入試直前必見情報~中 3 数学~

発展新演習 中 3 数学 指導のポイント
入試直前必見情報~中 3 数学~
トップ校の合否を分ける「てごわい問題」 を最終チェック!!
[数の性質
(倍数・約数)]
~秋田 大問 1 ⑽ 正答率 0%~
300 を 2 けたの自然数 N で割ったところ,商があまりの 2 倍になった。このような N を
求めなさい。
数の性質
数の性質の問題は,国私立では出題
が多いが,公立入試ではあまり出題さ
れない。したがって,左記の問題のよ
解き方 あまりを n とおくと,300 = N × 2n + n = n(2N + 1)
また,300 = 22 × 3 × 52
うに,公立入試での正答率は大問 1 で
あるにも関わらず 0 %である。
N は自然数だから,2N + 1 は奇数である。したがって,n は偶数になる。
よって,n = 22 = 4
ただし,解くのに必要な時間は短く,
高得点を狙うのであれば,いわゆる捨
2N + 1 = 300 ÷ 4 = 75 N = 37
て問にするのはもったいない。国私立
対策も兼ねて,テキストで練習させる
ことを勧める。
テキスト P5 演習問題B大問 7
[確率
(樹形図や表を使って場合を書き出す)]
~長野 問 2 ⑶② 正答率 4%~
1 から 6 までの整数を l つずつ記入した 6 枚のカード 1 , 2 , 3 , 4 , 5 ,
6 をよくきって,同時に 2 枚を取り出す。取り出された 2 枚のカードのうち,偶数が記入
してあるカードの枚数を m,5 以上の整数が記入してあるカードの枚数を n とするとき,m
> n となる確率を求めなさい。
○を付けた 7 通りであ
る。
を挙げてもそれほど多くない。計算で
要領良く場合の数を求めることよりも,
させた方が,確実に得点できるように
2○
右のように 15 通りで
m > n と な る の は,
近年の入試の傾向では,全ての通り
漏れなく書き出すことを優先して練習
解き方 全部の取り出し方は,
ある。
確率
3○
3
1
4○ 2
5
4○
5
3
5
4
6
6○
6
なる。樹形図や表などを活用し,漏れ
4○
なく書き出せるように,生徒自身の中
5
6○
5
6
でルールを決めさせるとよい。
テキスト P40 演習問題A大問 3 ⑵
7
よって, 15 である。
[図形の移動と関数]
~埼玉 大問 2 ⑶ 正答率 5.7%~
AB = 6 cm,BC = 12 cm, ∠B = 90°の 直 角 三
角形 ABC と,PQ = SR = 6 cm,PS = QR = 2 cm
の長方形 PQRS があり,右の図のように,点 Q
は辺 BC 上にあって点 R と点 C が重なっていま
す。
長方形 PQRS がこの状態から出発して,毎秒
P 2cm S
A
る分野である。「求めるべき部分がど
6cm
6cm
B
1 cm の速さで,辺 PQ が辺 AB と重なるまで矢
12cm
Q
C
(R)
印の方向に平行移動します。ただし,辺 QR は辺
のような形で変化していくのか」を把
握することが必須である。左記の問題
は,最初だけ三角形であるが,その後
すぐに台形になる。問題によっては,
形を変えることが複数回あるので,場
合分けをして考える癖をつけさせる必
BC 上を動くものとします。
出発してから x 秒後の,直角三角形 ABC と長方形 PQRS の重なった部分の面積 y を x の
式で表しなさい。また,x の変域を求めなさい。
要がある。
また,各長さを求める際に,三角形
の相似や三平方の定理を用いることも
解き方 BQ = 12 - 2 = 10(cm)を毎秒 1 cm で進むから,x の変域は,0 ≦ x ≦ 10
PQ と AC,SR と AC の交点をそれぞれ T,U とすると,△ABC,△TQC,△URC
は相似になる。よって,TQ:QC = UR:RC = AB:BC = 1:2
x+2
x
また,x 秒後,RC = x cm,QC = x + 2(cm)だから,TQ = 2 ,UR = 2
1
x
x+2
y は台形 TQRU の面積より,y = 2 × 2 + 2
×2=x+1
(
図形の移動と関数
図形の移動は,近年再注目されてい
)
多い。求める部分だけを見ていると,
気づき辛いので,大きな三角形から小
さな三角形をひくなど柔軟な思考を鍛
えてほしい。
テキスト P15 類題大問 2
[いろいろな事象と関数(不連続な関数)]
~岐阜 大問 2 ⑷イ 正答率 26%~
ある会社では,運送会社のA社とB社を利用して,いろいろな重さの商品を運んでいる。
x kg の商品を l 個運ぶときの料金を y 円とすると,0 < x ≦ 20 のとき,それぞれの運送会
社との料金に関する契約は次のとおりである。
A社との契約
y(円)
0 より大きく 6 以下
400
6 より大きく 14 以下
1000
14 より大きく 20 以下
1600
最近注目が高まってきている単元で
ある。出題されると,大問全体で高配
点になることが多い。決して難しい内
B社との契約
(
x kg)
いろいろな事象と関数
容ではないので,対策をして確実に得
商品を 1 個運ぶときの料金は,400 円に,商品の
重さに比例する金額を加えたものとする。加える
金額は 1 kg あたり 80 円以下である。
点できるようにしておきたい。携帯電
話の料金や宅配便の料金など,身近な
ものを例に挙げ説明をすると理解が早
い。
y は x の 1 次式で表される。
ポイントは,長めの問題文を正確に
20 kg 以下の商品を 1 個運ぶとき,A社を利用する場合とB社を利用する場合の料金の差
把握すること,変域ごとに場合分けす
は,最大でいくらになるかを求めなさい。
ること,グラフや式に表すことである。
易しい出題ではグラフが与えられてい
解き方 B社との契約を x と y で表すと,
y = 80x + 400
よって,A社とB社の料金をグラフ
に表すと右のようになる。
右のグラフを参考にして,料金の差
が大きいところを絞って,調べる。
x = 6 のとき,A社は,400 円
B社は,80 × 6 + 400 = 880(円)
差は,880 - 400 = 480(円)
x = 14 のとき,
A社は,1000 円
る場合もあるが,生徒自身でかけるよ
(円)
2000
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
B社は,80 × 14 + 400 = 1520(円)
0
うに指導することを勧める。
テキスト P11 例題 4
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
(kg)
差は,1520 - 1000 = 520(円)
よって,料金の差は最大で 520 円である。
[回転体
(相似の利用)]
~秋田 大問 1 ⒁ 正答率 10.8%~
A
D
右 の 図 の よ う に, 台 形 ABCD が あ り,AD = 1 cm,
回転体も三角形の相似も,極めて入
CD = 2 cm, ∠BCD = ∠ADC = 90°, ∠BAD = 135°で
試に頻出な単元であるが,左記の問題
ある。この台形 ABCD を辺 CD を軸として 1 回転してで
のように,融合させると正答率は急降
きる立体の体積を求めなさい。ただし,円周率をπとする。
下する。ライバルと差をつけるために
B
C
解き方 BA と CD を延長した交点を E とすると,
E
△EAD ∽△EBC
∠EAD = 180°
- 135°
= 45°
,∠EDA = 90°
より,
A
△EAD は直角二等辺三角形である。
1cm
D
2cm
△EBC が回転した立体から△EAD が回転した
立体をひくと,台形 ABCD が回転した立体の体
B
2cm
H 1cm C
とすると,AD // BC,∠BAD = 135°より,
∠BAH = 45°
よって,△HAB は直角二等辺三角形になる。
したがって,BC = 2 + 1 = 3(cm)
AD:BC = 1:3 より,△EAD を回転した立体の体積と△EBC を回転した立体の
体積の比は,13:33 = 1:27
台形 ABCD を回転した立体は,△EAD を回転した立体の体積の 27 - 1 = 26(倍)
である。
1
26
よって,π× 12 × 1 × 3 × 26 = 3 π(cm3)
も,解けるようにさせておきたい。
まず,入試対策としては,回転体=
円柱,円錐,球が組み合わさってでき
ている立体と捉えていて良い。長方形
を回す→円柱,直角三角形を回す→円
錐,半円を回す→球,四分円を回す→
半球は反射的に頭に思い浮かぶくらい
に指導する。あとは,単体で求められ
るか,差や和を使うかであるが,複数
積が求められる。
A から BC に垂線を下ろし,BC との交点を H
回転体(相似の利用)
回解けば判断がつきやすくなるので,
テキストで練習させてほしい。
また,左記の問題のように,補助線
を使って三角形の相似を見つけること,
相似比の 2 乗が面積比・相似比の 3 乗
が体積比になることなどは,他でも応
用が利くことなので,合わせて取り組
ませると効率的である。
テキスト P34 例題 3