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日本基準トピックス
会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する
実務指針」等の改正について(公開草案)の公表
2015年2月10日
第276号
■主旨

2015年2月6日、日本公認会計士協会(JICPA)は、会計制度委員会報告第14号「金融
商品会計に関する実務指針」等を改正する公開草案(以下、「本公開草案」)を公表し
ました。コメント募集期限は、2015年3月9日です。

本公開草案は、ヘッジ会計の現行の取扱いを明確化するための改正を行うものです。

本公開草案は、確定版の公表日以後に適用することが予定されています。
・ 原文については、JICPAのウェブサイトをご覧ください。
http://www.hp.jicpa.or.jp/
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1.経緯
企業会計基準委員会(ASBJ)において、「ヘッジ会計の限定的な見直し」をテーマとして、
ヘッジ関連規定の修正の検討が行われました。その結果、「異なる商品間でのヘッジ取引」
および「ロールオーバーを伴う取引に関するヘッジ会計の適格性」の二つの論点について
対応が必要とされ、JICPA に対して会計制度委員会報告第 14 号「金融商品会計に関する
実務指針」(以下、「金融商品会計実務指針」)および「金融商品会計に関するQ&A」(以下、
「金融商品会計Q&A」)の改正の検討の依頼がありました。
本公開草案は、JICPA による検討の結果、金融商品会計実務指針および金融商品会計Q&A
の改正を行うものです。
2.主な改正内容
(1)異なる商品間でのヘッジ
「異なる商品間でのヘッジ」が認められるか否かに関して JICPA で検討を行った結果、その
取扱いは現行の企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」(以下、「金融商品会計
基準」)および金融商品会計実務指針において明確であるとの結論となりました。
本公開草案では、当該取扱いを周知するため、金融商品会計実務指針に追加の記載を
行っています。主な内容は次のとおりです。

他に適当なヘッジ手段がない場合には、ヘッジ対象と異なる類型のデリバティブ取引
をヘッジ手段として用いることもできる。(金融商品会計実務指針(案)143 項)

利用可能なデリバティブ取引に制約がある場合には、ヘッジ対象と価格変動が類似
する商品のデリバティブ取引をヘッジ手段として利用することが認められている。例えば、
1
石油関連商品をヘッジ対象としてヘッジを行う場合に、流動性が高く価格変動が類似
する原油関連のデリバティブを用いる場合などが該当する可能性がある。この場合、
ヘッジ手段とヘッジ対象の経済的な関係や価格変動の推移から、ヘッジの有効性を
事前に予測しておく必要がある。(金融商品会計実務指針(案)314-2 項)
(2)ロールオーバーを伴う取引に関するヘッジ会計の適格性
「ロールオーバーを伴う取引に関するヘッジ会計の適格性」について、JICPA で検討を行っ
た結果、金融商品会計基準及び金融商品会計実務指針において取扱いが明確なケース
については、周知すべきであるとの結論となりました。
本公開草案では、周知のため、金融商品会計Q&A(案)にQ59-2 を新設しています。主な
内容は次のとおりです。
【前提となる取引】

当初、6 か月後に輸入を予定しているある商品の仕入価格の変動リスクをヘッジする
ため、輸入の見込時期に合わせた商品スワップ契約(輸入時期の当該商品の市場
価格を参照して固定価格と交換するスワップ契約)を締結していた。

しかし、船積みの遅延から 1 か月程度、到着が遅れることが明らかとなったため、元の
商品スワップ契約を満期に決済し、改めて到着見込時期の価格変動をヘッジする
新たな商品スワップ契約を締結した(この新たな商品スワップ契約の締結は、一般的に
「ロールオーバー」と呼ばれる取引の一例である)。
【ヘッジ会計の取扱い】

当初の商品スワップ契約をヘッジ手段としてヘッジ会計を適用していた場合、満期時点
で商品の到着より先に決済がなされるため、ヘッジ会計の中止に該当する。

本ケースの場合は、引き続き当初のヘッジ指定時に特定された商品の予定取引の実行
が見込まれることから、それまでに繰り延べたヘッジ手段に係る損益または評価差額に
ついては、ヘッジ対象に係る損益が純損益として認識されるまで引き続き繰り延べること
となる。
3.適用時期等
本公開草案は現行の取扱いを明確化するためのものであるため、確定版の公表日以後に
適用することが予定されています。
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