城県の公共交通政策 の取り組みについて

視
点
城県の公共交通政策
の取り組みについて
茨城県企画部参事兼企画課長
西野 賢一
鉄道やバスなどの公共交通は、日常生活に欠かせない移動手段です。しかし、県内
の公共交通利用者は、車社会の進展や少子高齢化の進行を背景に、昭和50年の年間約
3億人からほぼ半数に落ち込み、県内各地で鉄道や路線バスの廃止が相次ぐなど、公
共交通をめぐる環境は厳しさを増しています。
一方で、平成17年8月にはつくばエクスプレスが開業し、県内6駅でも順調に輸送
人員が増加しており、最近では、コミュニティバスやデマンド型乗合タクシーを運行
する市町村も増加しつつあります。
県では、平成23年3月に「茨城県公共交通活性化指針」を策定し、市町村や交通事
業者などで構成する「茨城県公共交通活性化会議」を通じて、事業所等に対する公共
交通利用の働きかけや、地域の連携による利用促進活動への事業費助成などにより、
様々な取組みを進めています。
また、鉄道事業者に対しては、国や市町村と協調して、安全輸送のための設備更新
費用等の補助を行なうとともに、バス事業者に対しては、広域的な路線の運行経費等
を一部補助し、地域交通ネットワークの維持存続を図っています。
さらには、去る12月5日から7日にかけて、県や沿線市町等が協力して、水郡線全
線開通80周年記念「SL奥久慈清流ライン号」が運行されました。延べ18万人を超え
る多くの人出が記録されるなど、沿線地域の活性化が図られています。
来る3月14日には、いよいよ常磐線の東京駅乗り入れが実現し、「上野東京ライン」
が開業します。特に、特急列車については、朝・夕夜間帯の一部列車を除いて、全74
本中44本が品川駅発着となります。
県では、一本でも多くの乗り入れを目指し、JR東日本に対し働きかけを行うとと
もに、沿線市町村や経済団体などと街頭キャンペーンを実施するなど、機運醸成に努
めてきました。今後とも、常磐線の利用促進を図り、さらなる乗り入れ本数の増加や
利便性向上を目指していきます。
今後は、現在の公共交通活性化指針の計画期間が平成27年度で終了することから、
引き続き公共交通の維持確保を図るため、新年度より指針の改定作業に着手していき
ます。また、国の交通政策審議会において、東京圏における今後の都市鉄道のあり方
についての審議が進められており、県としてもつくばエクスプレスの東京延伸などの
実現に向け、沿線自治体等と連携して取り組んでまいります。
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