計画数理 第6回:制約なし最適化アルゴリズム 林 俊介 無制約(制約なし)最適化問題 この問題を解くためには,計算機上でアルゴリズム を実装するのが一般的. 無制約最適化問題を解くアルゴリズム(の多く)は 直線探索法(というクラス)の一種である. 直線探索法 (注意) テキストではステップサイズの 記号として t を使っているが,スライド ではαを用いる. 以下のように 探索方法 と ステップサイズ(ステップ幅)を使って, 最適解へ収束するような点列を生成する手法の総称. 初期点 … … 直線探索法 (注意) テキストではステップサイズの 記号として t を使っているが,スライド ではαを用いる. 以下のように 探索方法 と ステップサイズ(ステップ幅)を使って, 最適解へ収束するような点列を生成する手法の総称. 初期点 • 多くの最適化アルゴリズムが直線探索法. • 通常,以下を満たすように点列を生成. • 一般的に,生成点列の極限 に対しては,局所最適性 … … しか保証できない. 直線探索法 (注意) テキストではステップサイズの 記号として t を使っているが,スライド ではαを用いる. 以下のように 探索方法 と ステップサイズ(ステップ幅)を使って, 最適解へ収束するような点列を生成する手法の総称. 初期点 更新式は,まとめて以下のように書く. 降下方向 では,探索方向 はどんな条件を満たせば良いか? が以下の条件を満たすことが望ましい. このような探索方向を,降下方向という. ステップサイズとして十分小さな を選べば,必ず となる !! ステップサイズ の決め方 では,ステップサイズ はどのように決めればよいか? アルゴリズムがとても遅くなる. アルゴリズムが正しく動かない. ステップサイズは適切に決定しなければならない! ※ 3つのステップサイズルールがよく知られている. ステップサイズルール 1. 正確な直線探索 (Exact line search) 利点:自然で分かりやすい 欠点:最適化問題を解かなければならず,効率が悪い. ステップサイズルール 2. アルミホ(Armijo)のルール アルミホの不等式を満たす 非負実数 ℓ は必ず存在! とする. 利点:計算機への実装が容易. 欠点:ちょっと分かりにくい. ステップサイズルール 3. ウルフ(Wolfe)のルール 1つめの不等式はアルミホのルールと等価. 2つめの不等式はステップサイズが0に近づきすぎないことを要請. (詳細略) 計算手順 以下に直線探索法の一般的な計算手順を記述する. ※ パラメータ ε は十分小さな正数( など)を選ぶのが一般的. ※ 場合によっては,(3)で「正確な直線探索」を用いてもよい. 次に,探索方向 の決め方を紹介する. 11 最急降下法 (steepest descent method) 最急降下法では,探索方向を以下の式で決定する. 言うまでもなく, は降下方向である.なぜなら, 最急降下法の利点と欠点 利点: 最急降下法は大域的収束性をもつ. どんな初期点 を選んだとしても, 生成点列の極限 は局所最適解になる. (厳密には,いくつかの仮定が必要だが,ここでは割愛.) 欠点: 最適解への収束が極端に遅くなることがある. 目的関数の等高線が丸い場合(収束が早い) 目的関数の等高線が潰れてる場合(収束が遅い) 13 テキスト43ページの例 14 一次収束性 実際,最急降下法で生成される点列は以下のような性質をもつ. このような性質を一次収束性という. (等高線が丸っこい場合) (等高線が潰れた場合) 15 ニュートン法 ニュートン法では,探索方向を以下の式で決定する. (Taylor展開) 16 Notice: 最適化におけるニュートン法は,方程式に対するニュートン法とは別. ニュートン法の利点 利点: ニュートン法は収束がとても速い. を最適解の十分近くに取ることができれば,以下が成立. このような性質二次収束性という. 17 ニュートン法の利点 利点: ニュートン法は収束がとても速い. を最適解の十分近くに取ることができれば,以下が成立. このような性質二次収束性という. テキスト44ページの例 18 収束の速さ(収束率) 一次収束 (Linear convergence) 二次収束 (Quadratic convergence) 超一次収束 (Superlinear convergence) 最急降下法 ニュートン法 準ニュートン法 実際の収束の速さ 19 ニュートン法の欠点 欠点: ニュートン法は大域的収束性をもたない. の選択によっては,ニュートン法は収束しない. 何故か? が降下方向にならないことがあるから. 20 降下方向 (以前のスライド) では,探索方向 はどんな条件を満たせば良いか? が以下の条件を満たすことが望ましい. このような探索方向を,降下方向という. ステップサイズとして十分小さな を選べば,必ず となる !! ニュートン法の欠点 1次元の例 22 最急降下法とニュートン法の利点と欠点 最急降下法 利点: 大域的収束性をもつ. 欠点: 収束率が遅い.(一次収束) ニュートン法 利点: 最適解の周りで収束が速い.(二次収束) 欠点: 大域的最適性をもたない. ※ 目的関数が凸なら,(多くの場合)ニュートン法も大域的収束性をもつ. 23 準ニュートン法 準ニュートン法では,探索方向を以下で決定する. (憶える必要なし) : 最急降下方向 : ニュートン方向 24 準ニュートン法の収束性 準ニュートン法は最急降下法と ニュートン法の利点を併せ持つ! 収束率は超一次収束 実際の収束の速さ 準ニュートン法の利点と欠点 利点 1: 大域的収束性をもつ. 利点 2: 最適解の周りで速い収束性(超一次収束)をもつ. 利点 3: ヘッセ行列を計算しなくてもよい. 欠点: 収束率がニュートン法にくらべて少し遅い. テキストの修正(宿題について) 3限に横井先生から指示があるので,それに従うこと. 27
© Copyright 2024 ExpyDoc