He蒸発量 - 下田研究室

不安定核原子のレーザー分光用
超流動Heクライオスタットの開発評価
下田研究室
山口 杏子
目次
研究の背景 ~OROCHI実験とは~
 実験目的
 実験

実験方法
 測定装置

実験結果
 解析 ~クライオスタットの熱負荷~
 結果
 まとめと今後の課題

クライオスタット
Optical RI-beam Observation in Condensed Helium as Ion-catcher
研究の背景 ~OROCHI EXPERIMENT
target
(radioisotope
atoms)
RI原子にレーザーを照射→励起
⇒脱励起光を観測
Laser
レーザー分光
原子の電子準位を測定
超流動He
•超微細構造
•Zeeman分離
超流動HeでRI原子をトラップ
不安定原子核
separator
RI atoms
Ion beam
Accelerator
@RIKEN~
原子核構造を導出
クライオスタット
He II
RI beam
超流動He中で実験するメリット
133Cs
in He II
真空中
放出
吸収スペクトルと放出スペクトルが分離
⇒レーザー光と脱励起光を区別可能
吸収
高速のRIビームを高効率で測定領域に
トラップ可能
超流動He環境が重要!!
クライオスタット
Laser
He II
レーザー分光に適した
超流動Heクライオスタットが必要!!
側窓
底窓
 レーザーの入射→側窓
 脱励起光の観測→底窓
Detector
wavelength: l放出 ≠ llaser
実験目的
窓を通して室温(300K)⇒超流動He(<2.17K)へ輻射熱
光学窓 を有する超流動Heクライオスタットについて
 物理量のモニターシステムの開発
 特性の評価
超流動He環境
何Kを達成可能か。
He液面が安定した状態で何時間維持可能か。
限られたオンライン実験で使用するためには
実験可能時間は長い方がよい。
加速器室中で実験
⇒遠隔操作・モニター
実験
実験方法 ~超流動Heに至るまで~
He gas排気管
Liq.He注入口
外界:室温
1.
24-48h
N2
窒素槽
2.
He槽
He Ⅰ
Liq.N2で予備冷却
3.
ニードル
バルブ
超流動槽
He Ⅱ
He槽に液体Heを注入
超流動槽を真空引き
4.
ニードルバルブを通じて超流動
槽へ液体ヘリウムを輸送
5.
超流動槽を真空引き
⇒圧力を下げることで冷却
2.17Kを目指す!
真空断熱層
(超流動He:相転移温度)
窓
測定装置
安定した超流動He環境を
維持するためのモニター系

温度


圧力


半導体温度計(cernox抵抗センサー)
隔膜式真空計(バラトロン真空計)
He液面の高さ

液体He液面計
モニターシステムの
開発
Liq.N2
窒素槽
ネットワークを介して
遠隔操作とモニターが可能
He槽
He Ⅰ
超流動槽
He Ⅱ
クライオスタット評価のための測定

He蒸発量…ガスメータ
真空断熱層
実験結果
超流動槽:He液面の高さ
He槽:He液面の高さ
超流動槽:圧力
He槽:He蒸発量
超流動槽:温度
超流動槽:He蒸発量
He槽の圧力
~760torr
時間[s]
超流動槽:He液面の高さ
He槽:He液面の高さ
超流動槽:圧力
He槽:He蒸発量
超流動槽:温度
超流動槽:He蒸発量
He槽の圧力
~760torr
4.2K
4.2K
超流動槽:He液面の高さ
He槽:He液面の高さ
超流動槽:圧力
ニードルバルブ
必要以上の流入
⇒He液面の上昇
極低温で封じきれない
超流動槽:温度
2.17K突破
⇒相転移を観測
He槽の圧力
~760torr
He槽:He蒸発量
実測によって
He液面が安定した状態の 超流動槽:He蒸発量
実験可能時間が求められない。
超流動He環境を維持
到達温度:2.0K
クライオスタット熱負荷の解析
He槽と超流動槽の熱負荷
超流動槽の到達温度
He液面を安定化するための条件
He槽のHe持ち時間
超流動He(2.0K)に至ったときの熱負荷
超流動槽:He液面の高さ
He槽:He液面の高さ
超流動槽:圧力
He槽:He蒸発量
超流動槽:温度
超流動槽:He蒸発量
傾き⇒He減少量
He槽の圧力
~760torr
超流動He(2.0K)に至ったときの熱負荷
He槽から超流動槽への
He流入がある
測定値
He減少量
[g/s]
[g/s]
[J/s=w]
He槽
(P~760torr)
0.2782(9)
0.067(8)
1.4(2)
超流動槽
(P~30torr)
-
0.14(2)
2.9(4)
He漏れ量:~0.2[g/s]
超流動槽が超流動Heのときの
He槽の熱負荷
1.4w
⇒He蒸発量:0.07g/s
He蒸発量
液体Heが2.0Kの下での
超流動槽の熱負荷
~3w
ポンプの排気量:120m3/h
クライオスタットの輻射などによる熱負荷
超流動槽:He液面の高さ
He槽:He液面の高さ
超流動槽:圧力
He槽と超流動槽が
液体He温度(4.2K)で
平衡状態
超流動槽:温度
He槽:He蒸発量
超流動槽:He蒸発量
He槽の圧力
~760torr
クライオスタットの輻射などによる熱負荷
測定値
He減少量
He蒸発量
[g/s]
[J/s=w]
[g/s]
[J/s=w]
He槽
0.1061(4)
2.220(9)
0.09(2)
2.0(3)
超流動槽
(常流動He)
0.0387(6)
0.81(2)
0.042(6)
0.9 (2)
誤差の範囲で一致
He槽の熱負荷:
2.2w
超流動槽の熱負荷:0.8w
ポンプの排気量
120m3/h
ニードルバルブが
封じきれたら
超流動槽の到達温度
1.7K
超流動槽のHe液面が安定した状態で何時間実験可能か
超流動槽He液面の高さを保つためには、蒸発量分だけのHeを供給すればよい。
超流動槽:超流動He<2.17K
He槽:常流動He…4.2K
He供給量は0.07g/s
(現在の漏れ量[0.2g/s]の1/3))
供給による熱負荷が生じる。(熱対流)
供給量
供給の熱負荷による蒸発量[g/s]
超流動槽の全蒸発量[g/s]
輻射などの熱負荷による蒸発量:0.04[g/s]
He槽のHe消費量
He供給量+He蒸発量
0.07g/s
0.07g/s
0.14g/s=4 ℓ/h
He密度(4.2K)…124.8g/l
He槽の容積…20 ℓ
He槽の液体He持ち時間:~5h
結果
ニードルバルブのHe供給量を現在(0.2g/s)の1/3にできれば
超流動He環境(1.7K)を作り出し、約5hの実験が可能
今後の課題

ニードルバルブの改造
極低温でリークが生じない
 流入量が微小(<0.07g/s)

温度・He液面の安定化を目指す。

He槽の温度モニター
超流動槽と同様の温度計をつける。
まとめ
不安定核原子のレーザー分光用
超流動Heクライオスタットについて
モニターシステムの開発を行った。
熱負荷を測定した。
到達温度を測定した。
ポンプの排気量を求めた。
理想的な到達温度と実験可能時間を見積もった。
おわり
到達温度
熱負荷と真空ポンプの排気量
3w
120m3/h
到達温度:2.0K
He槽の熱負荷:理論値との比較
超流動槽:He液面
He槽:He液面
超流動槽:圧力
超流動槽:温度
He槽:He蒸発量
超流動槽:He蒸発量
He槽の圧力
~760torr
He槽の熱負荷:理論値との比較
測定値
計算値
He減少量
He槽
[g/s]
[J/s=w]
0.0599(8)
1.25(2)
1.3w
よく一致!
ニードルバルブからの熱負荷がない特別な状況
ニードルバルブからの熱負荷もある一般的な場合
He槽の液体He持ち時間を求める
超流動層から蒸発する分のHeを供給
ただし、常流動Heの流入による熱流入も考慮する。
超流動槽からx[g/s]蒸発するとする。
比熱の積分

4.2 K
THeⅡ
C p dT ~ 10[ J / g ]
He供給による熱負荷=10[J/g]×x[g/s]=y[w]
超流動槽の全熱負荷=クライオスタットの熱負荷+He供給による熱負荷
=(0.8+y)[w]=(0.8+10x)[w]
=x[g/s]×20.91[J/g]
=29.91x[w]
⇒x=0.07[g/s]
⇒1.5[w]→到達温度1.8K
He槽の液体He減少量=He槽の蒸発量+超流動槽への供給量
=0.07+0.07=0.14[g/s]
⇒5h
計算