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大起産業コモディティ週報 (金市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/02/27(金)
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【金】 ギリシャ不安後退でダウントレンド確認も、決め手は乏しい
<戻り売り優勢だが・・・>
COMEX金先物相場は、1オンス=1,200ドルの節目を挟
んで揉み合う展開に。ギリシャ債務問題が一応の収束
に向かう中、安全資産としての退避ニーズが後退して
いることが、上値を強力に圧迫している。ただ、旧正
月明けの中国現物買いが下値を支える中、1,200ドル
の節目を完全に下抜くにも至っていない。
<ギリシャ問題というサポート要因を喪失>
ギリシャ債務問題に関するユーログループの支援は、
2月末の期限を4ヶ月延長することで合意された。ギリ
シャ側が選挙公約だった貧困対策を拡充する一方で、
滞納税の徴収や脱税の取り締まりを強化することで、
財政再建策には影響を与えないことを宣言したことで、
支援延長を引き出すことに成功している。あくまでも
問題の先送りに過ぎないが、少なくともギリシャ発で
欧州の金融経済が大きな混乱状況に陥る展開が回避さ
れる中、金市場に資金を留めておく必要性が薄れてい
る。ドル相場やCRB商品指数などと比較すると、金価
格は依然として割高感の強い価格水準にあるため、今
後も戻り売り対応が基本となろう。現在のドル相場の
水準からは、1,150ドル台を割り込むことも十分に正
当化できると考えている。
<利上げ織り込みペースの加速には失敗>
ただ、2月24~25日に行われたイエレン米連邦準備制
度理事会(FRB)議長の議会証言で、今後の利上げ着
手について、従来よりも後退した発言が目立ったこと
が、金価格のダウントレンドに対して一定のブレーキ
COMEX金先物 中心限月継足
1,350
を掛けよう。同議長は従来、フォワードガインダスの
「辛抱強く」の文言が修正されれば、その後2~3回の
会合で利上げが着手されるとの見方を示していた。し
かし、今回は文言修正後も低金利政策が継続される可
能性を指摘しており、利上げに対するスタンスが一歩
後退したと評価せざるを得ない状況になっている。イ
ンフレ率低下が一時的といった金融緩和解除を支持す
る発言も見られたが、その一方で利上げ着手を急ぎ過
ぎるリスクについても言及があり、結局は今後の金融
政策運営にフリーハンドを確保しておきたいとの意向
ばかりが強く印象付けられる証言内容に留まった。
<戻り局面は売り場との見方を維持>
改めて金融緩和策を拡充するといった議論にはならな
いため、金相場の戻り売り歩調そのものには変化がな
いと考えている。金上場投資信託(ETF)市場に対す
る資金流入も確認できず、改めて相場を押し上げてい
くようなテーマを設定することは難しい。引き続き現
物買いやドル反落などで買われる場面がみられれば、
売り場になる見通し。3月6日の2月米雇用統計を中心
に注目度の高い指標発表が続くため、これらが早期利
上げ論を支持する内容になれば、下落ペースが加速す
る可能性も十分にあろう。1,200ドルの節目は完全に
下抜く方向でみている。ただ、オシレーターで短期的
な下げ過ぎ感が警告されていることには要注意。また、
2月28日のインド予算編成では、10%の輸入関税が6~
8%まで引き下げられる可能性が指摘されている。実際
に減税が決定されると、短期現物買いが膨らむリスク
があることも認識しておきたい。
5,200
東京金先物 先限継足
5,000
1,300
4,800
1,250
4,600
1,200
4,400
1,150
4,200
1,100
14/11
14/12
15/01
15/02
4,000
14/11
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14/12
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本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき
作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断
で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。
‐1‐
大起産業コモディティ週報 (白金市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/02/27(金)
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【白金】 金価格連動で下値切り下げ、白金需給は材料視されず
<戻り売り優勢の地合が続く>
NYMEX白金先物相場は、1オンス=1,170ドル水準まで
値下がりする展開に。価格連動性の強い金相場の上値
が重い展開が続く中、白金相場も戻り売り優勢の展開
が続いている。白金需給に関して特段の新規材料が見
当たらない状況が続く中、金価格との連動性が最も重
視された相場展開が維持されている。
何か発電トラブルが生じれば今後も停電拡大の可能性
があると警告している。ただ、現時点では鉱山操業へ
の影響が拡大するような動きは確認できず、白金相場
の関心も高まっていない。何か鉱山操業トラブルが確
認できない限り、潜在的な買い材料との評価に留めて
おけば十分だろう。3月も電力需給の逼迫状態は続く
ため、今後も注意は必要である。
<金価格と完全な連動相場>
金価格と白金価格の相関係数(+1~-1の間で両係数の
同感度を示す)は+0.9を超えた状態にあり、事実上は
同一の値動きと考えても問題がない状況になっている。
足元では、金相場を売り込む動きに一定のブレーキが
掛かっているが、金価格の戻り売り基調そのものに修
正を迫る動きが見られない限り、白金相場のみが底入
れするシナリオを描くのは難しい。ギリシャ債務問題
の先送りに成功する中、投機マネーは改めてリスク選
好性を強めている。本来であれば、「白金>金」のパ
ワーバランスになる所だが、足元では逆に「金>白
金」の動きが加速していることからも、白金需給に対
する関心の低さが窺える。
<インプラッツは価格低迷を前提とした改革へ>
白金生産大手インパラ・プラチナ(インプラッツ)
は、少なくとも2016年下期までは膨大な地上在庫が白
金相場の低迷を促すとの見方を背景に、今後2年間で
設備投資を35億ランド(約366億円)削減する計画を
発表した。白金売却価格の回復が見込めないことで、
鉱区売却やシャフト閉鎖などを進めて、収益環境の改
善を目指すことになる。これは、「価格低下→生産調
整」の動きが白金相場の下値不安を後退させることを
意味するが、まだこうした動きは始まったばかりの段
階であり、生産コスト論から白金相場の下げ止まりを
促すのは、なお困難な状況と評価している。
<金価格連動で下値追いか>
このまま金相場の戻り売り歩調が維持されれば、白金
相場は1,150ドルの節目を完全に下抜く方向性となろ
う。1,100ドル台前半ではコスト論が一定の下値サ
ポート要因になると考えているが、まだ白金需給を手
掛かりに安値是正を進める動きは見られない。素直
に、トレンドフォローで一段安を狙っていきたい。
<南ア情勢に変化なし>
南アフリカでは電力需給の逼迫状況が続いているもの
の、白金供給のリスクプレミアムを織り込むような動
きは見られない。今週は計画停電の時間延長や拡大と
いった動きが鈍く、2月上旬との比較では電力需給環
境がやや改善していることが窺える状況にある。国営
電力会社Eskomは電力供給不足の警告を続けており、
NYMEX白金先物 中心限月継足
5,200
1,300
東京白金先物 先限継足
5,000
1,250
4,800
1,200
4,600
1,150
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1,100
14/11
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15/03
14/12
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本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき
作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断
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‐2‐
大起産業コモディティ週報 (原油市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/02/27(金)
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【原油】 強弱感交錯で決め手欠く、押し目買いと戻り売りが均衡
<50ドル水準での持ち合い継続>
NYMEX原油先物相場は、1バレル=50ドルの節目を挟ん
で揉み合う展開が続いてる。米石油リグ稼動数の急激
な減少がシェールオイルの増産体制に大きな影響を及
ぼしていないことが露呈する中、原油相場の上値は重
くなっている。石油リグ数の減少に反応した買いは時
期尚早との見方が強まる中、改めて50ドルの節目割れ
を打診する展開に。ただ、いずれにしても底値が近づ
いているとの見方も強く、安値ではショートカバー
(買い戻し)が下値を支え、明確な方向性は打ち出せ
ていない。
の産油量増加がそのインパクトを相殺していることが
周知される中、マーケットの反応は限定されている。
このままリグの稼動停止が続けば、いずれかの時点で
増産が止まり、減産が開始されるのは間違いない。た
だ、その時期はマーケットが想定していたよりも遥か
先である可能性が高まる中、原油相場の反発力は限定
された状態が続く見通し。
<サウジは需要拡大を報告>
こうした中、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源
相が、1)石油需要の拡大を報告すると同時に、2)石
油市場は安定してきているとの見方を示したことが、
原油相場の下値不安を後退させている。具体的な数値
などの提示は行われなかったため、信頼性の高い発言
かは疑問の声もある。ただ、サウジアラビア当局者か
らこのような発言が出てきた以上は、「原油相場急落
→需要拡大」のフローも意識されざるを得ず、改めて
売り込むハードルが上がったことは否めない。
<米原油在庫の急増傾向が続く>
米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(2月20日
時点)は前週比+850万バレルの4億3,410万バレルとな
り、急増トレンドを維持した。製油所ストの影響で製
油所稼働率が低下した影響もあるが、米国内の増産傾
向も維持されており、少なくとも米国においては過剰
供給体制が崩れていないことが再確認できる状況にあ
る。クッシング地区の原油在庫は前週比+240万バレル
の4,870万バレルとなり、5,000万バレルの大台乗せも
視界に入る状況になっている。今後は季節要因からも
製油所向け原油需要は抑制され易く、在庫増加圧力が
原油相場の上値を圧迫する展開は維持される見通し。
<期先の下げ渋りを解消できるか>
短期需給の緩和状態が維持される中、依然としてボト
ム確認には慎重スタンスが求められると考えている。
改めて40ドル割れを試しても違和感のない程度の弱さ
は維持されていると考えおり、戻り売り方針を維持し
たい。ただ、今週は期先限月が下げ渋っており、当先
の順ザヤ拡大の動きに過熱感が強く、改めて売り込む
には期先限月の地合悪化が必要条件になることに注意
が必要。売り上がってまでリスクテイクを拡大できる
局面は終わっていることも再確認したい。
<米石油リグ数の減少は続くも>
米石油リグ稼動数の減少傾向は維持されており、直近
の2月20日時点も前週比-37基の1,019基と、11週連続
で前週比マイナスとなっている。ただ、1リグ当たり
100
NYMEX原油先物 中心限月継足
70,000
80
60,000
60
50,000
40
40,000
20
14/11
14/12
15/01
15/02
30,000
14/11
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東京原油先物 先限継足
14/12
15/01
15/02
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大起産業コモディティ週報 (石油製品/天然ガス市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/02/27(金)
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【石油製品】 原油の下げ再開待ち
【天然ガス】 需給逼迫は発生しない
<店頭価格は2週連続の上昇>
東京ガソリン先物相場は、1kl=6万円の節目を挟んで
揉み合う展開に。海外原油と円相場がともに明確な方
向性を打ち出せない中、ガソリン相場も方向性を欠い
ている。2月19日の6万1,680円で上げ一服となるも、
改めて売り込むような動きまではみられず、6万円の
節目水準に居心地の良さが感じられている模様。石油
連盟発表の週末在庫(2月15~21日)は、前週比-1.7%
の171万3,217キロリットル。推定出荷量は-4.8%の94
万5,239キロリットルとやや伸び悩んだが、原油処理
量の減少もあって在庫の取り崩しが進んでいる。引き
続き原油調達コスト環境と連動した値動きが続く見通
しであり、海外原油相場の上値の重さを考慮すると、
やや戻り売り優勢の地合が想定される。円相場が急落
するような動きが見られないのであれば、6万円の節
目水準からは下振れするリスクが高いと考えている。
<3ドル台維持に失敗>
天然ガス先物相場は、2月23日の1mmBtu=3.045ドルを
ピークに、2.7ドル水準まで急落する展開に。北米で
は寒波が継続しており、米国内では天然ガス在庫の取
り崩しが進んでいる。ただ、在庫の逼迫化は避けられ
るとの見方が強いことに加えて、米西部では徐々に気
温上昇傾向が強まる中、3ドル台回復から一段高を試
すことに失敗している。
<在庫取り崩しは続くも>
米エネルギー情報局(EIA)発表の天然ガス在庫(2月
20日)は、前週比-2,190億立方フィートの1兆9,380億
立方フィートとなった。寒波の影響で家庭・商業施設
の需要が前週比+1.6%と堅調に推移しており、需要全
体でも前週比+1.0%に達している。ただ、在庫は前年
同期を42.3%上回っていることに加えて、例年だと3月
中には在庫取り崩し傾向が一服することもあり、今季
の天然ガス供給に大きな問題は生じないとの楽観ムー
ドが優勢になっている。まだ東部地区は厳しい寒波に
見舞われていることで、目先は在庫の取り崩しが進み
易い状況に変化は見られない。ただ、既に西部地区で
は暖房用エネルギー需要がピークを確認した可能性が
高く、これから余程の異常気象に見舞われない限りは、
平年並みの在庫水準でシーズンオフを迎えることがで
きる見通しが立ち始めている。引き続き原油相場の上
値が重いこともネガティブであり、緩やかな戻り売り
歩調が維持される可能性が高い。2月6日の直近安値
(2.570ドル)が当面のターゲットになろう。
<在庫の取り崩しは続くも>
東京灯油先物相場は、1kl=5万5,000~6万円のレンジ
で揉み合う展開に。ガソリン相場同様に、原油調達コ
スト環境に動きが見られなかったことで、膠着化し
た。石油連盟発表の週末在庫は前週比-10.9%の161万
8,057キロリットル、推定出荷量は+7.3%の68万0,351
キロリットル。冬型の天候が需要拡大と在庫の取り崩
しを促すも、当先のサヤバランスに目立った変化はな
く、期近限月主導で買い進むような動きは確認できな
い。引き続き、原油調達コスト環境を重視した相場展
開が想定され、ガソリン相場と同様の投資スタンスで
問題ないと考えている。
東京ガソリン/灯油先物 先限継足
80,000
5.00
NYMEX天然ガス先物 中心限月継足
4.50
ガソリン
灯油
70,000
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
4.00
3.50
60,000
3.00
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2.50
40,000
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2.00
14/11
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‐4‐
大起産業コモディティ週報 (ゴム市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/02/27(金)
TEL:052-201-6311(代表)
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大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
【ゴム】 リスクオンの地合で緩やかな上昇に
<一時軟化するも、切り返す>
東京ゴム先物相場は、1kg=210~220円水準を中心に
揉み合う展開に。中国の旧正月入りを受けて調整売り
が膨らんだが、そこから本格的に売り込むような動き
には発展しなかった。週後半は株高を背景に押し目を
買い拾う動きもみられ、結果的に220円水準での取引
に回帰している。
-シアで構成される国際ゴム公社(IRCo)を中心に、
主要天然ゴム生産国が天然ゴム価格の押し上げについ
ての協議が始まった。27日には合意内容が発表される
予定だが、本稿執筆時点では減産期中の大量売却抑制
や、昨年に合意した輸出規制の具体化といった市況対
策が、検討対象になっている模様。ここで改めて供給
サイドから需給緩和状態を是正する動きがみられれ
ば、天然ゴム市況に対しては一定のサポート要因にな
ろう。ただ、現行価格水準では全ての生産国が強い危
機感を有している訳ではなく、合意内容を履行に移す
ことができるのかは大きな不確実性が残る。相場に対
しては間違いなくネガティブな動きではないが、生産
国主導でゴム相場を大きく押し上げるハードルは高い
と考えている。
<中国旧正月前後の乱高下>
中国勢が旧正月入りする中、現物買いの乏しさから調
整売りが膨らむ場面も見られた。これまで、旧正月前
の在庫手当の動きを手掛かりに地合を引き締めていた
だけに、その反動が調整圧力につながった形になって
いる。ただ、あくまでも旧正月という一時的なカレン
ダー要因に基づく混乱のため、旧正月明け後は押し目
を買い拾う動きが強まり、概ね前週の値位置まで回帰
している。中国に関しては、2月25日に2月HSBC製造業
PMIが発表されたが、前月の49.7から50.1まで上振れ
した。活動の拡大・縮小の分岐点を示す50ポイントを
上回ったことは、天然ゴム需給に対して明らかなポジ
ティブ材料である。ただ、これによって天然ゴム需要
見通し大きく引き上げるまでの必要性は乏しく、下値
サポート要因程度の評価に留めておけば十分だろう。
3月1~4日にかけては中国で製造業・非製造業PMIの発
表が続くため、これらを手掛かりに改めて買いが膨ら
むか否かに注目したい。
<緩やかな上昇地合を継続か>
安値ではタイヤメーカーなど需要家の買いが入り易い
一方、現行の生産体制を維持するのが困難な状況とな
る中、ダウンサイドリスクは限定的とみている。た
だ、中国は依然として過剰在庫を抱えており、生産国
がサプライズ的な市況対策を打ち出さない限り、大き
な上昇相場に発展することも難しい。リスクオンの地
合が続く中では円安圧力が強まり易く、東京ゴム相場
に関しては引き続きマイルドな上昇相場を想定してい
る。円安ペースの加速がみられれば、年初来高値
223.90円突破から230円水準にトライする流れになる
見通し。その意味では、3月6日発表の米雇用統計に向
けて、米早期利上げ観測を盛り上げていくことができ
るか否かが、ゴム相場にとっても重要だろう。
<生産国の市況対策には期待薄>
こうした中、2月26日にはタイ、インドネシア、マレ
上海ゴム先物 中心限月継足
15,000
230
東京ゴム先物 先限継足
220
14,000
210
13,000
200
12,000
190
11,000
14/11
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15/01
15/02
180
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大起産業コモディティ週報 (トウモロコシ市場)
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【トウモロコシ】 需要堅調も、膠着相場に変化みられず
<膠着気味の展開が続く>
CBOTトウモロコシ先物相場は、1Bu=380~390セント
水準を中心に揉み合う展開が続いている。良好な需要
環境を背景に上値を切り上げる場面も見られたが、需
要に代替性のある小麦相場が年初来安値を更新したこ
とで、高値では利食い売りが上値を圧迫している。3
月限から5月限へのポジション移行の動きが強まる
中、総じてポジション調整中心の展開になった。
して買われる場面がみられるようであれば、戻り売り
の好機になると考えている。もっとも、300セント台
中盤が近づけば農家の在庫売却の動きが鈍化し易く、
下値不安も大きくないだろう。2015/16年度の天候相
場が始まるまでは、現行価格水準で方向性に乏しい展
開が続く可能性が高いと考えている。
<15/16年度は在庫取り崩しか?>
こうした中、2月19~20日にはUSDAのアウトルック・
フォーラム(展望会議)が開催された。この中で、
15/16年度の米国産トウモロコシ期末在庫見通しは
16.87億Bu(在庫率は12.3%)とされ、14/15年度の
18.27億Bu(同13.4%)からは下振れするとの見通しが
示された。総需要が136.45億Buから137.60億Buまで
1.15億Bu増加することに加えて、需給緩和で作付面積
が減少する中、過剰在庫の取り崩しが行われるとの見
方になっている。あくまでもイールドが14/15年度の
171.0Bu/エーカーから166.8Buまで低下することを前
提としたもので不確実性の大きい数値だが、トレンド
イールドが実現した場合には、15/16年度には在庫の
取り崩しが行われる計算になる。それでも過剰在庫環
境に変化はなく、USDAの農場平均価格見通しは14/15
年度の365セントから350セントまで小幅低下するとの
慎重スタンスになっている。展望会議の数値には、売
り買い双方に決定打となるものが見当たらず、作付意
向面積の発表までは、大きく仕掛けづらい地合が続き
易い。やや押し目買い優勢の地合を想定しているが、
ボックス相場が継続される見通し。
<畜牛数は小幅増加傾向>
米農務省(USDA)発表の畜牛頭数(2月1日時点)は、
前月の1,062万6,000頭から1,071万1,000頭まで増加し
た。前年同月の1,067万8,000頭は0.3%上回っており、
食肉生産の動きが緩やかなペースで拡大していること
が再確認できる状況にある。北米では寒波の影響で飼
料需要が上振れし易い一方、2月19日の週の週間輸出
検証高は90万0,965トン(前週は72万4,900トン)と海
外向け需要も堅調であり、短期需給に対しては需要サ
イドから引き締め圧力が強まり易い環境が維持されて
いる。こうした需要環境が維持されている間は、瞬間
的に400セントの節目を試す可能性も残ろう。
<現物需給からは動きづらい>
ただ、現物ベーシスに目立った動きが見られないよう
に、ここから本格的な上昇トレンドを形成することが
難しい状況に変化は見られない。潤沢な在庫環境が維
持される中、需要家が400セントの節目を大きく上回
るような値位置を容認する必要性は乏しく、上昇圧力
の限界は近いと考えている。輸出拡大統計などに反応
CBOTトウモロコシ先物 中心限月継足
29,000
425
東京トウモロコシ先物 先限継足
28,000
400
27,000
26,000
375
25,000
350
14/11
14/12
15/01
15/02
24,000
14/11
15/03
14/12
15/01
15/02
15/03
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大起産業コモディティ週報 (大豆市場)
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大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
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【大豆】 ブラジルのトラックストで、踏み上げ気味の値動きに
<1,000セントの節目突破>
CBOT大豆先物相場は、1Bu=1,000セントの節目を上抜
く展開に。ブラジルでトラック業界のストライキが拡
大する中、同国からの供給不安を織り込む形で1,000
セントの節目をブレイクしている。足元で総じて良好
な輸出・圧砕環境が維持されていることも支援材料
に。高値警戒感もあるが、1,000セント手前で売り込
んだ向きのショートカバー(買い戻し)が相場を押し
上げている。
に過ぎないため、過去のパターンだとこれで大豆相場
が本格的な上昇トレンドを形成する可能性は低い。た
だ、大豆需給に関する新規材料が乏しい中、この種の
動きは過大評価されがちであるため注意が必要。
<スト終結後は1,000セント割れへ>
米農務省(USDA)発表の週間輸出検証高(2月19日の
週)は96万1,749トンとなり、前週の133万6,578トン
から下振れしたものの高水準を維持している。中国勢
の成約キャンセルの動きも一服しており、特に大きく
値下がりする必要性は見当たらない状況に。今後はブ
ラジル産の輸出拡大で米国産の輸出鈍化は必至と考え
ているが、実際の輸出減少傾向が確認できるまでは、
下値不安は限定されよう。スト終結後は再び1,000セ
ント台を割り込む方向でみているが、14/15年度需給
環境を手掛かりとした下値目処は950セント水準に留
まろう。
<ブラジルでトラック業界のスト拡大>
ブラジルでは2014/15年度産の収穫作業が順調に進行
しており、輸出圧力が強まり易い時期を迎えている。
しかし、この機会にトラック業界はディーゼル油の値
下げを要求してストに突入し、穀物輸送にも混乱が報
告されている。このストは18日にマトグロソ州で始
まったことが確認されており、当初はストの規模が小
さかったこともあり、マーケットの関心は低かった。
しかし、その後は10州で道路の封鎖が行われるなど、
ストの混乱が拡大していることが、大豆市場でもブラ
ジル産の出荷に対する懸念の声を強めている。既に穀
物輸出港では入庫が途絶え始めており、港湾在庫の輸
出が終わると、穀物輸出そのものがストップする可能
性も高い。ブラジルでは穀物輸送の70%がトラックを
介して輸送されていると言われ、スト終結までは大豆
市場でも投機買いが膨らみ易い地合が続く見通し。26
日には政府との調停が行われたが、未だスト終結には
確信が持てない状況が続いているため、瞬間的な上昇
圧力には注意が必要。あくまでも一時的な輸送の停滞
<展望会議は15/16年度の在庫増予想>
2月19~20日に開催されたUSDAアウトルック・フォー
ラム(展望会議)であるが、15/16年度の米国産期末
在庫見通しは4.30億Bu(在庫率は11.4%)とされ、
14/15年度の3.85億Bu(同10.4%)から更に在庫積み増
しが進むとの見通しになっている。期初在庫の急増を
受けて、生産量の減少と需要拡大を前提にしても、在
庫の積み増しが促されることになる。イールド次第で
簡単に見通しが変わってしまう数値だが、現段階では
15/16年度需給見通しを手掛かりに買いを入れる必要
性は見出せない。
CBOT大豆先物 中心限月継足
1,100
60,000
1,050
57,500
1,000
55,000
950
52,500
900
14/11
14/12
15/01
15/02
50,000
14/11
15/03
東京一般大豆先物 先限継足
14/12
15/01
15/02
15/03
本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき
作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断
で行うようお願い申し上げます。注意事項の詳細については、最終項をご参照下さい。
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大起産業コモディティ週報 (小麦/コメ市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/02/27(金)
【小麦】 自立反発消化で下落再開
【コメ】 農水相辞任の影響は小さい
<改めて500セント割れ>
CBOT小麦先物相場は、改めて1Bu=500セントの節目割
れを試す展開に。北米では寒波が継続しているが、エ
ジプトが米国産小麦29万トンの成約を行ったことで、
当面の買い材料出尽くしとの見方が上値を圧迫してい
る。
<膠着相場が続く>
関東産コメ先物相場は、1俵(60kg)=8,000円台中盤
でやや底固い展開に。需給面に特段の新規材料が見当
たらない中、ポジション調整中心の小動きに終始して
いる。小口の整理売買が中心であり、明確な方向性を
打ち出せていない。8,500円の節目に抵抗が見られる
も、逆に積極的に戻り売りを仕掛けるような必要性も
みられず、決め手に乏しい相場環境が維持されている。
<買い材料出尽くし>
米政府がエジプトに1億ドルの信用供与を行ったこと
で、従来からエジプトが米国産小麦の大規模調達を行
うとの観測が広がっていた。今週は実際にエジプトが
漸く買い付けに動いたが、これによって当面の買い材
料には出尽くし感が強まる中、逆に調整売りが上値を
圧迫する展開になっている。引き続き米国の寒波の影
響が警戒されるが、2月19~20日開催の米農務省
(USDA)アウトルック・フォーラム(展望会議)で
2015/16年度の米国産期末在庫が前年度の6.92億Bu
(在庫率は33.2%)から7.63億Bu(同34.6%)まで増加
するとの見通しが示されたこともあり、小麦相場を買
い進むのは困難な状況が続く見通し。足元では対ユー
ロでのドル高圧力が一服しているが、今後もドル高基
調に修正を迫るのは難しく、米国産小麦の価格競争環
境は厳しい状態が続く見通し。北米の天候不順で投機
買いが膨らむような場面が見られれば、引き続き売り
場になる可能性が高いと考えている。500セントの節
目は完全に下抜く方向性でみておきたい。年初来安値
更新もボトム確認は時期尚早であり、次は昨年9月の
安値466.25セントが試される見通し。
<新甫は横ばい>
2月23日には8月限が新甫発会したが、7月限に対して
ほぼフラット状態になっている。全体としては緩やか
な順ザヤ状態が維持されているが、期先限月に積極的
にプレミアムを加算する動きが生じている訳ではなく、
決め手に乏しい。需給緩和状態がピークを脱したこと
で押し目買い基調に転換しているが、需給がタイト化
している訳でもなく、戻り圧力は限定されることにな
る。引き続き大きな値動きは想定しづらく、調整売り
が膨らむ場面があれば、安値を買い拾う程度のスタン
スで十分だろう。なお、西川農林水産相が政治資金問
題で引責辞任し、林前農水相が後任となったが、コメ
相場に対する影響は確認できない。特にコメ政策の修
正は想定されておらず、政治的混乱の影響は限定的と
の見方が優勢。
CBOT小麦先物 中心限月継足
700
TEL:052-201-6311(代表)
[email protected]
大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
9,000
大阪 関東産コメ先物 先限継足
8,750
650
8,500
600
8,250
550
8,000
500
7,750
450
14/11
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15/01
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7,500
14/11
15/03
14/12
15/01
15/02
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大起産業コモディティ週報 (砂糖/コーヒー市場)
Daiki Commodity Weekly Report
2015/02/27(金)
【砂糖】 レアル安で下げ継続
【コーヒー】 安値更新局面が続く
<14セント割れを打診する>
ICE砂糖先物相場は、1ポンド=14セント水準まで下落
する展開に。ブラジル通貨レアル相場が対ドルで安値
を更新したことに加えて、国際砂糖機関(ISO)の需
給見通しが更に緩和方向に修正されたことが嫌気さ
れ、年初来安値を更新している。
<ダウントレンドを維持>
ICEコーヒー先物相場は、1ポンド=140セント水準ま
で値下がりする展開に。需給見通しに何か大きな修正
を迫るようなイベントが発生した訳ではないが、1)
ブラジル通貨レアル相場の軟化が続いていること、
2)これまでの支持線だった160セント割れでチャート
主導の売り圧力が強くなっていること、3)ブラジル
の生産地で降雨が観測されていることなどを手掛かり
に、急落地合を形成している。
<ISOは供給超過幅を引き上げ>
ブラジルでは石油会社ペトロブラスに対する汚職操作
の広がりを受けて、格付け会社ムーディーズが同社の
信用格付けをジャンク級に引き下げている。これを受
けて、レアル相場に対する下げ圧力が強くなってお
り、ブラジル産農産物はドル建てベースでの採算ライ
ンが大幅に切り下がっている。従来であれば14セント
割れの価格水準で砂糖生産を維持することは難しかっ
たが、レアル安の影響で少なくともドル建て砂糖相場
に関しては安値が正当化できる状況になっている。加
えて、ISOは2014/15年度の世界砂糖需給が62万トンの
供給過剰になるとの見通しを示し、昨年11月時点の
47.3万トンから供給超過量を引き上げている。引き続
き、インドの輸出奨励策の影響も警戒され、砂糖相場
のボトム確認にはなお慎重姿勢が求められる。14セン
ト水準が一応の支持線として機能しているが、このま
まレアル安傾向が維持されれば、更に下値を切り下げ
る可能性も想定しておく必要があろう。安値を売り込
んでいくような値位置ではないが、引き続き自立反発
局面では戻り売りの妙味があろう。
17
<レアル安のダメージ大>
対ドルでレアル相場が安値を更新する動きを見せる
中、ブラジル産に強く依存するコーヒー相場は強力な
下押し圧力に晒されている。2月だけでもレアル相場
は8%を超える急落となっており、その分だけドル建て
コーヒーの採算ラインは切り下がることになる。コー
ヒー需給が緩和状態にある訳ではないが、2月のブラ
ジル・コーヒー生産地では降雨が安定的に確認できる
状況にあるため、天候プレミアムを織り込む必要性も
見出せない。2月に限定すれば、例年の降水量を上
回っており、土壌水分不足がブラジル産コーヒー生産
にダメージを与えるとの見方は後退を余儀なくされて
いる。このままレアル安が継続することを前提にすれ
ば、ドル建てコーヒー相場はなお下値を切り下げるリ
スクが払拭できない。下げ過ぎ感から自立反発的な動
きも強まり易いが、引き続き戻り売り対応を基本にせ
ざるを得ないだろう。10セント単位で下値切り下げを
打診する展開が想定される。
ICE砂糖先物 中心限月継足
200
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ICEコーヒー先物 先限継足
180
15
160
.
14
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14/11
TEL:052-201-6311(代表)
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大起産業株式会社 情報調査室 室長 小菅 努
140
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注意事項
※本レポートは投資判断の参考となる情報提供を目的としたものです。弊社が信頼できると判断し
た情報源からの情報に基づき作成したものですが、情報の正確性、安全性を保証するものではあり
ません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断で行うようお願い申し上げます。※本レ
ポートは、執筆者の見解に基づき作成されたものであり、弊社の統一された見解ではありません。
※本レポートを使用することに生ずるいかなる種類の損失についても、筆者及び弊社は責任を負い
ません。※弊社の都合で、本レポートの全部または一部を予告なしに変更することがありますの
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委託者証拠金等の額に比べると高いものとなることがありえます。※商品先物取引は委託に際して
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りますが、最高額は、最低取引単位(1枚)当り最高200,000円です。但し、実際の取引金額は委託
者本証拠金の額の10倍から60倍という著しく大きな額になります。また委託者証拠金等は、その後
の相場の変動によって追加の預託が必要になることがありますので注意が必要です。但しその額
は、商品や相場の変動によって異なり、一様ではありません。※商品先物取引の委託には委託手数
料がかかります。その額は商品によって異なりますが、最高額は、最低取引単位(1枚)当り17,496
円です。※弊社の企業情報につきましては、弊社の本・支店及び日本商品先物取引協会の本・支
部・ホームページで閲覧できます。※本取引についてのご相談窓口 大起産業(株)取引相談室[名
古屋市]:0120-706030、日本商品先物取引協会相談センター[東京都]:03-3664-6243
【注】証拠金、手数料等の額は2014年7月1日現在のデータです。
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