谷口 副会長 今日は、副会長の谷口です。現在、ペナントレースで阪神タイガースは首位に立っています。 さぞやタイガースファンの皆さんは大層盛り上がっていることと思います。 私は、野球にはほとんど興味がなくどこが優勝しても別にかまいません。そんな私が、今から阪 神のあるピッチャーの話をしたいと思います。そのピッチャーとは、岩田 稔さんです。 残念ながら、私は彼のピッチングを見たことがありませんが、先発投手陣の一員として大活躍し ています。ご存じの方も多いと思いますが、彼は一型糖尿病で、一日に四回もインシュリンを打 ちながらプロ野球選手を続けているのです。 少し糖尿病の話をしますと、糖尿病には大まかに一型糖尿病と二型糖尿病があります。 二型糖尿病は、この中にもおられると思いますが成人の糖尿病のことで、生活習慣が大きく関 係します。 一型糖尿病は、ほとんどが小児期に発病し突然に膵臓のインシュリンが枯渇して放っておけば 死に至る怖い病気です。原因は不明で、自己免疫疾患と言われています。 岩田さんは、大阪桐蔭高校のエースとして活躍していました。高校 2 年生の時、異常に喉が 渇き、体重が激減し練習に付いていけなくなりました。病院に行くと、すぐに入院となり先生から 一型糖尿病と診断され、その時の血糖値が 900 ありすぐにインシュリン治療が始まりました。 彼はもう野球は続けられない、小学校からの夢だったプロ野球選手はあきらめなければならな い、もう自分の人生は終わったと思ったそうです。 しかし、病院の先生から、巨人でプレーしたビル・ガリクソン投手も一型糖尿病だったと教えられ、 本や資料を読みあさり、自分もやれるかも知れないと考えるようになったそうです。 病院の主治医には「スポーツはやめたらあかん」と言われ二人三脚でインシュリンと食事と運 動のバランスを考え野球を続けることが出来ました。高校を卒業したら社会人野球のチームに 入ることが内定していたのですが、その企業から「糖尿病?そういう人はいらない」と断られたそ うです。就職差別を受けたのです。悔しくて、関西大学に入り野球を続けエースとして活躍しま した。その社会人チームと練習試合をした時には、先発して完璧に抑え、見返したそうです。別 の社会人チームに入ろうとしていた時に、阪神タイガースから声を掛けてもらい、この時は飛び 上るほど嬉しかったそうです。「病気でも夢はかなうのだ」と思ったそうです。 プロに入っても、不安はなく。インシュリンを打ち続けるのは生活の一部で、健康な人が歯を 磨く感覚だそうです。一軍に定着し始めた 21 年から、1 勝につき 10 万円を1型糖尿病研究基 金に寄付を始め、最低 1 年に 10 勝するのが目標だそうです。1 型糖尿病が完治出来る病気に なればと考えてのことです。あと、1 型糖尿病をもっと多くの人に知ってもらいたいと考えていて、 高校の時に受けた就職差別は本当に悔しかったようです。自分が、成績を残し活躍することで 1 型糖尿病への偏見をなくしたいそうです。 どうです、岩田投手を応援したくなったでしょう。私が考えるもう一つの視点があります。 岩田投手には、ビル・ガリクソンという先駆者がいて、応援してくれる主治医がいたことが彼の成 功につながったと思います。皆さま方、特に若いロータリアンの皆さん、あなたの周りのロータリ アンにはビル・ガリクソンや主治医がいっぱいいるのです、どうか参考にしてください。
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