佐々木淳

第 17 回日本在宅医学会大会
シンポジウムテーマ
開催日
シンポジスト
シンポジウム「在宅医療と ICT」
2015 年 4 月 25 日(土)
ふりがな
講師情報
抄録集・ホームページ掲載用原稿
ご芳名
ご所属
姓
時間
13:40-15:10
ささき
佐々木
収容人数
名
150 名
じゅん
淳
医療法人社団悠翔会
部署
役職
理事長・診療部長
演題名(80 字以内)
院内および地域多職種の連携による診療品質と効率の両立を目指して
―患者情報共有プラットフォームとしての電子カルテシステム―
ご略歴(300 字以内)
1973 年 京都市生まれ
1998 年 筑波大学医学専門学群卒業、社会福祉法人三井記念病院内科研修医
2000 年 三井記念病院消化器内科医員
2003 年 東京大学医学系研究科博士課程入学、その後、地域病院管理職、在宅医療などを経験し、
2006 年 在宅療養支援診療所MRCビルクリニック開設、管理医師。
2008 年 医療法人社団悠翔会として法人化、理事長就任
2011 年 クラウド型電子カルテシステムの院内開発スタート
講演概要(1000 字以内)
医療法人社団悠翔会は 23 名の常勤医師・30 名の非常勤医師が約 2000 名の在宅患者の診療を担当している。
それぞれ勤務スケジュールや専門領域が異なるが、チームで 24 時間途切れない診療体制を提供している。ま
た連携医療機関に対する当直の支援も行っている。しかしチームのメンバーや連携医が常に顔を合わせてリ
アルタイムに情報共有することは容易ではなく、ICT による情報共有の重要性が増してきた。既存の電子カ
ルテをいくつか使用してみたが、いずれも課題解決には至らず、は 2012 年に独自に電子カルテシステムの開
発を開始した。開発にあたっては、主治医と主治医以外の医師との情報共有(当直医・内科以外の専門医な
ど)、事務作業(請求、電話対応記録、文書作成・発行管理など)、診療支援(スケジュール管理・患家での
衛生材料の管理など)
、業務管理(統計指標の抽出など)の効率化を第一の目標とした。
また、第二の目標として地域の多職種との情報共有(居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・訪問薬
局・施設介護事業者など)を目指した。閲覧できる範囲は、職種ごとに個別に設定した。また、多職種から
の報告や問い合わせも記録として残し、時系列で共有できるようにした。前提条件として、患家からはチー
ム内での診療情報共有にご同意をいただいた。
実際の運用にあたっては、主治医でなくとも連続した診療が提供できるよう、チーム内でカルテの記載ルー
ルを作り共有した。そのために、診療内容だけでなく、患者背景や療養環境、対応ルールなどについてもし
っかりと明記するとともに、医師以外の職種が閲覧しても理解しやすいよう、外国語や略語はなるべく用い
ないようにした。カルテの入力については、最小限の動線で必要な要件を満たせるよう、入力支援機能を盛
り込んだが、施設の集団診療においては、医師と患者の対話の時間をより多く確保するため、電子カルテ入
力スタッフが診療に同行した。
これらの取り組みの結果、カルテ記載内容が充実するとともに、実際の診療においても診療方針・対応方針
の明確化が意識されるようになった。また、地域の多職種の視点を一つのカルテ上で共有できることで、患
者の状況が立体的に把握しやすくなった。これらはチーム内および地域の多職種との業務分担の推進、診療
の品質と効率の両立に寄与している。書類作成も容易になり、医師の事務的業務負担を軽減している。