<平成 27 年 年頭所感> 日本経済の力強い成長軌道への復帰を目指して 一般社団法人日本産業機械工業会 会 長 佃 和 夫 平成 27 年を迎えるに当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。 皆様には、気持も新たに新年を迎えられたことと思います。 昨年を振り返りますと、日本人研究者 3 人のノーベル物理学賞受賞は大変喜 ばしい出来事でしたが、2 月の豪雪、8 月の豪雨による広島市の土砂災害を始め とする夏の多雨・日照不足、9 月の御嶽山噴火、12 月の長野県北部地震など、 異常気象や自然災害の多い一年でした。 景気については、消費増税後の需要低迷や輸出の伸び悩みなどを背景に、4-6 月期と 7-9 月期の GDP が 2 期連続でマイナス成長となるなど、力強さに欠く状 況にあったかと思われます。 こうした中、平成 27 年 10 月に予定されていた消費税率 10%への再増税が延 期されたほか、経済政策の継続などを争点にした衆議院選挙が実施されるなど、 慌ただしい年越しとなりました。12 月 24 日に発足した第三次安倍内閣におかれ ましては、引き続き、経済最優先の政策運営に当たられますことを強く期待し たいと思います。 私ども産業機械業界の昨年の受注は、海外で発電プラントや化学プラントを 複数受注するなど、外需の持ち直しの動きが続いたことから、2 年ぶりに 5 兆円 台まで回復する見込みとなりました。なお、内需については非製造業と官公需 の増加により前年を上回る見込みですが、肝心の製造業からの受注は横ばい圏 内は維持したものの、業種によって増減が入り混じるなど、回復力に力強さを 感じる状況ではありませんでした。 今年は、日本経済が持続的な成長を遂げるための、まさに分岐点であり、政・ 官・民があらゆる政策や対策を総動員し、力強い成長軌道に復帰できるよう、 積極的に行動すべき重要な一年になると思われます。 我々産業機械業界も、成長のけん引役である製造業の一員という強い認識を 持って、自己革新に取り組んでいきたいと思います。また、あらゆる産業の生 産財と社会インフラ設備を提供する縁の下の力持ちとして、わが国産業の競争 力強化や安心・安全社会の構築、震災復興の加速に向け、より多くの役割が果 1 たせるよう、技術力や開発力のみならず、グローバルな環境変化に応じて製品・ サービスを提供できる体制整備や仕組みづくりなどに、一層努力していく必要 があると考えます。 同時に、産業機械業界の持つ世界最高水準のエネルギー・環境分野の技術や サービスなどを活かして、世界各国のエネルギー効率の改善や低炭素化・省資 源化などへの取り組みに積極的に協力していくことで、地球規模での温暖化防 止と循環型社会の構築に貢献していきます。 政府におかれましては、急激な円安に苦しむ中小企業に対する経営支援はも とより、法人実効税率の大胆な引き下げや、雇用などの規制改革の強化、安全 性の確認された原子力発電所の再稼働によるエネルギーコストの引き下げ、TPP などの経済連携交渉の推進、官民連携によるインフラ輸出の推進など、効果的 な経済対策と実効性のある成長戦略により、民間が活力を発揮できる事業環境 の整備に取り組んでいただきたいと思います。 年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におか れましては一層のご指導、ご協力をお願いしますと共に、皆様のご多幸を心か らお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。 2
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