後期基本計画 本文 第2編 第2章

第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第1 農業の振興
現状と課題
(現状)
○本市の農業は、農家1戸あたりの耕作面積が少なく、水稲、野菜、果樹、花き、
畜産などを組み合わせた「複合経営」と「多品目栽培」が特徴です。
○ニホンジカを始めとした鳥獣による農作物被害が拡大・深刻化しており、収穫量
減少による農家所得の減収のほか、耕作意欲の衰退による耕作放棄地の拡大が懸
念されます。
○新鮮で安全・安心な地場食材を供給する地産地消への関心が高まっています。
○農産物価格の低迷や農業資材の高騰など、農業経営を取り巻く環境が厳しさを増
す中で、農業従事者の高齢化や担い手不足により、農家数が年々減少しており、
耕作放棄地も増加している状況です。
○東日本大震災により壊滅的な被害を受けた農地・農業用施設等の復旧が進められ
ていますが、圃場整備事業の実施予定により営農再開していない地区があります。
○農道や農業に関わる各種施設の整備に取り組んできましたが、これらの施設は老
朽化しているものも多く、新たな整備が求められています。
(課題)
○「複合経営」と「多品目栽培」による生産性の向上や地域条件を生かした高収益作
物の生産拡大などによる農業経営の安定化が必要です。
○狩猟者の確保や地域ぐるみでの捕獲体制の整備など、有害鳥獣による農作物の被害
防止対策の強化が必要です。
○地産地消の推進や安全・安心な農産物の生産による地域農産物の消費拡大が必要で
す。
○地域の農業を支える意欲と能力のある担い手の確保・育成が必要です。また、耕作
放棄地の増加は、病害虫の発災などで周辺農地へ悪影響を与えるほか、農地の持つ
水源かん養機能や景観形成などで、市民生活にも大きく関わるため、その発災防止
と解消が必要です。
○東日本大震災で被災した農地・農業用施設など農業生産基盤の早期復旧について、
県と連携した取り組みが必要です。
○農業関連施設の整備や農地の有効活用による農業の生産性の向上や農家の生活向
上が必要です。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
施策の体系
【施策】
【基本事業】
農業の振興
1農畜産物の生産拡大
2地域農産物の消費拡大
3担い手の確保・育成
4農地の保全・活用
5農村環境の整備
施策の方向
○農畜産物の生産拡大による農家所得の向上を図るため、「複合経営」や「多品目
栽培」を一層推進するとともに、標高差、気象条件など地域特性を活かした園芸
作物の生産拡大に向けた取り組みを支援します。
○鳥獣による農作物被害防止対策に取り組みます。
○安全・安心な農産物の生産を推進するとともに、地産池消を推進し、消費の拡大
に努めます。
○地域農業の中心的な担い手となる農業者及び新規就農希望者を支援し、担い手の
確保・育成に努めます。
○耕作放棄地の解消と発災防止に努め、優良農地の保全や活用を図ります。
○農道や農業に関わる各種施設などの農村環境整備を推進し、農業の生産性向上や
農家の生活向上を図ります。
【基本事業1】農畜産物の生産拡大
○限られた耕地を有効活用するため、地域の特性を生かした農作物の生産拡大に向
けた取り組みを支援します。
○沿岸部、内陸部、高原地域ごとに「重点振興品目」「推進品目」「導入品目」を
定め、関係機関・団体等による生産支援体制を強化するなど、園芸専作農家の育
成を図ります。
○宮古市鳥獣被害防止対策協議会と連携し、効果的な有害鳥獣被害対策に取り組み
ます。
○農薬や化学肥料を減らす取り組みと有機肥料の利用による安全で安心な農産物
の生産を推進します。
○優良な繁殖牛の導入及び飼養管理に対する支援を行うとともに、公共牧場への放
牧よる飼料コストの低減、耕種農業との連携などにより、畜産農家の経営安定と
生産拡大を推進します。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業2】地域農産物の消費拡大
○学校給食や産地直売施設などで地産地消を推進し、地域農産物の消費拡大を図り
ます。
○田植え、稲刈りなど、季節ごとの農業体験を開催することにより、地域農産物の
積極的なPRを行います。
○地域農産物の消費拡大や付加価値を高めるため、加工施設・機械などの整備や新
たな加工品開発の取り組みを支援します。
【基本事業3】担い手の確保・育成
○各種補助事業の実施や研修会などの実施により、地域農業の担い手となる農業者
や新規就農者に対する支援を行います。
○意欲ある農業者を認定農業者※1として認定し、経営改善や能力向上に向けた活動
を関係機関や団体と連携して支援します。
○経営再開マスタープランの実践活動を支援し、地域の中心となる経営体への農地
集積を促進します。
【基本事業4】農地の保全・活用
○中山間地域等直接支払制度※2や多面的機能支払制度※3により、優良な農地の保全
と有効活用を図るとともに、農地が持つ国土の保全や水源のかん養、洪水の防止
などの多面的機能を維持します。
○耕作放棄地解消対策の実施や農地の利用集積に努め、農地の保全や再生利用を促
進します。
【基本事業5】農村環境の整備
○東日本大震災で被災した農地・農業用施設などの農業生産基盤については、県と
連携して早期の復旧に努めます。
○農道や農業関連施設の整備を推進します。
※1 認定農業者
農業経営基盤強化促進法に基づく農業経営 改善計画の市町村の認定を受けた農業経営者・農業
生産法人のこと。
※2 中山間地域等直接支払制度
生産条件が不利な中山間地域等において、農業生産の継続に加え農地が持つ多面的機能の増進
を図る活動に対して、助成金を交付する制度。
※3 多面的機能支払制度
地域資源の適切な保全管理の推進のため、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を図る
ための地域の共同活動を支援する制度。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
目標指標
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
881 百万円
512 百万円
(H19)
(H23)
②農産物生産量
647t
792t
792t
③和牛上場頭数
597 頭
499 頭
523 頭
32,910 万円
32,613 万円
34,243 万円
18.90%
30.0%
122 人
74 人
92 人
2人(単年)
2 人(単年)
3 人(単年)
(累計7人)
(累計 16 人)
(累計 34 人)
指 標
施
策
①農業純生産額
512 百万円
基本事業1
④産地直売施設販売額
基本事業2
23.7%
⑤学校給食食材供給割合(重量比)
(H18)
⑥認定農業者数
基本事業3
⑦新規就農者数
基本事業4
⑧耕地面積
2,274ha
2,260ha
2,260ha
基本事業5
⑨農道整備延長
98,153m
98,101m
99,801m
【目標値の考え方】
①農家戸数の減少が懸念される中にあって、農家1戸あたりの生産額の増加による農業純生産額
の現状を維持するもの。
②農家人口の減少が懸念される中にあって、農家1戸あたりの生産量の増加による農産物生産量
の現状を維持するもの。
③畜産農家の減少が続く中にあって、公共牧場の活用などによる生産性の向上を図り、和牛上場
頭数の増加を目指すもの(5%増)
。
④地域農産物の消費拡大を図り、産地直売施設販売額の増加を目指すもの(5%増)
。
⑤学校給食に地域農産物を供給し、地域農産物供給使用割合の増加を目指すもの。
⑥認定農業者数の増加を目指すもの(年3人)
。
⑦新規就農者数の確保を目指すもの(年3人)
。
⑧耕作放棄地解消事業等の実施により耕地面積の拡大を目指すもの。
⑨農道整備により、総延長の増加を目指すもの(1,700m増)
。
関連計画
宮古市地産地消推進計画(H27-31)
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第2 林業の振興
現状と課題
(現状)
○近年の木材価格の低迷等により、間伐等の保育作業が遅れた森林が増えるととも
に、間伐材の多くが林内に置かれ未利用資源となっています。
○伐採跡地への再造林に取り組む森林所有者の激減により、水源かん養、地球温暖
化防止、国土保全等の森林の有する公益的機能が低下しています。
○林業の担い手が不足し、林業従事者数と林家数は減少傾向にあり、高齢化も進ん
でいます。
○市内には、製材、合板、集成材、パーティクルボード等の木材加工業の工場が立
地し、木材産業の集積が図られています。合板製造業では輸入材から国産材への
材料転換が進み、地域林業の大きな供給先となっています。また、製材業では乾
燥材への需要が増加するとともに、住まいの再建が本格化する中で、木造住宅の
建築戸数が増加しています。
○木質ペレット※1や薪については、環境にやさしく再生可能な木質バイオマス※2資
源への関心の高まりもあり、一定程度導入が進んでいます。また、間伐材や林地
残材、木材加工の残材等の利用が可能な再生可能エネルギーとして木質バイオス
発電が注目されており、川井地区で操業開始しています。
○乾しいたけ生産については、東日本大震災発災前は、生産者の組織化が行われ、
生産基盤の確立と生産量の増加が図られてきましたが、震災による原発事故発災
後は、風評被害による全国的な価格の下落が続いており、生産意欲の低下が懸念
されています。
○まいたけ生産については、従来は川井地区での取り組みでしたが、直販イベント
の開催や植菌原木の有償頒布を市全域に拡大するなど、生産量の増加に取り組ん
でいます。
○森林の持つ公益的機能の重要性について市民の理解を深めるため、みやこ市民の
森づくり事業を実施しています。
※1 木質ペレット
木材を原料にした新しい燃料エネルギーで、間伐材や製材端材が使われ、乾燥→破砕→圧縮す
ることで小粒状の固形燃料となる。二酸化炭素の削減に大きな効果が期待できるペレット燃料は、
再生可能な地上資源として、地球温暖化問題の解決策としても注目されている。
※2 木質バイオマス
「バイオマス」とは、生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉であり、
「再生可能な、生物由
来の有機性資源(化石燃料は除く)
」のこと。そのなかで、木材からなるバイオマスのことを「木
質バイオマス」と呼ぶ。木質バイオマスには、主に、樹木の伐採や造材のときに発生した枝、葉
などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮やのこ屑などのほか、住宅の解体材や街路樹の
剪定枝などの種類がある。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
(課題)
○間伐や植林等を適切に行うためには、施業の集約化等による低コスト化を図る必
要があります。
○森林所有者や伐採業者と連携し、森林の保育、伐採、造林のサイクル化を進める
など森林資源の適切な更新を図る必要があります。
○地域の林業を支える意欲と能力のある担い手の確保・育成を図る必要があります。
○製材、合板、集成材、パーティクルボード等の生産工場が集積しているメリット
を生かし、森林資源を効率的に利用する必要があります。また、住まいの再建に
伴う木造住宅の建築戸数の増加に対応して、地域材を供給する必要があります。
○間伐材や林地残材、木材加工の残材等の効率的な利用を推進するため、木質ペレ
ットや薪等の木質バイオマスの消費拡大を推進するとともに、木質バイオマス発
電等の整備に対する支援が必要です。
○乾しいたけ等特用林産物については、風評被害の早期解消を図るとともに、知名
度を高める取り組みや安定供給のための生産拡大が必要です。
○まいたけ生産については、今後も市全域に拡大する取り組みが必要です。
○森林づくりの重要性を喚起するため、体験フィールドの整備と参画機会の拡充が
必要です。
施策の体系
【施策】
【基本事業】
林業の振興
1計画的な森林整備の推進
2地域材の利用推進
3特用林産物の生産拡大
4担い手の確保・育成
5森林づくり活動の推進
施策の方向
○林業生産活動の低コスト化を図り、計画的な森林整備を推進するとともに、
「豊
富な森林資源」と「木材加工業の集積」を生かした資源循環サイクルの構築を目
指します。
○豊富な森林資源を有効活用するため、地域材の利用促進に努めます。
○安定した生産基盤の構築と付加価値を高める取り組みを支援し、しいたけ等特用
林産物の生産拡大を図ります。
○地域を牽引する林家及び林業新規就業希望者の支援を強化し、担い手の確保・育
成を図ります。
○市民や企業等による森林づくり活動への参画を推進します。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業1】計画的な森林整備の推進
○計画的な森林整備を推進するため、森林経営計画の策定を推進し、施業の集約化
や路網の整備などによる低コスト生産体制を確立するなど、森林所有者の行う森
林整備活動を支援します。
○専門職員がきめ細やかに森林所有者等を指導するとともに、低コスト造林の推進
により再造林率の向上を図ります。
○低コスト間伐の推進により間伐材利用を促進するとともに、立地等の条件不利な
人工林については天然林化等を推進し、森林の公益的機能の維持を図ります。
○しいたけ等ほだ木や木炭の原木としてニーズのあるナラ類等の広葉樹資源の持
続的利用に向けた育成を推進します。
【基本事業2】地域材の利用推進
○木材加工業の市場性の高い製品開発と流通拠点や加工施設の整備を支援します。
○民間住宅や公共施設等への地域材利用を進めます。
○木質ペレットや薪等の木質バイオマスの消費拡大を推進するとともに、木質バイ
オマス発電等の整備を支援し、間伐材や林地残材、木材加工の残材等の効率的な
利用を推進します。
【基本事業3】特用林産物の生産拡大
○東日本大震災の原発事故による乾しいたけ等特用林産物の風評被害については、
国及び県、関係団体と連携し、早期解消を図ります。
○乾しいたけ生産量を拡大することを目指し、生産者団体の活動を支援します。ま
た、まいたけ生産については、生産者の組織化と生産拡大に向けた取り組みを支
援します。
○イベントへの出品等のセールス活動による市外向け販路の拡大を図るとともに、
生産者団体を軸にパッケージ等の考案やトレーサビリティ※3システムの導入を
検討するなど、安全・安心でおいしい宮古産しいたけの付加価値の向上を図りま
す。
【基本事業4】担い手の確保・育成
○自ら経営を行う林業担い手(林業新規就業者)を希望する者が林家等で行う研修
等に対して支援を行います。
○専門知識を持ち地域の森林づくりを担う人材については、国、県と連携しながら
育成を図るとともに、これらの人材の参画により森林整備計画等の各種計画の策
定作業を進めます。
※3 トレーサビリティ
物品の流通経路が生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡可能であること、ある
いはその仕組み。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業5】森林づくり活動の推進
○森林保育の重要性について市民の理解を深めるため、市有林等を利活用した森
林・林業体験事業を開催するなど、市民による森林づくりへの参画の推進を図り
ます。
○企業の行う森林づくり活動については、市有林等を提供し、森林づくりへの貢献
を希望する企業との連携を図ります。
目標指標
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
1,107 百万円
487 百万円
1,122 百万円
(H19)
(H23)
指 標
施
策
①林業純生産額
基本事業1
②森林整備面積
233ha
125ha
302ha
基本事業2
③地域木材利用住宅棟数
8棟
108 棟
403 棟
基本事業3
④特用林産物生産量(乾しいたけ)
基本事業4
⑤林業新規就業者数(単年度)
基本事業5
⑥事業参加者数
150kg/生産者
150kg/生産者
(H24)
200kg/生産者
―
2人
2人
638 人
988 人
1100 人
【目標値の考え方】
①前期目標値の生産額を目指すもの。
②森林整備面積の増加を目指すもの(前期の目標値)。
③地域木材利用住宅棟数の増加を目指すもの(年 50 棟増)
。
④特用林産物生産量(乾しいたけ)の増加を目指すもの(生産者あたり 30%増)。
⑤林業新規就業者の確保を目指すもの(年2人)
。
⑥森林・林業体験事業の参加者数の増加を目指すもの(10%増)
。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第3 水産業の振興
現状と課題
(現状)
○サケふ化放流事業や養殖漁業、栽培漁業など「つくり育てる漁業」を推進してき
ましたが、サケについては、近年の回帰率の低迷に加え、東日本大震災の影響に
よる漁獲量の減少が懸念されています。また、ワカメ・コンブ・カキ・ホタテの
養殖漁業者については、震災を契機とした廃業もあり、生産力が低下しています。
○東日本大震災により市内の漁港はすべて壊滅的な被害を受けましたが、災害復旧
事業を行っています。
○漁港や漁場、漁村の整備については、東日本大震災発災前は積極的に取り組んで
きましたが、現在は、東日本大震災の災害復旧事業を行っているため、休止の状
態となっています。また、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた漁業集落では、
住宅の高台移転事業と生産基盤整備事業を行っています。
○東日本大震災発災前は、水産資源の減少などによる水揚量の減少や輸入水産物の
増加などによる全国的な魚価の低迷が続き、漁業者や漁協の経営を圧迫していま
した。震災後、魚市場は速やかに復旧し、水揚量は回復傾向となっていますが、
震災による損失のため漁業者や漁協の経営は依然として厳しい状況です。また、
東日本大震災で被災した漁協や水産加工業者等の水産関連施設の整備が行われ
ています。
○漁業就業者数は減少傾向にありましたが、東日本大震災による廃業もあり、漁業
の担い手が不足するとともに、高齢化も進んでいます。
○宮古市魚市場へ水揚げ後の流通加工については、東日本大震災発災前から鮮魚及
び冷凍出荷などの一次加工での出荷が中心で、高付加価値の加工品が少ない状況
です。また、震災後、事業再開をする用地が確保できていない市内水産加工業者
がいます。
○宮古市魚市場は、盛漁期の混雑が慢性化している状況です。
○河川漁業においては、河川環境の変化などによる資源の減少とともに、カワウの
食害が問題となっています。
(課題)
○今後も安定的な生産を維持するため「つくり育てる漁業」のなお一層の推進が必
要です。
○東日本大震災により壊滅的な被害を受けた漁港について、早期の復旧が必要です。
○東日本大震災による住宅地の高台移転事業と生産基盤の整備事業は、早急な実施
が必要です。また、災害復旧事業完了後には、漁港、漁場、漁村の安全で快適か
つ機能的な生産活動を支えるため、各種施設の整備の再開が必要です。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
○漁業者や漁協の経営基盤の強化を図るため、資本整備の高度化※1、経営の近代化
などが必要です。また、東日本大震災で被災した水産関連施設の早期整備が必要
です。
○漁業就業者の減少と高齢化に歯止めをかけるため、新規就漁者に対する支援など
漁業に就業しやすい環境の整備が必要です。
○地域水産物の付加価値を高めるため、水産加工業の高付加価値加工品の開発、ブ
ランド化、販路拡大を支援するとともに、生産から流通、加工までの一貫した衛
生品質管理体制を構築するための支援が必要です。また、事業再開用地を必要と
している水産加工業者のために、用地の確保が必要です。
○宮古市魚市場においては、盛漁期の混雑が慢性化していることから、魚市場の拡
張と流通拠点としての機能強化が必要です。
○河川漁業については、種苗放流や環境保全などによって資源の回復を図るととも
に、カワウ対策の継続が必要です。
※1 資本整備の高度化
生産性の向上につながる漁業施設や漁具を導入するもの。
施策の体系
【施策】
【基本事業】
水産業の振興
1生産の拡大
2漁港・漁場・漁村の整備
3経営基盤の強化
4担い手の確保・育成
5流通加工体制の整備
6河川漁業の推進
施策の方向
○市の基幹産業である水産業、その中核をなす「つくり育てる漁業」を支援すると
ともに、生産基盤整備事業を推進し、生産の拡大を図ります。
○漁業の生産性向上や漁業者の生活向上のため、漁港、漁場、漁村づくりを推進し
ます。
○経営基盤の強化を図るため、漁業経営体の健全経営に関する調査研究や漁業協同
組合への支援、指導等の強化に取り組むとともに、漁業の近代化のための資金需
要に対する融資制度の充実を図ります。また、東日本大震災で被災した漁協や水
産加工業者等の水産関連施設の整備を支援します。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
○養殖漁業における「宮古ブランド」を守り育てるための担い手の確保・育成を支
援するとともに、関係機関と連携し、高齢化と人手不足が深刻化しつつある水産
業の各分野についても担い手の確保・育成に取り組みます。
○盛漁期における混雑を解決するため宮古市魚市場の整備を図るとともに、鍬ケ崎
地区の水産加工団地を整備します。また、付加価値の高い水産加工品の開発、ブ
ランド化、販路拡大など支援するとともに、生産から流通、加工までの一貫した
衛生品質管理サプライチェーンの構築を支援し、流通加工体制の整備を図ります。
○森と海をつなぐ川を豊かで親しめる領域に高めていく取り組みを支援し、河川漁
業を推進します。
【基本事業1】生産の拡大
○「つくり育てる漁業」の中心となる沿岸漁業を振興するため、養殖漁業の安定生
産や前浜資源※2の維持増大の取り組みを支援します。
○水産資源の適正かつ徹底した管理による持続可能な遠洋・沖合漁業を支援します。
○漁場環境の保全活動を支援します。
【基本事業2】漁港・漁場・漁村の整備
○東日本大震災で被災した漁港・漁場・漁村などの漁業生産基盤については、早期
の復旧を図ります。
○漁港整備については、外郭施設・係留施設整備、老朽化対策、用地拡充、局部改
良、高齢者対策の事業を推進します。
○漁場整備については、漁港の近場への整備を進めるとともに、既存施設の維持管
理と機能保全を推進します。
○漁村整備については、漁集事業による住宅地の造成と漁業生産基盤の整備を早急
に進めるとともに、生活環境、労働環境、衛生環境の改善に取り組みます。
【基本事業3】経営基盤の強化
○漁業経営体の資本整備の高度化と経営の近代化を関係機関と連携して支援しま
す。また、東日本大震災で甚大な被害を受けた漁協や水産加工業者等の水産関連
施設の復旧にあたり、効率的で衛生的な施設整備を支援します。
○養殖漁業の生産基盤である家族経営の存続とともに、協業体など新しい生産基盤
の確立を支援します。
【基本事業4】担い手の確保・育成
○養殖漁業等の新規就漁者に対する支援に取り組みます。
※2 前浜資源
目の前の海で獲れる水産物のこと。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業5】流通加工体制の整備
○宮古市魚市場の機能向上及び衛生管理の向上を図るため、魚市場整備事業を実施
します。また、廻来船※3誘致活動を強化し、宮古魚市場の水揚げ増大を図ります。
○水産加工業者の事業再建を支援するため、鍬ヶ崎地区の水産加工団地整備事業を
実施します。
○「安全・安心・本物」志向に応えるブランド戦略の支援や、水産物の生産から流
通、加工までの一貫した衛生品質管理サプライチェーンの構築に取り組みます。
【基本事業6】河川漁業の推進
○淡水魚類の増殖と持続可能な河川漁業の振興を支援します。
○カワウの食害防除対策を支援します。
○河川環境の回復を図り親しめる河川の創造を支援します。
○稚魚放流や釣り大会など遊漁者の裾野を広げる取り組みを支援します。
※3 廻来船
宮古港以外の船籍を有する漁船のこと。
目標指標
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
4,125,564 千円
2,686,956 千円
(H19)
(H23)
33,503t
指 標
施
策
①
水産業純生産額
②
魚市場水揚量
45,234t
③
養殖漁業生産量
15,558t
基本事業2
④
整備率
44.0%
基本事業3
⑤
漁協組合員数
⑥
漁協新規組合員数
47 人(単年)
⑦
魚市場水揚額
6,343,826 千円
⑧
閉伊川漁協遊漁券(行使を含む。)
基本事業1
基本事業4
基本事業5
基本事業6
2,655 人
2,925 件
発行件数
47
7,997t
(H24)
51.0%
2,364 人
(H24)
64 人(単年)
(H24)
6,704,269 千円
2,864 件
(H24)
4,074,831 千円
49,177t
15,558t
100%
2,364 人
64 人(単年)
6,896,811 千円
2,925 件
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【目標値の考え方】
①東日本大震災により激減しているが、震災前のH21 レベルまで回復させるもの。
②横ばい若しくは減少傾向にあるが、H24 策定の宮古市水産加工流通業復興計画の実施により、
H22 の 1.1 倍まで回復させるもの。
③東日本大震災により激減しているが、震災前のH21 レベルまで回復させるもの。
④漁港漁場整備長期計画に掲げる整備進ちょく率の達成を目指すもの。
⑤東日本大震災前より漁業者数は減少傾向であったが、震災後の現状(H24)を維持していくも
の。
⑥微増傾向にあるが、新規就業者全体の増加傾向を一段高めようとするもの。
⑦減少傾向に歯止めをかけH22 の 1.1 倍まで回復させるもの。
⑧長期に渡って減少し続けているが、H31 までに確実な回復基調に転じさせることを目指すもの。
48
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第4 工業の振興
現状と課題
(現状)
○本市の主力工業は、コネクターを中心とする電子部品製造業、合板・集成材を中
心とする木材・木製品製造業、水産加工を中心とする食料品製造業、金型部品を
中心とする生産用機械器具製造業などです。東日本大震災では、水産加工業や合
板製造業等が被災しましたが、工場の再建が進み、現在は回復傾向にあります。
従業者数、製造品出荷額等に占める誘致企業の割合は、年々増加していますが、
地場産業は小規模の事業所が多く、技術力や経営基盤が弱い事業者が多いため、
事業所数や従業員数は減少傾向にあります。
○コネクター・金型産業は、日本有数の産地であり、製造品出荷額が本市で最も多
く、工業集積※1が進み、新規高校卒業者の求人数が最も多い業種ですが、最先端
業種であるため海外との競争が激化しています。
○市の漁業を支える重要な産業である水産加工業は、事業所数、従業者数とも本市
で最も多い業種ですが、臨海部に立地しているため、ほとんどの事業所が東日本
大震災で被災しました。被災による販路の消滅、輸入品との競合、製品価格の下
落、原材料の高値等により、再開はしたものの依然として厳しい状況に置かれて
います。
○合板製造業は、震災により廃業した事業所もありましたが、順調に回復していま
す。木材・木製品製造業の主原材料は地域材であることから、地域の林業にも大
きな影響があります。
○企業誘致では、震災前はコネクター・金型産業で新規の立地や工場の増設が行わ
れてきましたが、平成 25 年には水産加工業の企業を立地しました。
○企業誘致による工場新設や既存企業の増設の受け皿となる藤原ふ頭工場適地は
東日本大震災で被災し、田鎖工場適地は基盤整備がおこなわれていないため工業
用地が不足しています。
○製造業の新規創業者に対する貸し工場が整備されていないことから、新規創業者
に対する家賃補助を制度化しています。
(課題)
○地場産業は小規模事業者が多いことから、産学官連携等による新製品・新技術開
発、販路拡大、異分野進出、人材の確保や育成などについて、関係機関と連携し
た支援が必要です。
※1 工業集積
地域の工業が集まって積み重ねられた状態のこと。特定の業種が集まったタイプと、ひとつの
製品をピラミッドの頂点として関連企業が集まったタイプがある。
49
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
○コネクター・金型産業は、海外との競争が激化していることから、高品質、低コ
スト、短納期を実現する人材の確保と育成、地域全体の技術力の底上げなどにつ
いて、関係機関と連携した支援が必要です。
○木材・木製品製造業は、地域材を活用した高付加価値製品の開発、地域材の流通
体制の整備、協業化とともに、関係機関と連携した資源循環型システム※2の形成
が必要です。
○水産加工業を中心とする食料品製造業は、新製品開発、ブランド化、販路拡大が
求められていることから、関係機関と連携した支援が必要です。
○企業誘致は、コネクター・金型産業の工業集積を進めるとともに、東日本大震災
後の新たな状況に対応して、地域の特性にあった業種について、積極的な企業誘
致が必要です。
○工業用地の確保が必要です。
○新規創業者向けの空き工場の情報提供と、貸し工場の整備が必要です。
※2 資源循環型システム
環境への負荷を低減するという考え方に基づき、生産・流通・消費・処理といった各々の段階
での廃棄物の発生抑制・再資源化の循環で資源を利活用する仕組みのこと。森林整備から木材の
生産・加工・流通にわたる川上から川下の連携による資源の多段階活用は、その例である。
施策の体系
【施策】
【基本事業】
工業の振興
1地場企業の育成
2企業誘致の推進
施策の方向
○地場企業の育成を図るため、産業人材の育成に取り組みむとともに、
「モノづく
り」の高付加価値化を図るため、新技術・新製品開発に取り組む企業等を支援し
ます。
○補助制度を活用し、雇用を創出する企業誘致を推進します。
50
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業1】地場企業の育成
○モノづくりを支える産業人材の育成を図り、地場企業のレベルアップと経営基盤
の強化を支援します。
○工業振興の推進体制の確立、連携ネットワークの形成、高付加価値化のための技
術力強化や工業の高度化※3を推進します。
○地域工業のイメージアップを図り、小中高生など若年層のモノづくりに対する意
識の高揚を図るための取り組みを行い、モノづくりを支える人材の確保を図りま
す。
【基本事業2】企業誘致の推進
○平成 25 年度に創設された国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助
金や復興にかかる各種の優遇制度を活用し、工場などの新設や増設による雇用の
創出を図ります。
○コネクター・金型等の既存の工業集積に関連する産業や、地域資源を原材料とす
る食品産業、木材加工やリサイクル等の港湾利用型産業など、本市の地域特性を
活かした優位性のある分野のほか、新製品・新技術開発による先端産業※4などの
新たな産業分野について、関係機関と連携し、各種制度を活用しながら積極的な
企業誘致を推進します。
○工場適地の基盤整備や新たな工業団地の調査・研究をおこない、工業用地の確保
を図ります。
※3 工業の高度化
高度な方法や仕組みなどにより、事業の生産性の向上を図ること。
※4 先端産業
コンピューター・バイオテクノロジーなど、高度な技術や先端的な技術を中心にした産業のこ
と。
51
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
目標指標
指 標
施
策
①製造業純生産額
②従業員1人当たりの現金給与総
額
基本事業1
③製造業事業所数、従業者数
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
21,605
9,423
百万円
百万円
(H19)
(H23)
270 万円
271 万円
(H20)
(H23)
136 事業所
113 事業所(H23)
3,469 人
④人材育成事業の参加企業数、参加者
数
⑤工場の新設・増設等数(操業開始件
基本事業2
参考値
数)
⑥工場の新設・増設等による増加従業
者予定数
2,879 人(H23)
22,000
百万円
279 万円
136 事業所
3,470 人
56 社
44 社
60 社
373 人
149 人
300 人
2件
1件
5件
10 人
35 人
36 人
【目標値の考え方】
①被災企業の再開を支援するとともに、地場企業及び誘致企業の育成支援を図り、労働生産性を
高めながら震災前 H21 の実績値を上回ることを目指すもの。
②技術力の強化などにより企業の安定経営に寄与し、増加を目指すもの(年 0.5%増)
。
③技術力の強化などにより企業の安定経営に寄与し、事業所数及び従業者数は震災前 H21 の実績
値までの回復を目指すもの。
④企業のニーズに合った人材育成事業を選択し、継続して実施していくもの。
⑤誘致活動による新設や既存企業のフォローアップ※5及び増設等の支援を図っていくもの。
⑥誘致活動による新設や既存企業のフォローアップ及び増設等の支援を図り、雇用を拡大してい
くもの。
※5 フォローアップ
ある事柄を徹底させるために、あとあとまでよく面倒をみたり、追跡調査をしたりすること。
52
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第5 商業・サービス業の振興
現状と課題
(現状)
○中心市街地では、
震災からの復興を契機に商店街が連携し、
国等の事業を活用し、
賑わいと商店街の活性化を図る事業を実施しています。
○東日本大震災で被災した田老地区と鍬ヶ崎地区の商業・サービス業者の本格再建
に向けた動きが始まっています。
○震災や過疎化による人口の減少、少子高齢化、インターネットなどの購買行動の
多様化により、事業を継続できない商業・サービス事業者が増加傾向にあります。
○居住地域の小売店の廃業などにより、買い物弱者※1が増加する傾向があります。
(課題)
○中心市街地の商業・サービス業者がおこなうにぎわい創出のイベント等を支援す
るとともに、まちなか観光を推進する必要があります。
○田老地区と鍬ヶ崎地区の事業者に対しては、国等の震災支援制度の活用と商店街
の形成を支援する必要があります。
○事業者の経営の安定・強化のための融資制度を実施するとともに、消費者に魅力
のある個店の創出を図る必要があります。
○周辺地域の小売店が廃業し、買い物弱者が生まれている地域に対しては、買い物
弱者に対する対策を講じる必要があります。
※1 買い物弱者
高齢化や核家族化が進み、小売店の閉店や公共交通機関の廃止等により、過疎地域のほか市街
地周辺部で、食料品など日常の買い物に困難な状況にある人々のことを「買い物弱者」または「買
い物難民」といい、全国で約 600 万人の高齢者がこの状態にあると推測される。
施策の体系
【施策】
【基本事業】
商業・サービス業の振興
1魅力ある商業活動の推進
2経営基盤の強化
施策の方向
○商店街、観光事業者、商工会議所などの関係機関と連携し、観光客にも喜ばれる
賑わいのある中心市街地を形成するとともに、買い物弱者対策に取り組み、魅力
ある商業活動を推進します。
53
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
○融資制度や指導・相談事業の充実を図るとともに、個店の魅力を強化する事業を
実施し、商業・サービス業事業者の経営基盤の安定・強化を図ります。
【基本事業1】魅力ある商業活動の推進
○地域密着型の商業の振興と消費者のニーズに配慮した買い物環境の整備を図る
ため、商店街の連携を図り、商店街の振興活動を支援します。
○地域コミュニティの核としての機能整備を図り、市民の参画などにより活力と賑
わいのある商店街づくりを推進します。
○国等が実施するにぎわいの創出事業や活性化事業等の補助金制度を活用し、市民
も観光客も楽しめる賑わいのあるまちづくりと「まちなか観光プログラム」の開
発に取り組みます。
○地域住民の生活にねざした商業活動を支援することにより、買い物弱者などへの
対応に取り組みます。
○新規創業者に対する情報提供と創業への支援を行います。
【基本事業2】経営基盤の強化
○関係機関と連携し、事業者の経営の安定・強化のための融資制度や経営に対する
指導・相談の充実を図ります。
○商業事業者の意識改革を促し、個店の魅力を強化する事業を実施します。
目標指標
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
893 人
862 人
890 人
(H19)
(H24)
96,324 百万円
95,385 百万円
指 標
施
策
①
商工会議所会員数
(卸・小売・サービス業)
基本事業1
②
卸・小売業の年間商品販売額
基本事業2
③
経営指導件数
96,000 百万円
3,952 件
5,493 件
4,500 件
【目標値の考え方】
①消費購買の流出及び人口減少による収入の減少や被災等のため閉鎖する事業者が増加している
ことから、商工会議所会員数の減少に歯止めをかけるもの。
②近隣市町村への大型店の出店やインターネットの普及による購買の流出などのため売上が減少
しており、その減少に歯止めをかけるもの。
③事業者の経営強化のため経営指導・相談件数の増加を目指すが、震災関連の相談件数が減少し
落ち着くと考えるもの(18%減)
。
54
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第6 観光の振興
現状と課題
(現状)
○観光客数は、東日本大震災の影響により大きく減少しましたが、現在は回復傾向
にあります。本市の最大の観光拠点である浄土ヶ浜は、浄土ヶ浜レストハウス、
遊歩道、第一駐車場の整備が完了しましたが、復興事業の関係で、駐車場などの
環境や景観が未整備となっています。
○東日本大震災により被災した観光施設の復旧事業を進めています。
○田老地区では、平成 24 年度から「学ぶ防災」事業を実施しており、高い評価を
受けています。
○「観光立国推進基本法」の施行により、外国人観光客の来訪が促進されます。
○三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路、国道340号などの整備により、整備完了後
は、移動時間と観光関連施設の通行量が大きく変化します。
○観光イベントは東日本大震災により一時中断し、徐々に再開しつつありますが、
未だに中断している観光イベントもあります。
○恵まれた自然環境のなか、森と川と海の自然を活用した体験交流型の観光を推進
するため、事業を実施する団体を支援し、体制づくりを進めています。
○中心市街地では、
震災からの復興を契機に商店街が連携し、
国等の事業を活用し、
賑わいと商店街の活性化を図る事業を実施しています。
○観光情報の発信は、観光関係団体と連携した首都圏での観光PRや、旅行雑誌社
への情報提供、パンフレットやガイドブックの配布、インターネットにより行っ
ていますが、観光地の復興状況を十分に伝えることは難しい状況です。
(課題)
○浄土ヶ浜の駐車場などの環境や景観は、復興事業を考慮した整備が必要です。
○東日本大震災により壊滅的な被害を受けた観光施設は、早期の復旧が必要です。
○田老地区で実施している「学ぶ防災」事業の受け入れ体制の整備が必要です。
○外国人観光客の来訪に対応した受け入れ態勢の整備が必要です。
○三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路、国道340号などの整備に伴い、既存観光施
設周辺の交通量が変化することから、観光関連施設の配置等について検討が必要
です。
○観光客を対象としたイベントの開催を支援するとともに、東日本大震災により中
断している観光イベントの再開について、復旧状況を考慮した検討が必要です。
○森、川、海の豊かな自然や地域の文化を活用した複合型体験観光プログラムの開
発と充実が必要です。
○商店街や関係団体と連携した、まちなか観光プログラムの開発が必要です。
○観光客の誘客のため、全国に向けた観光情報の発信の強化が必要です。
55
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
施策の体系
【施策】
【基本事業】
観光の振興
1受入体制の整備
2地域観光資源の活用
3情報の発信
施策の方向
○浄土ヶ浜地区、東日本大震災による被災観光施設、田老地区の「学ぶ防災」関連
施設などの整備をおこなうとともに、外国人観光客にも対応した既存観光関連施
設の充実と新たな観光資源の掘り起しなどを行い、受入体制の整備を図ります。
○観光客を対象とするイベントの開催を支援するとともに、森、川、海の豊かな自
然や地域の文化を活用した複合型体験観光プログラムやまちなか観光プログラ
ムの開発と充実に取り組み、地域観光資源の活用を図ります。
○観光関係団体と協力した観光PRや、パンフレットやガイドブック等による観光
情報の提供に加え、ホームページ等インターネットを活用して、観光情報の発信
力を強化します。
【基本事業1】受入体制の整備
○浄土ヶ浜地区の来訪者を迎える環境と景観の整備に取り組みます。
○東日本大震災で被災した観光施設については、関係機関と連携し、早期の復旧を
図ります。
○「学ぶ防災」を実施している田老地区の受け入れ態勢の整備を進めます。
○体験型観光プログラムに必要なガイドの育成、実施体制の支援を行います。
○外国人観光客の受け入れのため、案内板の見直しや、公衆無線LAN環境の拡充
の取り組みなど、受入態勢の整備を図ります。
○三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路、国道340号などの整備に伴い、既存観光関
連施設の充実と新たな観光資源の掘り起しを図ります。
○「宮古もてなしプラン事業」など、もてなし意識の向上を図る活動を支援します。
【基本事業2】地域観光資源の活用
○観光客を対象とするイベントの開催を支援します。
○森、川、海の豊かな自然や地域の文化を活用し、それらを有機的に結びつけるた
めの複合型体験観光プログラムの開発と充実を図ります。
○中心市街地の商店街と連携して、まちなか観光プログラムの開発に取り組みます。
56
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業3】情報の発信
○ポスター、パンフレット、ホームページ等を活用した情報発信の強化を図ります。
○三陸復興国立公園協会、三陸ジオパーク推進協議会などの観光PR活動を通じて
情報発信を行います
目標指標
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
①観光来訪者数
170 万人
111 万人
128 万人
基本事業1
②観光施設利用者数
101 万人
111 万人
122 万人
基本事業2
③イベント来場者数
40,570 人
70,476 人
150,571 件
201,780 件
指 標
施
策
基本事業3
69,500 人
④宮古観光文化交流協会ホームページ
73,200 件
アクセス数
【目標値の考え方】
①観光来訪者数の増加を目指すもの。
(宮古市観光実施計画では、宮古市東日本大震災復興計画の再生期に震災前の平成22年度の実
績値(1,242 千人)まで取り戻すことを計画しており、以後は、年1%の増加を目指す。
)
②観光施設利用者の増加を目指すもの(10%増)
。
対象観光施設:総合観光案内所、浄土ヶ浜レストハウス、道の駅(なあど・たろう・やまびこ
館・区界高原)
、リバーパークにいさと、浄土ヶ浜海水浴場
③各イベントの来場者数の増加を目指すもの。
(宮古市観光実施計画では、宮古市東日本大震災復興計画の再生期に震災前の平成22年度の実
績値(68,424 人)まで取り戻すことを計画しており、以後は、年1%の増加を目指す。
)
対象イベント:鮭まつり、毛ガニまつり、やまびこフェスタ、秋刀魚づくし、新里まつり、鮭・
あわびまつり
④宮古観光文化交流協会ホームページへのアクセス数の増加を目指すもの(毎年5%増)
。
関連計画
①宮古市観光実施計画(H26-28)
57
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第7 連携・高付加価値型産業の形成
現状と課題
(現状)
○平成 19 年度から、地域産業の総合支援センターとして宮古市産業支援センター
を設置し、人材育成、企業・事業者への支援、ネットワークづくり、情報提供の
各分野において、事業を推進しています。
○同業種による連携や業種を超えた異分野との交流や大学・公設試験研究機関との
産学官連携の求める事業者が増加傾向にあります。
○本市の農林水産物の加工品は、豊かな天然資源に恵まれている反面、一般に低次
加工段階での出荷が多く、比較的付加価値が高いものが少ない状況となっていま
すが、企業・事業者の新製品開発による高付加価値化や未利用資源の活用意欲が
高まっています。
(課題)
○関係機関と連携した、企業・事業者への情報提供や相談・支援体制の整備・充実
が必要です。また、経営・技術・新製品開発・販路拡大等に意欲的な産業人材や
起業家の育成が必要です。
○異業種や産学官の交流等の様々な連携の活性化と、製品等の開発・改良等の推進
が必要です。
○本市がもつ多様な資源の有効活用と、農林水産物の高付加価値の加工品の開発が
必要です。
施策の体系
【施策】
【基本事業】
連携・高付加価値型産業の形成
1産業支援体制の充実
26次産業化の推進
3食産業の支援
58
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
施策の方向
○産業支援体制を充実し、企業・事業者のニーズに応じた産業支援策を実施します。
○各産業の連携を強化し、6次産業化※1を推進します。
○食産業の生産力の向上、地域資源の活用、販路拡大等の取り組みについて、支援
を強化します。
※1 6次産業化
農林水産業が1次産業(農林水産物の生産)にとどまるばかりでなく、それらを地域内で加工
(2次産業)し、付加価値を高め、それを農林水産業者等が流通販売(3次産業)することによ
り、所得の向上と雇用の場の確保を図ろうとするもの。こうした一連の行為(1次×2次×3次)
を6次産業化と称している。
【基本事業1】産業支援体制の充実
○宮古市産業支援センターを中心に、関係機関と連携して、産業人材の育成、製品
の開発・改良等の支援、異業種や産学官とのネットワーク形成、コーディネータ
ーによる出前型相談などのニーズ対応型の機能を高め、企業・事業者を支援する
体制の充実を図ります。
○企業等のニーズに応じた多様な育成システムを創出し、研修等を通じて、将来の
地域産業を支える人材の育成を促進します。
○相互友好協力協定を締結している岩手大学をはじめとする教育機関や岩手県工
業技術センターなどの公設試験研究機関との交流・連携を推進し、新製品や新技
術の開発を促進します。
○宮古市産業振興補助金等を活用し、企業・事業者等が行う生産力の向上や地域資
源の活用、販路拡大等の取り組みを支援します。
【基本事業2】6次産業化の推進
○6次産業化推進プロジェクトとして、第1次産業の生産物を第2次産業の製造業
や第3次産業の商業・観光業が付加価値をつけて販売し、第1次産業の下支えを
する仕組みをつくります。
○各分野の連携や交流によるネットワークを活かして、地域で十分に活用されてい
ない資源やサービスに着目した新たなビジネスモデル※2の創出を支援します。
【基本事業3】食産業の支援
○地域資源を活用した新製品開発や既存加工製品の品質向上を支援し、優れた製品
等を地域ブランドとして定着させ、地域内外への普及や販路拡大を推進しながら、
生産者及び加工業者の所得向上と雇用創出を図ります。
※2 ビジネスモデル
企業や事業体が、事業を維持・継続、拡大・発展させるため、業務のやり方や取引先との関係、
収益などの構造を特定の視点と形式で表現したもの。その仕組みのこと。
59
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
目標指標
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
-
111 企業
117 企業
②企業による評価(アンケート)
70.2 点
-
76 点
③補助金を活用した実企業数
107 企業
106 企業
117 企業
-
3件
6件
20 件
19 件
21 件
指 標
施
策
①基本事業に参加した実企業数
基本事業1
基本事業2
基本事業3
④産業化に取り組んだ件数
⑤販路拡大・新製品開発に取り組んだ
件数
【目標値の考え方】
①基本事業に参加する実企業数の増加を目指すもの(5%増)
。
②企業による評価を高めることを目指すもの(5%増)
。
③産業支援補助制度を活用した実企業数の増加を目指すもの(10%増)
。
④H27-H31 までに実件数で6件を目指すもの。
⑤取り組み件数の増加を目指すもの(10%増)
。
60
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第8 港湾の利用促進
現状と課題
(現状)
○重要港湾である宮古港の貨物取扱量は、東日本大震災発災前から、木材加工業の
輸入材から国産材への原料転換の影響を受け、宮古港の主要貨物である輸入木材
が減少し、震災後も同様の状況が続いています。
○藤原ふ頭工業用地には、未分譲の県有地があるとともに、震災後廃業した企業も
あります。
○東日本大震災により被災した「リアスハーバー宮古」は復旧が完了し、今後、様々
なイベントの開催が期待されています。
○平成元年度から 25 年度までに 63 隻の大型客船が寄港していますが、東日本大震
災後は、復興支援の意味合いもあり、大型客船の寄港が増加しています。
(課題)
○宮古港の貨物取扱量の増加を図るためには、新たな視点での集荷や、三陸沿岸道
路等の整備に合わせたカーフェリーなどの新たな物流体制の構築が必要です。
○藤原ふ頭工業用地に、港湾を活用する企業の誘致が必要です。
○海洋レクリエーションの振興を図るため、
「リアスハーバー宮古」の利用促進が
必要です。
○客船寄港は、東日本大震災からの復興を伝える重要な事業であることから、積極
的なポートセールス※1の実施と、受け入れ体制の整備が必要です。
※1 ポートセールス
港湾の利用を促進するため、船舶や貨物の誘致を、船会社や荷主などに働きかけること。
施策の体系
【施策】
【基本事業】
港湾の利用促進
1貨物取扱機能の強化
2港湾の活用
施策の方向
○積極的なポートセールスにより港湾取扱貨物量の増加を図るとともに、新たな航
路の誘致を図ります。
○公共ふ頭に隣接した工業用地への港湾利用型企業の誘致を図るとともに、大型客
船の寄港誘致に取り組み、港湾の活用を図ります。
61
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業1】貨物取扱機能の強化
○宮古港利用促進協議会を中心に、県と連携し、船舶会社や港湾を利用する企業に
対して、宮古港の優位性である上屋と野積場を活かした効果的なポートセールス
やセミナーの実施により、貨物量の増加を図るとともに、定期航路の誘致を図り
ます。
○カーフェリー誘致に向けた取り組みを促進します。
【基本事業2】港湾の活用
○港湾利用型企業の誘致を図ります。
○民間のノウハウを活かし、市が協働しながら各事業を実施し、リアスハーバー宮
古の利用促進を図ります。
○大型客船の誘致に努めるとともに、市民全体で客船を歓迎する体制を整備します。
目標指標
指 標
施
策
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
442 千t
500 千t
400 千t
①港湾取扱数量
(H20)
②一時預り貨物取扱数量
-
68 千 t
100 千t
③誘致航路数
0
0
1
④誘致企業数
0
0
1
⑤客船寄港回数
0
4
3
基本事業1
基本事業2
【目標値の考え方】
①港湾取扱数量の減少は、経済不況の影響もあることから、現状を維持するもの。
②H22 見込みが 70 千tであることから、それを上回ることを目指すもの。
③新たな航路の誘致を目指すもの。
④新たな企業の誘致を目指すもの。
⑤現有する日本の大型客船が、それぞれ1回寄港することを目指すもの。
関連計画
①宮古市港湾振興ビジョン(H22-27)
62
第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
第9 雇用の促進と労働者の福祉の充実
現状と課題
(現状)
○東日本大震災の復興事業に関連する就職者が増加したことから、宮古管内の就業
者数は増加しています、一方で、人手不足となっている業種もあります。また、
震災後は、新規高校卒業者の地元就職数が増加しています。
○求職者の職業訓練や資格取得などのニーズが求人企業から高まっています。
○高年齢者の雇用機会の創出や経済的な安定を図るため、宮古市シルバー人材セン
ターが就業機会の提供を行っています。
○働く青少年の健全育成と福祉の増進を図るための施設である宮古市勤労青少年
ホームの利用者数は東日本大震災により落ち込みましたが、現在は回復しつつあ
ります。また、勤労者への低利融資や出稼ぎ労働者の互助会などの制度の利用者
が減少しています。
(課題)
○雇用の場の確保とともに、早期離職防止の対策や再就職の支援、高齢者の能力を
活用できる雇用機会の拡大が必要です。
○試行的雇用や資格取得訓練への奨励・補助制度の周知と継続的な支援が必要です。
○市民ニーズにあった職業訓練を実施できるよう、関係機関との連携が必要です。
○勤労者福祉施設の活動支援及び利用促進、勤労者融資制度及び出稼ぎ互助会加入
促進など制度内容の充実や周知による労働者福祉の充実が必要です。
施策の体系
【施策】
【基本事業】
雇用の促進と労働者の福祉の充実
1雇用の促進
2労働者の福祉の充実
施策の方向
○関係機関や事業者と連携し、職業訓練や情報提供・相談事業等を実施し、雇用の
拡大と地元就職の促進を図ります。
○勤労青少年ホームの利用を促進するとともに、労働者金融制度等の充実を図り、
労働者の福祉の充実を図ります。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
【基本事業1】雇用の促進
○新規高校卒業者の管内就職を支援するため、宮古公共職業安定所や宮古地区雇用
対策協議会などの関係機関や教育機関及び就職支援員※1と連携し、雇用の場の確
保に努めるとともに、職場見学会や就職セミナーなどを実施するとともに、イン
ターンシップ※2を支援します。
○ジョブカフェ※3みやこと連携し、求人情報の提供や就業に関する支援事業を行い、
求職者の就業を促進します。また、U・Iターン希望者を対象に、就職面接会や
情報提供を行います。
○企業への雇用奨励及び再就職希望者への支援を行い、安定的な就業を促進します。
○宮古市シルバー人材センターに対して支援を行い、高齢者の雇用機会の充実を図
ります。
○宮古職業訓練センターを職業訓練の拠点として、市民ニーズに応じた訓練内容の
充実を図ります。
○県立宮古高等技術専門校で行っている金型技術科等における人材育成を、関連企
業や関係団体と連携を図り支援します。
【基本事業2】労働者の福祉の充実
○宮古市勤労青少年ホームの利用を促進し、勤労青少年の福祉の充実を図ります。
○勤労者向けの勤労者生活安定資金や勤労者教育資金などの貸付制度を継続し、労
働者の福祉の充実を図ります。
○出稼ぎ労働者については、出稼ぎ互助会への加入を促進します。
※1 就職支援員
企業等において人事・労務分野等で経験を積んだ者で、就職を希望する生徒等の就職支援(進
路相談や求人開拓など)を行うために関係機関等に配置されている者をいう。
※2 インターンシップ
学生・生徒が在学中に実習生として、一定期間、企業などで自らの専攻や将来の職業選択に生
かすため実際の仕事を体験する制度のこと。
※3 ジョブカフェ
若年者の能力向上・就職促進を目的に、職場体験や職業紹介等、雇用に関連したサービスを提
供するセンターのこと。若年者就業支援センターともいう。平成 15 年に国が策定した「若者自立・
挑戦プラン」の中核的施策に位置付けられ、16 年度から各都道府県に開設されている。
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第2章 活力に満ちた産業振興都市づくり
目標指標
参考値
現状値
目標値
(H21)
(H25)
(H31)
17,383 人
18,386 人
18,400 人
②補助金・奨励金交付対象者数
147 人
136 人
130 人
③事業委託先における利用者数
555 人
410 人
560 人
④事業委託先における利用者数
344 人
326 人
360 人
⑤勤労者等対策事業の利用者数
90 人
40 人
40 人
指 標
施
策
①就業者数(雇用保険被保険者数)
基本事業1
基本事業2
【目標値の考え方】
①就業人口が対 H21 比で 1,000 人超増加したが、復興需要による影響が大きいことから、より安
定的な雇用を促進・支援しながら、就業者数は現状を維持することを目指すもの。
②H24 年 8 月から有効求人倍率が1倍を超えた状態で推移しており、離職者は減少したものの、
離職者資格取得訓練などで企業の求める人材の育成を支援しながら、現状維持を目指すもの。
③宮古職業訓練協会及び宮古市シルバー人材センターの就労促進活動を支援し、訓練受講生及び
会員数を震災前の実績値まで回復することを目指すもの。
④宮古市勤労青少年ホームの利用登録者を震災前の実績値まで回復することを目指すもの。
⑤勤労者融資及び出稼ぎ互助会加入者は減少傾向にあることから、現状を維持するもの。
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