根軌跡法� • 閉ループ伝達関数Go(s)の極の配置から 閉ループ特性の概略がわかる • 望ましい閉ループ特性を満たす制御系を 設計するには、極の配置に着目すればよい� 1+G(s)H(s)=0の根� 81 根軌跡� • G(s)に含まれるパラメータ(主にゲイン)の 一つが0から∞まで変化するとき、 1+G(s)H(s)=0の根がs平面上に描く軌跡 • 代数方程式を解かず、G(s)の零点と極の 位置から作図する • 根軌跡から閉ループ系の周波数特性、時 間特性が把握できる 82 根軌跡の例� 次の2次のサーボ系の根軌跡 R(s)� +� −� K s(s + 1) C(s)� 1+G(s)=0�⇒�s2+s+K=0�の根を求め、 Kが0から変化したときの根s1, s2の 軌跡を描く 83 根軌跡の例� s1 , s2 = 1 1 ± 1 2 2 4K Kが0から変化したときの根s1, s2 K=0 0<K< K = 14 K > 14 1 4 s1 = 0, s2 = 1 s1 , s2 は s 平面の実軸上 s1 , s2 = 12 s1 , s2 = 12 ± j 12 4K 1 84 根軌跡� K=0� 1 K= 4 K=0 K=0 85 根軌跡の特徴� 1. 根軌跡がs平面の左半平面にあるので、 Kの値に関わらず常に安定 2. Kが0≤K≤1/4の範囲ではサーボ系のステッ プ応答は単調増加 3. 1/4<Kのとき、ステップ応答は振動的と なる。Kの値が大きくなるとき • 減衰率ζが小 ⇒�減衰性は小 • 固有振動数ωnは大�⇒�速応性向上 • 特性根の実部は常に−1/2� ⇒�整定時間はあまり変化しない 86 根軌跡法� • 特性方程式が2次方程式なら解を求め て根軌跡を描くことができる • 3次以上では解けない ⇒�法則を使って根軌跡を描く� m (s G(s)H(s) = zi ) i n と書けるとする� (s pi ) i 87 根軌跡法� 1. 根軌跡は開ループ伝達関数G(s)H(s)の極 から出発して、G(s)H(s)の零点で終わる 2. 根軌跡の分岐の数はG(s)H(s)の極の数に 等しい 3. 根軌跡は実軸に対して上下対称 88 根軌跡の例� R(s)� +� −� K s(s + 1) C(s)� 開ループ伝達関数 K G(s)H(s) = s(s + 1) 1. 極は2個で0と−1 ����� 零点は0個で∞ 2. 分岐の数は2個 3. 実軸に対し上下に対称 89 根軌跡法� 4. 無限遠点に伸びる根軌跡分岐の漸近線の 傾斜角φ0と、漸近線と実軸との交点σ0は 以下のように求められる 0 0 (2k + 1) = n m b1 a1 = n m ただし、b1はG(s)H(s)の極の総和、a1はG(s)H(s)の 零点の総和 n b1 = m pi , a1 = i=1 zi i=1 90 根軌跡の例� R(s)� +� −� K s(s + 1) C(s)� 0 開ループ伝達関数 K G(s)H(s) = s(s + 1) 4. �n=2, m=0, b1=−1+0, a1= 0 �なので 3 , 0 = 2 2 1 0 = 2 0 = = 2 1 2 0 = 3 2 91 根軌跡法� 5. 実軸上のある点から右側をみて、 G(s)H(s)の極と零点の数の総和が奇数 ならばその点は根軌跡上にある 92 根軌跡の例� R(s)� +� −� K s(s + 1) C(s)� 開ループ伝達関数 K G(s)H(s) = s(s + 1) 5. �−1≤x≤0の範囲では右 側に極0が1個(奇数)で 零点はない。したがって この実軸の点は根軌跡 の上にある 93 例題8.7� 次の閉ループ系について、その根軌跡を描け K R(s)� C(s)� +� s(s + 1)(s + 2) −� 開ループ伝達関数 K G(s) = s(s + 1)(s + 2) 極は ���3個、s=0, −1, −2 零点は��なし。すなわち無限遠 94 例題8.8� 1. 始点は0, −1, −2 �����終点は無限遠点����� 2. 根軌跡の分岐は 極の数である3本 3. 実軸に対して対称 � 95 例題8.8� 4. 根軌跡分岐の漸近 線の傾斜角φ0と、漸 近線と実軸との交点 σ0は n=3, m=0, b1=0−1−2=−3, a1= 0 ����なので � 0 0 5 = , , 3 3 3 = = 1 3 0 0 = 0 5 = 3 3 = 0 = 1 96 例題8.8� 5. 実軸上の根軌跡� −1≤x≤0の範囲では 右側に極が0の1個。 x≤−2では右側に極が 0, −1, −2の3個。 従って−1≤x≤0, x≤−2 は根軌跡の上にある 97 根軌跡による補償� • 根軌跡により、周波数特性と時間特性を 把握できる • 開ループ伝達関数に対して、閉ループ 伝達関数に望ましい特性を持たせること にも有用� 98 根軌跡による補償� • 仕様として、減衰率と整定時間で与えら れている場合 d T s ts • 減衰率 = = cos n ζ�の選び方は条件による� 99 根軌跡による補償� • 減衰率(行き過ぎ量)に よる根軌跡の制限� d d cos 1 d = d 100 根軌跡による補償� • 整定時間による 根軌跡の制限� 3 Ts = n n = ts 3 ts 3 = ts 101 根軌跡による補償� • 2つの条件を合わせ ると右図のような範 囲が許容範囲 • 設計の際には閉ル ープ伝達関数の極 がこの許容範囲に 入るようにゲインを 定める� d 3 = ts 102 根軌跡における補償効果� PD制御の効果を根軌 跡で確認 K R(s)� C(s)� +� s(s + 1)(s + 2) −� = K’� 減衰率をζ’に設定したと き交点からゲイン定数が K’が求まるが、これでは 速応性や定常特性が満た せないとする 103 根軌跡における補償効果� PD補償を入れる K R(s)� s + 1.5 +− s(s + 1)(s + 2) 同じ減衰率をζ’でもωn�, K が大きくなり、速応性、定常 特性が改善する C(s)� = K>K’� K’� 104 根軌跡における補償効果� 位相進み補償の効果 K R(s)� C(s)� +� s(s + 1) −� 根軌跡は右図 = K’� 105 根軌跡における補償効果� 位相進み補償を入れる K s+2 R(s)� C(s)� + − s(s + 1) s+3 同じ減衰率ζ’でもωn、Kが 大きくなり、速応性、定常 特性が改善する K>K’� = K’� 106 例題8.9� 次の閉ループ系について、 仕様に合致するように、設 計せよ K R(s)� C(s)� +� s2 −� a) 整定時間 Ts ≤ 3[sec] b) 行き過ぎ量Os ≤ 10% 107 例題8.9� Kを調整しても安定限界 負の実軸上に零点を 付加して、根軌跡を左 に移す。 T = 3 3[sec] s n より、ζωn=1とする Os = 10%はζ=0.6に対応す るので、ζ>0.6 108 例題8.9� 特性根をζ=0.6に対応した s1 , s2 = 1 ± j1.33 とする 補償要素の零点を s = −z = −1 と定める 109 例題8.9� 点s1が根軌跡上にあるた めの位相条件 Gc (s1 )G(s1 ) = (2k + 1)180 すなわち (s1 + z) s1 2 (s1 + p) =(2k + 1)180 (s1 + z) = (j1.33) = 90 s1 2 = 2 s1 = 2(127 ) より (s1 + p) = 16 110 例題8.9� 実軸上の極pは s = p = 5.63 K(s + 1) Gc (s1 )Gp (s1 ) = 2 s (s + 5.63) ゲインKを求めるために |Gc (s1 )Gp (s1 )| = 1 |s1 | |s1 + 5.63| K= |s1 + 1| (1.66)2 (4.82) = 10 1.33 2 10(s + 1) Gc (s1 )Gp (s1 ) = 2 s (s + 5.63) 111
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