05 青森県 八戸市立城北小学校 5年 上野 夢子

平成 26 年度「土砂災害防止に関する絵画・作文」作文小学生の部 優秀賞(事務次官賞)
「土砂災害 ~大切な命~ 」
うえの
ゆめこ
青森県 八戸市立城北小学校 5年 上野 夢子
校庭に、強い雨が打ちつける。10 分もたたないうちに、校庭はみるみる川のようになり、水で地面はかくさ
れた。窓側の席に居る私には、その様子が見えた。回りの友達もみんなくもった窓を手でふき、外の様子を
見た。そんな時だった。教頭先生の声が放送で流れた。「各学年主任の先生は、至急職員室にお集まりく
ださい。」この放送で私は感じた。今、きん急事態が起きている事を。
バチバチバチン。雨が窓をたたきつける音は、一向に止まない。かえって、増すばかりだ。ざわめいてい
た教室のふんいきは一変し、しんみょうな顔になる人や、無言になる人が多くなってきた。
学年主任の先生が、担任の先生をろう下によんだ。深こくな顔で話している。話終わってすぐに先生は言
った。「このまま学校でお家の人が来るまで待機します。メール配信で、みなさんのお家の人に連絡がいき
ました。それまで心配しないで、待っていてください。」「お家の人早く来てくれるかな。」「私のお母さん、お
昼しかメール見れないから、学校からのメールに気づかないかもしれない。」次々と不安の声が上がる。私
も母が早くむかえに来てくれるか心配だった。母の職場から学校までには、馬べち川がある。馬べち川が
増水していないか気がかりだ。母が無事に学校にたどり着けるか考えただけでも頭が痛くなる。
このような出来事が起こったのは、9月 12 日の金曜日、3時 30 分ごろの事だった。
学校のわきの遊歩道は、川のように水がたまり、人が歩けるような状態ではなかった。みんな家の人がむ
かえに来るのを今か今かと待ちわびて、窓から外をのぞいていた。みんな家の人がいつむかえに来るか気
がかりなんだなと思った。「いったくさん、おじいちゃんがおむかえに来たよ。帰る準備して。」「よかった。や
っと帰れる。」「いったく、いいなあ。」「私も早く帰りたい・・・。」帰りの準備をしているいったくさんをうらやまし
そうに、みんなが見ていた。次に、もかさん、とうきさん、いつきさん、ゆうかさんの順におむかえが来た。「ユ
ニバースの交差点や、交番の前の道路は、車のタイヤ半分以上まで水が増えて、車が動けなくなっている
よ。」と、ゆうかさんのお母さんが、その様子をけい帯で撮った写真を見せてくれた。車は止まっていてじゅう
滞にもなっていた。こんな状況なら、母がむかえに来るのはこんなんにちがいない。だから、母が早くむか
えに来る事よりも、安全に無事で学校に来れるように願った。「この集中ごう雨なら、高だての急斜面が、が
けくずれしているかもしれない。」と、かいとさんが言った。「産業道路のこ線橋の下は、車のタイヤがうくぐら
い水がたまるみたいだよ。」とはるささんが言った。
私はその時、広島の土砂災害の事を思い出した。私の経験以上にこわくて悲しい思いをしたんだなと思
った。
母が私をむかえに来たのは、6時すぎだったけれど、母が事故もなく無事に来てくれた事がなによりだ。
8月 20 日に広島市で発生したごう雨による大規ぼな土砂災害で、73 人のとうとい命が失われた。くずれた
土砂にうもれた友達を思う人や、行方不明の家族をさがす人達、救助活動を行う人達の映像をテレビで観
るたびに私は、命の大切さを改めて知る事ができた。救助活動を行う人達も二次災害の危険なども考えら
れるのに、ねるのもおしんで人々のために力をつくしていた。
広島県の山地は、主に広島花こう岩と言われている岩石からできていて、長い間、雨や風にさらされると「
マサ土」とよばれる土に変化するという。その「マサ土」が水をふくむと、とてももろくて、くずれやすくなるそう
だ。斜面の表面を「マサ土」が、広くおおう広島県では、土石流や、がけくずれなどの土砂災害が起こりや
すいのだと、インターネットで知った。
次に、青森県土砂災害危険箇所を調べてみた。私の住んでいる下長地区は、危険箇所ではないが、県
内には、4,031 箇所の区域が土砂災害けいかい区域の指定になっている。
日本は、国土の 75%が山地の山国だから、土砂災害をふせぐために、国や県で対策を立てている。これ
から私は、危険箇所や土地の特ちょうを知り、安全にくらしていきたい。