シングル配筋ラーメン構造接合部の終局曲げ強度に関する

工学院大学建築系学科卒業論文梗概集
小野里研究室 2013 年度
シングル配筋ラーメン構造接合部の終局曲げ強度に関する研究
D1-09244 福井
1.は じ めに
健洋
3.L-1,L-2 試 験体 に つい て
本 研 究室 で は シン グ ル配 筋 ラー メ ン構 造 の L 形 接 合部
の強 度 を確 認 す るた め 実験 ・ 研究 さ れて き た。 1 ) 2 )
L-1,L-2 試験 体 は 鉄筋 の 定 着長 さ が 足 りな い た め 鉄筋
がコ ン クリ ー ト を掻 き 出す 掻 き出 し 破壊 に よっ て 破 壊が
本 研 究の 目 的 は実 験 の試 験 体の 接 合部 強 度を 計 算 によ
起 きて い る 。L-1,L-2 の違 い が等 間 隔 の 定着 長 さ の 違い
って 算 出し 、 実 験結 果 と比 較 して シ ング ル 配筋 ラ ー メン
であ る こと と 破 壊の メ カニ ズ ムか ら 接合 部 が2 つ 割 れて
構 造 L 形接 合 部 の終 局 強度 い つい て 評価 す るこ と で ある 。 破 壊 が 起 こ る と 仮 定 し 、 図 の○ 印 部 分 に 作 用 す る 力 が 同
じく ら いに な る ので は ない か と予 測 でき る 。
2.実 験 の試 験 体
定着長さ
実 験 で使 用 さ れた 試 験体 (図 1 ) は実 際 に想 定 し てい
るモ デ ル の 1/2 の サイ ズ であ る 。部 材 せ い 300mm、部
材幅 120mm、 部 材の 主 筋に は D22d で SD490、 せ ん断
39.25kN
補強 筋 が D6 で SD345、帯 筋の ピ ッチ は 50mm の RC 造
62.87kN
L-1
で 、 コ ン ク リ ート 強 度 は ‫ܨ‬௖ = 20.8ܰ/݉݉ଶ を 使 用 す る 。 柱
L-2
梁接 合 部に 配 筋 する 補 強筋 は 主筋 と 同 じ SD490 の D22
を配 筋 する 。 コ ンク リ ート の 圧縮 強 度は 圧 縮試 験 の 結果
図2
計算 に 使 用す る 接合 部 モデ ル
537.0N/mm2
図 の○ 印 の 部 分 に 作 用 す る 力 を 計 算 し た 結 果 を 以 下 に
とい う 結果 が で てお り 、計 算 には こ れら の 数値 を 利 用し
記 す 。 そ の 結 果 図 の○ 印 が つ い て い る 点 に お い て の 力 が
であ り 、鉄 筋 の 降伏 強 度は 引 張試 験 によ り
た。
ほぼ 同 じ値 を 示 して い るが こ の値 は 鉄筋 の 降伏 荷 重 より
L-1 試 験体 は 最 大荷 重 39.25kN、
L-2 試験 体 は 62.87kN
かな り 低い 値 で ある 。 よっ て 定着 長 さの 違 いに よ る 接合
で掻 き 出し 破 壊 、L-3 試験 体 は 77.88kN で せん 断 破壊 、
部の 強 度に 変 化 はみ ら れる が L-1,L-2 いず れに お い ても
L-4 試 験 体は 88.94kN で 割裂 破 壊を 起 こ した と さ れ た 。
鉄筋 が コン ク リ ート を 掻き 出 して 破 壊が 起 きた と い うこ
L-1 試験 体 よ り定 着 長さ が 長い L-2,L-3 試験 体 の 方が
とを 計 算よ り 導 けた 。
強度 が 強く 、L-3 試 験 体よ り も接 合 部内 に 補強 筋 を いれ
た L-4 試験 体 の 方が 強 度が 強 いこ と がわ か る。
L-1
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
60.3
59.0
水平方向
L-2
90.4
79.9
鉛直方向
L-1
図3
水平方向
鉛直方向
L-2
L-1,L-2 の境 界 面の 鉄 筋に 作 用す る 力
4.L-3 試験 体 につ い て
柱 梁 接合 部 の 破壊 メ カニ ズ ムか ら 接合 部 を4 つ に 分割
する と 仮定 す る 。そ の 境界 面 にお い て図 の よう な 視 点を
仮定 し ます 。 そ の支 点 の反 力 がこ の 境界 面 に作 用 す る力
とな る 。
L-3
図1
L-4
2012 年 に 行わ れ た実 験 の試 験 体と 実 験結 果
支 点 の位 置 は ピン と 仮定 し てい る とこ ろ は主 筋 の 交差
1)
部、 コ ンク リ ー トは 圧 縮し か 作用 し ない と 仮定 し て その
合力 が 作用 す る 点を 有 効性 の 0. 9 倍の 位 置と す る 。
な お 、 図 の○ 印 の と こ ろ に 接 合 部 材 を 仮 定 し て い な い
のは 、 左上 向 き の斜 め の境 界 の中 で この 部 分は 中 央 付近
であ れ ばコ ン ク リー ト が圧 潰 せず 鉄 筋の 降 伏に て 破 壊が
起き る と考 え ら れる 。 以下 に その 関 係を 表 わす グ ラ フを
記載 す る。
であ り 大き な 力 が作 用 しな い ため で ある 。
鉄筋降伏時の接合部強度
94.0
91.7
92.0
89.5
90.0
水平荷重
88.0
N
86.0
83.8
84.0
81.9
82.0
Q
80.0
78.0
76.0
接合部(梁)
図4
接合部(柱)
フェイス面(梁)
フェイス面(柱)
L-3 試 験 体の 考 え方
L-3 試 験体 の 支力 図 を以 下 に表 す 。
図6
引張 鉄 筋 が引 張 降伏 す る際 の 接合 部 強度
コンクリート強度が変化した時
の接合部強度
120
接合部内の鉄筋が降伏した
時の接合部強度
100
80
水 平荷重(kN)
74.9kN
60
40
20
0
0
図5
2
4
6
8
10
12
14
16
18 20.8
20 222324
26
28
30
コンクリートの圧縮強度 Fc(N/mm 2)
L-3 試 験 体の 支 力図
こ の 時一 番 力 が作 用 する 鉄 筋が 降 伏す る とし て 、 水平
図7
コン ク リ ート 圧 縮強 度 と接 合 部強 度 の関 係
荷重 を 計算 す ると 81.9kN とな っ た。
同 様 に柱 か ら も計 算 する と 水平 荷 重が 83.8kN の 力が
5. ま とめ
加わ っ た時 に 鉄 筋が 引 張降 伏 する と いう 計 算結 果 に なっ
た。
昨 年 実験 を 行 った 試 験体 に つい て 計算 で 強度 を 算 出し
てみ た 。
次 に 梁の フ ェ イス 面 につ い て引 張 鉄筋 が 降伏 し た とき
結 果 L-1,L-2 試験 体 につ い ては 掻 き出 し 破壊 に よ って
の水 平 、鉛 直 方 向の 力 、モ ー メン ト のつ り 合い か ら 水平
破壊 が 起き て い ると い う事 を 計算 か ら導 く 事が で き た。
方向 の 荷重 を 考 える と 89.5kN とな り、 同 様に 柱 の フェ
L-3 試験 体 は 鉄筋 が 降伏 す る前 に 接合 部 内の コ ン クリ
イス 面 につ い て 考え る と水 平 方向 の 荷重 は 91.7kN とな
ート が 圧潰 し た こと に よる 破 壊を 起 こし た と考 え ら れる 。
コ ン クリ ー ト 強度 が Fc=23(N/mm 2 )以上 あれ ば 柱 梁接
った 。
以 上 のこ と か らコ ン クリ ー トが 健 康で あ ると い う 条件
のも と であ れ ば L-3 試 験体 は 柱梁 接 合部 内 梁側 の 引 張り
合部 内 のコ ン ク リー ト が圧 壊 せず 、 柱梁 接 合部 内 梁 側の
主筋 が 降伏 す る こと に よっ て 破壊 が 起き る と考 え ら れる 。
主筋 に て破 壊 が 起こ る とい う 計算 結 果に な った 。
しか し 実 験 では 77.88kN で柱 梁 接 合部 に て 破 壊 が起
参考 文 献
1)
佐 藤進 哉 :2012 年度 学 院大 学 建 築系 学 科 卒業 論 文 梗 概集
シ ング ル 配 筋 ラー メ ン 構造 の L 形 接 合 部 に関 す る 実 験的
きた 。
一 番 圧縮 力 の 作用 す る点 に コン ク リー ト が圧 壊 す る時
の力 が 作用 し て いる と 仮定 す ると 水 平荷 重は 74.5kN で
研究
2)
小野 里 憲一:総 合研 究 所・都 市 減災 研 究セ ン タ ー(U DM)
ある 。 これ は 鉄 筋が 降 伏す る 時の 荷 重よ り 低く 、 鉄 筋が
研究 報 告書 ( 平 成 22 年 度) テ ー マ1
降伏 す るよ り 前 にコ ン クリ ー トが 圧 壊す る こと が わ かる 。
シン グ ル配 筋 ラ ーメ ン 構造 の 提案
また 、 コン ク リ ート の 圧縮 強 度 が
Fc=23(N/mm2 )以 上
小課 題 番 号 1.2-2