2月は二日新甫で荒れた展開か ディフェンシブ志向が強まろう

マーケットウィークリー・815号
マーケット展望 雇用情勢は着実に改善
賃上げによる好循環に期待
2015.2.13
作成者:奥村義弘
雇用情勢は着実
に改善
総務省が1月30日に発表した労働力調査によると、2014年12月の完全
失業率(季節調整値)は3.4%と前月比0.1ポイント低下(改善)した。
この水準は1997年8月以来の水準。また厚生労働省が1月30日発表した
2014年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍、同0.03ポイント
上昇、1992年3月の1.19倍以来22年9カ月ぶりの高水準。雇用の先行指
標である12月の新規求人倍率も1.79倍と同0.13ポイント上昇、1992年2
月の1.80倍以来22年10カ月ぶりの水準。
賃上げによる好
循環に期待
消費税引き上げの悪影響が一巡するとみられる今年は、「企業収益
の好調→賃上げ→消費増」の好循環が生まれるか、アベノミクスの真
価が問われる。安倍首相も自ら財界に春闘での賃上げを要請している。
経団連も「ベア」を明記、財界として「賃上げに最大限努力する」姿
勢を鮮明にしている。また連合は今春闘で一律「2%以上のベア要求」
を決定した。昨年は消費税引き上げの影響もあり、春季賃上げ率は平
均2.19%となったが、個別企業では今春のベア実施に慎重な企業も多
い。企業収益には原油安メリットなどが新たな追い風として意識され
るが、円安や諸コスト増が企業収益に悪影響を及ぼしている内需型企
業も少なくない。支出面でも円安によるインバウンド需要の高まりは
あったものの、昨年の消費税引き上げの影響が想定以上に大きく、実
質賃金が低下し、消費支出の抑制傾向がみられる。一方、日銀短観の
雇用人員判断D.Iをみると、足元の企業の雇用過剰感は非製造業を中心
に、明確に不足超過に転じている。今春の賃上げ環境は整っていると
言えよう。
構造問題へは継
続的な取り組み
が必要
また、日本企業の中長期での成長力を考える場合、生産人口の減少
問題、製造業から医療、福祉、宿泊業・サービス業などへの労働力の
流動化などへの対処は避けられないであろう。現実に女性が活躍でき
る職場づくり、外国人労働力の活用など様々な課題がある。少子高齢
化に対応するためには、より子育て世代に手厚い賃金体系へのシフト
が必要であろう。また生産性が低いと言われるサービス業には最先端
のIT技術、ロボット技術などの積極導入により、労働生産性の向上
を図る必要があろう。多様な人材を活用する面からは、満足度の高い
職場環境の形成が必要である。外国人労働者の位置づけ、正規雇用労
働者と非正規労働者の格差是正問題も労働の質向上の観点から、人材
育成・教育等も含め総合的に判断される必要があろう。
人材関連サービ
ス企業に追い風
景気の緩やかな回復が続いている。人手不足や労働需給のタイト化
は構造問題もあり長期化の様相を見せている。その中でスキルの高い
IT技術者やグローバル人材の正社員を紹介する人材紹介は高いニー
ズを保っており注目したい。これまでの景気変動もあり関連サービス
企業の淘汰も進んでいる。リクルートHD(6098)、テンプHD(2181)、
JACR(2124:JQ)などブランド力ある企業は人材に厚みがあり注
目したい。また製造業では国内回帰がキーワードとして取り上げられ
ている。環境・安全面での製品の高度化が進む自動車業界、製品のラ
イフサイクルが短い情報端末など、研究開発型事業へのニーズが高ま
っている。優秀な人材の確保が課題であるが、メイテック(9744)、
WDB(2475)、トラスト・テック(2154)などに注目したい。
マーケットウィークリー・815号
1.60
40
20
10
0
▲ 10
▲ 20
◇勤労者世帯の消費支出と実収入(2010年=100)
5.0
102
4.0
100
3.0
98
2.0
96
1.0
94
0.0
(注)二人以上の世帯のうち勤労者世帯の値、名目、季節調整値
(出所)総務省統計局「家計調査」
JACR
予想経常
増益率
10
483
35
1,730
36
トラスト・テック
パソナ
2168
675
13
SMS
2175
1,308
9
テンプHD
2181
3,805
26
夢真HD
822
19
ディップ
2362
JQ
2379
5,020
135
アウトソーシング
2427
1,855
51
WDB
2475
831
7
エンJPN
1,630
6
リクルートHD
4849
JQ
6098
3,440
3
メイテック
9744
3,360
30
コメント
人材紹介サービス。中高額帯に特化。コンサルタ
ントを増員し組織力を向上
製造派遣・請負を中心に、設計開発技術者派遣お
よび建設技術者派遣
技術者派遣・請負のみならず、製造請負・受託・
派遣事業などトータル提案
人材派遣・請負、人材紹介、再就職支援、アウト
ソーシングなど総合人材サービス
介護・医療分野に特化した人材紹介、求人広告、
資格情報などをWeb展開
人材派遣・請負事業、人材紹介、アウトソーシン
グ、再就職支援など総合人材サービス
建築技術者派遣事業を中心に、製造業・IT業界
のエンジニア派遣も手掛ける
アルバイト求人情報「バイトル」を中心に、イン
ターネット求人情報サイトを運営
製造業系・技術系・管理系アウトソーシング、人
事紹介、海外人材サービス
研究職派遣サービスが主力、製薬、化学、食品業
界、公的研究機関と高い実績
転職領域に強みを持つ求人情報サイト大手。人材
紹介、求人広告、アジア展開を積極推進
総合人材サービスを展開。海外事業の買収などグ
ローバルNO.1を目指す
エンジニア派遣の先駆企業。グループで7500人の
エンジニア。研究開発・設計に実績
(注)業績は今期日経予想、JQは東証ジャスダック、他は東証 (出所)CAM作成
2014/4Q
2014/1Q
2013/2Q
2012/3Q
2011/4Q
(単位:円、%)
株価
2/6
711
2124
JQ
2146
JQ
2154
UTHD
2011/1Q
(出所)厚生労働省「賃上げに関する実態調査」
◇主な人材関連サービス企業
コード
2010/2Q
◇春季賃上げ状況(民間主要企業)の推移
6.0
消費支出
104
銘柄
2009/3Q
(出所)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
(%)
7.0
実収入
106
2008/4Q
▲ 30
(出所)総務省「労働力調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」
108
非製造業
30
14/1
12/1
0.40
10/1
0
08/1
0.60
06/1
1
04/1
0.80
02/1
2
00/1
1.00
98/1
3
96/1
1.20
94/1
4
92/1
1.40
90/1
5
製造業
2008/1Q
有効求人倍率(季)右軸
50
2007/2Q
6
◇日銀短観 雇用人員の判断DI(最近)
1.80
2006/3Q
(倍)
完全失業率(季)左軸
2005/4Q
◇完全失業率と有効求人倍率
(%)
2005/1Q
7
2015.2.13