集落法人版モラール向上手法 集落法人では,作業者の責任感の希薄化を防ぎ,労働の質を向上させる ための方策が求められています。そこで,当センターは,この解決手法とし て,作業者の“モラール(働く意欲)”を高める技術の構築に取り組みました。 ①本手法は,作業者にアンケートを実施し,組織の現状を把握することから始めます。アンケート は,「理念」,「職務」,「対人」及び「待遇」の4要因について,作業者の興味・関心に該当する 「重要度」と組織の実態に該当する「実現度」を調査します。 アンケート(抜粋) 勤務の誇り 問 あなたは,この法人で働いていることに誇りを持って いますか(実現度の質問) ①持っていない ②少し持っている ③持っている 付問 このことはあなたにとって重要ですか(重要度の質問) ①意味がない ②あまり重要でない ③少し重要である ④たいへん重要である ※①~③,④の回答番号が,そのまま得点になります。 ②「重要度」が高く,「実現度」が低い項目は改善が必 要です。 「理念」 の結果 理念の認知 目標一致度 社会的責任 役員の伝達 実現度 重要度 勤務の誇り 将来性 改善点 アンケートの調査項目 <理念> <対人> 役員の配慮 チームワーク 相互扶助 役員の人望 法人の和 わだかまりの解消 構成員からの承認 仕事以外の人間関係 勤務の誇り 理念の認知 役員の伝達 目標一致度 将来性 社会的責任 <職務> 仕事の達成感 仕事への挑戦心 仕事の自信 仕事での成長感 仕事での能力発揮 仕事の創造性 仕事の責任 仕事の自由裁量 仕事の適性感 仕事の能力の承認 <待遇> 労賃の他の構成員との比較 労賃の仕事との比較 設備や職場環境 作業時間 安全と健康 疲労 これまでに,モラールを向上させるためには,「理念」 及び「職務」要因を高めることが効果的なことを明らか にしています。「対人」及び「待遇」要因に問題があれ ば,「理念」及び「職務」要因の向上は期待できないの で,問題のある項目の改善から始めます。 ③改善点については,皆で話し合いながら実践します。 全戸参加型の集落法人では,「職 務」要因の重要度が低く,仕事自体 への関心が薄い傾向があります。こ の場合,“グッド&ニュー” ※のよう に遊びの要素を取り入れながら,作 業者自身が「話す」,「聴く」, 「考える」訓練をします。そして, 作業者一人一人に少しずつ役割を任 せ,仕事での成長を促します。 どうしたら誇りを 持って働けるか マンガで組織のあり方を学ぶ 本手法の実践には,役員の方の協力 が欠かせません。作業者の成長のた めに,良いところを積極的に褒める ことから始めてみませんか。 ※ボールを持った人が,順番に最近身の回りに起こった何か良い出 来事,または新しいことを皆に紹介します。これを継続すること が前向きに考える訓練となり,習慣共有による一体感の向上も期 待できます。 “グッド&ニュー”の実践 2011 広島県立総合技術研究所 農業技術センター 栽培技術研究部
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