解答と解説 - 難関私大文系専門 増田塾

2015 入試解答速報
難関私大文系専門予備校
2月3日
上智⼤学(TEAP利⽤⼊試)国語
解答と解説
解 答
(満点︓100 点)
大問一(42 点 各 4 点×8 ※問五は各 3 点×2 問九は各 2 点×2)
問一 a
問二 d
問三 d
問四 a
問五 ア-b イ-b
問六
a
問七 c
問八 b
問九 b、e
問十 c
大問二(36 点)
問一(3 点)c
問二(各 1 点×2)b・d
問三(各 2 点×2)②-a ④-c
問四(3 点)b
問五(3 点)b
問六(3 点)b
問七(3 点)b
問八(3 点)b
問九(3 点)d
問十(3 点)a
問十一(3 点)b
問十二(3 点)c
大問三(22 点)
(1)(各 2 点)1=c 2=a 3=c
(2)(各 1 点)b、f
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解答速報の著作権は増田塾に帰属します。許可無く⼀切の転⽤・転載を禁じます。
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(3)(A、B共に各 1 点×2)A=d、e B=b、c
(4)(2 点)c
(5)(2 点)b
(6)(2 点)d
(7)(2 点)a
(8)(2 点)e
(※配点は予想配点です)
解 説
大問一
まず、解説の際の基本ルールとして、①「できるだけ選択肢を⾒る前に本⽂中の根拠を探し確認するこ
と」、②「選択肢を種類分けして判断すること」という 2 点を説明しておく。①は、本文傍線部とそのイ
コール部分より「正解の選択肢はこの内容を踏まえたものであるはず」と、選択肢を⾒る前に答えの根
拠を本文から確定する、ということである。②について、選択肢の種類は「◎=本文と完全に一致」
「○
=本文とほぼ一致」「×=本文と矛盾する」「ナシ=本文中に書かれていない」「ズレ=本文中に書かれて
はいるが、視点や論理関係がズレている」
「△=曖昧でどちらとも取れるので他の選択肢との相対比較が
必要」という 6 種類で検討する。
「◎」
「○」は正解、
「△」は相対比較で正解になるときもある(例えば、
選択肢が 4 本あって、◎○が無く、△が 1 つ、×が 3 つなら△が正解になる、ということ)。
「×」
「ナシ」
「ズレ」は不正解である。
問一
空欄X直後にイコールを示す「つまり」があるので、続く一文をヒントにする。
「つまり」で始まる文で
は、現代の若者とバブル期の若者を⽐べて「現代の若者の⽅がずっと幸せ」と⾔っている。つまり両者
を⽐べて「今の⽅が幸せ」と⾔っているのだから、選ぶべき選択肢も「昔より今の若者の⽅が幸せ、満
足している」という内容になるべき。よって正解はaとなる。b は「80 年代の若者」が主語になってお
り、「現代の若者」に触れていないので×、cは 20 代男性の比較対象が 60・70 代の高齢者になってい
るが、空欄近辺にそうした話題はなくナシ、dは「バブルの崩壊」が「⼆〇代男⼦の満⾜度を押し上げ
た」という因果関係が本⽂に書かれておらず判断不可能なのでナシ。
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問二
傍線部 1 の直前に「この」という指⽰語があるので、前段落をヒントにする。傍線部の「混乱」とは前
段落の「格差社会だが若者は幸せを感じている」⼀⽅で「⽣活に不安を感じている若者も多く、社会へ
の満⾜度や希望を持つ若者は少ない」という⽭盾した内容を⽰している。この内容を⽰しているのはd
であり、これが正解。aは「正確な判断が阻害」がナシ、b「所属する集団により」
「データが十分に整
理されていない」がナシ、dも「調査そのものの有効性が疑われる」がナシ。
問三
傍線部 2 は傍線部 1 の具体例でイコールであり、問⼀もヒントにできる。また傍線部 2 にも「この」と
いう指⽰語があるので前段落を⾒る。すると傍線部中の「意表をついている」の⾔わんとしていること
がわかる。ふつう人は「将来もっと幸せになれるだろう、と思うから幸せを感じる」のであるが、引用
されている大澤真幸は「これ以上幸せになれないと思うとき、人は今の生活が幸せだと答える」と言っ
ている。つまり一般的な考え方と逆なのである(これは問一とも合致する)。この点を正しく説明してい
るのはdであり、これが正解。aは「論理的整合性が不⼗分」がナシ、bは「筆者が従来主張してきた
定義と正反対」がナシ、dは「⼀般的な幸せの理解が誤りである」がナシ。
問四
傍線 3 の後ろ 2 つの段落で判断する。次段落には「希望がない=幸福になれる」
「希望が持てる=幸福」
とあるようにどちらも同じ「幸福」なのだが「希望がある(+)、ない(-)」と真逆である。さらに次の
段落を⾒ると「彼らの不幸(-)」を作り出しているのも「未来への展望のなさ」だとあるが、この「未
来への展望がない」状態は前段落でいう「希望がない」と同義であり、前段落では「希望がない=幸福
(+)」でもあった。つまり「幸福(+)」になったり「不幸(-)」になったりする、ということ。この
点をもっとも的確に⽰しているのがa「表裏の関係」で、これが正解。b は「放置された」が傍線部 3
後半の「変質」と矛盾するので×、cの「幸福をもたらすものへと新たに解釈された」では(+)からは
っきり(-)になった、ということになってしまい、どちらの言い方もできる、と言っている本文(傍
線部 3 の次段落と次々段落)と合わないので×。d は「差異を無視」「結果的に類義語として扱われる」
がナシ。
問五
ア、「『非社会的』であるような若者」とは前の⾏の「ニートや引きこもりの若者」のことである。また
本来「社会性がある」という場合、「他者との関係を持つ」「広く社会に通じる」という意味で使うこと
も考慮すれば、正解はbである。a「個人の自由」、c「道徳」、d「解体を企てる」はそれぞれナシ。
イ、直前の文に「キャラの相互確認」とあるので「再帰的に確認」の「再帰」には「相互」の意味が必
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要。つまり、自分が相手のキャラを確認すると、相手も自分のキャラを確認してくれるので結果的に自
分に戻ってくることになる。よって正解はb。a「繰り返す」、c「仲間の間を一回りして」、d「原点
に⽴ち返って」は全てナシ。
問六
B文 1〜4 ⾏目を⾒ると、傍線部 4 は、B文 1 ⾏目「何が若者の不幸と幸福を分けているのか」という
問いに対する説明である。その答えが「仲間の存在」(B文 2 ⾏目)であり、「他の世代に比べて突出し
て高い」
(B文 4 ⾏目)のである。この点を踏まえて選択肢を⾒ると、b「世代間のギャップを増幅」は
ここでの意図(「なにが幸福と不幸を分けるのか」)と異なるので×、c「偏った⼈間関係」はナシ、d「時
代を問わず〜不可⽋な条件」は傍線部直前の「他の世代に⽐べても突出」と⽭盾するので×。よって正解
はa。
問七
傍線部 5 中の指示語「その」は前文の「幸福の条件としての『コミュニケーションと承認』の地位が高
くなりすぎた」を⽰している。また「その原因であり帰結でもある」より「きっかけも結論も」
「初めも
終わりも」=「それしかない、唯一」ということになる。この 2 点を踏まえると、正解は両方満たして
いるcとわかる。aは「原因や結果を論じることの無効性」が×。傍線部末尾で「原因であり帰結(=結
果)である」とはっきり言っている。b「質ではなく技術」、d「技術ではなく、質」はともにナシ。
問八
傍線部 6 の「状況」は次の⾏で「仲間から承認が得られず、むろん異性からも受け⼊れられない」と⾔
い換えられている。また次の段落 1 ⾏目より、
「ニートであっても仲間さえいれば幸せに⽣きていける」
とあるので、傍線部 6 の「状況」は「幸せに生きていけない状況」である、ともいえる。この点を根拠
に選択肢を⾒るとbが最も近く、正解である。bは「就労=⾃⽴した⽣活」「異性=結婚」「幸せに⽣き
る=将来の展望」と言い換えてはいるものの、意味は近い。a「自分が何者かという問い」はこの部分
での話題ではないので×。傍線 6 は前段落にある「幸福と不幸を分かつライン」における「不幸」にな
るほうの話である。c「仲間から影で批判される」、d「急いで仕事をさがさなければ具合が悪い」はと
もにナシ。
問九
まず次段落 1 ⾏目に「キャラとはコミュニケーションの円滑化のため」とある。さらにその次の段落 2、
3 ⾏目に「コミュニケーションがキャラの相互確認に終始」「親密さを育み承認を交換する機会」ともあ
る。つまり傍線部 7 の理由は「若者はキャラの相互確認を通して親密さを育み、コミュニケーションを
とるから」である。選択肢を⾒ていくと、aは「キャラ」が「コミュニケーションを通して確⽴する」
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といっている点が×。そうではなく「キャラの相互確認」によって「コミュニケーションが成⽴する」の
である(因果関係が逆)。よってbは正しい。c「調整はコミュニケーション上、難しい」、d「問題が
生じやすい」はともにナシ。eはb同様の意味となるし傍線部 7 の後ろ 7,8 ⾏目の内容より正しい。正
解はb、eである。正解を「2 つ」選ぶ点にも注意。
問十
選択肢を⾒てみると、まずaは前半部分がB⽂の 20 ⾏目とB⽂ラストに書かれているが、因果関係が逆
なので×、さらに「アイデンティティーの確保」も×。B文 24、25 ⾏目にあるように、「キャラ」はあ
くまで「仮想⼈格」であり、「本⼈の⾃⼰認識とは⼀致しない場合もある」のだから、「アイデンティテ
ィー」とは⾔いえないし、本⽂中にその⾔葉⾃体が無い。同じ理由で「アイデンティティー」に触れて
いるdも×。内容的にも「アイデンティティーの確⽴を断念する」というより「キャラ」で「仮想」の「ア
イデンティティーを確保する」、という話なのでやはり×。bは「キャラの同一性を守ることに忙殺され
てしまっている」「余裕のない状況が背後にある」がナシ。cは前半がB⽂最終段落に書かれているし、
後半の「若者の生活満足感の表面的な高さ」もA文 20 ⾏目と合う。さらにcではこの原因が「コミュニ
ケーション偏重の風潮にある」といっているが、コミュニケーションを偏重することは、本文において
は設定した「キャラ」を変えないことであり、変化を嫌うことになる。すると「今のままでいい」とい
う思いにつながりA文図 1 のように「今のままで幸福だ」という気持ちの高さにあわられるのである。
正解はc。
大問二
問一
荘子は中国古代の思想家である。中国を表すのはc「唐土(もろこし)」。読みも問われることがあるの
で覚えておきたい。a「天竺」はインド、b「呉越」は中国南東部の⼀地域、d「⾼麗」は朝鮮。
問二
おおまかなあらすじとしては、「今日の食事(=A)」に事⽋いた荘⼦が、「五⽇後の千⾦(=B)」など
役に⽴たないと腹を⽴てるエピソード。鮒の例え話では、
「⽃升之⽔(=A)」、
「⻄江之⽔(=B)」が対
応している。道ばたの⽔たまりで困っている鮒にとって、後⽇にいかに⼤量の⽔を得ても意味のないも
のなのである。また、
「常与」は、
「吾は我が常与を失ひ…」とあるから「鮒が失ったもの」。ここから「生
きていくのに必要な(わずかな)水(=A)」と⾒当をつけよう。
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問三
②…「おはせよ」はサ変・命令形なので、a「〜おいでください」か、c「〜いらっしゃいませ」と
なる。また、
「今」には副詞的に⽤いた「もう〜・さらに〜」といった意味もある(例︓今⼀度考える・
今しばらくおまちください)ので、
「今五日」は、a「あと五日」が正解。
④…「ふためく」は「ばたばた騒ぎ⽴てる」の意味だが、これは覚えておくべき重要語というほどで
はないので、
「慌てふためく」といった表現から類推することになろう。
問四
「まゐる(参る)」は、多くの場合「参上する(謙譲語)」でよいのだが、「めしあがる・お召しになる・
お乗りになる(尊敬語)」の意味も覚えておくべきだ。また、本文中に、
「けふまゐるばかりの粟」=「け
ふ⾷ふべき料の粟」という⾔い換えもあるから、
「めしあがる」の意味を⾒抜くことは可能なはずだ。し
たがって、b「御果物ばかりまゐれり(果物だけ召し上がった)」が正解。その他の「まゐる」は、a「さ
しあげる」、c「(明かりを)つける」
、d「(水を)つかう」程度の意味。
問五
傍線部は句法的にも「こう読まなければならない・こう読むほかない」というほどの制約を設けにくく、
傍線部だけで解答を絞るのは難しい。句法で限界に直⾯した場合は、⽂脈の助けを借りよう。傍線部は
荘子の質問にあたる。それに対応する鮒魚の回答部分に注目してみると、
「我は東海の波臣なり(私は東
海の海神の臣下である)
」と名乗っているので、そこから逆算して、荘子の質問=b「あなたはどういう
者なのか」と想定しよう。
問六
「⾊をなす」で「怒りで顔⾊を変える」といったの意味。直前の「忿然(ふんぜん)」も怒っている様を
表す。
問七
「失→無所処」と「得→活(いきん)」とが対応するから、「処する所無し」は「活きていけない」とい
う意味になる。
問八
「君乃ち此を⾔ふ」の「此」は、「荘⼦が⾔ったこと」であるから、荘⼦の⾔葉=「諾。…⽽迎⼦可乎」
と一致するものを選ぶ。
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問九
「不如(〜にしかず)」に注目できればd「〜⽅がよい」を選べる。いまわずかな⽔が得られないのなら
干からびてしまうのだから、「干物屋で(干からびた)私を探した方がよい」と意味的にもつながる。
問十
この文章のテーマともいえるが、問二など、ヒントは十分にある。
問十一
『宇治拾遺物語』は多彩な説話を収録している(=元ネタとしている)
「説話集」なので、bの説明が適
当。
「取材」というと、どうしてもマスコミなどによる取材のイメージが先⾏してしまうが、もともと「芸
術作品や報道記事の素材などを取り集めること」といった意味である。
「取材=材を取る」というように、
熟語を分解して原義を考えることが求められたものと思われる。
問十二
c「⽊に縁りて⿂を求む」は、「物事の⼀部分や細部に気を取られて、全体を⾒失うこと」。また「⽅法
がまちがっているので、目的が達成できないこと」。これだけがほかの 3 つと異なる。
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