解 答 - 難関私大文系専門 増田塾

2015 入試解答速報
難関私大文系専門予備校
2 月 12 日
早稲田大学(文化構想学部)国語
解答と解説
解 答
(満点︓75 点)
大問一(25 点)
問一(3 点) ニ
問二(3 点) イ
問三(4 点) 突き放す
問四(3 点) ホ
問五(4 点)
したが〜ない。
問六(4 点) ニ
問七(4 点) ホ
大問二(25 点)
問八(4 点) ロ
問九(6 点 各 3 点×2) 甲.ホ 乙.ハ
問十(3 点) ロ
問十一(4 点) 体験感
問十二(4 点) イ
問十三(4 点 各 2 点×2) 1.戯曲 2.成熟
大問三(25 点)
問十四(2 点) ハ
問十五(2 点) ニ
問⼗六(3 点) ヘ
問十七(3 点) ニ
問十八(2 点) ハ
問十九(3 点) ホ
問二十(2 点) イ
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解答速報の著作権は増田塾に帰属します。許可無く⼀切の転⽤・転載を禁じます。
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問二十一(2 点) ニ
問二十二(完答 2 点) Ⅲ-よろしく
Ⅳ-いづべし
問二十三(4 点 各 2×2) ロ・ホ
(※配点は予想配点です)
解 説
大問一
※解説中の段落番号は、引⽤⽂を⼀段落としてカウントしません。
問一 ニ
傍線内「約束」をどう言い換えるかがポイント。A―1〜3 段落を参照して、「美徳ばかりで悪さという
ものが何もない可憐な少⼥」が「狼にムシャムシャ⾷べられる」という物語展開は、
「童話の世界」の「(お)
約束」とは違うと我々は感じ⼾惑ってしまう、と解釈できれば良い。すると傍線「約束が違ったような
感じ」を説明できているのはニだと判断できる。イはシャルル・ペローの話に限定した説明である点が×。
シャルル・ペローの話は⼀つの具体例であり、筆者はここから「童話」全体の「約束」について論じよ
うとしている。ロは悩ましいが「全く災難に⾒舞われることがない」はニと⽐較した際に説明不⾜。ハ
は少⼥を「愚鈍」と否定的に捉えている点がA―3 段落と合致しない。ホは童話の「約束」とは異なる結
末についての説明であり、これでは傍線のように筆者が感じた理由説明にならない。
問ニ イ
「観念」とは「世界のあるものごとを、⼈間の感覚や意識において把握したもの」という意味をもつ語。
ここでA―11 段落全体を⾒ると「どうすればいいのだ」
「⼼の全てのものを攫いとって」「逃げるにも、
逃げようがない」
「組みしかれずにはいられない」などという表現が目⽴つ。ここから⼈間が狂言などに
「突き放される」ことで「観念の目を閉じる=感覚・意識で把握しきれない状態になってしまう」、解釈
できれば正解はイと判断できる。ロ「驚嘆」は「眼を閉じる=⾒ないようにする→感じないようにする」
という意味に合致しない。ハ「心」は悩ましいが、イと比較すると、心によって「感じ取る・把握する」
という意味が含まれないため最適な語とは⾔えない。ホ「悟達」は「悟り=真理を会得すること」に達
するという意味だが、ものごとの「真理」については今回の話題には取り上げられていないため不適切。
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問三 突き放す
空欄bは直前から「モラルがないこと」と同義・類義だと判断できる。ここでA―13〜18 段落で芥川龍
之介と農⺠作家のやり取りが具体例として取り上げられ、A―19 段落で「芥川が突き放されたもの(農
⺠作家の話)=モラルを超えたもの」とまとめられている。またA―22 段落でも「モラルがないこと、
突き放すこと」と指摘されている。ここから「突き放す」という語句に注目すると、更にB―1 段落で「む
しろ「俺がやったのだがね」という〜⼈を突き放す感覚がある」とある。この箇所はまさに芥川に対す
る農⺠作家の⾔葉に関する記述である(つまりA―12〜19 段落と関連している)ことから、空欄には「突
き放す」を入れるべきと判断できる。
問四 ホ
傍線直前の「モラルがない、ということ」自体が「モラル」である、という言い回しをどう解釈するか
がポイントとなる。問三での考察も踏まえると「モラルがない」とは「突き放すこと」であるが、ここ
でB―6 段落に注目すると、芥川の作品から「消えてしまった」のは「《現実》感」であり、更に「彼に
欠けていたのは、
「突き放される」経験にほかならなかった」と述べられている。ここから「モラルがな
い=突き放す=《現実》
」と結びつけることができ、正解はホだと判断できる。A・Bという二種類の文
章を横断する必要があり難解な印象を受けるが、結局は傍線の語句をいかに「⾔い換え」て説明するか、
という現代⽂ではおなじみの解法で対処できる、という意識で臨めば解答に近付ける。
問五
したが〜ない。
「モラルがない=突き放す」は問三・四でも確認した今回の要旨と言えるものだが、この表現はA・B
双方でより詳細な説明がなされている。A―19 段落の「⼦を殺す話がモラルを超えているという意味で
はありません」
「芥川は、その根の下りた生活に突き放されたのでしょう」という指摘がポイント。つま
り文章Aの筆者、坂口安吾にすれば「子を殺す」などという具体的な内容自体が問題なのではなく、坂
口はそれらを抽象的に集約した「根の下りた生活」こそがモラルを超えたものであると捉えている、と
解釈すれば傍線の意味が掴めてくる。以上を踏まえてB―1 段落の 2〜3 ⾏目を⾒ると、
「したがって〜」
の一文に「子を殺す話しであろうと…彼(坂口安吾)にはどうでもよい」とあるので、この一文が正解
だと判断できる。
問六
ニ
傍線直前直後から、
『伊勢物語』の中でも「唐突な⾔葉(事柄)によって、人を突き放す=モラルを超え
ている」ような展開を説明した選択肢が正解。ここから正解はニ。補足となるが実際に文章Aには続き
があり、ここで伊勢物語の一節として選択肢ニの内容が取り上げられている。
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問七 ホ
A―14〜16 段落で述べられているのは芥川がモラルを超えたもの(つまり農⺠の話)に「突き放された」
エピソードであり、それらはA―16 段落「晩年の彼が始めて誠実な⽣き⽅と⽂学との歩調を合せたこと
を物語る」と最終的に芥川への評価で締められている。また、A―20 段落でも「突き放されたという事
柄のうちに芥川のすぐれた生活があった」と芥川を評価する指摘がある。この上でB―8 段落でも上記の
内容が引⽤され、またBの筆者もその内容に特別反論していないことから、共通した評価と判断できる。
続いて「すぐれた生活」の具体的内容についてはB―2 段落で「めいめいが各⾃の独⾃なそして誠実な⽣
活をもとめる」という坂口の文章が引用されており、これはA―16 段落の「誠実な生き方」とも対応し
ている。これらを全てまとめると、芥川がモラルを超えたものに「突き放された」と感じたのは、芥川
がモラルを重視した独自なそして誠実な生活をもとめていたからだ、ということになる。以上から正解
はホ。イは「現実の生活から割りだすことができた」が誤り。A―14〜16 段落からわかるように、むし
ろ芥川は農⺠の話を現実として受け⽌めきれていない。ロは「⾔葉を⽤意しうる才能の持ち主」がA―
16 段落に合致しない。ハはA―14 段落およびB―1 段落に対応しているが、B―1 段落では「こういう
悲惨な現実もあるのかね」という芥川の反応よりもむしろ「俺がやったのだがね」という農⺠作家の⾔
葉に対する芥川の「突き放された」という感覚が重要だと述べられている点からハの内容が「評価」で
あるとは判断できない。ニは「共感しうる」が誤り。B―7 段落にもある通り「淪落」なるものは「誇張
された伝説」に過ぎず、これに芥川が共感している事がわかる記述はない。
大問二
問八 ロ
「つまり・すなわち」は前後の内容が同義である際に⽤いる接続詞。脱落⽂(つまりそれだけ…)の冒
頭「つまり」から、正解の空欄直前には脱落⽂と同内容が来ると判断する。次に 8 段落 2〜3 ⾏目「現に
ここへ…にならない」に注目すると、現代の⼈々は「しゃべる速度が早くなった」わけだから、ここと
脱落⽂「⾔葉が消化されやすくなった」が同義だと判断できる。また 8 段落 1〜2 ⾏目「「科⽩」として
の質感を失っていった」が脱落⽂「味わいが薄くなった」と同義だとも判断できるため、正解はロ。
問九 甲.ホ 乙.ハ
甲︓まず、空欄直後から「科⽩」の特徴を説明したものが解答となると判断する。次に「台詞」と「科
白」それぞれの特徴を対比的にまとめると、
「台詞」は「言葉だけのもの(1 段落)」
「発信された情報(6
段落)」
「会話から体験感が失われる(10 段落)」などとあり、
「実感」のないものとしてまとめられてい
る。一方で「科白」は「仕草が加わったもの(1 段落)」
「身体をくぐらせてきたもの(5 段落)」「
(話し
手と聞き手で)共有し共鳴される(6 段落)
」
「
「科白」としての質感(8 段落)」などから、人間の身体と
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関わる「実感」のあるものとしてまとめられている。ここから最適解はホ。イは 6 段落から若⼲迷うが、
6 段落「⾃分⾃⾝の⾝体のリズムを同調せざるを得ない」は聞き⼿側の科⽩に対する態度を説明したもの
であり、科白そのものの特徴を説明した空欄には選択肢イ「リズムらしきもの」は入らない。
⼄︓まず空欄直後の⽂章より「科⽩」と対⽐的な語句が空欄には⼊ると判断できる。ここから「台詞」
という語句を含むイ・ハ・ホに絞り込める。ここで甲でまとめた内容を踏まえると、
「台詞」とは「⾔葉
だけのもの、体験感を失うもの」であることから「記号化≒実感を伴わない、抽象化」されたと説明され
ているハが最適解。
問十 ロ
傍線直後の「煙草はせりふを割って吸え」から筆者は「科白」の重要性を訴えていると捉える。そこで 6
段落 2〜3 ⾏目から⾔葉は「共有し共鳴されなければならない」というのが「科⽩」の考え⽅だ、という
指摘に注目するとロが最適解と判断できる。イは「⽂章を論理的に構成」などが「科⽩」の特徴と合致
しない(問九甲の解説参照)。ハは「⾔葉の背景にある歴史と⽂化」などは 12 段落以降の古典落語の具
体例などからも伺えず、また「科⽩」の特徴とも合致しない。ニは「⾔葉はあくまで「台詞」である」
が「科白」の特徴を踏まえる、というこの問題の要求に合致しない。
問十一 体験感
11 段落以降で筆者は今⽇の我々に必要な意識について主張を繰り返しているが、問十でも確認した通り
筆者が重要だと捉えているのは「台詞」よりも「科白」である。ここから 10 段落「⽇常我々の…「台詞」
にしか過ぎない…会話から体験感が失われる」に注目すると、古典落語の時代の⼈々は「科⽩」により
「体験感」を得ていた、と解釈できる。ここから正解は「体験感」となる。
問十二 イ
2〜5 段落より「演劇の⾔葉に対する独特の感じ⽅」とは「科⽩」を⽤いた際に感じるものであるとわか
る。そして 8 段落より現代の⾔葉は「情報化社会」の中で「科⽩」としての「質感を失い=⾝体に関わ
る実感が失われ(問九甲の解説参照)」つつあると述べられ、さらに 10 段落より⽇常我々が⽤いる⾔葉
が「台詞」にしか過ぎないことから、筆者は「科白」の重要性を訴えている、と本文全体をまとめれば、
イが最適解だと判断できる。ロは「孤独な他者」を説明している箇所が無い。ハは「台詞」と「科白」
を使い分けることが「抑圧された自己を解放する」ことができる、と説明された箇所が無い。また筆者
は「台詞」と「科白」を使い分けることよりも、より「科白」の重要性を訴えるような内容に終始して
いる点もハが誤りと判断できるポイントとなる。ニは「科白」が「記号として機能を果たし」という点
が誤り。
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問十八 ハ
「こしらふ」は「なだめる」の意味で覚えておきたい重要語。泣きわめく子供をなだめすかしたりする
シーンでしばしば用いられる。また、現在の「こしらえる(=作る・用意する)
」の意味などもある。た
だし、いずれもこの傍線部の文脈にはぴったり来ない。
「仏が…因縁・譬喩を以て【こしらへ】教え給ふ」
という前後、特に「以」が原因理由・⼿段⽅法などを表す典型的な表現であることを踏まえると、ハ「⼯
夫して」という意訳がもっともよい。
問十九 ホ
「我が分」を考えるときに、
「分をわきまえる」といった表現が思い浮かべばそれで十分といえる。また、
「理」は古⽂・漢⽂では「物の理(ことわり)
・道理」を表すことが多い。この 2 つを手がかりにして解
答しよう。
問二十 イ
傍線部 5「に」は「〜にや、」の形からすぐ断定の助動詞「なり」の連⽤形とわかるようにしておきたい。
本来、その後続部分に「あり」を伴い、「〜に…あり」(〜である)という形になっているものだが、係
り結び・結びの省略(「あり」が⾒あたらないケース)も頻出である。選択肢のイが「〜にあらず」で断
定なのでこれが正解。ロ・ハ・ホは格助詞、ニ・ヘは接続助詞。
問二十一 ニ
筆者の鴨⻑明は平安末期〜鎌倉初期の⼈。つまりそれ以降に書かれたイ〜ハは論外。また、ヘ『古事記』
は歴史であって、随筆『⽅丈記』とジャンルが異なるため、カットできるだろう。消去法で残った選択
肢は 2 つ。ホ『枕草子』は、同ジャンルであるので迷った受験生もいるだろうが、あくまで宮中生活を
題材にした⽂学であり、『⽅丈記』のような隠棲⽂学とは趣が異なる。ニ「慶滋保胤『池亭記』」が『⽅
丈記』の手本になったと言われている作品なのである。
問二十二 Ⅲ-よろしく Ⅳ-いづべし
再読文字「宜(よろしく〜べし)」の知識を問う問題。また、助動詞「べし」は終⽌形接続であることも
思い出そう。
問二十三 ロ・ホ
イは⼄の第五段落、ハは甲の第⼀段落、ニは丙のA、ヘは甲の第四段落および⼄の第四・五段落と、お
およそ一致している。
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