第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 第1 行財政運営の効率化 現状と課題 (現状) ○事務処理の効率化、内部情報の共有化を図るため、現在、住民情報、財務会計、 庁内 LAN※1などの 47 業務がシステム化されています。 ○新市建設計画※2の実施に伴う公債費※3の増加及び東日本大震災による税収の低 下により、経常収支比率※4が高くなりました。 ○財政調整基金※5は、着実な積み立てと東日本大震災に係る復旧・復興事業に充て る財源の一時的な積み立てにより、基金残高が多くなっています。 ○2度の市町村合併を経て、人口規模及び産業構造が類似している地方公共団体に 比較して職員の数は多くなりました。このことから、職員適正化計画を策定し、 職員数の削減を図ってきましたが、東日本大震災からの復旧復興事業に対応する ため、震災以降については行政職の定年退職者を完全補給するなど、必要なマン パワーの確保を行ってきました。 ○また、重複・類似・老朽化した公共施設が多い上に、その施設内容も、計画時に 考えられた機能や規模のままであることから、市民が求める機能とかい離しつつ ある状況です。 ※1 庁内 LAN 庁内でのインターネット利用やデータの共有化を図るため、ケーブルや無線などにより複数の パソコンやプリンターなどの周辺機器を接続した、庁内の情報ネットワーク。 ※2 新市建設計画 宮古市、田老町、新里村の3市町村合併の際に策定された、合併後の新市の将来像やまちづく りの基本方針を定めた計画。 ※3 公債費 市が借り入れた地方債の元利償還費と一時借入れ金の利息の合計 。 ※4 経常収支比率 人件費などの毎年度経常的に支出される経費が、地方税などの自由に使える財源に占める割合 で、この比率が高いほど財政の自由度が低くなっている状態を表す。 ※5 財政調整基金 年度間の財源の不均衡を調整するために積み立てる基金。 146 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 (課題) ○各システムの適正な管理、制度改正への迅速な対応が必要です。 ○新市基本計画を着実に実施する一方で、効率的な行財政運営を進めるためには、 公債費の抑制、経常収支比率の適正化が必要です。 ○予期せぬ収入の減少や支出の増加に備え、引き続き適正な財政調整基金の確保が 必要です。 ○市税等市の歳入の増加が見込めない中で、各種施策を推進するためには、市の歳 出における人件費の抑制が必要ですが、一方で、復旧復興事業が迅速に進ちょく するためには、当面の間、職員数の確保が必要です。 ○重複・類似する公共施設の統廃合・適正配置を進めるなど、施設の有効活用、管 理運営の効率化が必要です。 施策の体系 【施策】 【基本事業】 行財政運営の効率化 1各システムの導入・運用 2行財政改革の推進 施策の方向 ○各システムの適正な導入・運用を図ります。 ○公債費を抑制、経常収支比率の適正化を図ります。 ○適正な財政調整基金の確保を図ります。 ○市の歳出における人件費の適正化を図ります。 ○重複・類似する公共施設の統廃合・適正配置を進めます。 【基本事業1】各システムの導入・運用 ○各システムの導入・運用を適正に行い、各業務の効率化を図るとともに、法・制 度の改正に迅速に対応します。 【基本事業2】行財政改革の推進 ○事務の効率化や事業の選択、公共施設の適正配置を進めることにより、公債費の 抑制、経常収支比率の適正化を図るとともに、適正な財政調整基金を確保します。 ○新市基本計画に基づき、職員数の削減を図ります。 ○公共施設整備・維持に伴う財政負担を軽減し、市民ニーズに即した施設利用を促 進するため、公共施設の統廃合を計画的に進めます。 147 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 目標指標 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) 各基本事業の指標 ― ― ― ①システムの運用 46 業務 47 業務 47 業務 91.6% 92.6% 85.1%以下 15.7% 11.6% 10.5%以下 2,638 百万円 8,668 百万円 2,535 百万円 692 人 640 人 584 人 指 標 施 策 基本事業1 ②経常収支比率 ※6 ③実質公債費比率 基本事業2 ④財政調整基金残高 ⑤職員数 ※6 実質公債費比率 市町村が自由に使える財源に対する公債費の占める割合で、この比率が 18%以上になると、借 金するときに都道府県知事の許可が必要となる。 【目標値の考え方】 ①各システムの導入・運用を行い、各業務の効率化を目指すもの。 ②経常収支比率は妥当とされている 75.0%以下を最終的な目標とするが、当面、平成 24 年度普通 会計決算における県平均(85.2%)以下を目指すもの。 ③実質公債費比率は全国平均を上回っていることから、全国平均(平成 24 年度 9.2%)以下を最 終的な目標とするが、当面 10.5%以下を目指すもの。 ④財政調整基金残高は、東日本大震災の影響で一時的に増えているものの、適正規模を確保する ため、前期計画の目標値(2,535 百万円)を維持する。 ⑤東日本大震災からの復旧復興業務に対応するため、一定期間職員数の確保が必要であることか ら、平成 32 年4月 1 日時点における職員数を 584 人とする。ただし、新市基本計画で掲げる 職員数 570 人を最終的な目標とする。 関連計画 ①新市基本計画(H21-31) 148 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 第2 市民との情報の共有 現状と課題 (現状) ○市からの情報発信媒体として、広報、コミュニティエフエム放送※1、ホームペー ジ、フェイスブック※2などのソーシャルメディア※3が大きなウエイトを占めてい ます。 ○公平で開かれた行政運営を推進するため、市と市民とが情報を共有し相互に理解 し合うことが求められています。 ○情報公開制度の充実を図り、市の保有する情報について、市民と情報を共有する ため公開しています。 (課題) ○多くの市民への情報発信のため、広報やホームページなどの活用と内容の充実が 必要です。特に若者世代を中心に利用者が増えているソーシャルメディアなどに よる情報提供を充実させ、若者などの定住促進と観光客などの交流人口の増加に つながる情報発信が必要です。 ○震災後、多くの市民が応急仮設住宅や市外に避難を余儀なくされており、これら の方々へのきめ細かな被災者支援情報、復興に関する情報の提供が必要です。 ○市民の声を的確に把握し市政に反映させるとともに、市民の市政に対する理解と 信頼性を高める取り組みが必要です。 ○市民と情報を共有するため、情報公開制度による情報の公開が必要です。 ※1 コミュニティエフエム放送 エフエム放送の周波数を用いる地上基幹放送の一種。放送対象地域が県域放送より狭く、 「地域 密着」 「市民参加」による運営が特徴です。 ※2 フェイスブック フェイスブック社が提供しているインターネット上のサービス。実名登録したユーザー同士に よる交流が特徴です。 ※3 ソーシャルメディア フェイスブック、ツイッターなどインターネットを使い、登録したユーザー同士が情報を交換 (送受信)する仕組みのメディア 149 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 施策の体系 【施策】 【基本事業】 市民との情報の共有 1広報の充実 2広聴の充実 3情報の公開 施策の方向 ○広報、コミュニティエフエム放送、ホームページなど各種メディアを活用し、 その特性に応じた情報発信の充実を図ります。また、市内に限らず、国内外に 幅広く、かつ、多様な情報提供ができる各種インターネットメディアの活用に よる情報発信に取り組みます。 ○市民の意見・要望を幅広く受け付ける体制を整備するとともに、情報の公開を図 ります。 【基本事業1】広報の充実 ○行政情報を正確にわかりやすく伝えるとともに、 地域の情報や市民活動の特集記 事を掲載するなど、市民に親しまれる広報紙を作成します。 ○コミュニティエフエム放送を活用して、 被災者支援情報や復興に関する情報など さまざまな市政情報の発信を行います。 ○必要とする情報を探しやすく、かつ、最新の情報を発信するホームページを作成 するとともに、ソーシャルメディアなどを活用し、定住促進と交流人口の増加に つながる情報コンテンツ※4を充実させます。 【基本事業2】広聴の充実 ○「市長への手紙」 、 「市政懇談会」 、 「市政暖話(談話)室」などの広聴制度の周知 を図るとともに、利用しやすい環境づくりを行います。 ○市民の提言に対する結果の公表を行います。 【基本事業3】情報の公開 ○情報公開制度を適正に運用し、情報の公開を図ります。 ※4 情報コンテンツ ホームページなどのメディアに掲載する内容、記事などのこと。 150 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 目標指標 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) ― ― ― H21 アンケート H25 アンケート H30 アンケート 92.2% 93.3% 95.0% 76 万件 93 万件 125 万件 H21 アンケート H25 アンケート H30 アンケート 28.5% 29.0% 34.0% 71 59 65 以上 指 標 施 策 各基本事業の指標 ①市民意識調査における市政への関心 基本事業1 度のうち「広報を読んでいる」割合 ②ホームページ及びソーシャルメディ アのアクセス数 ③市民意識調査における市政への関心 基本事業2 度のうち「市民の要望・苦情に応え ている」とする割合 基本事業3 ④情報公開度のランク付けのための採 点(100 点満点) 【目標値の考え方】 ①市民意識調査における市政への関心度のうち「広報を読んでいる」割合を維持するもの。 ②ホームページ及びソーシャルメディアのアクセス数の増加を目指すもの。 (毎年5%増) ③市民意識調査における市政への関心度のうち「市民の要望・苦情に応えている」とする割合の 増加を目指すもの(5 ポイント増) 。 ④全国市民オンブズマン連絡会議※5調べによる情報公開度のランク付けにおいて、岩手県内で上 位のランク付けを目指すもの。 ※5 全国市民オンブズマン連絡会議 国、地方公共団体等にかかわる不正・不当な行為を監視し、これを是正することを目的とする 市民オンブズマンの情報交換・経験交流や共同研究等を行うため、1994 年に結成された団体。 151 7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 第3 行政の質的向上 現状と課題 (現状) ○住民要望の多様化及び複雑化と国及び県からの権限移譲により、基礎的自治体と して市が果たすべき役割が、質・量ともに増大しています。 ○職員の能力開発と指導者及び庁内講師の育成を図るため、研修に職員を派遣して います。 (課題) ○これまで経験したことがない行政分野に対応した、専門的な知識の習得が必要で す。 ○自らの判断と責任に基づく行政運営を推進するため、これまで以上に職員の能力 開発が必要です。 ○行政サービスの向上を図るため、これまで蓄積してきた仕事上のノウハウの継承 が必要です。 施策の体系 【施策】 【基本事業】 行政の質的向上 1職員研修の充実 施策の方向 ○行政を担う人的資源について、その質的な向上を図ります。 【基本事業1】職員研修の充実 ○社会状況の変化や行政分野の変化に迅速に対応するため、自己啓発、職場研修、 職場外研修を相互に組み合わせ、組織力の向上を図ります。 ○各種研修に職員を派遣し、職務遂行に必要な知識・技能を習得させ、職員の資質 向上を図ります。 ○仕事上のノウハウについて、遺漏なく継承されていくよう、研修会やOJT※1 を実施します。 ※1 OJT 企業内で行われる企業内教育・教育訓練手法のひとつで職場の上司や先輩が部下や後輩に対し 具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指 導し、修得させることによって全体的な業務処理能力や力量を育成するすべての活動。 152 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 目標指標 指 標 施 策 基本事業1 研修に参加した職員数 ①研修に参加した職員数 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) ― ― ― 381 人 459 人 592 人 【目標値の考え方】 ①職員が1年に1回は研修に参加することを目指すもの。 関連計画 ①宮古市人材育成基本計画 153 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 第4 民間活力の活用 現状と課題 (現状) ○厳しい財政状況の中で、効率的な行政運営を進めていくため、廃棄物の収集や学 校給食の調理運搬業務などを民間に委託するとともに、公の施設管理について、 指定管理者制度※1により管理しています。 ○本市では、平成 19 年度から市営浄化槽の整備をPFI事業(公共施設の建設や 運営等について、民間の資金や経営能力などを活用する手法)により行っていま す。 (課題) ○今後とも民間の持つノウハウや技術的能力を生かすなど、効率的な行政運営を進 めていく必要があります。 ※1 指定管理者制度 自治体が住民の福祉増進を目的として設置した施設( 「公の施設」 )を、民間事業者・団体等を 指定して管理運営させる制度。 施策の体系 【施策】 【基本事業】 民間活力の活用 1アウトソーシングの推進 2PFIの導入 施策の方向 ○今後とも民間委託や指定管理者制度の活用やPFI事業の導入により、民間活力 の活用を図ります。 【基本事業1】アウトソーシングの推進 ○公の施設の管理について、指定管理により行います。 【基本事業2】PFIの導入 ○市の指針に沿って、PFIの導入の検討をするべきとされる事業(施設建設費が 概ね 10 億円以上で、かつ、維持管理費、運営費が単年度で1億円以上のもの) について、民間活力の活用を図ります。 154 第7章 新しいまちにふさわしい行財政運営の推進 目標指標 指 標 施 策 参考値 現状値 目標値 (H21) (H25) (H31) ― ― ― 90 件 125 件 129 件 1事業 1事業 1事業 各基本事業の指標 基本事業1 ①指定管理を実施している公の施設数 基本事業2 ②PFI導入実施数 【目標値の考え方】 ①公の施設については、指定管理が可能な施設は実施するという方針に基づき、指定管理を実施 した施設数とするもの。 ②PFIの導入について、現状を維持するもの。 関連計画 ①宮古市PFI導入ガイドライン(平成 18 年4月策定) 155
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