仕様書 ロボット・機械システム部 1.件名 国際エネルギー消費効率化等

仕様書
ロボット・機械システム部
1.件名
国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業/医療施設等とパッケージ化したエネルギー
等最適化モジュール技術に係る現状分析
2.目的
近年、将来の成長産業として我が国では、医療に大きな期待が寄せられている。
「健康・医療戦略」
(平
成26年7月22日閣議決定)では、我が国が新興国、途上国等に対して、各国の実情を十分に踏まえ
つつ、具体的な医薬品、医療機器等及び医療技術並びに医療サービスの提供、医療・介護システムの構
築に協力することで、医療・介護分野において相互互恵的な関係を構築することとされており、我が国
医療産業の国際展開とそれに伴う産業競争力強化の取組の重要性は増している。現在、我が国において、
医療施設・サービスと一体で日本の優れた医療機器、技術等を海外へ輸出する、いわゆる「病院丸ごと
輸出」に係る取組が官民を挙げて進む背景には、一つに新興国、途上国等における、我が国の質の高い
医療に対するニーズの顕在化がある。このような国々に対して質の高い医療を提供する場合、現地の環
境を考慮したインフラの充実、例えば、電気や水、熱源等を医療施設、特に医療行為を行う中枢部分に
対して安定的・効率的に供給することが極めて重要となる。加えて、医療施設の早期の事業開始や長期
的な維持管理を考慮すると、運営に要するエネルギーやコストを削減することには大きな価値があると
見込まれる。このように、医療のコア部分におけるエネルギー等の省力化は、医療の普及にあたり検討
の余地がある重要な課題であるが、その対応は十分にはなされていないと考えられる。
また、近年の医療を巡る新たな動きとして、人の失われた組織や臓器を、幹細胞等を用いて復元させ
る再生医療が大きな注目を集めており、我が国では普及のための環境整備が急速に進んでいる。今後、
この動きは新興国等にも波及し、各国で再生医療の普及に向けた取組が活発化していくと考えられる。
他方、再生医療を実施するためには、医療施設に付帯する形で様々な専用の施設等が必要となる。例え
ば、臨床用途の細胞加工施設はその建設、維持管理に莫大な費用がかかることから、再生医療の普及の
障害になりうる。将来的に医療施設全体のエネルギー等の省力化を考えていく際、細胞加工施設をはじ
めとする医療施設等に付帯する設備・システム等に着目し、その省エネ性を調査するとともに、設備の
パッケージ化によるコスト削減および工期短縮、システムのモジュール化による、設置する場所に応じ
た最適化等にも資する調査をすることで全体最適を図っていくことには意義があると考えられる。
そこで、本事業では、医療分野での温室効果ガスの削減と我が国医療産業の活性化に資するべく、医療
施設等を新興国等へ国際展開する際に、現地での事業立ち上げや継続にあたりメリットになると考えら
れる、省エネ性や設置の容易さといった新たな価値を備えた設備・システム等を対象に、基礎情報の収
集、適用可能性、実証事業案の作成、及び実証事業の成功要因の適合性等について検討すると共に、そ
の普及可能性、市場性、省エネ効果等を調査する。
3.内容
対象国の対象地域(複数可)において、検討している対象技術・システムの国際実証事業としての妥当
性検討に向けて調査を行う。調査項目としては以下を例とし、当該案件形成に必要な情報収集、分析等
を行う。
1.対象地域の基礎情報及び現地ニーズの収集
(1)一般情報
対象地域の一般情報(人口、気象条件、地形、主な産業など)について調査を行う。
(2)エネルギー事情の把握
対象地域の電力供給、通信、熱供給、燃料価格などに関する情報、対象地域の事業者、エネルギー事
情、現状における課題等について調査を行う。
(3)自然条件、電力条件、インフラ整備状況等の調査
対象地域における 以下3点について情報収集を行う。
a.自然条件(気温、湿度、降雨量等の気象条件等)
b.電力条件(供給電力の安定性、システム運用時に障害となりうる電力状況等)
c.輸送・建設条件(港湾、道路、建設用重機の入手可能性等)
d.通信条件
(4) 関連政策、関係機関、ファイナンススキームに係る情報収集
対象地域に適用される対象技術・システムの導入に関連する政策について情報収集を行う。加えて、
対象技術・システムの普及を想定した場合に関係しうる機関(システム購買者その他ステークホルダー)
の事業概要を整理するとともに、関係機関間のファイナンススキーム(資金調達メカニズム、政府予算
の構造等)等について調査を行う。
(5)対象技術・システムに係る潜在的な普及ポテンシャルの特定
上記の点を踏まえ、対象地域及び第三国、周辺地域における対象技術・システムの潜在的な普及ポテ
ンシャルを明らかにする。
(6)その他
上記の他、当該案件形成に必要な基本情報及び現地ニーズの収集を行う。
2.対象技術・システムに係る分析
(1)対象地域における最適なシステム構築に係る検討
対象地域の自然条件、電力条件、輸送・建設条件を踏まえ、対象地域の環境に合致した対象技術・シ
ステムの実証事業の規模に係る分析を行う。
(2)対象地域の気候に適したシステムの検討
対象地域の自然条件等に基づき、現地の気候帯(ケッペンの気候区分等に基づく)の特性に適したシ
ステムの運転に必要な対策(湿度、温度、スコールの影響等)に関して、有効性について十分な検証を
行った上で、最適な方法を選定する。なお、対象技術システムの現地への適用についてリスクが高い場
合あるいは技術実証の実現性の確実化のため必要な場合は、現地環境での小規模確認試験、現地原料利
用や現地環境模擬で事前試験を実施する(但し、知的財産権を生じさせるもの、及び、NEDOに取得財産
を発生させるもの等でないこと)。
また選定した技術実証形態について、対象地域に導入した場合の予想される効果(従来とのエネルギ
ー消費低減効果、CO2削減効果、経済効果など)を明確化する。
(3)システムの最適制御方法の検討
対象地域の自然条件やエネルギー、電力条件等に基づき、システムの最適制御方法に関して、有効性
について十分な検証を行った上で、最適な方法を選定する。
(4)我が国の対象技術・システムに係る競争力に係る分析
上記(1)~(3)を踏まえ、対象地域に適した対象技術・システムのコンセプトを提示するととも
に、競合する技術・システムに係る分析を行う。その上で、我が国の対象技術・システムに係る競争力
を提示する。
(5)O&M (Operation & Maintenance)を含む長期的な関与における課題調査
対象地域において対象技術システムを導入した後のO&M事業等、当該システムの普及展開の促進に
必要となる事業者の長期的な関与の在り方、特にO&M 事業における推進体制や課題等を検討する。
(6)既存技術・システムと対象技術・システムにおける優位性の検証
対象技術およびシステムについて、既存の付帯設備・システム等と比較した場合の効果(従来との温
室効果ガス削減量、エネルギー消費低減効果、CO2削減効果、経済効果など)を算出し、先に示した設
備・システム形態の優位性を検証する
(7)その他
上記の他、当該案件形成に必要な対象技術・システムに係る調査、分析を行う。
3.過去の実証事業の成功要因からの検証
これまでに実施した実証事業の成果・経験を踏まえ、以下のような過去の実証事業の成功要因の観点
から国際実証事業としての案件の妥当性を検討する。
①現地における技術競争力(品質面・価格面等)
経済性(費用対効果)の高さ、相手国の技術レベルへの合致、競合との差別化等
②普及推進が可能なパートナーとの連携可能性
熱意・やる気、技術力、営業基盤を有するパートナー候補の選定及び連携の可能性
③現地における政策的な支援の見通し
・相手国の経済水準に応じたイニシャルコスト負担の可能性、経済性を向上させる各種制度(規制、
補助金等)を新設する可能性
・当該システムの導入を促進する制度構築に対して、実証事業の実施や日本政府による通商交渉等
の政府間交渉や多国間のルール作り、国際協力スキームの活用等が、どのようにサポートできるか(影
響を与えるか)
④O&Mを含む事業者の長期的な関与の見通し
対象地域において、当該システムの普及展開の促進に必要となる事業者の長期的な関与の在り方、
特にO&M事業についての推進体制や課題等
なお、本調査の対象地域はタイ、インドを含めることとし、その他については、NEDO は実施者と協議
のうえ、可能な範囲で必要に応じて対象国・地域の追加を指示できるものとする。
4.調査期間
NEDO の指定する日から平成28年2月29日まで(単年度契約)
5.予算額
2,000万円以内
6.報告書
提出期限:平成28年2月29日
提出部数:電子媒体 CD-R(PDF ファイル形式) 2枚
提出方法:
「成果報告書・中間年報の電子ファイル提出の手引き」に従って提出のこと。
http://www.nedo.go.jp/itaku-gyomu/manual_tebiki_index.html
提出内容:
(1)和文要約書(テキストファイル形式)
(2)英文要約書(テキストファイル形式:
(1)の英文版)
(3)和文成果報告書本文(PDFファイル形式とワードファイル形式)
(4)英文成果概要報告書(PDFファイル形式とワードファイル形式)※1
(5)和文調査成果概要(パワーポイントファイル形式)※1
(6)英文調査成果概要(パワーポイントファイル形式:(5)の英文版)※1
※1 相手国カウンターパート省庁等に成果を説明するため、英文・和文でのプレゼン資料(PPT)
を別途作成する。また必要に応じ、(4)英文での成果概要報告書(Word)を作成する。書式等
は、NEDO が別途指示する。
7.報告会等の開催
委託期間中あるいは委託期間終了後に、NEDO が開催する委員会、中間進捗確認会での報告、国内
及び相手国における成果報告会や現地関係機関を集めたワークショップにおける報告等を依頼する
ことがある。
(委託期間中の報告等に係る経費については委託費により支出。
)
以上