タブレット業務利用大作戦~Project Sienaで叶えるタブレット導入の夢

IE06 タブレットを使用した業務ソフト開発
要旨
近年、日本のタブレット市場は急速に拡大を続け、ICT 総研の調査では 2013 年度に 700
万台超、2015 年度には 1000 万台を超える見込みである。タブレットはスマートフォンやパ
ソコンと同じように認知され、市場での注目度は急速に高まっている。
ノート PC と比べても価格、稼働時間、可搬性などのメリットがあり、またその汎用性の
高さから様々な専用端末に代わり、日常のあらゆる場面で使われるようになってきた。
タブレットは新世代のデバイスとして、重いマニュアルやカタログの代替、スピーディ
ーな見積りや報告、GPS との連携による移動の効率化、会議資料のペーパーレス化など、様々
なビジネスメリットの可能性に満ち、導入も進みつつあるが、業務利用での課題全てが解
決された訳ではない。
下表は経済産業省による調査報告書内の「スマートフォン及びタブレット端末の業務利
用上の課題」である。我々はこれを「セキュリティ不安」「コスト問題」
「システム・ソフ
ト面の問題」の 3 つに分類した。
経済産業省、「スマートフォン及びタブレット端末の業務利用上の課題」、
『平成 25 年度我が国情報経済社会における基盤整備』
、p88
この内、前二者については近年の技術やサービスを活用することで、幾つかの解決策を
見出すことができたが、
「システム・ソフト面の問題」については、開発環境を含めた開発
プロセスの改善が必要であると考えた。そして我々のテーマ『タブレットを使用した業務
ソフト開発』で改善したいという想いから、「システム・ソフト面の問題」に対して研究を
掘り下げることにした。
研究に当たり、まず「業務利用に最も適切な OS は何か」を考えた。
既存のシステム、ソフトウェア・ハードウェアなどの資産、ナレッジ、アカウント管理
などをそのまま利用できるといった利点があることから「Windows タブレットが最適」と考
え、これを中心とすることにした。
2014 Beacon Users' Group
IE06 タブレットを使用した業務ソフト開発
要旨
次に開発については「企業独自のニーズに応えるソフト開発」に焦点を置き、円滑なソ
フト開発の足かせとなっている「費用」や「期間」、
「専門知識の学習」といった課題に対
する解決への観点を、3 つの評価ポイントとして分類した。
『安さ(LowCost)
』
『学習性の高さ(LowLearning)』
『早さ(LowCording)
』。これらをま
とめて我々は『3L』と呼称し、その評価が高い手法・開発支援ツール等を探して、ついに 1
つの開発支援ツールを発見した。
『Project Siena』
。2013 年末に Microsoft より発表され「容易(コーディングレス)」か
つ「高速」な開発をうたう Windows タブレット向け開発支援ツールであり、無料で配布さ
れている。
新しい技術である為、当然ながら使用実績も少ないのでこれを実際に使用し、『3L』を満
たせるのか見極めることとした。使用してみると環境構築も安易で開発学習性も高く、タ
ブレット独自のタッチ入力や写真取込みは既にインターフェースとして存在している為、
特別な知識がなくても誰でも簡単にそれを実装できた。Excel や AZURE とのデータ連携も
「Excel 関数によく似た」幾つかの関数を使用することで、容易かつ高速に開発することが
可能であった。
事実、本グループ内の開発未経験者でも Viewer 程度であれば 1 日で形になり、慣れてく
れば簡単なカタログ程度であれば 5 分で作れるほどの生産性も示した。
そして、いくつかの開発を通じて判った事は、複雑な処理を行う場合はコーディングが
必要なため従来の開発環境と比べても優位性は見られないが、処理がシンプルで小規模な
システム開発においては極めて高い生産性を発揮するということであった。
本研究を通じて『Project Siena』は「システム・ソフト面の問題」に対して万能の解決
策とはならないものの、
『安さ(LowCost)』
『学習性の高さ(LowLearning)』
『早さ(LowCording)
』
の『3L』を兼ね備えた非凡な開発ツールであることがわかった。
タブレットの導入を考えている多くの企業に対し、ソフト開発という観点において
『Project Siena』が小規模タブレットソフト開発の 1 つの手段、即ち『有効な選択肢』と
なりえることを発表するのが本研究の目的である。
以上
Microsoft, Excel, AZURE, および Windows は、米国 Microsoft Corporation の、米国お
よびその他の国における登録商標または商標です。
2014 Beacon Users' Group