岐阜県における原子力防災対策の概要について 岐阜県危機管理部 危機管理政策課 原子力防災室 原子力防災係長 棚橋 幸治 【はじめに】 岐 阜 県 の 周 辺 に は 8 つ の 原 子 力 事 業 所 が あ り 、 う ち 4 つ が 県 境 か ら 30km 内 に あ る 。 平 成 23 年 の 福 島 第 一 原 発 事 故 で は 、 30Km を 超 え て 放 射 性 物 質 の 影 響 が で て お り 、 本 県も原子力災害に対する備えが必要。 こ の 原 発 事 故 を 踏 ま え 、 国 で は 、 平 成 24 年 度 に 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 の 改 正 や 原子力災害対策指針の策定を行ったが、本県では、これに先立ち、県独自の対策を講じ た。 【原発事故後に行われた岐阜県における対策】 ま ず 、 23 年 度 の 取 組 と し て は 、 ・モニタリング体制の強化(モニタリングポストの増設) ・通報・連絡体制の再整備(原子力事業者との平常時の情報交換等) ・専門家による助言体制の整備(原子力アドバイザーの委嘱)など。 ま た 、24 年 度 に は 、原 子 力 防 災 室 の 新 設 な ど 組 織 体 制 の 強 化 を 図 っ た ほ か 、最 寄 り の 原発で福島第一原発事故と同レベルの事故が発生した場合の県内への影響を把握する ために、県独自の放射性物質拡散シミュレーションを実施した。 この結果分かったのは、風向・風速・降雨など気象条件によっては、UPZ(緊急時 防 護 措 置 準 備 区 域 ) の 目 安 距 離 で あ る 「 原 発 か ら 3 0 km」 を 超 え る 範 囲 に も 影 響 が 及 ぶ 可 能 性 が あ る こ と 。ま た 、主 な 侵 入 レ ー ト と し て 、「 揖 斐 川 ル ー ト 」と「 関 ヶ 原 ル ー ト 」 があること。 いずれも、この西濃地域を中心に大きな影響が出る結果となり、最悪のケースでは、 約76万人が一時避難しなければならなくなる可能性もある。 県では、この結果を踏まえ、西濃地域を中心に、モニタリング資機材や安定ヨウ素剤 等の追加配備を行った。 【被ばく医療への取組】 ま た 、 被 ば く 医 療 に 関 し て は 、 県 の 地 域 防 災 計 画 に 、「 活 動 用 資 機 材 の 整 備 」「 医 療 機 関 と の 連 携 」「 災 害 時 の 医 療 救 護 チ ー ム の 設 置 」 な ど を 盛 り 込 ん だ 。 現段階では県独自の取組が中心であるが、今後、国の方針が決まり次第、順次、取り 組んでいく予定である。 【原子力防災訓練の実施】 このほか、県では、24年度から、住民参加の実動を伴う原子力防災訓練を実施して いる。今年度は、昨年11月30日に揖斐川町と関ヶ原町を主会場に行った。揖斐川町 で行ったスクリーニング訓練では、県放射線技師会の皆様にもご協力いただき、多くの ご助言をいただいた。改めて感謝申し上げたい。 【まとめ】 福島第一原発事故後、国や各自治体の原発に関する対応や原子力防災対策への国民の意 識は高まってきている。岐阜県における原子力防災対策について、今後もご理解とご協力 をいただきたい。
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