~~文京白山の郷 医務室便り 平成 27 年 2 月号~~

~~文京白山の郷
医務室便り
平成 27 年 2 月号~~
まだまだ寒い日が続きそうですが、いかがお過ごしですか。
今年最初の医務室便りは施設の現状報告とご家族へのお願い、それと本の紹介です。
白山の郷では昨年末から死亡退所が続きました。入院中に亡くなられた方1名、施
設で看取った方1名、施設で心肺停止状態になった方2名、急変して病院に救急搬送
したものの亡くなられた方1名です。
この中には、入所した時点でいつ亡くなってもおかしくないと考えられる方が1名
いらっしゃいました。ご家族にも入所の時や機会があるたびにそのことを伝えていま
したが、亡くなった後の準備をほとんどされていなかったようです。
また、口から食べることが難しくなってきた方で、ご家族は最初から延命を望んで
いましたが、いざその時になると家族間でもう一度話し合ってからということになり、
結局、その間に急変して亡くなられました。
あらためてご家族にお伝えしたいのですが、入所されている方々は高齢です。『い
つ急変するか』『いつ死亡するか』それは誰にもわかりません。今日元気だから、明
日も元気とは限りません。『亡くなった後のこと』や『食事が口から食べられなくな
った時のこと』はもちろん、いざという時のことを考えておいて欲しいと思います。
次にあげるようなことを考えていますか?
『最期の時をどう過ごして欲しいですか?』
『残された時間を大切にしたいと思いますか?』
『いつかは必ず死ぬということを受け入れていますか?』
『いつどうなるか分からないということの覚悟はできていますか?』
『胃ろうにするということがどうゆうことか分かっていますか?』
『中心静脈栄養(IVH)のことを知っていますか?』
『心肺停止状態で救急搬送するということが、どうゆうことか分かっていますか?』
『病院で死ぬことが当たり前だと思っていませんか?』
『人工呼吸器のことを知っていますか?』
『自分(主介護者)に万が一のことがあった時、誰が代わりに面倒を看てくれることに
なっていますか?』
『家族の中で意見の違う人はいませんか? 親戚の方はどうですか?』
『家族で決めることを他人まかせにしていませんか?』
『葬儀業者は決めていますか?』
『いくつまで生きたら納得しますか?』...
参考図書の『点滴はもういらない
最期を決める覚悟とタイミング』の中から一節
だけ紹介したいと思います。
『 親の介護をする多くの家族は、親の最期の生き方をどうするか悩みもがいてい
ます。その家族に向き合う医療職・介護職もまた悩んでいます。看取りは、多
くの人がその意味を理解し、協力し、支えあって可能になります。「標準的で誰
にでもあてはまる看取り」なんてありません。でも、たくさんの事例から学ぶ
ことで、自分たちの技と心が磨かれていきます。死生観が変わり、生き方が変
わります。看取りはいのちを引きつぐことだと思います。(5 ページ目) 』
参考図書
☆老いた親とは離れなさい
著者:坂岡洋子
朝日新聞出版
2014 年 10 月
☆人は必ず老いる。その時誰がケアをするのか
著者:本田徹
☆点滴はもういらない
角川学芸出版
2014 年 9 月
ビボ・サイエンス出版株式会社
2014 年 9 月
最期を決める覚悟とタイミング
著者:佐々木淳ほか
☆「大病院信仰」どこまで続けますか
著者:長尾和宏
☆家に帰ろう 在宅緩和ケア医が見た
主婦の友インフォス情報社
旅立つ命の奇跡
著者:萬田緑平
☆胃ろうとシュークリーム
☆穏やかな死に医療はいらない
2014 年 6 月
著者:熊田梨恵
徳間書店
2013 年 10 月
ロハスメディア
2013 年 10 月
著者:萬田緑平
平成 27 年 2 月 文京白山の郷
朝日新書
2013 年 2 月
医務室主任看護師
神山さとし