解 答 - 難関私大文系専門 増田塾

2015 入試解答速報
難関私大文系専門予備校
2月9日
上智大学(総合人間科・法・外国語学部)国語
解答と解説
解 答
(満点︓100 点)
大問一(50 点)
問一(5 点)c
問二(5 点)b
問三(5 点)d
問四(5 点)b
問五(5 点)b
問六(5 点)a
問七(5 点)d
問八(5 点)c
問九(5 点)a
問十(5 点)a
大問二(25 点)
問一(1 点)b
問二(1 点)a
問三(1 点)a
問四(2 点)c
問五(2 点)d
問六(2 点)a
問七(2 点)d
問八(2 点)a
問九(2 点)a
問十(10 点 各 2 点×5)a-C
b-B
c-B
d-C
e-A
1
解答速報の著作権は増田塾に帰属します。許可無く⼀切の転⽤・転載を禁じます。
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大問三(25 点)
問一(8 点 2点×4)1-b
3-d
4-b
5-c
問二(3 点)a
問三(3 点)c
問四(3 点)d
問五(4 点 2 点×2)X-b
問六(4 点 2 点×2)1-c
Y-a
2-d
(※配点は予想配点です)
解 説
大問一
まず、解説の際の基本ルールとして、①「できるだけ選択肢を⾒る前に本⽂中の根拠を探し確認するこ
と」、②「選択肢を種類分けして判断すること」という 2 点を説明しておく。①は、本文傍線部とそのイ
コール部分より「正解の選択肢はこの内容を踏まえたものであるはず」と、選択肢を⾒る前に答えの根
拠を本文から確定する、ということである。②について、選択肢の種類は「◎=本文と完全に一致」
「○
=本文とほぼ一致」「×=本文と矛盾する」「ナシ=本文中に書かれていない」「ズレ=本文中に書かれて
はいるが、視点や論理関係がズレている」
「△=曖昧でどちらとも取れるので他の選択肢との相対比較が
必要」という 6 種類で検討する。
「◎」
「○」は正解、
「△」は相対比較で正解になるときもある(例えば、
選択肢が 4 本あって、◎○が無く、△が 1 つ、×が 3 つなら△が正解になる、ということ)。
「×」
「ナシ」
「ズレ」は不正解である。
問一
傍線部 1 にあるように「実⽤から分離される」ということは同じ⾏の上にある「後者=非実用的」とい
うこと。そしてそれは前の⾏「所有されること」であり、A 文 1 段落 5 ⾏目の「ひとが個⼈として所有
したいという情熱(情念)の対象」につながっている。つまり、なぜ「純粋な物」になるかというと、
実⽤性を離れて情熱の対象となるからである。この点に触れている選択肢はcであり、これが正解。a
のように「物の機能」といってしまうと「実用的な機能」も「非実用的な機能も」両方入ってしまうの
2
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で×。bの「機能に変化が生まれる」
、d「好かれることによって」がともにナシ。
問二
傍線部 2 の説明は 3 段落 2,3 ⾏目にあり、「世界に対する整理・分類・操作」であると書かれている。
特に「整理・分類」に注目できれば、「⼦供は蒐集しないと世界を整理分類できない」、つまり「混沌と
したまま」ということになる。このあたりは「混沌=カオス」⇔「秩序=コスモス(=本⽂の⾔葉で⾔
えば「整理」に近い)」という現代⽂⼊試では必須である対義語の知識が必要。⼦供は「蒐集」によって
「混沌」とした世界を「整理・分類」しているのである。よって正解はbである。a は「未知の現象を把
握」が「整理・分類」とイコールにならないので×、cは「まじないによって」「⾃分と同化」がともに
×、dは「雑多なもの」「安心をえる」がナシ。
問三
「パラドックス」は「逆説」のことであり、入試現代文では頻出である。「逆説」とは「⼀⾒⽭盾するよ
うに⾒えて、実は真理を⽰す説」のこと。これを⼿がかりに考える。A 文 4 段落で「逆説」の説明と考
えられる部分は 2 箇所ある。1 つめは 2,3 ⾏目「客観的には決して証明されえない」反⾯「主観的には
〜⽴証する必要がない」
、2 つめは 3,4 ⾏目「物の〜特異性は〈私〉に所有されることに由来する」が
「〈私〉が⾃⼰の〜特異性を認識するのは、どのようなものを所有しているかによる」である。1 つ目の
ほうを根拠とすれば正解は a、2 つ目のほうを根拠とすれば正解はdとなる。まず 1 つめのアプローチと
して、両⽅本⽂に類似の表記がある場合は、傍線部前後の論旨の流れに合う⽅を選ぶ。ここで 2 段落を
思い出すと、「蒐集」の対象である「物」は「所有(=非実用的)」されることにより「純粋な物」とな
る、とあった。ということは「所有」という視点が前提であり、この点にはっきり触れているのはdで
ある。次に 2 つめのアプローチだが、
「逆説」には「⼀⾒⽭盾」つまり「対⽐」的内容が必要である。し
かし 1 つ目のほうは厳密に言えば対比になっていないのである。
「客観的に証明されえない」と対比にな
るためには「主観的には⽴証する必要がない」ではなく「主観的には証明されうる」でなければならな
い。よって傍線部の説明に直接対応するのは 2 つ目のほうであり、この点からも正解はdである。
問四
傍線部の後ろに「このように」で傍線を含む部分をまとめた内容がある。そこには「蒐集された物は〜
いわば情熱としての物であり」と書かれている。つまり傍線部の「自分自身を蒐集している」とは、自
分自身の持つ「情熱」を示している、ということである。この点に触れているのはb「気持ち」とc「情
熱そのもの」である。しかしcは「自分自身のプライドの表現」がナシ。よって正解はbである。
問五
傍線部直前の部分に「実⽤の対象〜ではなくて、情熱としての物」とある。つまり「実⽤的な機能は関
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係ない」ということ。さらに傍線部「記号」の意味が「あるものがそれ以外の何かを意味する」ことだ
とわかれば正解はbだとわかる。
「記号」についても⼊試現代⽂では知っていなければならない知識であ
る。
問六
傍線部を含む文の冒頭、A 文 5 段落 3 ⾏目から⾒ていくと、
「蒐集によって⼈は〜世界と⼀体化しようと
している」
「蒐集が〜⼀つの総体=集合をめざす」とある。ということは傍線部の「不安」とは「世界と
⼀体化できない」
「総体になれない」不安だとわかる。この点を踏まえているのは a であり、これが正解。
「総体に何かが⽋ける」
「不⼗分性」
「世界との関係を喪失」すべて⽂意に合っている。bは「誤謬」が×。
「まちがい」ではなく「不⼗分」なのである。また「夢物語」もナシ。cは「⾃分の魔術的な能⼒が未
熟」がナシ、dは「自分と他との相違」がナシ。
問七
傍線部に「⾝体性の回復としての⼿づくり再認識の時代にふさわしい」とあるので、傍線部の理由は「現
代は、『身体性』『手づくり』が失われてしまったからもう⼀度⾒直そう」という内容になる。この点を
踏まえて A 文 8 段落を⾒ると 2,3 ⾏目に「〜重要なのはむしろ、⾝近にある使い慣れた道具や材料を
⾃在に組み合わせ⾏う創造的⾏為」とあり、これを回復して⾒直そう、という内容をもつ選択肢が正解
になるはず。最も近いのはdであり、これが正解。dは前半が 8 段落 1 ⾏目、後半が 2、3 ⾏目にそれ
ぞれ対応している。a の「普遍性が過度」
「⼈間⾃⾝の中に潜在する能⼒、⽣産性」
、bの「野性の⼒によ
る」はともにナシ、cは「それらをさらに発展させるため」が真逆で×。
問八
傍線部 8 はB文 1 段落にあるが、この段落の 3 ⾏目以降に書かれている「引⽤」は、ほぼ「引⽤⽂」の
意味であり「引用(すること)」そのものについてではない。よって次の 2 段落も含めてヒントを探す。
すると 2 段落 2,3 ⾏目に「ほかのテキスト〜秘密を⾒出すこと」、5,6 ⾏目にも「引⽤においても創造
活動は〜働いている」とある。これを根拠として選択肢を⾒ていく。aは「⼀作品に織り込まれた」が×。
これだけでは「組みかえ」の意味が出ない。bは「当然の」がB文 1 段落 4 ⾏目「無意識であるとを問
わず」に反するので×、cは言い方は変えているが 2,3 ⾏目の内容にほぼ近く、正解候補。
「止揚」は
本来「相対する要素をともに一次元高いレベルで統合して生かす」という意味だが、ここでは、様々別々
の諸要素(2 段落 2 ⾏目)を統合していく、という意味で使われており、完全に意味が一致するとはい
えないが、ほぼ正しい。dは「意図的に邂逅」がやはりB文 1 段落 4 ⾏目「意識的であると無意識であ
るとを問わず」に矛盾するので×。やはり正解はcである。
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問九
傍線部「かつてのような素朴で牧歌的な〈独創性〉」とは B 文 2 段落 1 ⾏目「他に少しも依存しない独
創性」のこと。それが「崩れ去る」といっているのだから「引⽤」が成⽴している選択肢を選べばよい。
さらに傍線部直後の⼀⽂より「引⽤においても〜創造活動は〜働いている」点もおさえる。a は「本歌取
り」がまさに「引⽤」であるし、
「より豊かにする」という末尾部分も「創造活動〜働いている」と⼀致
する。正解候補である。bは「伝統的な様式にとらわれない」が本文と真逆で×、cは「引用」の意味は
出ているが「複雑な様相」では「創造活動」にならないので×、dはそもそも「引用」になっていないの
で×。正解は a である。
問十
選択肢の主語がすべて「ブリコラージュ」なので、
「ブリコラージュ」の説明が書かれていたA文 8 段落
を⾒る。すると 2 ⾏目「⾝近にある使い慣れた〜創造的⾏為」、4 ⾏目「あり合わせの道具や〜物を作る
こと」とある。この点を正しく踏まえているのはaであり、これが正解。bは「今までにない身近なも
の」がナシ、cは「関係性に乏しい」がナシ、dは「独創的とはいえない」と否定的に捉えている部分
がB文 2 段落 6 ⾏目「創造活動はまぎれもなく働いている」に反するので×。
大問二
問一
「極」とあるから「極限・限り」と類推しよう。同じように「命の限り」という表現も「寿命」を表す。
問二
⾔伝と⽂字の⽐較となれば、
「⾔伝=後に残りにくい」⇔「⽂字=後世まで残る」という対⽐を⾒抜くの
はそれほど難しいことではないだろう。ここでも「消ぬる」は「言伝が途絶えて消えていく」ことを表
す。
問三
「阿礼」とは「稗田阿礼」のこと。彼の誦習した歴史を太安万侶が筆録したのが『古事記』である。
問四
「たらざる」とは「⾜らざる」のこと。「不⾜する・⼗分でない」といった趣旨になる。
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問五
直前の「書状にては分かりがたき事も有りて、…委しき事は口状にいひやりて、よく分かる事もあり」
を踏まえた表現なので、⼿紙では不⼗分なところを⼝頭で補うという内容になろう。
問六
前段落の内容を受けているので、
「⾔伝への徳(⾔伝の利点)」も考慮に入れつつ解答を選ぶ。
「言伝への
ままならば〜べき」と「中々に⽂字伝へになりて…ぬる」も内容的に対⽐になっている。
問七
「難」には「難癖をつける」といったように「ケチをつける」という意味もある。
問八
「偏った考え方ではないだろうか」ということ。
問九
「⾔霊の…国」とは万葉集にある⾔葉で、「⾔葉の霊⼒が幸せをもたらす国(=日本)」のこと。日本に
は古くから「言霊信仰(⾔葉には神秘的な⼒があり、⼝に出した⾔葉は必ず実現する、という考え)」が
あるので、⾃分の思いを託した和歌が重視されたり、おめでたい席で不吉なことを⾔わないようにする
習慣が残っていたりするのである。
問十
a〜eに該当する説明を、本⽂中から探してみると、以下のように対応している。
b→宣⻑の⽂章の⼆段落目「遠き所へ⼤切の⽤事をいひやるに、⼝状にては違ある故に、書状にていひ
やる、是は文字の徳也」
c→宣⻑の⽂章の四段落目「⽂字は不朽の物なれば、⼀たび記し置きつる事は、いく千年を経ても、そ
のままに遺るは文字の徳也」
e→匡⿇呂の⽂章の⼆⾏目「上つ代をも今の如く知らする事灼然、是を⽂字の徳と云めり」
大問三
問一
1…「雩(あまごい)して雨ふるは何ぞや」という問に対する答えの部分であるということ、かつ直後に
再読文字「猶(なほ〜ごとし)」を⽤いて「⾬乞いをせずに⾬が降るようなものだ」と⾔っていること、
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この 2 点から、「無何也」は「たいした意味はない・たいした理由はない」の意味を想定したい。
3…傍線部内の句法だけでは選択肢を絞りにくいので、⽂脈の助けを借りる。ここでは「Aにあらず、B
なり」と言っているからAとBは対比となるが、そのB(以文之)の「文」の意味に気づけると、解答
の手がかりを得ることができる。「文様」などという熟語からも想定できるように、「文」には「飾り」
といった意味があり、このこと自体、過去の入試でもよく出題されている。傍線部直前の、①日食月食
への対応、②干ばつに対して雨乞いをすること、③占いをしてから大事なことを決定すること、この①
〜③はすべて、
「飾り」に過ぎない=形式的なもので実効面での期待はしていない、ということになろう。
これと同じことを言っているのがd。
4…「百姓(ひゃくせい)
」は読みと意味の両方が重要である。
「お百姓(ひゃくしょう)さん」ではない
ので注意。
5…先述の通り、「文」(飾り)の意味がカギ。
問二
①日食月食、②干ばつ、③大事なことを決める…というのは、主に為政者に何かをする必要が生じてい
るケースではなかろうか。
問三
「⽉⽇〜、⽔⽕〜、珠⽟〜、礼儀〜」と 4 つ並ぶ対句形式は明らかで、
「⽔⽕」以外の 3 つ(=「月日が
高くない」
「宝石の美しさが外に現れない」
「礼儀が国家で⾏われない」)もヒントとして活用できる。ま
た、水と火とは対比となることも多いのだが、ここでは「月日」が似たものとして使われていることも
鑑み、「⽔や⽕が…」と並列で考えるのがよさそう。
問四
a〜cが「はっきりしている・光り輝く」等の意味。a「顕著」、b「武勲赫赫」、c「明⽩」などの熟
語から想定したい。
問五
X…「於」が「〜より」と読むケースは、直前に形容詞等が来ているのが目印になることが多い。今回
も「明(あきらかなり)」が直前にあるので、「莫明於〜」は「〜より明らかなるは莫し」と読むことに
なる。
Y…「乎」は「か・や・に・より」などいろいろな読み⽅があるが、ここでは「不睹乎外」で「外に睹
(あらわさ)ず」と読むことになりそう。選択肢ではa「名を後世に垂る」が該当する。
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問六
荀子の「性悪説」、孟子の「性善説」は覚えておきたい。荀子の説くところは、誤解を恐れず大まかにい
うなら、
「人は本質的に(様々な意味で)弱い生き物であるからこそ、日頃から礼儀等を身につけて自ら
律していかなければならない」というもの。
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