平成 26 年度「土砂災害防止に関する絵画・作文」作文中学生の部 優秀賞(事務次官賞) 「災害から身を守るために」 ながの し ほ 鹿児島県 鹿児島市立坂元中学校 1年 長野 史歩 今年も全国各地で、台風・大雨の影響から土砂災害が発生し、多くの方が犠牲になっているとニ ュースが伝えている。 私の家は、少し高台にあり、近くに河川もないため、土砂災害を目にしたことはない。過去に大 きな災害がなかったか両親に聞いてみた。平成5年、今から 21 年前の8月6日に、両親もたぶん 初めて経験したと思われる災害が発生していた。8・6水害と言われている。この年は梅雨が長引 き、梅雨明け後も大雨が続いていたそうだ。8月1日の大雨で土石流が発生、6日の豪雨で鹿児島 市内の甲突川が増水し、はん華街は腰くらいまで水に浸かったらしい。鹿児島市北部では、22 ヶ 所も土石流が発生し、この豪雨のために、約 100 名の方が亡くなり、住宅が全壊など多くの人々が 被害にあった。 その日、父は鹿児島の中心にいたため、車は浸水をまぬがれたが、身動きがとれず、家にもどる ことはできなかった。母は、職場から4時間かけて歩いて自宅へ帰った。途中、あちらこちらで土 砂くずれがあり、車は通ることができない、人1人通れそうなところを見つけて帰ったそうだ。今、 私が住んでいるところも通ったらしい。私は信じられなかった。自分が、いつも通る場所にそのよ うにくずれる場所があるとは思ってもいなかったからだ。 私は、なぜ、日本で土砂災害が多いのか調べてみることにした。 土砂災害を引き起こす大きな原因の1つは雨である。日本は世界の国々の中でも雨が多い。また、 1年を通じて平均して降るのではなく、梅雨、台風、秋雨などの季節にまとまって大量に降るとい う特徴がある。このため土砂災害もこの季節に起きやすい。また、山地が多く、もろい地質の山が 多いため、川の水でけずられたり、雨や風でくずれたりする。山が高くけわしいため、そこから流 れてくる川はみな、かたむきのきつい急流になり、山からけずりとられた土が下流に運ばれ、川底 に積もると洪水の原因になる。 私が暮らす鹿児島は、1年を通して雨の多い地域で、特に、梅雨前線が停滞しやすく、台風の通 り道であるため6月から9月にかけて強い雨が集中して降る。そして、小さな山がとても多く、平 野がせまいため、山やがけのすぐ近くにも家が建っている。地質は、大昔の火山活動で積もったシ ラスでおおわれている。シラスは、水を含むとくずれやすい性質を持っており、土砂災害が起きや すい地域と言える。過去 20 年間の土砂災害の発生件数は全国1位だそうだ。 では、どうやって災害を防げばよいのか。土石流を防ぐための砂防えん堤工事、がけをくずれに くくする法枠工事などの工事も必要だが、それでは、コンクリートに囲まれた要さいのようになり、 自然を感じることなど出来なくなるだろう。それに、完全に自然災害が起こらないようにするなど、 絶対にありえないと思う。それならば、まず、私達の災害に対する防災意識を高めることが必要な のではないか。 鹿児島市でも、安心安全ガイドブックアンド防災マップが各家庭に配布されている。 防災マップには、ひ難所の場所や災害危険区域などが色分けされ、とてもていねいに作られてい る。私が住む地域は、団地内こそ何もないが、急傾斜地のほう壊が心配されるところがたくさんあ ることがわかった。毎日の登下校で危険なところは無いと思っていた私はとてもおどろいた。今回、 インターネットなどで土砂災害について色々調べたが、 「私の住んでいる場所では起こらない。 」と、 他人事のように考えている自分に気が付いた。災害は、いつ、どこで起こるかわからない。それぞ れが防災意識を高め、自分が何をしておけばよいか、日頃から考えておく必要があると思う。 1.自分の住む地域の危険な場所を把握しておく。 2.災害時の家族との連絡方法、ひ難場所などあらかじめ決めておく。 3.非常時持出品を最低限そろえておく。 「自然災害はいつどこで起きるかわからない。備えあれば憂いなし。 」 この言葉の通り、ここは大丈夫、自分は大丈夫などと、自分勝手に判断せず、気象情報やひ難情報 を確認し、命を守る最低限の行動が必要だと思った。
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