボ
Pru du 2
アーモンド
Pru d 2
プルーン
Pru p 2
モモ
Sola l TLP
トマト
Vit v TLP
ブドウ
参考:http://www.allergome.org より引用、改変
4. Group 4 アレルゲン(Cry j 4):Polcalcin
Polcalcin は花粉のパンアレルゲン(幅広い交差反応の原因となるアレルゲン)として知られており、イネ科、キク科、
2+
カ バ ノ キ 科 、 モ ク セ イ 科 花 粉 間 で 強 い 交 差 性 が 報 告 さ れ て い ま す 。 Ca 結 合 部 位 ( EF-hand ) の 数 に よ っ て
8)
2EF-hands、3EF-hands および 4EF-hands に分けられます 。花粉症患者での感作頻度は高くありませんが、本コ
9)
ンポーネントに感作された例では多数の花粉に反応する可能性があります 。
主な花粉由来 Polcalcin
Aln g 4
ハンノキ(属)
Bet v 3
シラカンバ(属)
Bet v 4
シラカンバ(属)
Cup a 4
アリゾナヒノキ
Jun o 4
ビャクシン(属)
Ole e 3
オリーブ
Dac g 7
カモガヤ
Ory s 7
イネ
Phl p 7
オオアワガエリ
Zea m 7
トウモロコシ
Amb a 9
ブタクサ
Art v 5
ヨモギ
参考:http://www.allergome.org より引用、改変
5. Aspartic Protease
真菌類、ゴキブリの Aspartic Protease がアレルゲンとして多数報告されています。植物では、スギの Cry j AP の他に
レタス(Lac s AP)、アーモンド(Pru du AP)、ポテト(Sola t 2)が Aspartic Protease として報告されています
(http://www.allergome.org)。
6. Chitinase
ラテックス-果実症候群の原因のひとつとしてキチナーゼがしられ、ラテックス(Hev b11)とバナナ、クリ、アボカドなど
の交差性に関与します。多くの果実からアレルゲンとして同定されています。その他にチリダニ類からも報告されてい
ます。
Act d chitinase
キウィ
Car p chitinase
パパイヤ
Cas s 5
クリ
Cof a 1
コーヒー豆
Man i chitinase
マンゴ
Mus a 2
バナナ
Pas e chitinase
パッションフルーツ
Pers a 1
アボカド
Sola l chitinase
トマト
Vit v 5
ブドウ
参考:http://www.allergome.org より引用、改変
7. Serine Protease
種々の昆虫類、ダニ類、真菌類のアレルゲンとして知られています。植物では、スギ花粉の他にゴムの木(Hev b 15)、
大麦(Hor v 39)、小麦(Tri a 39)、ポテト(Sola t 4)、マスクメロン(Cuc m 1)などの Serine Protease が報告されてい
ます。スギの Serine Protease とマスクメロンの交差性の可能性が抑制試験で示されています
10)
。
8. Isoflavone Reductase(IFR)
IFR はその酵素活性により植物タンパク、phenylcoumaran benzylic ether reductase(PCBER)ファミリーに属します。
また、生体防御タンパクのひとつで、ストレスにより植物が産生します。IFR は、リンゴ、ナシ、オレンジ、マンゴ、ライチ
などでも認められます
11)
。
スギの IFR は、マツの本コンポーネントと高い相同性(73%)が認められ、その他、大豆(相同性 62%)、ポテト(60%)
の IFR とも構造が似ています
ると報告されています
13)
12)
。シラカンバ花粉 IFR である Bet v 6 も種々の植物の IFR と 56-80%の相同性があ
。
スギ花粉症患者の 76%に IFR に対する特異的 IgE が検出されたという報告もあります
12)
。
9. Lipid Transfer Protein(LTP)
LTP は、地中海地方、すなわちイタリア、スペイン、南フランスにおける果実アレルギーの原因として良く知られていま
す。LTP は加熱および消化にも耐性でモモなどの全身症状に関与することが知られています
14)
。多くの果実類、花粉
類由来の LTP が報告されています。アリゾナヒノキ花粉とモモの交差性に LTP が関与していると報告もあります
日本では LTP 感作例は多くないと言われています
16)
15)
。
。
以上のようにスギ花粉においてもヒノキ科花粉のみならずイネ科(カモガヤ、オオアワガエリなど)やキク科(ブタクサ、
ヨモギなど)、カバノキ科の花粉との交差性も考えられ、さらに、 Thaumatin-like protein や Serine protease、
Chitinase、IFR、LTP などによる食物との交差性の可能性もあり、今後の検討でこれらが明らかになることが期待され
ています。
文献
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2. Aalberse RC, Akkerdaas J, van Ree R. Cross-reactivity of IgE antibodies to allergens. Allergy 2001; 56:
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Masuda K, Kurata K, Sakaguchi M. Isolation and characterization of native Cry j 3 from Japanese cedar
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polluted environment. Allergy 2004; 59: 485-90.
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6. Palacin A, Rivas LA, Gomez-Casado C, Aguirre J, Tordesillas L, Bartra J, Blanco C, Carrillo T,
Cuesta-Harranz J, Bonny JAC, Flores E, Garcia-Alvares-Eire MG, Garcia-Nunez I, Fernandez FJ, Gamboa
P, Munoz R, Sanchez-Monge R, Torres M, Losada SV, Villaba M, Vega F, Parro V, Blanca M, Salcedo G,
Diaz-Perales A. The involvement of thaumatin-like proteins in plant food cross-reactivity: A multicenter
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8. Tinghiro R, Twardosz A, Barletta B, Puggioni EM, Iacovacci P, Butteroni C, Affemi C, Mari A, Hayek B, Di
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9. Valenta R, Lidholm J, Niederberger V, Hayaek B, Kraft D, Gronlund H. The recombinant allergen-based
concept of component-resolved diagnostics and immunotherapy (CRD and CRIT). Clin Exp Allergy 1999;
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10. Ragaa A, Ibrahim N, Kawamoto S, Mizuno K, Shimada Y, Rikimaru S, Onishi N, Hashimoto K, Aki T,
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11. Karamloo F, Schmitz N, Scheurer S, Foetisch K, Hoffmann A, Haustein D, Vieths S. Molecular cloning and
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12. Kawamoto S, Fujimura T, Nishida M, Tanaka T, Aki T, Masubuchi M, Hayashi T, Suzuki O, Shigeta S, Ono
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13. Petrucco S, Bolchi A, Foroni C, Percudani R, Rossi GL, Ottonello S. A maize gene encoding an NADPH
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14. Asero R, Amato S, Alfieri B, Folloni S, Mistrello G. Rice: Another potential cause of food allergy in patients
sensitized to lipid transfer protein. Int Arch Allergy Immunol 2007; 143: 69-74
15. Sanchez-Lopez J, Asturias JA, Enrique E, Suarez-Cervera M, Bartra J. Cupressus arizonica pollen: A new
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16. Inomata N, Okazaki F, Moriyama T, Nomura Y, Yamaguchi Y, Honjoh T, Narita H, Aihara M. Identification of
peamaclein as a marker allergen related to systemic reactions in peach allergy. Ann Allergy Asthma
Immunol 2014; 112: 175-7.
監修)福冨 友馬 先生
国立病院機構相模原病院 臨床研究センター
△ 特異的 IgE 検査:-特異的 IgE 検査の信頼性とは-▽
臨床検査は患者様治療の出発点となる診断に大きな影響を与えるもので、検査結果は高い信頼性を備えている必
要があります。
では、信頼性とはなんでしょうか?「国際的に、あるいは広く一般に受け入れられている基準、規格をみたした検査
法で得られた検査結果であること」、は臨床検査結果の信頼性を示す一つの要因と言えます。実際に、多くの病院臨
床検査室や検査センターには、国際規格である ISO15189 認証を取得する動きが広まっています。
ISO15189 は、一般には臨床検査の国際規格と理解されていることも少なくありませんが、正しくは臨床検査室認
定の基準(臨床検査室―品質と能力に関する特定要求事項)であり、「品質マネジメントシステムに対する要求事項」
1)
と「技術的要求事項」の大きな 2 要素で構成されています 。臨床検査に使用される試薬、機器の性能は ISO15189
要求事項の「技術的要求事項」に関係する事項であり、一定の手順にしたがってその性能を評価することが求められ
ています。
実際には個別の臨床検査室で、自施設が採用している、または採用しようとする検査試薬、機器の性能を十二分
に評価することは必ずしも容易ではありません。最近、ISO151589 の要求にそった内容で、フランスの 25 の臨床検
査室が共同でイムノキャップの性能評価を行い、イムノキャップが ISO151589 要求を満たす定量的な特異的 IgE 検
査キットであること、またこの検査では対象アレルゲンが多岐に渡っていても、アレルゲン特異的 IgE という一つの検
査として評価、対応することが妥当であるとする論文が Allergy(欧州免疫アレルギー学会誌)に掲載されましたので、
2)
以下に概略をご紹介します 。
The importance of EN ISO 15189 accreditation of allergen-specific IgE determination for reliable in vitro
allergy diagnosis.
-
Accreditation of allergen-specific serum IgE assays –
Lambert C, Sarrat A, Bienvenu F, et al, Allergy 2014, 70, 180-186
なお、表題の EN ISO は ISO と同義で、もともと欧州域内の基準として運用されていたものをベースに ISO 基準が
設定されたことによります。
1. 施設内再現性
同一施設における再現性は、各施設で同一サンプルを 10 重測定したときのバラツキを、24 種のアレルゲン
で評価しています。各サンプルの特異的 IgE 抗体価(10 重測定平均値)は 0.18UA/mL から 69.5UA/mL の範
囲で、変動係数(CV)は 1.10%-10.28%でした(平均抗体価は 0.17UA/mL;t9 オリーブ-69.5UA/mL;f1 卵
白)。ただし、CV=10.28%となったのは複数食物アレルゲンを固相化したマルチアレルゲンでの成績で、個別
アレルゲンでの CV は最も大きいもので 8.40%(i3 スズメバチ, 平均抗体価 3.9UA/mL)でした。
CV 評価の基準として CLSI(米国臨床検査標準委員会)ガイドラインは、自動分析による血液由来成分の場
合、CV=10%が上限値であるとしており 3)、この論文でのイムノキャップ評価結果は、24 アレルゲンすべてがこ
れを満たすものだったと言えます。
2. 施設間再現性
各施設内で 20 重または 10 重測定して得られた全施設からの CV を平均して施設間を評価するとともに、各
施設において 6 か月間の間に最低 20 回以上の測定をして得られた CV を平均して施設間での再現性を評価
しています。
後者評価では評価期間が 6 か月間と長期なため、全般に CV が大き目になっていますが、それでも最大の
CV は m3 アルテルナリアの 9.50%で、十分と言える再現性能だったとしています。
3. 正確性
正確性については、既存の外部精度管理プログラムの結果として公表されている結果をレビューすることで
評価しており、対象としてファディア社が提供するプログラムである Quality Club と、イギリス国家外部精度管
理機関(UK NEQAS)が提供しているプログラムを選択しています。
前者では、400 以上の施設が参加しており、評価対象となったいずれのアレルゲンにおいても CV は 10%未
満、外れ値(明らかな理由説明の可能な異常値)は2測定値のみで、後者においても 150 以上の参加による結
果で、一部 CV が 10%以上となるアレルゲンもあったものの全般として Quality Club での結果と同様であるこ
とを確認しています。
表 1.ファディア社実施:世界における外部精度管理結果(ファディア社内資料より)
施
設
数
f1 卵白
N=469
平均値: 2.86UA/mL
標準偏差:0.26UA/mL
変動係数:8.95%
特異的 IgE 抗体価 UA/mL
施
設
数
d1 コナヒョウヒダニ
N=497
平均値: 31.5UA/mL
標準偏差:2.93UA/mL
変動係数:9.28%
特異的 IgE 抗体価 UA/mL
なお、イムノキャップによる特異的 IgE 測定値の正確さは、キメラ抗体を利用した検討結果に基づき、特異的 IgE 測定
に関する CLSI ガイドライン(I/LA20-A2)においても高く評価されています
3)4)5)
。
1)
ISO15189 序文には次の一文があるそうです 。
「臨床検査室のサービスは、患者診療にとって不可欠であり、すべての患者とその診療に責任を持つ臨床医のニ
ーズを満たすために利用できなければならない。これらサービスには、検査依頼のアレンジ、患者の準備、患者の識
別、一次サンプルの採取、搬送、保存、一次サンプルの処理と検査、その後に続く妥当性の確認、結果の解釈、報告、
及びアドバイスサービス、並びに検査業務の安全性と倫理への配慮が含まれる。」
イムノキャップは、診療ガイドラインにおいても臨床エビデンスが充実した特異的 IgE 検査であるとされています
6)7)
。
優れた基礎性能と豊富な臨床エビデンスの蓄積があるイムノキャップ特異的 IgE を、アレルギー診療の質向上にお役
立てください。
1) 特集「ISO15189 シリーズ 総集編」,国立病院臨床検査技師協会会報・別冊, 2013 年 7 月
2) Lambert C, Sarrat A, Bienvenu F, et al ; The importance of EN ISO 15189 accreditation of
allergen-specific IgE determination for reliable in vitro allergy diagnosis., Allergy 2014, 70, 180-186
3) Matsson P, Hamilton RG, Esch RE, et al ; The importance of EN ISO 15189 accreditation of
allergen-specific IgE determination for reliable in vitro allergy diagnosis. Cinical and Laboratory
Standards Institute document I/LA20-A2, 2009
4) Wood RA, Segal N, Ahlstedt S, et al;Accuracy of IgE antibody laboratory results. Ann Allergy Asthma
Immunol, 2007, 99, 34-41
5) Szecsi Pal B, Stender S.;Comparison of immunoglobrin E measurements on Immulite and ImmunoCAP
in samples consisting of allergen-specific mouse-human chimeric monoclonal antibodies towords
allergen extracts and four recombinant allergnes. Int Arch Allergy Immunol, 2013, 162, 131-134
6) 食物アレルギー診療ガイドライン 2012, 協和企画
7) Guidelines for the Diagnosis and Management of Food Allergy in the United States: Report of the
NIAID-Sponsored Expert Panel, JACI, 2010. 126, S1-S58
アレルゲンコンポーネント特異的 IgE の受託測定サービス「アッセイサポート」を実施しております。詳しくはこちらをご
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