臨床終了時 OSCE におけるレーザー窩洞計測装置による評価 北海道医療大学歯学部 口腔機能修復・再建学系 う蝕制御治療学分野 〇伊藤修一、泉川昌宣、斎藤隆史 Evaluation of Laser Cavity-Evaluation Device in Advanced OSCE Division of Clinical Cariology and Endodontology, Department of Oral Rehabilitation, School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido. 〇 Shuichi Ito, Masanobu Izumikawa , Takashi Saito 【目的】 保存修復学実習においてう蝕をはじめとする歯の硬組織疾患に対する一連の基本的技能である窩洞形成法を習得さ せることは、重要な課題の一つである。従来、学生による窩洞形成の評価は教員の主観的評価に頼るところが大きか った。しかし教員によって評価が異なることもあり、客観性に乏しく、学生自身による形成窩洞の問題点の把握が困 難であるという欠点があった。そこで我々は、項目別窩洞形成評価法の開発をはじめとして様々な窩洞評価支援シス テムの開発を行ってきた。一方で、Objective Structured Clinical Examination(OSCE)は、歯学部において臨床能力 を評価するために広く使われている。その中で、北海道医療大学歯学部においては、平成 22 年より臨床実習終了時の 臨床能力評価として、臨床終了時 OSCE を導入し、評価を行っている。そこで、保存修復学の課題に対して三次元画像 構築可能なレーザー窩洞計測装置を用いて評価を行ったので報告する。 【方法】 今回開発した窩洞計測装置では、半導体レーザー照射装置と模型歯を回転させながら窩洞に投射し、反射光を CMOS イメージセンサーで受光することによって位置、角度、高さ検出を行い、三次元画像構築を行う。窩洞の採点は、基 準窩洞の外側および内側のエリア(オフセット値)を設定し、さらにオフセット値内での切削不足、切削過剰の許容値 を超えて切削している場合の減点率を設定することによって行う。また、三次元画像抽出を行うことにより基準窩洞 との重ね合わせを行い、切削不足、切削過剰部位を視覚的に捉えることが可能である。本装置の適性を評価するにあ たって、平成 22 年度~26 年度歯学部第 6 学年の臨床終了時 OSCE にて、下顎左側第一大臼歯の 1 級インレー窩洞形成 実習を行った。形成された窩洞をレーザー窩洞計測装置で評価を行った。 【結果および考察】 レーザー窩洞計測装置を用いた結果は、平成 24 年度の 73.6 点が最も高く、平成 25 年度の 61.3 点が最も低かった。 各年度間での傾向は認められなかった。 以前に報告した、臨床経験 10 年目以上の教員とレーザー窩洞計測装置を用いた評価の比較においては、各評価項目 での評価のばらつきがみられた。 これは、教員による評価が、窩洞外形バランスの評価を重視していることを表し ている。臨床終了時 OSCE においては、その実施課題、時間的な制限などがあり、臨床能力を評価するための一手段に すぎないのも事実である。しかしその中においても、教員の主観にとらわれることなく、客観的な評価を行っていく ことが重要である。 今後、窩洞計測装置の改良を進め、様々な課題、窩洞に対応できるようにする必要がある。 【結論】 今回開発したレーザー窩洞計測装置は、窩洞の客観的評価が可能であり、臨床終了時 OSCE の評価法として有用であ る。さらに三次元画像構築を行うことによって学生への客観的フィードバックが可能であることが示唆された。
© Copyright 2024 ExpyDoc