「イスラム国」による 日本人拘束・殺害事件と 安倍首相の言動

後藤さんを追悼するサイレント行動に参加した
市民(2月1日/東京・官邸前)山本宗補提供
08年8月末のことでした。そのと
ました。翌 月2日、
︿建設放談﹀
の
・ 8 % で し た。 内 閣 支 持 率 は
価する﹂
﹁ある程度評価する﹂の合計
は
﹃自然と人間﹄編集部から﹁
﹃ イス
ク・ ド ク ト リ ン ﹄ の 書 評 を、 私 の
私がナオミ・クラインの﹃ショッ
ショック・ドクトリンは米国の過
記事を私のホームページに再録しま
ラ ム 国 ﹄人 質 事 件 と 安 倍 首 相 の 言
ホームページに書いたのは2008
激な政府を動かし、世界を荒廃させ
応を評価しているとの世論調査結果
きは翻訳書がまだ出ていませんでし
・2%で前回調査
︵1月 日︶
より
動﹂
を、
﹁ショック・ドクトリンの観
年9月6日と7日でした。ナオミ・
ました。ショック・ドクトリンは非
は、安倍首相を自信過剰にさせてい
した。このほか、﹃ショック・ドクト
点から﹂論ずるように求められまし
クラインの
﹃ショック・ドクトリン﹄
人道的な政治手法です。これを安倍
ます。危うさを感じます。
た。原書は入手できました。
た。編集部の慧眼に深く敬意を表し
の翻訳書が岩波書店から出版された
首相は真似ているのです。
・ 0 % で、 2 位 民 主 党 の
1・4%増加しました。自民党の支
ます。
のはそれから3年後の2011年9
2008年と2011年に私の
日の世論調査では、安倍首相の対応
リン﹄のことは、諸々のメディアに
カ ナ ダ の ジ ャ ー ナ リ ス ト、 ナ オ
月8日でした。翻訳書の解説を、私
ホームページで明らかにしたことで
を
﹁適切だった﹂
とするのは %、﹁わ
持率は
ミ・クライン著﹃ショック・ドクト
のホームページに書いたのは201
すが、ショック・ドクトリンとは
﹁惨
書きました。
リン﹄が出版されたのは2008年
1年 月 ∼ 日でした。同年 月
25
7月でした。私がこのナオミ・クラ
・
安倍首相 政治手法
60
54
11
%は安倍首相の日本人人質事件対
7・ 4 を 圧 倒 し て い ま す。 国 民 の
39
1日には
﹃日刊建設工業新聞﹄
のコラ
事便乗型資本主義=大惨事につけ込
からない﹂
が %、
﹁適切だったとは
37
2月9日夜に発表されたテレビ朝
60
インの書が出版され欧米で評判が高
11
「不幸というものは、
耐える力が弱いと見てとると、
そこに重くのしかかる」
(シェイクスピア)
思わない﹂が %でした。﹁適切だっ
29
んで実施される過激な市場原理主義
27
評論家
東日本国際大学客員教授
ンなどの自然災害、戦争、政変など
改革﹂のことです。津波、ハリケー
のです。
す。安倍首相の世論操作は成功した
た﹂がやや多いということになりま
ショック・ドクトリンを政治権力者
激な大改革のことです。このような
②
﹁償わせる﹂
発言、③中東訪問のタ
闘う周辺国への2億ドル支援﹂
発言、
になっているのは、①
﹁ ISILと
安倍首相の言動の中でとくに問題
が頻繁に使い始めています。安倍首
イミングが適切だったか否か、④イ
スラエル訪問の是非、などです。こ
のうち、とくに問題になっているの
が①と②です。
に向かっている﹂との見方が世界に
により、﹁安倍政権の日本は軍国主義
まいました。第二の
﹁償わせる﹂
発言
日本は
﹁イスラム国﹂
の敵にされてし
日本人人質事件に対する対応を﹁評
した世論調査によると、安倍政権の
共同通信社が2月6、7日に実施
み、この国民の混乱に乗じて政治権
ク を 与 え、茫 然 自 失 状 態 に 追 い 込
し、その危機によって国民にショッ
は、自 ら 仕 掛 け て 危 機 を つ く り 出
米共和党政権が実際に行ったこと
と﹁イスラム国﹂側は声明しました。
誘発し、
﹁日本は十字軍に加わった﹂
は、
﹁イスラム国﹂
側の激しい反発を
第一の﹁ISILと闘う⋮﹂発言
広がりました。﹁イスラム国﹂側は日
力の狙う﹁改革﹂を実行したのです。
対応 評価
本への敵愾心を燃え上がらせていま
﹁ショック療法﹂
ですが、
その
﹁ショッ
﹁相手が捻じ曲げている﹂
﹁相手がひ
すのです。自作自演です。
ク﹂は政治権力が意図的につくり出
﹁行き過ぎた﹂
との批判的意見もあり
のジョージ・ブッシュ大統領です。
政 治 家 が い ま す。一 人 は ア メ リ カ
このフリードマン的手法を使った
ます。いまのところ、安倍首相への
ブッシュ大統領はしてはならないイ
中東訪問のタイミングとイスラエ
因となっている
﹁イスラム国﹂
を生み
ラク戦争が、今日の世界の危機の原
ラク戦争を強行したのです。このイ
ル訪問の是非についても、好意派と
出したのです。
日本の政治家の中にもショック・
ショック・ドクトリンは、新自由
す。郵政民営化のときにショック・
家 が い ま し た。小 泉 純 一 郎 首 相 で
ドクトリンを真似して強行した政治
主義を推進したミルトン・フリード
ドクトリンが使われました。
これはフリードマンの言葉です。行
てしまう﹂
と言っています。しかし、
だったことを、政治的に不可避にし
対 案 を 提 案 し て、政 治 的 に 不 可 能
起これば、現在までの政策に対する
のみが真の変化をもたらす。危機が
己の政治的野望を貫こうとしている
に追い込み、政治権力者としての自
出したり、国民心理を茫然自失状態
ショックを与え、興奮状況をつくり
ま す。 安 倍 晋 三 首 相 で す。 国 民 に
争を惹き起こしました。もう一人い
内閣の野田佳彦前首相です。尖閣紛
ほかにもいます。野田佳彦民主党
動ではありません。フリードマンと
の手法です。フリードマンは﹁危機
マンが提唱した政治と経済政策推進
の関心が高いように見えます。
ころ、
﹁闘う﹂﹁償わせる﹂
発言の方へ
批判派に分かれています。いまのと
ようです。
好意派が批判派をやや上回っている
る 意 見 が あ る 反 面 で、安 倍 首 相 は
どすぎる﹂とする安倍首相を擁護す
てきがい
す。この安倍首相の発言について、
対
安倍首相 日本人人質事件
相もその一人です。
クと茫然自失から覚める前に行う過
の危機につけ込んで、人々がショッ
27 36
2
もりた・みのる 1932年、静岡県生まれ。政治評論家。東日本国際大学客員教授。日本評論社出版部長、
『経済セミナー』編集長を
経て現在。主な著書に『森田実 時代を斬る』
『独立国日本のために』
『森田実の言わねばならぬ名言123選』
『「橋下徹」ニヒリズムの研
究』
『森田実の一期一縁』など多数。
2015.3
3
10
森田 実
ム
︿森田実の建設放談﹀
に書評を書き
―ショック・ドクトリンの観点から
まっていることを知ったのは、20
「イスラム国」
による
日本人拘束・殺害事件と
安倍首相の言動