平成 25 年度に実施した個別指導において 保険医療機関(歯科)に改善を求めた主な 指摘事項 東北厚生局 平成 26 年 12 月 目 次 Ⅰ 診療に関する事項 1 診療録等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 1~ 2 2 基本診療料等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 2~ 2 3 医学管理等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 2~ 4 4 在宅医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 4~ 5 5 検査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 5~ 6 6 画像診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 6~ 6 7 投薬等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 6~ 7 8 歯周治療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 7~ 8 9 処置等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 8~10 10 手術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P10~11 11 麻酔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P11~11 12 歯冠修復及び欠損補綴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P11~13 13 歯科矯正・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13~13 14 保険外診療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13~14 Ⅱ 請求事務等に関する事項 15 診療報酬請求・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P14~14 16 事務的取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P14~15 Ⅰ 診療に関する事項 1 診療録等 ◎ 診療録は患者の症状経過等を記録しておく重要なものであり、診療報酬請求の根拠となる ことを十分に認識し、保険診療に関する必要事項を、遅滞なく正確に記載するとともに内容の 充実に努めること。 (1) 診療録の記載内容 ① 診療録第1面の記載事項に不備が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。 例:患者氏名、主訴、傷病名、歯式(口腔内所見)、開始、終了、転帰。 ② 診療録第1面の傷病名欄に「う蝕」や「慢性歯周炎」を記載する際は、進行度数を省略す ることなく記載すること。 ③ 診療録第1面の歯式(口腔内所見)の記載は、初診ごとに記載すること。 ④ 診療録第2面の記載内容に不備が認められたので、必要な内容を適切に記載すること。 例:診療日、症状、所見、処置内容、手術内容、指導内容、検査結果、治療方針、 印象材料名、補綴物名、使用金属名、使用薬剤名。 :診療録第2面の部位の記載について、診療録と診療報酬明細書との間に相違が認め られた。 ⑤ 全身疾患に対する服薬状況、コントロール状況について、確認を行いその内容を診療録 に記載すること。 (2) 診療録の記載方法 ① 診療録の記載方法に不適切な例が認められたので改めること。 例:独自の略称の使用、不適切な略称病名の使用、欄外への記載、行間を空けた記載、1 行複数段の記載、鉛筆による記載、判読困難な記載、診療行為の手順と異なる記載、加 筆、二本線で抹消したのではなく、塗りつぶし・修正液・上書きによる訂正(修正前の記 載内容が判読不能)。 :前回と診療内容が同じ場合に「do」の記載をしていた。 ② 複数の保険医が同一の患者を担当する場合は、責任の所在を明確にするため、診療日 ごとに担当した保険医が署名又は記名・押印を行うこと。 ③ パソコン等、OA 機器により作成した診療録の場合は、診療を行った保険医は、必ず診療 録を紙媒体に打ち出した後に記載内容を確認し、署名又は記名・押印を行うこと。 (3) 歯科技工指示書 ① 記載内容・記載方法に不適切な例が認められたので改めること。 例:設計、使用材料(独自の略称)、歯科医師の氏名。 :診療録と歯科技工指示書とにおいて、部位が不一致である。 :日常的に従業員が歯科技工指示書の記載を行っている。 :歯科技工指示書の記載において、設計(歯式・部位等)の記載がなく、歯科技工士に対 し適確な指示が行われていない。 ② 歯科技工指示書の様式について、発行した歯科医師の氏名及び当該歯科医師の勤務 する医療機関の所在地が記載されていない例が認められたので、歯科技工士法施行規則 第 12 条(指示書)に則した様式への改善を図ること。 -1- ③ 歯科技工指示書及び納品書について、保存期限内であるにもかかわらず、確認できない 例が認められたので、適切に整理・保管すること。 (4) その他 ① 診療録の管理・保管については、患者ごとに過去の初診内容等の履歴を速やかに、かつ、 確実に確認できるよう適切な対策を講ずること。 ② 必要に応じて全身所見(状態)を記載する等、安全な歯科医療提供の向上に努めること。 2 基本診療料等 (1) 歯科初診料・歯科再診料 ○ 算定要件を満たしていない歯科初診料を算定していたので改めること。 例:再診相当であるにもかかわらず歯科初診料を算定している。 (歯周病のメンテナンスを行っている患者) (健康診断の結果に基づく診療を行っている患者) (3ヵ月後、6ヵ月後等、定期的な予約の診療が認められる患者) (2) 歯科診療特別対応加算 ○ 歯科診療特別対応加算において、不適切な例が認められたので改めること。 例:患者の状態や治療の中断が必要な状態を診療録に記載していない。 :抑制の有無や体幹保持の必要等、診療日ごとの患者の状態を診療録に記載していな い。 3 医学管理等 ◎ 医学管理について、保険請求の根拠となるべき具体的記述や、必要事項(管理内容等)の 記載が充実していない例が認められたので改めること。また、患者への文書提供が算定要件 となっているものについては、患者への文書提供を行うとともに診療録にその写しを添付する こと。 (1) 歯科疾患管理料 ① 管理計画書の記載方法・記載内容に、不適切な例が認められたので改めること。 例:提供年月日、口腔内の状態、患者又はその家族が記載する歯科疾患と関連性のある 生活習慣等の状況、患者の基本状況(服薬状況)に関する事項の記載がない。 :管理計画書の様式が所定の様式に準じていない。 (患者の同意が適切に得られている旨が不明確) :初回の管理計画書の患者氏名が代筆である。 :患者記入欄の口述筆記を行った場合において、代筆者の氏名の記載がない。また、患 者が記載した内容について、記載誤りがないかの確認がない。 ② 歯科疾患管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:1回目の管理計画書を作成していない。 :2回目以降の継続管理計画書を適切な時期に提供していない。 :管理計画書を患者に提供しない月において、管理内容の要点を診療録に記載してい ない。 :管理計画の内容に変更があった際に管理計画書を提供するなど、個々の症例ごとに 適正に判断していない。 -2- ③ 歯周病に罹患している患者に対しては、歯周病検査を踏まえて歯科疾患管理を実施する ように努めること。 ④ 歯周疾患治療の患者に対する継続的歯科疾患管理について、診療録への要点記載が 極めて乏しく、歯周疾患の改善評価がされていない例が認められたので改めること。 ⑤ 口腔内写真、歯周病検査等の結果を用いた患者への口腔内状況、診療計画等の説明 が、歯科医師により行われていないので改めること。 (2) 歯科衛生実地指導料 ○ 歯科衛生実地指導料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:提供文書の写しを診療録に添付していない。 :指導内容に係る情報を文書により提供していない。 :提供文書の日付と診療録の日付との間に相違がある。 :歯科衛生士による実地指導が15分以上実施されていない。 :提供文書に記載されている指導内容が、個々の患者の状態にあっていない。 (患者の年齢、症状等に応じ、わかりやすい内容で提供すること。) :提供文書にプラークの付着状況結果、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、歯科衛 生士の署名の記載がない。 :歯科医師が歯科衛生士に対して行った指示内容等の要点の診療録への記載がない 又は乏しい。 (3) 診療情報提供料 ① 診療情報提供料(Ⅰ)において、不適切な例が認められたので改めること。 例:単なる紹介を行ったものに対して算定している。 :提供した文書の写しを診療録に添付していない。 :診療録と情報提供文書との写しにおいて、実施日が一致していない。 :診療情報提供料(Ⅰ)について、紹介先の医療機関を特定していない。 :治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報等の記載がない提供文書で算定して いる。 ② 診療報酬明細書において、診療情報提供料(Ⅰ)の紹介先医療機関名を誤って紹介元 医療機関名として摘要欄に記載していたので改めること。 (4) 歯科治療総合医療管理料 ① 診療録に管理内容に関する記載が乏しい例が認められたので改めること。 ② 別の医科の保険医療機関からの診療情報提供料に定める様式に基づく紹介ではないに もかかわらず、算定している例が認められたので改めること。 ③ 別の医科の保険医療機関と連携が図られていないにもかかわらず、算定している例が認 められたので改めること。 (5) 薬剤情報提供料 ○ 薬剤情報提供料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:薬剤情報を文書により提供していない。 :薬剤情報提供文書に用量、効能、効果、相互作用の記載がない。 :処方の内容に変更がないにもかかわらず月2回以上算定している。 (6) 義歯管理料等 ① 新製有床義歯管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 -3- 例:患者への提供文書の写しを診療録に添付していない。 :患者に対し文書により情報提供が行われていない。 :患者への提供文書に欠損の状態・指導内容・保存・清掃方法等の要点に係る記載をし ていない。 ② 有床義歯管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:義歯に係る指導内容の要点、調整方法、調整部位を診療録に記載していない。 :有床義歯を新製した月に、新製有床義歯管理料と有床義歯管理料を算定している。 ③ 有床義歯調整管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:調整方法及び調整部位を診療録に記載していない。 :同一月において、有床義歯管理料の算定がないにもかかわらず算定している。 ④ 有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製、床裏装を予定している患者に対 して有床義歯管理料・咬合機能回復困難加算を算定している例が認められたので改める こと。 4 在宅医療 ◎ 歯科訪問診療を行うに当たっては、「歯科訪問診療における基本的考え方(平成16年日本 歯科医学会)」を参考に適切に行うこと。 (1) 歯科訪問診療料 ① 診療録の記載について、不適切な例が認められたので改めること。 例:実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訪問先名、患者の状態等を診療録に記載していな い。 :患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定めていない。 :診療内容にかかわらず実施時間が画一的である。 :診療録記載の実施時刻(開始時刻と終了時刻)と、診療報酬明細書の摘要欄の実施時 刻(開始時刻と終了時刻)との記載において相違が認められた。 ② 同一建物で複数の患者に対して訪問診療を行った場合に、歯科訪問診療料1を算定して いる例が認められたので改めること。 ③ 単なる日常的口腔清掃のケアを行った例について、歯科訪問診療料を算定することは相 応しくないので改めること。 ④ 歯科診療特別対応加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載していない例 が認められたので、個々の患者の状態について適切な記載を行うこと。 ⑤ 算定要件を満たしていない歯科訪問診療に係る地域医療連携体制加算を算定していた ので改めること。 ⑥ 在宅患者等急性歯科疾患対応加算を算定する際は、同一建物居住者数を確認し、的確 に請求すること。 (2) 訪問歯科衛生指導料 ○ 訪問歯科衛生指導料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯科医師が歯科衛生士に指示した内容の診療録への記載が不十分である。 :指導内容等について、その都度患者に対し文書提供していない。 :実施時刻について、開始時刻と終了時刻が画一的である。 :指導内容が単なる日常的口腔清掃等のケアである。 -4- (例:きれいに清掃しました・歯石除去しました) (3) 歯科疾患在宅療養管理料 ○ 歯科疾患在宅療養管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:管理計画書を患者に提供した日と算定日とが異なっている。 :2回目以降の文書提供を行っていない月に係る、個々の患者の管理内容の要点の診 療録記載が不十分である。 :口腔機能管理加算を算定しているにもかかわらず、患者の状態を適切に評価した結果 を踏まえての管理計画書を作成していない。 5 検査 ◎ 検査の実施に当たっては、その検査結果を診療録へ記載又は検査結果が分かる記録を診 療録に添付すること。また、個々の患者の状態に応じて必要な項目を選択し、段階を踏んで 必要最小限の回数で実施し、結果は適宜評価し治療に反映させ、治癒の判断及び治療計 画の修正等を的確に行うこと。 (1) 歯周病検査 ① 歯周病検査の実施については、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成 19 年 11 月日 本歯科医学会)を参考とし、適切に実施するよう改めること。 ② 歯周病検査において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯周病検査結果の記載内容の修正が二線抹消により行われていない。 :1 回目の歯周病検査後の診療録記載の内容が画一的である。 :2回目以降の歯周病検査を行った場合において、その結果を分析し、その時点での歯 周病に対する治療計画の立案又は修正を行っていない。 :歯の動揺度検査、歯周ポケット測定が未実施である。 :歯の動揺度検査、プロービング時の出血の有無の記載がない。 :臨床所見、画像診断所見等から判断して、検査結果の妥当性を欠いている。 :歯周精密検査について、プラークチャートを用いていない。 ③ 混合歯列期患者の歯周病検査種別の選択にあっては、状態・歯牙年齢等を勘案し、十分 に必要性を考慮した上で実施すること。 (2) 口腔内写真検査 ① 口腔内写真検査の撮影方法について、「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成 19 年 11 月日本歯科医学会)の「口腔内カラー写真」を参考とすること。 ② 口腔内写真検査について、不適切な例が認められたので改めること。 例:口腔内カラー写真が画一的(全額三枚)に撮影されている。 :歯科医師による診査・診断が行われる前に、従業員が撮影している。 :2回目以降の口腔内写真が、前回の検査結果と比較検討されていない。 :口腔内写真の目的、意義等が考慮されず、定期的に口腔内写真を撮影している。 :初診時等に画一的に実施され、歯周病の状態、プラークコントロールの状態等による検 査の必要性が十分考慮されていない。 (3) 平行測定 ○ 平行測定において、不適切な例が認められたので改めること。 -5- 例:支台歯とポンティックの数の合計が6歯以上の場合について、模型の製作がない又は サベイヤー等の使用がない。 :模型を保存していない、又は破損している。 (4) 顎運動関連検査 ○ 顎運動関連検査において、不適切な例が認められたので改めること。 例:チェックバイト検査について、検査結果が診療録に適切に記載されていない。 :少数歯欠損症例のチェックバイト検査の実施に当たって、咬合不安定な状態等を記載 していない。 :ゴシックアーチ描記検査の測定結果について、転写する等の手段により診療録に記載 されていない。 (5) その他 ○ 抜髄後に実施された細菌簡易培養検査の請求が認められたので改めること。 6 画像診断 ◎ 画像診断において、診療録への所見の記載を充実させること。また、歯科エックス線写真は 適切に整理・保管すること。 ① 画像診断の取扱いにおいて、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯科エックス線写真において、現像処理が不適切である。 :治療開始に当たり、必要と思われる歯科エックス線写真が撮影されていない。 :歯科用エックス線フィルムの保存において、撮影年月日や部位等の記載がない。 ② 画像診断において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯科エックス線撮影について、治療に必要な部位が撮影されていない。 (治療に必要な部位が撮影されていない場合は、再度撮影を行うこと。) :歯科エックス線撮影について、診療録への所見の記載がない又は不十分である。 :1歯の根管充填後の確認の画像診断に歯科パノラマ断層撮影が行われている。 :歯科パノラマ断層撮影において、傷病名部位から判断して撮影目的が不明確である。 :一連の症状を確認するため、同一部位に対して行った歯科パノラマ断層撮影と歯科エ ックス線撮影に係る写真診断をそれぞれの所定点数で算定している。 :歯科用 3 次元エックス線断層撮影を行った際に、その所見を診療録に具体的に記載し ていない。 7 投薬等 ◎ 投薬に当たっては、療養担当規則第21条(特に第2号)を遵守すること。薬剤を使用するに 当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、薬事法承認事項(効能・効果、用法・用量) を遵守すること。また、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認してから投薬すること。 ① 鎮痛剤を1日3回投与する場合の必要性について、診療録への記載が不十分な例が認 められたので改めること。また、頓用で鎮痛剤を投与する場合には、その投与回数について 留意すること。 ② 患者の症状によらず画一的な処方が認められたので改めること。 ③ 傷病名もなく、患者の希望でうがい液を投与している例が認められたので改めること。 ④ 病名から判断し必要性のない薬剤の投与が認められたので改めること。 -6- (急性歯髄炎に対する抗菌剤の投与) ⑤ 歯科適応外で必要性の乏しい薬剤の投与が認められたので改めること。 (胃腸薬の投与) ⑥ 高齢者に対する消炎鎮痛剤(坐薬)の投与は、特に慎重に行うこと。また、他の鎮痛剤との 併用にも細心の注意を払うこと。 ⑦ 高齢者に広範囲経口抗菌製剤を投与する場合は、投与量及び投与間隔に留意し、慎重 に投与すること。 ⑧ 佐薬、含嗽剤、ステロイドの投与については、個々の症例ごとに適正にその必要性を判断 すること。 (症状や経過記載等にも合わせて努めること。) ⑨ 抗生剤については、添付文書で用量、用法を確認すること。 ⑩ 薬価の計算誤りが認められたので改めること。 ⑪ 一般的名称での処方せん交付に際しては、一般的名称で処方が行われたことが分かるよ う何らかの記録を残すこと。 8 歯周治療 ◎ 「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月 日本歯科医学会)を参照し、歯科 医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。 (1) 診断等 ① 歯周病に係る症状、所見、治療計画等の診療記録を充実させ、歯周治療を行った際には 局所所見や臨床経過を明確に記載すること。 ② 歯周病に係る一口腔単位での治療方針や治療・安定状態の判断が不明確であるので明 確にすること。 ③ 歯周病の急性症状での薬剤の投与、また、歯周病の急性症状発症時に症状の緩解を目 的として歯周ポケット内への薬剤の注入と同日に歯周病検査を実施している例が認められ たので、急性症状の緩解を待って行うこと。 ④ 画一的に歯周精密検査が実施されているので、歯周疾患の状態、治療の内容等によっ て、検査の必要性を十分に考慮した上で、歯周基本検査、歯周精密検査の選択を行うこ と。 ⑤ 全身疾患を理由にする場合であって、歯周安定期治療を3月以内の間隔で実施する 場合にあっては、全身状態等の記載及び主治の医師からの文書を添付すること。 (2) 歯周治療 ① 歯周基本治療や歯周病検査実施の間隔については、個々の症例ごとに適切に判断し行 うこと。 ② 歯周疾患患者に対する歯冠修復及び欠損補綴に際しては、歯周基本治療後の必要に 応じて実施した検査において、歯周組織の安定等を適切に判断し実施すること。 ③ 歯周基本治療後に確認の歯周病検査を行わず、歯冠修復、ブリッジ、有床義歯等の補綴 治療に着手した例が認められたので改めること。(2回目以降の歯周病検査により治癒の判 断、治療計画の修正、歯周組織の比較検討を行うこと。) ④ 歯周基本治療と並行して、ブリッジ及び有床義歯に着手した例が認められたので改めるこ と。また、やむを得ず必要があって補綴治療を並行させる場合は、その根拠も診療録に記 載し、歯科医学的に適切に行うこと。 -7- ⑤ 歯周病検査を行わずに歯周基本治療を実施した例が認められたので改めること。 ⑥ 口腔内消炎手術を行い、急性症状の緩解が図られていない時期に歯周精密検査を実施 している例が認められたので改めること。 ⑦ 歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後又は治癒後に行うこと を原則とすること。 ⑧ 歯周疾患処置において、薬事法の承認事項からみて算定できない特定薬剤を算定して いる例が認められたので改めること。 ⑨ 検査結果、臨床所見等から判断して、必要性が認められないスケーリング・ルートプレー ニングを算定しているので改めること。 ⑩ スケーリング・ルートプレーニングを行った際には再評価を行い、その後の治療計画を立 案、修正すること。また、補綴治療直後にスケーリング・ルートプレーニングなどの歯周処置 を行っているので、歯科医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。 ⑪ 継続的に歯周治療を行っている症例において、病状が安定している症例は歯周病安定 期治療(SPT)への移行を考慮すること。 ⑫ 急性症状時の対症療法である歯周ポケット内への薬剤注入を行った後に、歯周病の原因 の除去のために必要な歯周基本治療を行っていない例が認められたので改めること。 ⑬ 再診相当であるにもかかわらず初診とし、同一部位における 2 回目以降の歯周基本治療 (スケーリング)を所定点数の100分の50に減算せずに算定している例が認められたので改 めること。 (3) 歯周外科手術 ① 歯周外科手術における症状・所見、手術内容、予後の診療録記載が不十分であるので記 載の充実を図ること。 ② 歯周外科手術を行うに当たり、口腔清掃状態の管理、局所の予後の管理、骨再生の確認 等、速やかな治癒に導くよう管理も継続的に行うこと。 ③ 歯周外科手術について、2年前の検査に基づいて手術を行っている例及び手術後の再 評価がなく短期間で歯冠形成を行っている例が認められたので改めること。 ④ 歯周外科手術を行う際は、手術所見、予後等の診療録への記載の充実を図るとともに、 補綴治療に移行する場合は、治癒に対する相応の期間を考慮すること。 9 処置等 ◎ 処置に当たっては、その妥当性や必要性を十分に考慮した上で妥当適切な診療を行うこ と。 (1) う蝕処置 ○ う蝕処置において、不適切な例が認められたので改めること。 例:長期に渡り漫然とう蝕処置を繰り返し実施した後に抜髄を実施している。 :同一歯に対して繰り返し実施され、必要性かつ歯科医学的に妥当性が認められない。 (2) 咬合調整 ○ 咬合調整において、不適切な例が認められたので改めること。 例:歯内療法、抜歯手術に伴う安静のための削合について算定している。 :咬合性外傷に係る病状や咬合調整の内容について、診療録への記載が不十分であ る。 -8- :歯冠形態修正における歯冠形態の修正理由、歯冠形態の修正箇所について、診療録 に記載していない。 (3) 歯髄保護処置 ① 間接歯髄保護処置を行った後、短期間で当該歯に直接歯髄保護処置を実施している例 が認められたので、的確な診断に基づき歯科医学的に妥当適切な診療を行うこと。 ② 臨床症状及び歯科エックス線検査の結果から判断して、不適切な歯髄保護処置が認めら れたので改めること。 (4) 歯内療法 ① 感染根管処置において、不適切な例が認められたので改めること。 例:実際の根管数に基づいていない。 :感染根管処置を行った後に放置し、治療が継続されていない。 :必要性に乏しいと思われる抜歯前提の感染根管処置を算定している。 :抜歯を前提とした急性症状の消退のための根管貼薬処置を、単根管以外の根管貼薬 処置の所定点数で複数回算定している。 ② 加圧根管充填加算において、不適切な例が認められたので改めること。 例:実際の根管数に基づいていない。 :気密な根管充填が行われていない。 :歯科エックス線撮影による根管充填の状態の確認が行われていない。 (5) 暫間固定・暫間固定装置修理 ① 暫間固定において、不適切な例が認められたので改めること。 例:テンポラリークラウンを暫間固定として算定している。 :検査結果から判断して、必要性の認められない暫間固定が行われている。 :ブリッジのリテイナーを制作するために印象採得、咬合採得を行っているにもかかわら ず、暫間固定を算定している。 :エナメルボンドシステムまたはワイヤーとエナメルボンドシステムによる暫間固定を行っ た症例において、装着に係る費用を算定している。 ② 暫間固定装置修理において、不適切な例が認められたので改めること。 例:暫間固定装置修理に当たり、暫間固定装置の除去の費用を算定している。 (6) 歯冠修復物又は補綴物の除去 ○ 歯冠修復物又は補綴物の除去において、不適切な例が認められたので改めること。 例:根管内ポストを有する鋳造体の除去について、算定要件を満たしていない。 :支台築造(その他)の除去の算定が誤っている。 :インレーの装着されていない歯の抜随に際し、インレー除去を算定している。 (7) 有床義歯床下粘膜調整処置 ○ 有床義歯床下粘膜調整処置において、不適切な例が認められたので改めること。 例:必要性に乏しい。 :有床義歯製作に着手した後に算定している。 :症状、所見、実施内容等の診療録への記載がない。 :抜歯窩の保護等にティッシュコンディショナーを使用したものについて算定している。 (8) その他 -9- ① 顎関節症の治療にあっては、歯科疾患管理にもその状態や治療方針等を反映させ、症 状やエックス線検査の所見等、診療録の記載の充実に努めること。 ② 顎関節症の治療にマイオモニターを用いた場合に、診療録に顎関節疾患の治療の実施 時刻、治療内容を記載していない例が認められたので、適切な記載を行うこと。 ③ 顎関節症の確定診断が行われていないにもかかわらず、顎関節症に対する咬合挙上副 子製作、床副子調整に係る費用を算定していたので改めること。 ④ 歯ぎしりに対する咬合床を装着した症例について、診療録に症状、所見、治療内容、予後 等の記載がないので適切に記載すること。 ⑤ 歯牙交換期の乳歯治療に当たっては、後継永久歯の萌出時期を的確に判断し治療を進 めること。 ⑥ 機械的歯面清掃処置を歯科衛生士が行った場合には、当該歯科衛生士の氏名を診療録 に記載すること。 10 手術 ◎ 手術における所見、手術内容、予後等の診療録への記載の充実を図ること。 また、手術を 実施する際には、患者に与える侵襲等を考慮し、計画的に行うよう努めること。 (1) 抜歯手術 ○ 抜歯手術において、不適切な例が認められたので改めること。 例:難抜歯の手術内容について、診療録への診断所見の記載が乏しい。 :抜歯手術後に比較的短期間で歯槽骨整形手術を行っている。 (2) 歯根囊胞摘出手術 ○ 歯根囊胞摘出手術において、不適切な例が認められたので改めること。 例:診療録に手術における術式及び所見の記載がない。 :歯根端切除手術と歯根嚢胞摘出手術の併施について、診療録への診断所見の記載 が乏しい。 (3) 口腔内消炎手術 ○ 口腔内消炎手術において、不適切な例が認められたので改めること。 例:同一手術野に対して複数の口腔内消炎手術を算定している。 :手術部位、症状、手術内容の要点について、診療録の記載内容が具体性を欠き不十 分である。 :必要な原因疾患に対する治療を実施せず、漫然と口腔内消炎手術を繰り返し実施して いる。 :辺縁性歯周炎の急性発作に対する消炎手術であるものを「骨膜下膿瘍症、口蓋膿瘍 等」で算定している。 (4) その他 ① 手術内容、術後経過、患者に説明した偶発症、予後等に関する診療録への記載が乏し いので改善を図ること。また、図示等必要に応じ活用を考慮すること。 ② ヘミセクションの手術内容について、診療録への記載をしていない例が認められたので適 切に記載すること。 ③ 同一手術野又は病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合について、複数の手術を 算定している例が認められたので改めること。 - 10 - ④ ⑤ ⑥ ⑦ 新製有床義歯装着後の歯槽骨整形手術が認められたので改めること。 下顎隆起形成術と骨瘤除去手術との峻別を明確にすること。 有床義歯印象後に下顎隆起形成術が行われていたので改めること。 抜歯窩再掻爬手術を行う場合には、抗菌剤の投与など十分な管理を行うこと。 11 麻酔 ◎ 伝達麻酔あるいは浸潤麻酔を行う場合は、効果範囲・臨床症状・年齢等を考慮し、個々の 症例ごとにその必要性を適切に判断し実施すること。 ○ 麻酔において、不適切な例が認められたので改めること。 例:部位、使用量が診療録に記載されていない。 :1歯単位で浸潤麻酔の費用を算定している。 (手術野又は病巣単位として算定すること。) :臼歯部の処置を行う際の伝達麻酔、生活歯の補綴物装着の際の浸潤麻酔に関して、 その必要性を検討すること。 :笑気吸入鎮静法を併用する場合には、その管理の内容を診療録へ記載すること。 12 歯冠修復及び欠損補綴 (1) 補綴時診断料 ○ 補綴時診断料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:概要図等を用いた患者への効果的な情報提供が不十分である。 :歯科初診料を誤って算定したために、同一初診で複数回算定している。 :製作予定部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計の要点を診療録に記載 していない。 (2) クラウン・ブリッジ維持管理料 ○ クラウン・ブリッジ維持管理料において、不適切な例が認められたので改めること。 例:提供文書の写しが診療録に添付されていない。 :当該維持管理に係る情報を、患者に対し文書により提供していない。 :患者への提供文書について、保険医療機関名、開設者名、補綴部位を記載していな い。 :維持管理期間中に、同部の歯冠補綴物の再製作を行った場合の歯科用合着・接着材 料の費用を算定している。 :維持管理期間中であって、保険点数が算定できない場合の再製作及び装着等の経 過を診療録へ記載していない。 (3) 歯冠修復 ① 光 CR 充填を実施した場合は、充填歯面の部位について記載すること。 ② 歯冠修復物装着後、短期間で抜歯に至る例が認められたので原因を追及し、歯冠修復 を行った場合には歯冠修復物の維持管理に努めること。 ③ 歯冠修復及び欠損補綴と並行しての副子調整は不適切なので改めること。 ④ 実際とは異なる診療日に装着したとして、診療録に誤って記載し請求している例が認め られたので改めること。 - 11 - ⑤ 前歯に限り認められているレジン前装金属冠を大臼歯に装着し、誤って歯冠修復に係る 費用を算定している例が認められたので改めること。 (4) 欠損補綴 ◎ 「ブリッジについての考え方 2007」(平成 19 年 11 月 日本歯科医学会)に基づきブリッジ の設計を行うこと。 【1】 ブリッジ ① 欠損補綴の実施については、一口腔単位で歯周疾患や隣在歯の状況等を判断し、治 療計画を立案すること。 ② 対合歯の状態等から判断して必要性の乏しい延長ブリッジが認められたので、延長ブリ ッジは原則認められないことに留意すること。 ③ 分割抜歯した際のブリッジの適応については、的確に判断すること。 ④ 第二大臼歯への延長ブリッジにおいて、第二大臼歯のポンティックを大臼歯としている例 が認められたので改めること。 ⑤ 保険給付の対象とならない2歯欠損の接着性ブリッジを誤って作製・装着したにもかかわ らず、接着性ブリッジに係る一連の費用を算定している例が認められたので改めること。 【2】 有床義歯 ① 有床義歯について、不適切な例が認められたので改めること。 例:補強線を屈曲バーとして算定している。 :フックを鋳造鉤として算定している。 :レストのない線鉤をレストつきで算定している。 :1~4歯の有床義歯を5~8歯の有床義歯で算定している。 ② 有床義歯の印象採得後に、歯槽骨の状態を検査するために歯科パノラマ断層撮影を行 っている例が認められたので、的確な診断をもとに保険診療を行うこと。 ③ 1装置に2回の印象採得・咬合採得を算定している例が認められたので改めること。 ④ 有床義歯の咬合採得を誤った点数で算定している例が認められたので改めること。 ⑤ 算定要件を満たさない特殊印象が認められたので改めること。 ⑥ 下顎有床義歯において、全ての残存歯に二腕鉤が設計されている例が見られた。鉤の 数等、臨床的必要性を十分考慮して設計すること。 ⑦ 有床義歯装着直後に鉤歯を抜歯した例が認められたので、的確な診断をもとに診療を 実施すること。 ⑧ 有床義歯について、義歯破折症例が多数認められることから、設計上の要因又は床の 使用材料等、破折の原因を検討し臨床に反映すること。 ⑨ 人工歯について、硬質レジン歯・片側を両側で誤って算定している例が認められたので 改めること。 (5) 修理 ① 有床義歯の修理を行う際には、破折部位、修理内容、状態等の診療録への記載の充実 に努めること。 ② 新たに製作した有床義歯の装着後、極めて短期間に人工歯が脱離したものについて、 有床義歯修理を算定している例が認められたので、適切な補綴時診断、治療を実施する こと。 (6) 歯科技工加算 - 12 - ○ 診療録に預かり日、修理を担当する歯科技工士名及び修理内容の記載がなく、算定要 件を満たしていない例が認められたので適切に記載すること。 (7) その他 ① 残根上の義歯を製作するに当たっては、歯内療法,根面被覆処置等を実施し、治療計 画を立案すること。 ② 単にワーファリン服用のみで、歯内療法及び根面被覆処置等を実施することなく残根上 の義歯を製作している例が認められたので、医科の担当医に照会を行うなど適切な診療を 実施すること。 ③ 抜歯禁忌症以外の場合で、残根歯に対して歯内療法、根面被覆処置が完了したものに ついて、必要があって義歯を製作した場合は、その費用が算定できることに留意すること。 ④ 歯科技工指示書の内容について、使用材料名を的確に記載すること。 ⑤ 歯科技工物が納品された際は、技工指示内容と納品内容との確認を適切に行うこと。 ⑥ 有床義歯床下粘膜調整処置にあっては、有床義歯内面適合法や有床義歯の再製が必 要とされる場合の床下粘膜異常に対して行うものであるので留意すること。 13 歯科矯正 ◎ 歯科矯正診断料、顎口腔機能診断料及び歯科矯正管理料の算定要件は、患者に対し文 書により必要な情報を提供することとなっているので留意すること。 (1) 顎口腔機能診断料 ① 患者又はその家族に提供した文書について、必要事項の一部を記載していない例が認 められたので改めること。 ② 治療計画書に記載するヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等の記載が不十分であるの で適切に記載すること。 (2) 歯科矯正管理料 ○ 患者又はその家族に提供した文書について、一部を記載していない例が認められたので 改めること。 14 保険外診療 ◎ 保険診療から保険外診療に移行した場合には、その旨を診療録に記載すること。 ◎ 保険外診療に係る診療録は、保険診療用とは別に作成すること。 ① 保険給付の対象とならない歯科矯正治療に伴う抜歯手術、歯科初診料、歯科再診料、投 薬に係る費用を保険給付の対象としていたので改めること。 ② 保険外診療で製作された有床義歯の修理期間中に、それ以前に使用していた有床義歯 を修理して暫間義歯として使用するための印象採得、咬合採得、有床義歯修理を保険給 付の対象としていたので改めること。 ③ 保険診療として継続した歯周治療と考えられる症例に対して、保険外診療にて治療を行 っている例が認められたので改めること。 ④ 保険診療としては、コーヌスタイプのオーバーデンチャーに係る一連の費用は算定できな いので留意すること。 ⑤ 保険外診療のみで来院した際の基本診療料を保険請求している例が認められたので改 めること - 13 - Ⅱ 請求事務等に関する事項 15 診療報酬請求 ① 診療録と診療報酬明細書との間で(診療内容・部位・病名・所定点数・合計点数)が一致 していない例が認められたので、照合、確認を十分に行うこと。 ② 診療報酬明細書の傷病名部位欄には、当該月の診療に必要なもののみを記載するこ と。 ③ 所定点数を誤って算定していた例が認められたので、診療録の記載及び診療報酬明細 書の作成時には十分に確認すること。 ④ 診療録と歯科技工納品書とが一致していない例が認められたので、歯科技工物と歯科 技工納品書との照合、確認を十分に行うこと。 ⑤ 当該月に実施している処置又は咬合採得に係る点数を、翌月に保険請求している例が 認められたので改めること。 ⑥ 審査支払機関からの返戻・増減点連絡書は、内容を十分に検討し、以後の診療や保険 請求に反映させるとともに、診療部門と事務部門との連携を図り適正な保険請求に努める こと。 ⑦ 支払基金等で減点された事項について、診療録の訂正が行われていない例が認められ たので適切に処理すること。 16 事務的取扱い (1) 届出事項 ○ 届出事項に変更があった場合は、その都度速やかに東北厚生局長へ変更(異動)届を 提出すること。 例:診療日、診療時間、保険医の異動(常勤・非常勤) :保険外併用療養費に係る報告内容の変更 (2) 掲示事項 ○ 保険医療機関の掲示事項に関して、不適切な例が認められたので改めること。 例:届出されている施設基準等に係る事項が掲示されていない。 :辞退又は廃止されている施設基準に係る事項が掲示されている。 :個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の発行の有無に係る院内掲示が行われ ていない。 (3) 領収証・明細書に係る事項 ① 領収証の様式について、標準例で定められている内容を満たしていないので、各項目 について改めること。 ② 領収証、明細書を発行していない例が認められたので、原則全ての患者に発行するこ と。 (4) 一部負担金に係る事項 ○ 一部負担金の取扱いにおいて、不適切な例が認められたので改めること。 例:徴収すべき者から徴収していない。 :一部負担金の徴収額が誤っている。 :患者への返金が適切に行われていない。 - 14 - :管理簿等の作成がなく未収の一部負担金の管理が不十分である。 :日計表に一部負担金を徴収した患者氏名が記載されていない。 :診療録の算定点数を訂正した場合、それに伴う合計点や一部負担金の訂正がされて いない。 (5) その他 ① 被保険者証等のコピーを保有することは個人情報保護の観点から好ましくないので行わ ないよう改めること。 ② 訪問診療において、要介護被保険者等と思われる患者については、被保険者証の提示 を求めて要介護被保険者等であるか否かの確認を行うこと。 ③ 保険診療においては研究の目的をもって各種検査を行うことは認められないので、療養 担当規則を遵守して妥当適切な保険診療・保険請求を行うこと。 ④ 帳簿、伝票等の関係書類については、所定の期間(3年)保存しておくこと。また、歯科 技工指示書や歯科衛生士業務記録の整理保管に留意すること。 - 15 -
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