醸造用二条大麦晶種育成に伴う β一グルカン含一量の低減化 1 琴験のねらい 醸造用二条大麦(以下、ビール麦)では、β一グルカ!牟過剰に存在すると、①製麦期間が長 引く、②麦芽エキスが低下する、③発酵を阻害する、④麦汁、ビールろ過が遅延する、⑤ビール におりを生じる尋、ビニル醸造上好ましくない。しかし、この形質は現在の育種プログラムでは 晶質検定項目になく、無検討のまま育種は進められてきた。そこで、育成系統の原麦β一グルカ ン含量について調査検討した。 2 試験方法 栃木分場育成の系統適応性検定試験(以下、系適)供試系統r栃系」のうち、117系統(ユ987 年産)について、麦芽形質、一原麦β一グルカン含量を調査した。原麦β一グルカン含量について は、全β一グルカン含量及び可溶性、不溶性β一グルカン含量についてMccLE蛆らの方法に準 じ定量した。 3 試験結果およぴ考察 ω 供試系統を栃系番号順(ほぼ育成された年代順)に並べると、近年、麦芽形質の向上が著し い。これは、はるな二条および同品種由来の高エキス系統を母卒とし繰り返し用いた結果と考 えられた。 (2)原麦の全β一グルカン含量は3,1ユ∼5.ユ7%(平均4.08肋、可溶性β一グルカン含量はユ.62∼ 3,79%(平均2.54%)と、系統間差異がみられた。一∵方、不溶性β一グルカン含量は1.12∼197 %(平均1.54%)で系統間差は全β一グルカン含量および可溶性β一グルカン含量に比べ小さ かった。. (3)β一グルカン含量に関し無検討であったにもかかわらず、栃系系統の全および可溶性β一グ ールカン含量はその育成年代順に従って低下し、特た近年その傾向が著しい(図一1)。また、 、全戸.一グノkカン含量と可溶性β一グルカン含量との間には有意な正の相関(r=O.929**)が認 められ二さらに不溶性β一グルカン含量には低下の傾向は見られないことから、全!一グルカ ン含量の低下は可溶性β一グルカン含量の低下によるものと考えられた。 (4〕原麦β一グ㍗カン含量と麦芽形質との関係について、有意水準1%で全および可溶性β一グ ルカン含量は麦芽収量率、麦芽全窒素とは正、麦芽エキス、エキス収量、可溶性窒素、コール バッハ数、ジアスターゼカ(WK■TN)および総合評点とは負の相関が認められた。一方、 不溶性β一グルカン含量と麦芽形質との間には、、麦芽エキス、と干キス収量に5%水準で負の相 ■関が認められた以外、相関はみられなかった(表一1)。栃系系統の原麦β一グルカン含量の 低減化は、長年にわたる晶質選抜により自然に同含量の高い系統が淘汰され、低い系統が栃系 として選抜された結果と考えられた。 15)一方、原麦β一グルカン含量が麦芽形質’と関連深いことは、晶質評傾の面からみ肴と、同含 量により、麦芽晶質を推定できる可静性が示唆されたことになる。同含量の璋量は比較的簡単 であり、しかも原麦の段階で未製麦のまま麦芽晶質の選抜が可能となれば、ビ{ル麦晶種育成 にとり画期的な選抜方法になり得ると考える。. 4.成果の要約 原麦β一グルカン含・量は晶質検定項目になく選抜対象でなかったが、栃系系統の全β,一グルカ ン含量はその育成年代順に低下していた。この低下は可溶性β一グルカン含量の低下によるもの 一41一 と考えられた。原麦β一グルカン含量は麦芽形質との相関が高く、原麦β一グルカン含量で麦芽 晶質を推定できる可能性が示唆された。 (担当者栃木分場一伊藤 浩*) *現育種部 え r昌一0,644}} 口 、5 1■、□ 4.5② ● 全 ○ □ □ 口’{’ □ □ 4 { ■一 ■■一□ ㌔ 口。、一□’ ・ 3.5②. I■ □ } 3 r三一②.65ゴ{{ 3.5Q 可 ■□ 亨 ’□ ■ロ 溶 性 一.口 、一 . □’ ・ ・□□ □ 2.5② ロ ロ 2 □ ・・}□、 ’ . □ □ □ { 一一。 ・二’さ畦、 h5② r=一②一12β 2 不 溶 ↑.き② 性 .・“・■{{㌔、’・“’二一 =一、、 □ 」㍗牛ギ.1、午二牙。辛㌔ 一 自.5② .2② 4自 6② ’’’一台② 一②②」 一2② 一i4② 16② 180 2②② 栃 系 番 号 図一ユ 表一1 β一グルカン 含量 一全 、可溶性 不溶性・. 麦芽 収量率 栃系系続の庶麦β一グルカン含量 原麦β一グルカン含量と麦芽形質との相関 麦芽 エキス ェキス’収量 麦芽 可溶性 、コー々、 ジアスタ∵ゼカ ’全窒素窒素 バヅハ数 肌∵脈/TN 蜂合. 工評点 ・0,378w−0,499”、一0.3451・O.251”一〇.378“・O.518榊一〇.127・一0,268”・O.552洲 O・398一■ 一〇.466一一 一〇.299モーO.261写一 一0,402一一 ∵0−548;写 一〇.106−O.253一一一70,551一一 9・030−O・191∵O・189−O・034,一0・019・O1037・一〇・07g・O.◎96一一・一〇一122.、 注.㍗跳,H:1男有意水準・ 一42一
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