投資のヒント - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

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「投資のヒント」
2015年2月19日
※以下、レッグ・メイソン・アセット・マネジメント提供のレポートをご紹介します。
レアル相場下落の背景と今後の注目点
・ブラジル・レアル相場は1月下旬以降、下落基調が強まる。レアル安加速には国内要因と海外要因の双方が作用。
・ブラジル国内では、国営石油会社の汚職問題、干ばつによる電力不安、国内景気の低迷などがレアル安要因に。
・米ドル高基調の中、主要通貨は軒並み下落傾向。レビィ財務相の為替介入に慎重な発言もレアル安に拍車かける。
・主要先進国では金利低下が進む一方、ブラジル国債は相対的な高金利維持。中銀は3月にも利上げ実施の見通し。
図1:ブラジル・レアル相場(対米ドル、対円)
1月下旬以降、レアル安基調が強まる
2015年1月下旬以降、ブラジル・レアル相場の下落基
調が強まりつつあります。2月11日には、レアルの対米ドル
(レアル)
0.5
(円)
70
相場は2004年11月以来となる1米ドル=2.86レアル台ま
で下落し、レアルの対円相場も足元では2014年2月以来
60
1.0
対円相場
(左軸)
の安値水準である41円台で推移しています(図1)。
足元でのレアル安加速には、以下のように、ブラジル国
50
1.5
40
2.0
内要因と海外要因の双方が作用していると考えられます。
ブラジル経済のリスク顕在化がレアル安要因に
まず、ブラジル国内では、①国営石油会社ペトロブラス
レアル高
30
2.5
対米ドル相場
(右軸)
の汚職問題(決算発表の遅れおよび経営幹部交代)や、
②干ばつによる電力不安、③国内景気の低迷(2014年
12月の小売売上高は前月比-2.6%、鉱工業生産は前月
比-2.8%)など、目新しい材料ではないものの、ブラジル
経済のリスクの顕在化がレアル安要因となっています。
ペトロブラス問題に関しては当局による汚職捜査はなお
継続しており、新首脳陣による経営改革も含め、今後の動
向には注視が必要と考えられます。
レアル安
20
07
08
09
10
11
12
13
一方、海外要因では、米国の利上げ観測を背景とした
米ドル高の進行が、レアルだけでなく主要通貨全般に下落
圧力を高めている面も指摘できます(図2)。とりわけ、足
元では世界的な金融緩和の拡大により、各国が自国通貨
安を志向する通貨安競争の様相も強まりつつあります。
こうした中、ブラジルのジョアキン・レビィ財務相が「レアル
は変動相場制の通貨であり、政府は介入による相場下支
えはしない」との発言(1月30日)を行ったことも、ブラジル
当局が通貨安を容認しているとの観測を高め、レアル安に
拍車をかける一因となったと考えられます。
3.0
15 (年)
(出所)ブルームバーグ (期間)2007年1月1日~2015年2月13日
図2:主要通貨の対米ドル騰落率
(2014年末~2015年2月13日)
スイス・フラン
6.7 インド・ルピー
米ドル高基調の中、主要通貨は軒並み下落傾向
14
1.4 0.9 日本円
中国元
‐0.6 ‐0.8 ‐0.9 ‐1.2 南アフリカ・ランド
メキシコ・ペソ
英ポンド
インドネシア・ルピア
‐3.2 ‐4.3 ‐4.4 ‐5.0 ‐5.1 ‐5.8 ‐6.2 ‐6.6 ‐7.3 ロシア・ルーブル
ニュージーランド・ドル
トルコ・リラ
豪ドル
ユーロ
ブラジル・レアル
カナダ・ドル
スウェーデン・クローナ
‐10
‐5
(%)
0
5
10
(出所)ブルームバーグ
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、
金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終
ページをご覧ください。
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ブラジル国債は相対的な高金利を維持
図3:主要国の2年国債利回りの比較
もっとも、主要国の金融政策の方向性の違いに着目する
と、ブラジル国債は相対的な高金利が維持されています。
主要先進国では、欧州や日本をはじめ多くの国で量的
過去3ヵ月の金融政策変化
ブラジル
利上げ(+1.00%)
インドネシア
利上げ(+0.25%)
2年国債利回り
13.13
7.09
緩和や追加利下げの動きが拡大し、2年国債利回りは軒
メキシコ
据え置き
並み1%を下回る状況にあります(図3)。特に、欧州中央
ニュージーランド
据え置き
銀行(ECB)による量的緩和の拡大により、欧州では一部
豪州
利下げ(-0.25%)
米国
据え置き
0.64
利下げ(-0.25%)
0.43
の国で2年国債のマイナス金利が常態化しつつあります。
一方、ブラジル中銀はインフレ抑制のため2014年10月
カナダ
4.13
3.19
1.87
英国
据え置き
0.38
以降、利上げを再開しており、2015年2月13日時点で政
イタリア
量的緩和
0.32
策金利は12.25%、2年国債利回りは13.13%という高水
スペイン
量的緩和
0.24
日本
量的緩和
0.05
フランス
量的緩和
準にあります。
ブラジル中銀は3月に追加利上げ実施の見通し
ブラジルの2015年1月の拡大消費者物価指数(IPCA)
量的緩和 ‐0.22
ドイツ
スウェーデン
利下げ(-0.1%)+量的緩和 ‐0.36
スイス
(%)
利下げ(-0.75%) ‐1.02
は、電気料金や公共交通料金の値上げなどにより、インフ
レ・ターゲット上限を上回る前年比+7.1%へ上昇しました
‐0.11
‐4 ‐2 0
2
4
6
8 10 12 14
(出所)ブルームバーグ (注)2015年2月13日時点
(図4)。ブラジル中銀の金融政策委員会は、次回3月34日に予定されており、市場コンセンサスでは0.25%の追
図4:ブラジル中銀の政策金利とインフレ率
加利上げが実施されるとの見方が大勢となっています。
主要先進国での低金利環境が続く中、ブラジル中銀に
よる追加利上げは金利差の面でレアル相場の下支え要因
になることが考えられます。
今後は為替政策や財政政策の行方にも注目
ブラジル中銀の金融政策は当面のところインフレ抑制型
の引き締め姿勢が維持される公算が高い中、今後は為替
政策と財政政策の行方にも注目が集まります。
為替政策の面では、現行の為替介入プログラムの期限
である3月末に向けて、4月以降のブラジル中銀の為替介
入に対する正式な方針が公表される見込みです。
一方、財政政策の面では、レヴィ財務相が短期的には
(%)
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
(期間:2008年1月1日~2015年2月13日)
ブラジル中央銀行 政策金利
(Selic金利誘導目標)
12.50%
12.25%
13.75%
11.00%
8.75%
7.25%
08
09
10
(前年比、%)
11
12
13
(期間:2008年1月~2015年1月)
2015年1月
前年比+7.1%
7.5
7.0
15 (年)
14
インフレ・ターゲット上限
6.5
6.0
5.5
経済への痛みを伴う財政健全化路線を今後も維持する
5.0
かどうかが、ブラジル政府の財政運営への投資家の信認
4.5
回復のカギを握っていると言えます。
4.0
拡大消費者物価指数(IPCA)
インフレ・ターゲット中心
08
09
10
11
12
13
14
15 (年)
(出所)ブラジル中銀、ブラジル地理統計院
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、
金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終
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