ユニバーサルツーリズムおもてなし講座【資料②】

栁田喜代子 先生のご紹介
旅館経営研究所に入社
話し方HR研究所講師、介助士インストラクター
大日本茶道学会教授、池坊華道教授
【主な出講先】
和歌山県観光連盟、岡山県湯原町旅館協同組合
千葉県観光協会、高知市雇用創出促進協議会、
長野県観光協会・タクシー協会、長崎県雲仙市商工会
島根県松江南商工会、新潟県大潟商工会
大分県別府市女将の会、愛知県蒲郡市観光協会
大阪府旅館ホテル生活衛生同業組合
ユニバーサルツーリズム
おもてなし講座
NPO法人 話し方HR研究所
栁田喜代子
1.心のユニバーサルデザインって
(1)いつでも、どなたに対しても「ようこそ」
ホスピタリティの気持ちをもって、接遇する。
人 ・ あいさつ
しっかり、はっきり、発声・発音が大事!
みなさんで発声練習をやってみましょう!
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①1文字ずつ区切って開口母音(アエイなど)と、丸口母音
(ウオなど)をはっきり発声できるように
②ア行からワ行まで、3つに区切って発声できるように
③一行ずつ一息で、丸口母音(ウオなど)をはっきりと
アエイ ウエオ アオ
ハヘヒ フヘホ ハホ
カケキ クケコ カコ
マメミ ムメモ マモ
サセシ スセソ サソ
ヤエイ ユエヨ ヤヨ
タテチ ツテト タト
ラレリ ルレロ ラロ
ナネニ ヌネノ ナノ
ワエイ ウエヲ ワヲ
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1.心のユニバーサルデザインって
(2)介助・手伝いの心がけ
①まずは“声かけ”から
What can I do for you?
お手伝いしましょうか
②共に考え、行動する
③待つこと・見守ること
<相互の人権的立場を尊重する>
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
1)高齢のお客様の傾向と対応について
(1)短期記憶力、判断力が低下し物忘れが起き、不安になりやすい。
・言葉遣い等、年配の方に対する尊敬の気持ちを持って接する。
・相手が求めているものは何か、聞き役に徹する。
(2)高音を中心に音の聞こえが悪くなる。(感音性難聴)
・はっきりゆっくり優しい口調で話す。
(3)見え方が困難になる。(75歳以上の高齢者の90%超が白内障)
・ポスター・案内表示等は大きな文字でわかりやすく。
(蛍光色は見にくい)
・照明器具は白色灯が見やすい。
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
1)高齢のお客様の傾向と対応について
(4)筋力の低下・関節の動きが悪くなるなどの運動機能の低下で、
よろけたり長時間立っていることができなくなる。
・手すり、エレベーターの設置
・3cmの段差でも転倒のリスク高い →段差を埋める等の配慮。
(5)不平・不満の訴えが多く短気になる。
・年配の方に対する尊敬の気持ちを持って接する。
(6)トイレが近くなる。
・トイレの数(少ないと間に合わない場合がある)の確認。
・和式トイレは、しゃがめず使えない方が多い。
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
1)高齢のお客様の傾向と対応について
(7)指先の動きが鈍くなり、一つのことをするのに時間がかかる。
特に初めてのことは内容の理解や手続きに更に時間がかかる。
・余裕を持って接し、外来語を使わずわかりやすい言葉で
説明する。
・記入をお願いする場合は記載例を準備し、
イスに腰掛けて記入していただく。
・順番待ちの方にも声をかけ、イスに座ってもらう等の配慮。
(8)脳血管障害などの疾患による半身まひ、半側無視等の症状。
・杖、歩行器、車椅子等の福祉用具を使用の場合、通路の幅の
確保、車椅子用トイレの設置。
・麻痺側の支援。
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
実際にやってみよう
実習・・・・・
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
2)認知症のお客様のおもてなしについて
(1)認知症とは
ごはんを食べたことを覚えていない、自分のいる場所がどこ
なのかわからない・・・。普通の人なら当たり前にわかっている
ことが、わからなくなる状態。認識したり、記憶したり、判断した
りする力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態。
・「認知症」は病名ではなく、特有の症状を示す状態の総称。
・「認知症」を引き起こす病気はたくさんある。
→ニ大原因:アルツハイマー病と脳血管障害 (混合もある)
→その他原因: レビー小体病、ピック病など
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
2)認知症のお客様のおもてなしについて
(2)認知症のお客様がこられたら
・認知症のお客様は、手助けを求めることがうまくできません。
・困っている人を見かけたら、声をかけましょう。
・困っている時のサイン
① お店の中で迷っている。同じ場所を行ったり来たりしている。
② お金の計算間違いや注文した商品の支払いをしたかどうか
忘れている。
③ 自分が今いる場所がどこなのか、わからなくなってしまった。
④ 何のためにお店にきたのかわからなくなってしまった。
⑤ 無断で商品を持ち帰ろうとする。
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
2)認知症のお客様のおもてなしについて
(3)認知症のお客様の接遇について
① さりげなく様子を見守る。
② 笑顔で余裕を持って対応する。
③ いきなり複数の人で取り囲まない。
④ お客様の視界に入って話しかける。
⑤ やさしい口調で話しかける。
「どうされましたか」「何かお手伝いすることはありませんか」
「どちらまで行かれるのですか」
⑥ 傾聴の姿勢で話を聞きだす。
ゆっくりと、言葉を短く、ひとつずつ話す。
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2.高齢のお客様のおもてなしについて
2)認知症のお客様のおもてなしについて
心がけることは
「驚かせない」
「急がせない」
「自尊心を傷つけない」
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3.肢体不自由のお客様のおもてなしについて
1)肢体不自由者とは
(1)さまざまな肢体不自由者
① 杖使用の歩行困難者
② 上肢障がい者
③ 車椅子使用者
・全国に約176万人
(=全障がい者の半数以上)
・その6割が65歳以上高齢者
(2)車椅子を使用されている方の障害もさまざま
障害を受けた部位によって、行動する目的によって、車椅子の形
状もかえて利用している。
① 手動車いす自走式用(スポーツ用、室内用)、
介助用、座位変換型、入浴用、トイレ用など
② 電動車いす(ジョイスティック型)
③ ハンドル型(高齢者の利用が多く見られる)
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3.肢体不自由のお客様のおもてなしについて
2)肢体不自由のお客様のおもてなしについて
(1)障害物をあらかじめ撤去しておく
(2)「何かお手伝いすることはありますか」と声をかける
(3)杖や歩行器を使用されているお客様の案内は、急がずペースを
合わせてご案内する
(4)お客様が歩行に体力を消耗されてる様子がみられた場合は、休
みながらご案内する
(5)荷物をかわりに持った方が良いか、お尋ねする
(6)車椅子を使用されているお客様の「1メートル目線」に配慮する
(7)棚の奥や高いところにある物は、かわりに取ってお渡しする
(8)車椅子を使用されているお客様には、車椅子でも利用できるテー
ブルやカウンターにご案内する
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3.肢体不自由のお客様のおもてなしについて
3)車椅子を使用されているお客様のご案内方法について
(1)車椅子の操作の留意点
① マニュアルを読んだだけで過信しない
② 少しずつ経験を重ねる
③ できないこと、無理なことはしないで、他の人に協力を求める
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車椅子
①ハンドル
②背もたれ
の操作
④アームレスト
⑦大車輪
③座面
⑧ハンドリム
⑥小車輪(キャスター)
⑩ステッピングバー
⑤足台
⑨ブレーキ
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3.肢体不自由のお客様のおもてなしについて
3)車椅子を使用されているお客様のご案内方法について
実習・・・・・
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4.視覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
1)視覚障がい者とは
全国に約31万人
・先天性視覚障がい者と中途視覚障がい者。
・全盲と弱視。見え方は人それぞれ違う。
2)視覚障がい者のバリア
(1)移動のバリア
・視覚障がい者の移動は白杖歩行、盲導犬歩行、介助者を伴う歩行。
・特に視覚障がい者が単独のときは誘導があるとスムーズ
(2)読み書きのバリア
・点字を読み書きできる人は視覚障がい者の全体の1割。
・外では口頭での説明が大切になります。
(3)コミュニケーションのバリア
・店員さんにたずねたくても、どこに店員さんがいるかわからない17
4.視覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
3)視覚障がい者のお客様がこられたら
(1)すぐに声をかけ自己紹介する。
「いらっしゃいませ、○○の鈴木です。何かお手伝いすることはあ
りますか」
(2)顔も笑顔、声も笑声で応対する。
(3)色、値段など見えているものを言葉で説明する。
(4)大きさや素材感など、手触りで確認できるものは手で触ってもら
いながら説明する。
(5)視覚障がいを持つお客様のそばを離れるときは、一声かけてから。
(6)物やお金をお渡しするときは、口頭で確認する。
(7)座席を選ぶ時など、まぶしさに配慮が必要。
(8)音や香り、触感など視覚以外で楽しめるものがあればご案内。
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4.視覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
4)視覚障がいを持つお客様をご案内(手引き)する
ときは
(1)白杖を持っていない側に立ち、肘を持ってもらう。
(2)進行方向をお伝えしながら歩く。
(3)点字ブロックがある場合は、その上を歩いたほうがいいか、
お客様に確かめる。
(4)歩くスピードを確認する。
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4.視覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
4)視覚障がいを持つお客様をご案内(手引き)する
ときは
実習・・・・・
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4.視覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
5)身体障がい者補助犬について
・盲導犬、介助犬、聴導犬
・身体障がい者補助犬法の周知徹底を!
→なくならない入店拒否の現状。
・お店等では誘導・情報支援のサポートが必要。
6)盲導犬を使用されているお客様のご案内方法
(1)手引きでのご案内
・お客様の右半歩前に立ち、左肘を持ってもらう。
(2)言葉でのご案内
・お客様の右側一歩後ろから方向を案内する。
・引っ張ったり、押したりしない。
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5.聴覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
1)聴覚障がい者とは
・全国に約34万人
・65歳以上の高齢者が6割
・耳が聞こえない、きこえにくい
・聴覚障がいは外見からでは分からない
→ 職員の声かけに反応できない
・聞こえ方や話し方もさまざま
・多くの方が補聴器でのコミュニケーションをしている
2)聴覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
聴覚障がいを持つお客様に声をかけるときは、後ろからそっと肩
をたたく、または正面に立って、はっきりゆっくり話しかける
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5.聴覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
3)聴覚障がい者のさまざまなコミュニケーション
・手話(ただし、手話のできる人は聴覚障がい者全体の約2割)
・筆談
・空書
・口話
・身振り、手ぶり、ジェスチャー
4)筆談のポイント
・要旨をまとめて、できるだけ短い文章で簡潔に書く
→ 文章になっていなくても、単語だけで書いてもOK
・施設案内などはパンフレットなどを活用する
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5.聴覚障がいを持つお客様のおもてなしについて
実習・・・・・
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手話
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6.妊娠中、お子様連れのお客様のおもてなしについて
1)妊娠中のお客様のおもてなしについて
(1)妊娠中のお客様が困ること
・ お腹が大きくなると足元がみえにくくなる
→ 階段を下りるのが怖い。小さな段差で転倒するのが危険。
・ お腹が大きくなると、しゃがみづらくなる
→ 下に落ちた物を拾いにくい。和式トイレは使いにくい。
・ 重たいものを持ったり、長時間立っているとお腹が張る。
(2)妊娠中のお客様がこられたら
・荷物が多い場合には、代わりに運んだほうがよいかを尋ねる
・待ち時間がある場合は、椅子を用意する
・タバコの煙に配慮する
2)お子様連れのお客様のおもてなしについて
・赤ちゃん用・幼児用の椅子等があればお知らせする。
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6.妊娠中、お子様連れのお客様のおもてなしについて
実習・・・・・
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7.外国人旅行者へのおもてなし
心を押し開き、いろいろな人の捉え方をわかろう!
まずは、あいさつから!
伝えようとする気持ちが大切です!
ようこそ、山梨へ
Welcome to Yamanashi !
ホワァン イン ライ(欢迎来到) 山梨
ヤマナシエ オシンゴスルファニョンハムニダ
(시즈오카에 오신 것을 환영합니다)
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8.ピクトグラム
一見してその表現内容を理解できる情報提供手段
非常口
エレベーター
多機能トイレ
(熱海駅)
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9.ユニバーサルツーリズムとは
年齢・性別・能力・言語などの違いを越えて
だれもが気兼ねなく行える旅行のこと = 観光地づくり
心のユニバーサルデザインを目指そう!
いつでも、どなたへも、
やさしさ と 笑顔 で 「ようこそ」
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ご清聴ありがとうございました