第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 第1 都市間道路交通網の形成 現状と課題 (現状) ○本市と各都市間を結ぶ道路は、急峻な地形により峠部の急勾配や急カーブの箇所 が多く、移動には長時間を要します。 ○主要幹線道路である国道 45 号は、海岸線に面した道路であり、平成 23 年3月の 東日本大震災で津波・浸水により通行不能となった箇所が多数あります。 ○県都盛岡市と本市を結ぶ重要路線である国道 106 号は、北上山地を横断する道路 であるが、場所や時期によっては強い横風が吹きつけ、加えて冬季は圧雪・路面 凍結のため、安全・安心かつ円滑な移動が困難です。 ○国道 340 号は、北上山地を南北に縦断し山間地域を結ぶ路線で、道幅が狭く多く の部分で交互通行に支障をきたす箇所があり、冬季は圧雪・路面凍結があり、雪 崩が発生しやすいため円滑な移動が困難です。 ○隣接市町村を結ぶ主要地方道や一般県道は、峠部などの急勾配や急カーブ、道幅 の狭い箇所が数多くあります。 (課題) ○産業、経済、医療・防災、地域の活性化など様々な分野への波及効果を高めるた め、各都市間の移動時間の短縮が必要です。 ○災害が発生した際にも安心・安全に利用でき、地域間の連携が図られるよう道路 の整備が必要です。 ○盛岡市の高度救命救急センター※1への搬送を含め、救命時間の短縮と走行中の安 全性を確保するための道路の整備が必要です。 ○一般国道「45 号・106 号・340 号」における渋滞緩和、安全確保のためのトンネ ル整備や道路の拡幅等が必要です。 ○隣接市町村と連携・交流を図る基盤となる主要地方道や一般県道の整備が必要で す。 ※1 高度救命救急センター 救命救急センターのうち特に高度な診療機能を提供するものとして厚生労働大臣が定めるもの。 施策の体系 【施策】 【基本事業】 都市間道路交通網の形成 1高規格幹線道路の整備促進 2地域高規格道路の整備促進 3一般国道の整備促進 4主要地方道・一般県道の整備促進 20 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 施策の方向 ○三陸沿岸道路を構成する高規格幹線道路※2「三陸縦貫自動車道」 、地域高規格道 路※3「三陸北縦貫道路」は、産業、経済、医療・防災、地域の活性化を促す基礎 的インフラであり、つながってこそ高速道路としての効果を発揮することから、 全線の早期完成に向け取り組みます。 ○地域高規格道路「宮古盛岡横断道路」は、沿岸部と内陸部の連携を強化する宮古 地区において基幹となる道路であり、災害時の救助・救援活動への支援、高次医 療施設への速達性、安定性の向上、産業拠点との連携・連絡の強化が図られるこ とから、整備促進に取り組みます。 ○一般国道「45 号・106 号・340 号」は、地域産業の振興はもとより、防災や救急 医療への対応などから重要な幹線道路であり、時間短縮、渋滞緩和、交通の安全 確保のため、整備促進や道路利用者の利便性向上に取り組みます。 ○主要地方道・一般県道は、隣接市町村等との地域間交流や地域の産業振興にとっ て重要な路線であり、時間短縮、安全確保及び地域住民の交流促進のため、整備 促進に取り組みます。 ※2 高規格幹線道路 高速道路とともに、全国的な自動車交通網を形成する自動車専用道路。 ※3 地域高規格道路 高規格幹線道路と連携して、地域のつながりを強化する自動車専用道路。 【基本事業1】高規格幹線道路の整備促進 ○「三陸縦貫自動車道」の早期の全線完成を、沿線自治体と一体となって国に働き かけます。特に、 「宮古道路」から北に延伸する「宮古田老道路」 、南に延伸する 「山田宮古道路」の早期完成を国に働きかけます。 【基本事業2】地域高規格道路の整備促進 ○「宮古盛岡横断道路」の事業化区間の早期完成を、沿線自治体と一体となって国 や県に働きかけます。 ○「三陸北縦貫道路」の早期の全線完成を、沿線自治体と一体となって国や県に働 きかけます。特に、 「田老岩泉道路」の早期完成を国に働きかけます。 【基本事業3】一般国道の整備促進 ○国道 106 号の国直轄管理区間への編入を国や県に働きかけます。 ○国道 340 号「中里~和井内間」 、立丸峠トンネル及び押角峠トンネルの早期供用 を県に働きかけます。 【基本事業4】主要地方道・一般県道の整備促進 ○主要地方道重茂半島線「堀内~白浜間」及び「津軽石~熊の平間」の早期供用を 県に働きかけます。 ○主要地方道紫波江繋線「大畑~タイマグラ間」の事業化を県に働きかけます。 ○主要地方道大槌小国線の土坂峠地区のトンネル化を県に働きかけます。 21 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 目標指標 指 標 施 策 ①盛岡市、仙台市、八戸 市までの所要時間 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) 盛岡市まで 盛岡市まで 盛岡市まで 1 時間 55 分 1 時間 50 分 1 時間 46 分 仙台市まで 仙台市まで 仙台市まで 5 時間 30 分 5 時間 15 分 4 時間 18 分 八戸市まで 八戸市まで 八戸市まで 2 時間 55 分 2 時間 38 分 2 時間 25 分 (宮古市の試算による) (宮古市の試算による) (宮古市の試算による) ・宮古北道路の事業計画区間編 ・三陸沿岸道路として全線事業 ②事業進ちょく 基本事業 三陸縦貫自動車道 入 1 化 ・宮古市~山田町間の事業計画 ・三陸沿岸道路の早期完成 (宮古田老道路の早期完成) (山田宮古道路の供用開始) 区間未定 ③事業進ちょく 宮古盛岡横断道路 ・宮古西道路(県施工)事業化 済 ・宮古西道路(県施工)事業化 済 ・宮古箱石道路(宮古西道路(県 完成 ・宮古箱石道路(宮古西道路(県 施工)除く)新規事業化 施工)除く)の早期完成 ・平津戸松草道路新規事業化 ・平津戸松草道路の早期完成 ・区界道路の事業計画区間未定 ・区界道路事業化 ・区界道路の早期完成 ・都南川目道路事業化済 ・都南川目道路(一部)が H27 供 ・都南川目道路の早期完成 基本事業 2 ・宮古西道路(県施工)の早期 用予定 三陸北縦貫道路 ・田老地区の事業計画区間未定 ・三陸沿岸道路として全線事業 化 ・三陸沿岸道路の早期完成 (田老岩泉道路の早期完成) ④事業進ちょく 国道 106 号 ・国道 106 号の国直轄管理区間 編入未定 国道 340 号 ・国道 106 号の国直轄管理区間 編入未定 ・中里~和井内間事業化済 ・国道 106 号の国直轄管理区間 編入 ・中里~和井内間約 45%供用 ・中里~和井内間全工区の供用 ・岩手県政策評価委員会より ・押角峠トンネルの供用開始 基本事業 開始 3 「押角峠トンネルを事業実施 とした県の評価は妥当」との 答申を受ける ・立丸峠地区のトンネル化未定 ・立丸峠のトンネル化等事業化 ・立丸峠トンネル等供用開始 ・堀内~白浜間事業化済 ・堀内~白浜間約 30%供用 ・堀内~白浜間全工区の供用開 ⑤事業進ちょく 重茂半島線 ・津軽石~熊の平間事業化 基本事業 4 始 ・津軽石~熊の平間供用開始 紫波江繋線 ・大畑~タイマグラ間事業化未 大槌小国線 ・土坂峠地区のトンネル化の事 定 ・大畑~タイマグラ間事業化未 定 業化未定 ・土坂峠地区のトンネル化の事 業化未定 22 ・大畑~タイマグラ間の早期事 業化 ・土坂峠地区のトンネル化の早 期事業化 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 【目標値の考え方】 ①各都市間の所要時間短縮を目指すもの(盛岡市まで4分短縮。仙台市まで 57 分短縮。八戸市ま で 13 分短縮) 。 ②高規格幹線道路「三陸縦貫自動車道」の整備状況を 5 つの段階に区分し、現状より段階を引き 上げることを目指すもの。 ③地域高規格道路「宮古盛岡横断道道路と「三陸北縦貫道路」の整備状況を 5 つの段階に区分し、 現状より段階を引き上げることを目指すもの。 ④国道 106 号項目 整備状況を3つの段階に区分し、現状より段階を引き上げることを目指すもの。 国道 340 号項目 整備状況を3つの段階に区分し、現状より段階を引き上げることを目指すもの。 ⑤主要地方道・一般県道項目 整備状況を3つの段階に区分し、現状より段階を引き上げることを目指すもの。 注1)基本事業1~2は、以下の5つの段階とする。 ①事業計画区間の決定 ・・・ 事業計画区間を決定する。 ②ルートの決定 ・・・ 事業計画区間のルートを決定する ③事業化 ・・・ 事業計画区間の事業が開始される。 (測量・用地買収・ 工事等) ④早期完成 ・・・ 事業計画区間の工事が進ちょくする。 ⑤供用開始 ・・・ 事業計画区間の工事が完成し通行可能となる。 ※ なお、この事業における①~⑤の表現は、目標値への段階付けのため設定したものであ り、国等が使用する表現とは一部異なるものである。 注2)基本事業3~4は、以下の3つの段階とする。 ①事業化 ・・・ 事業が開始される。 (測量・用地買収・工事等) ②早期完成 ・・・ 工事が進ちょくする。 ③供用開始 ・・・ 工事が完成し、通行可能となる。 ※ なお、この事業における①~③の表現は、目標値への段階付けのため設定したものであ り、国等が使用する表現とは一部異なるものである。 23 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 第2 市内道路交通網の形成 現状と課題 (現状) ○市内幹線道路※1 の中には、道路幅員が狭く、大型トラックやバスのすれ違い等の 通行に支障をきたしている箇所があります。 ○環状道路の整備を進めておりますが、県立宮古病院と市街地を結ぶ道路が国道 45 号だけであり、代替道路がない状況です。 ○市民の生活に密着した市道である生活関連道路の中には、道路幅員が狭く、急カ ーブなど車の通行に支障をきたしている箇所があります。 ○市道の多くの区間で、歩道が設置されていない状況です。 (課題) ○日常の通行や、災害時の緊急車両及び支援車両の通行に支障となる交差部や急カ ーブ、狭隘区間は、計画的な解消が必要です。 ○市民生活の利便性の向上を図るために、国道や県道などと接続し、災害時の代替 や病院へのアクセス道路※2 など市内各地域を結ぶ幹線道路の整備が必要です。 ○歩行者の安全を図るための歩道等の施設の整備が必要です。 ※1 市内幹線道路 市内の主要な地区を結ぶ道路。 ※2 アクセス道路 駅、病院、公共施設などの目的地への連絡のための道路。 施策の体系 【施策】 【基本事業】 市内道路交通網の形成 1市内幹線道路の整備 2生活関連道路の整備 施策の方向 ○市民生活の利便性の向上と市民の活発な相互交流を促進するため市内幹線道路 の整備を図ります。 ○「産業関連施設、観光地等を結ぶ市内幹線道路」 「病院や学校などの施設を結ぶ 道路」 「災害時に国道や県道の代替となる道路」などが機能的に結びついた道路 網の整備を図ります。 ○利便性の向上と安全を確保するため、生活関連道路は、利用状況にあった整備を 図ります。 ○歩道等の交通安全施設の整備を図ります。 24 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 【基本事業1】市内幹線道路の整備 ○国道や県道などの幹線道路と接続する主な市道の整備を図ります。 ○産業関連施設、観光地等を結ぶ市道、病院や学校などの施設を結ぶ市道、災害時 に国道や県道の代替となる市道などが機能的に結びついた市内道路網の整備を図 ります。 【基本事業2】生活関連道路の整備 ○市民生活に密着した生活関連道路は、利用状況にあった道路幅員の確保及び舗装、 歩道や街灯などの交通安全施設を整備するとともに、 適切な維持管理を図ります。 目標指標 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) ①市道改良率 65.5% 65.7% 67.3% ②市道舗装率 79.1% 78.7% 81.2% ③幹線市道改良率 65.9% 67.7% 70.3% ④幹線市道舗装率 83.0% 83.5% 85.9% ⑤生活関連道路改良率 65.2% 64.5% 65.6% ⑥生活関連道路舗装率 77.1% 76.1% 78.6% 指 標 施 策 基本事業1 基本事業2 【目標値の考え方】 ①市道の拡幅や急カーブの解消などを行う道路改良を進めるもの(1.6 ポイント増) 。 ②市道の舗装を進めるもの(2.5 ポイント増) 。 ③市道のうち幹線である道路の拡幅や急カーブの解消などを行う道路改良を進めるもの (2.6 ポイ ント増) 。 ④市道のうち幹線である道路の舗装を進めるもの(2.4 ポイント増) 。 ⑤生活関連道路である市道の拡幅や急カーブの解消などを行う道路改良を進めるもの (1.1 ポイン ト増) 。 ⑥生活関連道路である市道の舗装を進めるもの(2.5 ポイント増) 。 25 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 第3 公共交通の確保と充実 現状と課題 (現状) ○鉄道や路線バスは、人口減少や自家用自動車の普及などの影響によって、利用者 の減少が進んでいます。 ○利用者の減少に伴って、各交通事業者は厳しい経営環境となっており、このまま では公共交通の維持が困難な状況となります。 ○三陸鉄道や路線バスは、市などの財政支援によって支えられています。 ○鉄道と路線バスによる公共交通のカバー圏人口※1の割合は、平成 25 年 10 月時点 で約 70%となっており、残りの約 30%は公共交通が利用しにくい状況です。 ○震災によりJR山田線(宮古-釜石間)が運休しており、代替交通として路線バ スによる振替輸送を行っています。 ○震災からの復興に伴い、住まいや目的施設の場所が変わること、道路網が変わる ことで、移動のニーズに変化が生じています。 (課題) ○今後、少子高齢化の進行によって、いわゆる交通弱者の増加が見込まれており、 市民生活に欠かせない移動手段となる公共交通の確保と充実が必要です。 ○利用者の増加を図るためには、市民一人ひとりの公共交通に対する理解を深める 取り組みなど、より一層の利用促進が必要です。 ○公共交通が利用しにくい地域については、新たな公共交通手法※2の活用などによ る改善が必要です。 ○震災により運休しているJR山田線(宮古-釜石間)の早期復旧が必要です。ま た、復旧までの間は、代替交通の確保が必要です。 ○震災後の移動ニーズの変化に対応した公共交通の確保が必要です。 ※1 公共交通のカバー圏人口 鉄道駅又はバス停から半径300mの範囲内の人口。 ※2 新たな公共交通手法 スクールバスや患者輸送バスへの混乗 … 対象者以外の利用を認めるもの デマンド型交通 … 予約に応じて運行経路や運行時間を決めるもの 26 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 施策の体系 【施策】 公共交通の確保と充実 【基本事業】 1鉄道の確保・充実と利用促進 2路線バスの確保・充実と利用促進 3新たな公共交通手法の活用 施策の方向 ○市民の利便性の向上と定住促進を図るため、交通事業者と連携しながら、市民が 使いやすい公共交通の確保・充実を図ります。 ○公共交通に対する市民一人ひとりの理解を深めるとともに利用促進を図ります。 ○新たな公共交通手法の活用や新駅も含め、持続可能な公共交通体系を構築します。 ○震災により運休している鉄道の早期復旧を図ります。 ○震災により運休している鉄道の代替交通や震災後の移動ニーズの変化に対応し た公共交通を確保します。 【基本事業1】鉄道の確保・充実と利用促進 ○JR山田線(宮古-盛岡間)について、便利なダイヤ編成やスピードアップ、駅 施設のバリアフリー化などを関係機関に働きかけます。 ○三陸鉄道の計画的な施設・設備の整備を図り、安全・安定運行に資するため、県 や沿線市町村と一体となって支援します。 ○県や沿線市町村、関係団体、地域住民と連携し、鉄道の利用促進を図ります。 ○JR山田線(宮古-釜石間)について、関係機関と連携し、鉄道の早期復旧を図 ります。また、復旧までの間の代替交通を確保します。 【基本事業2】バス路線の確保・充実と利用促進 ○採算の合わない路線に対して、市などによる財政支援を行うなど、バス路線の維 持・確保を図ります。 ○路線ルートの見直しなど効率的な運行とともに、使いやすいダイヤの編成など、 事業者、利用者、関係機関とともに検証と見直しを行います。 ○バス事業者、関係団体、市民、市が一体となって路線バスの利用促進を図ります。 ○震災後の移動ニーズの変化に対応した公共交通を確保します。 【基本事業3】新たな公共交通手法の活用 ○公共交通が利用しにくい地域について、市、地域住民、事業者等で交通サービス のあり方を検討し、実証運行なども取り入れながら、新たな公共交通手法の活用 を図ります。 27 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 目標指標 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) 22.6 回 23.0 回 23.3 回 H21 アンケート H25 アンケート H31 アンケート 26.1 点 23.1 点 26.1 点 三鉄宮古駅 三鉄宮古駅 三鉄宮古駅 指 標 ①鉄道・バスの市民1人当たりの 施 策 年間利用回数 ②公共交通に対する市民満足度 基本事業1 基本事業2 基本事業3 ③三陸鉄道/JR山田線利用者数 148 千人 62 千人 142 千人 JR宮古駅 JR宮古駅 JR宮古駅 192 千人 119 千人 184 千人 1,036 千人 1,144 千人 932 千人 - - 4地域 ④路線バス利用者数 ⑤新たな公共交通手法を活用した地域 数 【目標値の考え方】 ①人口減少等により、利用者の減少が続く中にあって、市民一人ひとりの利用回数の増加を目指 すもの(1%増) 。 ②鉄道・バスに対する満足度が低下傾向にある中で、震災前のH21 レベルまで満足度を高めるも の。 ③人口減少等により、利用者の減少が続く中にあって、利用者数の減少に一定の歯止めをかける もの。鉄道復旧後、利用者が振替輸送から鉄道に戻ることを想定。 (H21 から4%減) 。 ④人口減少等により、利用者の減少が続く中にあって、利用者数の減少に一定の歯止めをかける もの。鉄道復旧後、利用者が振替輸送から鉄道に戻ることを想定。 (H21 から 10%減) 。 ⑤宮古、田老、新里、川井の各地域で、新たな公共交通手法の活用を目指すもの。 関連計画 ①宮古市公共交通ビジョン(H26-31) 28 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 第4 港湾機能の整備と充実 現状と課題 (現状) ○出崎ふ頭は、港湾計画において交流拠点地区に位置付けられ、先端地区は、宮古 港竜神崎地区防波堤整備事業〔旅客船ターミナル整備事業〕として、国・県事業 により昭和 63 年から、防波堤、ふ頭用地、係留施設等の整備が進められていま す。 ○出崎ふ頭は、少し波が高くなると、先端部が波をかぶるほか、船舶の係留に支障 をきたすなど危険な状態です。 ○海洋レクリエーションの活動拠点であるリアスハーバー宮古は、高い静穏性が保 たれているとはいえず、荒れた海況下では敷設したコンクリートがめくれ上がる などの被害が発生しています。 ○宮古港藤原ふ頭では、工業用地等の津波安全対策等のため、宮古港藤原地区海岸 防潮堤の整備が進められています。 ○大規模な震災が発生した場合、宮古港藤原ふ頭は、本市や周辺市町村のみならず 県都盛岡市及び内陸部への物資の受け入れ港として重要な役割を担うこととな りますが、耐震強化岸壁が整備されていない状況です。 (課題) ○陸中海岸国立公園の名勝地である浄土ヶ浜などを廻る観光客の利便性向上を図 るほか、市民や観光客が気軽に訪れることのできる旅客船ターミナル等の整備が 必要です。 ○出崎ふ頭を中心とする港内の静穏性の確保が必要です。 ○リアスハーバー宮古が、安心・安全に利用できるよう外郭施設の整備が必要です。 ○新たな視点で貨物を集めるため、宮古港藤原ふ頭に食品等の荷捌きができる新た な上屋の整備が必要です。 ○震災によって港湾機能が停止することは、地域経済活動に多大な影響を及ぼすほ か、避難者や緊急物資等の受け入れ港として重要な役割を担うことから、災害に 強い港の整備が必要です。 施策の体系 【施策】 【基本事業】 港湾機能の整備と充実 1旅客船ターミナル等の整備促進 2海洋レクリエーション施設の整備促進 3物流機能の強化促進 4耐震強化岸壁の整備促進 29 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 施策の方向 ○海上物流拠点及び観光・交流拠点として港湾機能の整備促進を図るとともに、災 害に強い港湾の整備促進を図ります。 【基本事業1】旅客船ターミナル等の整備促進 ○出崎ふ頭の交流拠点としての機能を充実するため、旅客船ターミナルと竜神崎防 波堤の整備促進を国や県に働きかけます。 【基本事業2】海洋レクリエーション施設の整備促進 ○リアスハーバー宮古の静穏性を確保するため、外郭施設の整備促進を県に働きか けます。 【基本事業3】物流機能の強化促進 ○食品等を荷捌きできる新たな上屋の整備を県に働きかけます。 【基本事業4】耐震強化岸壁の整備促進 ○災害に強い港湾としての機能強化を図るため、耐震強化岸壁の整備促進を県に働 きかけます。 目標指標 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) 竜神崎 72.7% 竜神崎 84.2% 竜神崎 100% 出 崎 44.3% 出 崎 56.9% 出 崎 100% - - 3事業 72.7% 84.2% 100% 44.3% 56.9% 100% 指 標 ①整備計画に対する整備率 施 策 ②基本事業2~4の整備着手数 ③「竜神崎防波堤」整備計画に対する 整備率 基本事業1 ④「出崎ふ頭先端地区」整備計画に対 する整備率 基本事業2 ⑤リアスハーバー宮古外郭施設の整備 - - 着手 基本事業3 ⑥県営上屋の整備 - - 着手 基本事業4 ⑦耐震強化岸壁の整備 - - 着手 【目標値の考え方】 ①整備計画どおり進められることを目指すもの。 ②事業着手を目指すもの。 ③整備計画どおり進められることを目指すもの。 ④整備計画どおり進められることを目指すもの。 30 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 ⑤事業着手を目指すもの。 ⑥事業着手を目指すもの。 ⑦事業着手を目指すもの。 関連計画 ①宮古市港湾振興ビジョン(H22-27) 31 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 第5 情報通信基盤の充実 現状と課題 (現状) ○デジタル技術を始めとする情報通信技術は高度化し、通信データの大容量化が進 む中、情報通信機器が市民生活に広く普及していますが、本市の9割以上が山間 部を占めることから、携帯電話や地上デジタルテレビ放送、AM・FMラジオ放 送などの地上波が届きにくい環境となっています。 ○同様に、民間の情報通信事業者による基盤整備が進まない条件不利地域では、イ ンターネット接続サービスの主流となっているFTTH※1や移動体通信網※2(L TE※3など)を利用した大容量・超高速インターネットサービスを利用できず、 地域間における情報技術の利用機会の格差が生じています。 (課題) ○地上デジタルテレビ放送は共聴施設の整備等により、市内のほぼ全世帯で視聴可 能となっていますが、人口減少などにより設備改修が困難となっている共聴施設 については老朽化対策が必要です。また、市が所有する情報通信基盤設備による 難視聴対策等も行っていますが、設備の計画的な更新による安定的な運用が必要 です。 ○携帯電話及び超高速ブロードバンド※4については、定住促進に必要な情報通信基 盤として、不感地域や未整備地域の解消が必要です。 ※1 FTTH 光ファイバーを利用者の家屋まで引き込んだ高速データ通信サービス。また、光ファイバーを 用いたブロードバンドサービス全般を指すこともある。◇「fiber to the home」の頭文字から。 マンションなどの集合住宅やオフィスビルに引き込む場合は「FTTB」という。 ※2 移動体通信網 携帯電話やPHSなどを利用するためのネットワーク ※3 LTE 携帯電話の高速データ通信の規格のひとつ(Long Term Evolution の略) 。 ※4 超高速ブロードバンド 高速通信回線によるコンピュータ・ネットワーク及びこれを利用した動画など大容量のデータ 送信サービスのうち、光ファイバー、ケーブルテレビ、LTE によるもの。 施策の体系 【施策】 【基本事業】 情報通信基盤の充実 1情報通信網の整備促進 32 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 施策の方向 ○全世帯で携帯電話の利用、地上デジタル放送の視聴、超高速インターネット接続 サービスの利用ができるよう関係機関と連携し環境整備の充実を図ります。 【基本事業1】情報通信網の整備促進 ○携帯電話不感地域を解消するため、通信事業者に働きかけ、事業への参画を得た うえで、国の補助制度を活用した施設整備に取り組みます。 ○地上デジタルテレビ放送については、人口減少などにより老朽化対策が困難な共 聴組合への支援に取り組みます。また、市が所有する情報通信基盤設備の計画的 な更新を行います。 ○AM・FMラジオ放送については、放送事業者等の関係機関に難聴取地域解消に 向けた要望等の働きかけをしていきます。 ○地域間における情報格差を解消するため、FTTHのエリア拡大や移動体通信網 を利用した情報通信基盤の早期整備について、通信事業者に働きかけます。また、 民設による基盤整備が期待できない条件不利地域においては、国の補助制度を活 用した施設整備に取り組みます。 目標指標 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) ― ― ― ①携帯電話利用可能世帯数 98.7% 98.8% 100% ②地上デジタル放送視聴可能世帯数 99.3% 100% 100% ③FTTH利用可能世帯数 81.2% 94.5% 100% 指 標 施 策 基本事業1 各基本事業の指標 【目標値の考え方】 ①集落全体が不感地域となっている地区のエリア化を目指すもの。 ②地上デジタル放送を全世帯が視聴できる環境を維持するもの(一部の対策困難地域を除く) 。 ③超高速ブロードバンド(FTTH)未整備地域の解消を目指すもの。 33 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 第6 賑わいのある市街地の形成 現状と課題 (現状) ○道路、公園、交流拠点などの都市基盤施設の整備が立ち遅れているほか、東日本 大震災により、中心市街地地区周辺の公益的施設が甚大な被害を受けており、早 期の復旧が必要です。また、震災復旧により、居住地区や商業施設、公益的施設 などの分布が変わり、人の流れも変わるなど、コミュニティ※1機能や地域活力の 維持・低下が懸念されます。 ○宮古駅の周辺においては、市街地の中心地区としての機能や広域交通の結節機能 の強化が期待されています。 ○市街地においては人口の減少が進んでおり、また、自家用自動車の普及や大型小 売店の郊外立地などにより空き店舗・空き地が増加しています。 (課題) ○被災した公益的施設を早期に復旧するとともに、津波をはじめとする大規模な災 害が発生しても、必要な都市機能が維持可能な防災・災害対応の拠点となる施設 の整備が必要です。 ○宮古駅周辺は交通、交流の拠点であり、市街地の中心地区でもあることから、機 能性、利便性、コミュニティ性の高い公益的施設及び基盤整備が必要です。 ○市街地において便利で暮らしやすい住環境の整備とともに、安心して居住できる よう防災機能の強化が必要です。 ○市街地における回遊性を向上させるような施設の整備や取組み、商業機能の充実 を図るなど、市街地に賑わいを創り出し、波及させるようなまちづくりが必要で す。 ○復興まちづくり計画における各種事業※2の市街地への影響や変化を検証し、市民 の意見を取り入れながらまちづくりを進めることが必要です。 ※1 コミュニティ 住民相互の様々な分野(消費、生産、労働、教育、衛生・医療、遊び、スポーツ、芸能、祭り 等)において深く結びついている集まり(社会) 、地域共同体 ※2 復興まちづくり計画における各種事業 災害公営住宅整備事業、津波復興拠点整備事業、浸水対策事業、津波避難路等整備事業 34 第1章 三陸沿岸地域の拠点都市としての基盤形成 施策の体系 【施策】 【基本事業】 賑わいのある市街地の形成 1中心市街地の環境整備 施策の方向 ○中心市街地において、被災した公益的施設及び災害時等に必要な役割を担う施設 を一体的に整備することにより、宮古駅周辺を中心とした一帯の拠点性、機能性、 利便性を高めます。 ○復興まちづくり計画における各種事業の実施による影響や変化を検証しながら、 引き続き市街地の環境整備を行います。 【基本事業1】中心市街地の環境整備 ○JR及び三陸鉄道宮古駅南側に、防災拠点となる施設、被災した公益的施設、地 域活力を創出するための施設を一体的に整備することで、市民に親しまれ、地域 の主体性が発揮される中心市街地の拠点を整備します。 目標指標 参考値 指 標 施 策 基本事業1 ①基盤整備に対する市民満足度 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) H21 アンケート 38.2 点 H25 アンケート 36.8 点 H31 アンケート 40 点 ― ― 完了、供用開始 ②中心市街地の環境整備、拠点施設の 整備 【目標値の考え方】 ①基盤整備に対する市民満足度は低下傾向にあることから、40 点まで高めようとするもの。 ②中心市街地の拠点施設整備の完了を目指すもの。 関連計画 ①宮古市都市計画マスタープラン ②宮古市東日本大震災地区復興まちづくり計画 ③宮古市公共交通ビジョン(H26-31) 35
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