柏与紙店 (柏與紙廛)

和紙のお店を訪ねて、気が付いたことなど・・今回は、長野市の《善光寺》さん詣での
際に立ち寄りたいお店を、フォトレポートさせていただきます。(JIP 事務局)
和紙への関心はこの写真のよう
に、外国からのお客様にもたかま
っています。長野市の善光寺さん
の参道にある和紙のお店のショ
ーウインドウ前。柏輿紙店(柏与
グループ)は、180余年前に創
業の老舗。店構えは風格のある黒
漆喰の蔵造。「長野市の景観を守
り育てる条例」にもとづき、平成
21年には「景観賞」を授けられ
ています。
(ご紹介するお店)
柏与紙店 (柏與紙廛)
紙 / 事務用品店
大字長野大門町 532, 長野市, 長野県, 380-0841
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【お店の佇まい】
左のお店が「和紙の「柏輿紙屋」さん。
【柏輿紙店のファサード】
「井桁に与の字」の暖簾です・・今日も、外装を手入れしておられました。
【賞状の額装】
「長野の老舗」として、長野県知事から平成26年に認定されています・・百
年以上の歴史と記されていますが・・もうすぐ190年になるんですね。
【店内風景1】
コクヨの複写簿の額も、右書きです。
時代を感じさせるお店の雰囲気を、いまも保とうという努力がうかがわれます。
【店内風景2】
魅力的な和紙のお土産品が並んでいます。これなら外国からの観光客に限らず、
若い人たちやクラフト好きな女性に、人気があるはず。
【店内風景3】
「御襖紙」の額が印象的です。でも「いまは、
襖紙の販売は少なくなりました・・お住まいが
変わってきていますから」とのこと。
日本人の住まいの変化は・・長野市でも。
津々浦々で進んでいますね。(津々浦々という
表現法も、絶滅危惧種かも?)
【店内風景4】
昔風の「お帳場」
・・善光寺界隈の景観を壊さないように、お店も配慮を続けて
いるんですね。「昔のお店のスタイルを実体験できる生きた教材!」
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さて、このルポで考えたこと。
和紙に関心を持つ人々が増えている昨今ですが、写真の外国からのお客様は、
店内まで入らずに、通りこしてゆきました。つまり・・
《お店の中までどうやって誘導するか》
・・これは個々のお店の努力だけでは、
限界があるようです。和紙メーカーや和紙産地からのプロモーションによって、
和紙のお店や和の意匠雑貨を扱う「お店を、業界全体で支援する対策」が必要
になりますね。
小売の紙屋さんはどうしても、風に吹きまくられる危険性から、入口をオープ
ンにできません。ショーウインドウから店内までの導線にガラス戸というバリ
アーがあります。《戸を開けさせるという関所手形》が必要です。
この関所を通過する手形として・・お客様のモチベーションを高めるための方
策を後方の兵站部隊が提供しないと、和紙屋さんの商売にまでつながりにくい
のです。ここをどうブレイクスルーするか・・知恵を絞りたいですね。
「お客様にとっての購入対象商品は、紙の表面につけられた意匠である」とい
う難しさを抱えています。多くの種類の和紙を、「いちいち広げて品定めする
時間」は、外国からのお客様にはありません。日本の観光客にも同じこと。つ
まり・・
「今はこの商品をお求め頂くのが、一番お得ですよ・・」といった《説
得力のある推奨販売》を行う必要があるのでは? ・・お客をただ待つのではな
く、商品自身がお客様に語りかけるディスプレー・・POP による助言・・笑顔
で迎え入れる店員がアンカー役としてその商品の楽しさを伝える・・というよ
うな、駅伝のように各機能がタスキをつなぎながらお客様の心を射止めるシス
テムの開発が必要なのかもしれません。
もしかすると、御店に来られた方が自宅に戻ってから、好みの意匠について時
間をかけて選べて、NET 注文ができるような「和の意匠素材販売 WEB シス
テム」も、業界が協働で開発する必用があるのかもしれません。
《季節の推奨商品をつくる》《POPO やパンフレットでピンポイントにハード
セルな売り込みを行う》《WEB で商品選択ができるシステムをサポートす
る》・・これらは、個々のお店の力ではできにくいでしょう。
こうしたセールスキットが提供されれば、お店のスタッフは《満面の笑顔・・
おもてなしの心》で、お客様のハートをつかむことができるでしょう。
私たち、和の意匠業界の、次の取り組み課題かもしれません。
(2015 年 02 月 JIP 事務局)