(2015 年 2 月号掲載) 群馬県内企業の IT 利用の状況と導入効果について 一般財団法人群馬経済研究所 主任研究員 斎藤 知宏 【 要 約 】 1. 総務省「通信利用動向調査(平成 25 年)」によると、国内企業では事実上ほぼ全社がイン ターネットを利用しているとみられる。一方でスマートフォンなど新しい IT 端末を持つ世 帯が急速に増加しており、企業は多様なメディアへの対応を迫られている。 2.当研究所のアンケート結果から県内企業のソフトウェア利用状況をみると、経理・総務など の部門では市販の業務用ソフトウェアをそのまま利用する企業が多い。また、受発注・在庫 管理や生産・開発業務等では自社でソフトウェアを設計・開発する企業が多い。 3.取引先・顧客との受発注情報の受け渡しにおいては、電子的に取引データを交換する EDI の 利用が進んでいる。しかし、現状ではなお業種・取引先別に手順が異なるなどの課題が指摘 されている。 4.「自社HP開設」を行った企業のうち6割が、売上・受注が増加したと回答している。ま た、利用してみた結果、満足を感じた IT サービスでは、「Web(テレビ)会議システム」 や、インターネットでつながれたサーバ上にデータを保存する「クラウド上のデータストレ ージ(データを記録・保管する大容量記憶装置)の利用」の割合が高い。 5.今後の IT 投資・IT 利用に対するスタンスとしては、「現状維持」または「少し増加させ る」企業が大半を占めた。また、8割以上の企業が、IT の利用によって「業務効率化・合 理化/コストダウン等」を実現したいと回答している。 6.IT を利用する上での障害としては、「コスト負担が過大」が最も多く、特に規模の大きな企 業にこの傾向が強くみられた。 7.企業は総じて、IT 利用の効果として「効率化・合理化」に期待してきた傾向がみられるが、 今後は次のステージとして「儲かる IT 利用」の検討が必要となろう。
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