優秀賞 T OYOHIRO KOHAMA 求人企業への介在価値 事業の成長に貢献する採用 求職者への介在価値 本人の価値観を超えた転職支援 株式会社ファイブセンス 小濵 豊弘 Winner' s Voice 明日から使えるナレッジ 中小企業の経営者が持つ課題を起点に採用ニーズを発掘 経営者が抱える潜在的悩みを探し出し、ワンチャンスしかない タイミングでアプローチし内定獲得。 中小 企 業の経 営 者は、常に人の課 題を持っているという知 見を いかし、その経営者に深く関わりある社労士、税理士を通じて、ピン ポイントで中小企業の品質管理ニーズを探し出すことに成功した。 大学卒業後、大手住設メーカーで法人営業を4年間 経験。その後、大手人材紹介企業へ転職。人材紹介 厳しい労 働 環 境のため、そこから離れることを主 眼に転 職 活 動を 年8月にファイブセンスを設立した。人材紹介企業 本音を聞くことを徹底。 「 転職を決意した本当の思い」や「喜びを感 事業、支社マネジャー、支社長などを歴任し、2013 行っていた求 職 者に対して、求 人 案 件の紹 介ではなく、求 職 者の 在 職 中 に 、当 時 の 先 輩 から 指 摘 を 受 けて自らの じられる瞬間」を再確認する機会を設けたことで、転職を通じて何を してから、その実現のために邁進する」 ようになった。 ション向上と、面接の突破力につながり、転職成功を勝ち取った。 ルーツに思い至り、以後、 「 大きな目標を周囲に宣言 実現したかったのかを明確にすることに成功。それによりモチベー 自分自身のターニングポイント 会社員として働いていたとき、ある先輩から私自身が本当はどうなり たいのかを強く問いただされたことをきっかけに、自身の過去の選択 を振り返り、自分が本当になりたい姿・やりたい事を思い出し、そこか ら飛躍的に成長することができました。自らのルーツを辿ることが、 自分自身を知る良い手段になることを知りました。 今後のビジョン 求職者自らも気づかない、気づけない『本当になりたい自分』を見つける 支援をし、モチベーションを活かせる仕事や企業にナビゲートできる エージェントを目指していきたいです。採用者の定着率や活躍度に悩む 中小企業と個人双方の発展、飛躍に貢献していきます。 い学科を選んだ背景に彼女の潜在的な の出会いを求めていて、良い人さえいれ で、直 接 御 提 案されてみては?」 と社 長 求職者が見失っていた『自分のなりたい姿』を引きだし、整理し、認識する。 志向があるのではないかと考えた。実際、 ば採用したいと考えている。ただ、 とにか にお会いできるワンチャンスを用意して 加えて、企業が抱える潜在的悩みにアプローチすることで、誕生した出会い。 大学時代の研究内容についてお話を聞く く忙しく、 コスト意識も高いため、求人とし もらった。 と、分析が大好きで、何か答えがはっきり てはなかなか表に出てこない。加えて、信 「 面 接当日は私も緊 張しました。私も CLIENT[D社] 大阪にある創業100年を迎える食品メーカー。社員数は62名 と決して多くはないが、着 実に業 績をあげている。特に表 だって採用活動はしていなかった。転職エージェントなども特 に利用はしていない。 エージェントから提案される求人に 応募するも面接お見送りの連絡が続く 9 転職で実現したいことの再発見を促すことに成功 相 手を理 解するために、これまでの人 生の転 機や、選 択 、判 断した 理由、モチベーションの源泉を深くお聞きしていきます。その際、笑顔 になる瞬間や、言葉にでてこなくとも、ちょっとした表情の曇り方ま で、変化に注意して掴み取るようにしています。 CANDIDATE[ I 氏] 2 6 歳 、女 性 。大 学 で 食 物 栄 養 学 を学 び 、大 学 の 紹 介 で 社員数14名の食品メーカーへ入社。入社当時は、商品開発、 品質管理に従事していたが、直近1年半は商品梱包出荷作業 に従事。 でるものに夢中になるとイキイキと話をし 頼関係を非常に重んじる方々です」 社長と初めてお会いし、名刺交換から自 てくれた。さらには、入社当初、一度だけ これまで中小企業の採用を支援してき 己紹 介 、有 料 紹 介 事 業の説 明から必 要 商品開発に携わり、自分が手掛けた商品 た小濵は、そのことを痛感していた。その でしたので。しかし私のあとI 氏は、それ の品質管理まで担当して世に送り出した ため、 「 中小食品メーカーの経営者への まで志 望 理由が答えられず失 敗を続け 経験を話し始めた。 そのときの楽しそうな アプローチがカギである」 と考えた。 しか ていたとは思えないほど、熱 心に、なぜ 表情が、小濵の琴線に触れた。 し、マンパワー不足かつ社長との信頼関 品 質 管 理の仕 事がしたいのかをぶつけ 「本当は開発や分析の仕事が好きなん 係を築くには時間がかかると考えた小濵 ていました。 また私が知らないことまで自 だなあと思いました。食 品メーカーでの は、懇意にしている社労士と税理士に相 分自身で調べてきて、志望理由の中に盛 開発は無理でも、せめて品質管理の仕事 談することにした。経営者と深い信頼関 り込んでいたのです。私も面接の場に一 に就いてほしいと思いました。」 係で結ばれ、社内の事情にも明るい方々 緒にいたので、彼女の仕事に対する誠実 立ちっぱなしの上、通勤時間は、片道2時 始めていたため、他のエージェントから紹 しかし、大阪の中小企業のなかで、食 に紹 介を依 頼したのだ。 「 真 面目でお勧 さや食 品 業 界 への強い想いを説 明しま 間 。毎 朝 4 時に起きて始 発で自宅を出発 介される求人は、業界問わず事務職ばか 品に関する製品開発や品質管理の求人 めできる方がいるのだが、品質管理で人 した」 し、夜21時頃、へとへとに疲れて帰宅する りだった。 しかし、臨んだ面接で明確な志 はほとんど無いため、通常であれば、 「求 材を必要としてそうな経営者はいません I氏の品質管理経験は、即戦力には遠 小濵には、求職者と面談するときに心 毎日だった。休日出勤も多かったという。 望理由を答えられず、失敗していた。彼女 人がありません」 と断るケースが多いだろ か。」 そこである社労士から紹介されたの く及ばなかったものの、社 長は「 仕 事に 掛けていることがある。それは、その人の それでも、真面目な性格で、 「 仕事は休ま が小濵と出会ったのは、 その頃のことだ。 う。ただ、小濱にはこれまで長きに渡って が、D社だった。 熱心な姿勢が気に入った。ウチで育てよ ルーツを辿ることで、本当にやりたい事を ない」 と決めていた彼女は、冠婚葬祭以外 大阪の中小企業を見てきた経験から、一 D社の社長は、長年品質管理で会社 う」 と採用を決めてくれた。現在は、 「 高い つのアイデアが浮かんでいた。 に貢献した社員を、彼の希望通り商品開 レベルの品 質 管 理 業 務ができる職 場で 発へ異動させてあげたいと思っていた。 す。仕事を覚えるために必死に頑張って そんな話を耳にしていた社労士より、 「品 います。」 そう明るく報告するI氏の表情に 質管理でよい方がいれば、異動を決断を は、忘れていた「やりたい仕事」へチャレ するかもしれない。一度おつなぎするの ンジできる喜びが溢れていた。 整理し、自分で認識頂くことだ。今回I氏 で有給休暇を取得したことはなかった。 が、満足のいく転職を実現できたのも、 こ そのような娘の様子を見かねた母親や 履歴書の情報を手掛かりに求職者の モチベーション源泉を一緒に探す こがポイントになっている。 友人から、 「 他の仕事を探すべきだ」 と真 小濵が、I氏の職務経歴書の中で興味 I 氏は、食 品メーカーで商 品の梱 包 作 剣に諭されて、転職を決意する。転職先を をひかれたのが 、 「 食 物 栄 養 学 科 」を卒 大阪の中小企業を深く知る 小濱ならではの発想と戦略が成功を導く 業に従事していた。勤務時間のほとんどは 「自宅から近い」 「 事務的な仕事」で探し 業している点だった。大学で専門性の高 「中小企業の経営者は、いつも人材と AGENT FESTIVAL 2014 -Winter 10
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