平成 27 年度 市政運営の基本方針 平成 27 年 2 月 26 日 玉野市長 黒 田 晋 平成27年3月市議会定例会の開会にあたり,議員の皆様におかれま しては,平成27年度の当初予算案をはじめとする諸議案のご審議のた めお集まりいただき,厚く御礼を申し上げます。 この機会に,新年度の市政運営に臨む所信の一端を申し述べ,議員の 皆様,市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。 1 はじめに 私が,市民の皆様からご信任をいただき,ふるさと玉野の市政のかじ 取り役を担ってから,はや9年余りが経過しました。 就任直後,国においては, 「地方にできることは地方に」という方針の 下,地方分権と三位一体の改革が強力に進められました。その後の民主 党政権による地域主権改革,さらには,自民党政権が進めたアベノミク スの三本の矢による大規模な経済成長戦略など,我々地方行政や地域経 済を取り巻く環境は目まぐるしく変化してきました。 こうした激しい時代の流れの中にあっても,私は,無駄な支出を無く す一方で,安全・安心や子育て・教育などの必要な施策に対して集中的 に投資する「選択と集中」という一貫した考えのもと,市民の皆様の信 託に応えるべく全力で取り組んできました。 そして,今,我々は地方創生という新たな時代を迎えました。 地方創生は,少子高齢化や人口減少が進行する中で,各自治体がそれ ぞれの特性を活かしつつ自立的で持続的な社会を創り出すことを目指す ものであり,まさに地域力が試されるものです。 -1- その地域力の要因の一つである地域経済について,基幹産業である造 船業の受注環境は好転しつつあります。 三井造船株式会社玉野事業所では今後3年間で100億円規模の投資 に踏み切ることに加え,一定規模の雇用も見込まれているところです。 我々はこのような大きな時流に乗るとともに,英知を絞って前向きに 進んでいかなければなりません。 平成27年度は,私が市長に就任してから10年目という節目の年度 となります。ふるさと玉野への思いをよりいっそう強め,本市の未来の ために前進します。 2 未来のために今 ~前進~ 私は,今,ふるさと玉野の未来のための新しいまちづくりを進めてい ます。 最重要課題と位置付けている公共施設の再編整備について,これまで よりも一歩踏み込んだ検討を行い,市民病院については,市民ニーズを 満たした医療を持続的に提供していくため,指定管理者制度の導入を進 めています。 また,総合文化センターについては,図書館や中央公民館等の機能を 天満屋ハピータウン・メルカへ移転整備することを決定し,指定管理者 制度を含めた運営手法の検討に移りました。 さらに,給食センターについては,学校給食センターと東児調理場を 統廃合した上で,施設を新設することとし,PFI手法を含む整備手法 -2- の検討を始めるなど,未来のための大きな決断をしたところです。 また,公共施設の再編整備以外にも,子どもたちが明るく健やかに育 つ環境づくりや地域活性化,産業振興などの政策を展開し,ふるさと玉 野の未来に向けて,着実に進んでいます。 しかし,まだまだ道半ばであり,この歩みを止めるわけにはいきませ ん。 「未来のために今 ~前進~」 私は,新たな年度においても,これまでの取組をベースに,総合計画 「みんなで築くたまのプラン」に掲げる将来像「安心・活力・支えあい ~みんなで築く自立都市」の実現に向けて,議員の皆様・市民の皆様と ともに,公共施設の再編整備をはじめ,定住促進・人口減少対策,子育 て・教育や地域活性化,産業振興など,未来のためのまちづくりをより いっそう前進させます。 以下,平成27年度における主な取り組み等について,私の思いを述 べさせていただきます。 -3- 3 平成27年度の重点施策と主要事業 (1)公共施設の再編整備 はじめに,公共施設の再編整備についてであります。 本市の公共施設は全体的に老朽化が進んでおり,大規模な改修や建て 替えといった更新時期を迎えている施設が少なくありません。また,人 口減少や少子高齢化など,建設当時とは社会の仕組みも大きく変化して います。 従って,将来にわたって持続可能な行政サービスを安定的に維持し, 市民の皆様に,快適に公共施設をご利用いただくためには,施設の再編 整備は避けて通れない重要な課題です。 本市では,公共施設の再編整備等の方向性について, 「現存施設の活用」 をはじめ, 「共通化・複合化の推進」 , 「民間活力の導入」などの六つの基 本的な考え方をまとめるとともに,各施設を, 「最優先施設」 , 「優先施設」 及び「統廃合・民営化などを検討すべき施設」に分類しました。 そして,老朽化の度合いや運営状況などの内部要因,また,社会経済 情勢や社会的ニーズなどの外部要因などを総合的に勘案しながら,緊急 性の高いものを中心に具体的な検討を進めているところです。 今後は,一定の方向性をお示しした施設について,その実現に向けて 準備を進めるとともに,それ以外の施設についても引き続き検討を進め ていきます。 ここで,主要な施設についての方向性を述べたいと思います。 まず,玉野市民病院についてであります。 -4- 市民病院は,市民ニーズに応えることのできる地域の中核病院を目指 し,平成21年3月に「玉野市立玉野市民病院改革プラン」を,また, 平成23年3月には「玉野市民病院経営改善計画」を策定し, 「玉野市民 病院改善協議会」による計画の進捗状況の評価や利用促進策の検討など を行ってきました。また,平成25年度には,地域の医療関係者や玉野 市民病院改善協議会の構成メンバーを中心とした「玉野市地域医療ミー ティング」を開催するなど,経営改善のための努力を重ねてきました。 しかしながら,慢性的な医師不足や救急医療の受け入れが十分でない などの課題解決には至っておらず,従来にも増して厳しい経営を余儀な くされています。今後も,医業収益の大幅な減収によりさらなる経営状 況の悪化が予想され,これまで取り組んできた手法では限界にきている と感じています。 こうしたことから,地域の中核病院として,市民ニーズを満たした医 療を持続的に提供していくためには英断を持って改革に臨む必要がある との判断に至り,実績が豊富な民間事業者の経営手法の導入,とりわけ, 導入に当たっての迅速性,運営の柔軟性・弾力性等が優位な指定管理者 制度の導入を進める決断をしました。 現在,指定管理者の選定作業を進めているところであり,本年7月か らの導入を目指します。 一方で,市民病院の建物そのものについては,昭和48年の整備から 40年以上が経過していますが,医療法に基づく施設基準の一部が旧法 適合であることに加え,電気設備等が老朽化していることもあり,早期 の建て替えが望ましいと考えています。 -5- 従って,指定管理者には,医療サービスの充実はもとより,新病院の 建設も視野に入れた運営を求めることとしており,将来にわたり良質で 安定した地域医療が提供できるよう前進します。 次に,総合文化センターについてであります。 本市の代表的な文化施設である総合文化センターは昭和47年の整備 から40年以上が経過しており,老朽化が著しいことに加え,バリアフ リー化に未対応であることや駐車場が不十分であることなど,多くの課 題を抱えており,今後も引き続き多額の経費をかけて維持管理していく ことは,非常に困難であると考えています。 こうした中,本市におきましては,天満屋ハピータウン・メルカを運 営する民間事業者などからメルカへの公共施設の再編整備に関する要望 書が提出されたことを受け,具体的な検討をスタートさせました。 メルカは市内にある唯一の大型商業施設であり,本市が官民を挙げて 推進する中心市街地活性化基本計画においても,交流拠点の一つとして 位置付けられています。また,公共施設再編整備の方向性にある「共通 化・複合化の推進」や「民間活力の導入」 , 「国・県等の財源の有効活用」 と合致していることに加え,総合文化センターが抱えている課題を解決 できるなどのメリットもあります。 こうしたことから,市として,総合文化センターの機能のうち,図書 館,中央公民館及びギャラリー機能を移転する方針を打ち出し,議会の 皆様との協議を経て,平成28年度中の整備完了に向けて準備を進めて います。 現在,施設の運営手法として,民間ならではのノウハウを活かしたサ -6- ービスの向上や商業施設との相乗効果による新たな賑わい創出などが期 待できる指定管理者制度の導入を検討しており,スピード感をもって方 向性を決定します。 平成27年度は,その方向性を受けて,施設の実施設計を開始し,多 くの市民の皆様にご利用いただける施設となるよう,ソフト・ハード両 面にわたり,住民サービスを向上させるべく前進します。 なお,総合文化センターについては,メルカへの移転後,廃止・解体 することとし,その跡地については,公共施設の再編整備等の視点から 有効活用できるよう検討します。 次に,市民会館についてであります。 先ほど述べましたように大ホール機能を有する総合文化センターにつ いては,図書館等の機能移転の後,廃止・解体する方針です。 市民会館は昭和35年のオープンから50年以上が経過し,施設の老 朽化が著しい上,バリアフリーに未対応であるなどの多くの課題を抱え ているのが実情です。 しかしながら,本市の厳しい財政状況に加え,今後予定されている図 書館等の移転や給食センターの新設に要する費用負担等を考えますと, 当面は,既存施設を活用せざるを得ないと考えています。 従って,市民会館については,既存施設の利用を継続しつつ,本市の 財政状況や社会経済情勢,時代の要請などを注視し,民間活力の導入な どのあらゆる手法を含めて,そのあり方について検討を進めます。 次に,給食センターについてであります。 本市の学校給食センター及び東児調理場は,ともに建物・設備の老朽 -7- 化が著しく,調理体制にも課題があります。 本市におきましては,こうした課題を解決するため,平成23年4月 に策定した「玉野市行政改革大綱」におきまして,両調理場の統廃合と 施設の新設を検討することとしました。これを受け,平成26年度には, 学校給食懇談会を開催し,調理場の統廃合や自校方式を含めた整備運営 手法,食育,アレルギー対応などについてのご意見をいただくとともに, 事業コンサルタントによる市場調査等を実施し,PFI手法を含む本市 の実情に即した整備手法等について検討を行っています。 平成27年度は,利用者ニーズの把握に努めながら,基本計画の策定 に努めます。 これらの施設以外にも,老朽化が進み,大規模改修や建て替えの時期 を迎えているゴミ焼却施設については,近隣都市との協働による広域的 な施設整備に向けた検討を重ねており,今後は,具体的な方向性を打ち 出すこととしています。 公共施設全般については,そのあり方の検討を行うための基礎資料と なる公共施設白書の見直しを行うとともに,ファシリティマネジメント の手法を取り入れながら,施設の更新,統廃合や長寿命化などを行うう えでの指針となる公共施設等総合管理計画の策定を進めます。また,近 隣都市との連携,学校施設と社会教育施設等との複合化や余裕教室の活 用など,公共施設の再編整備等の方向性に基づきながら,従来の概念に とらわれない様々な切り口での検討を前進させます。 -8- (2)定住促進・人口減少対策 次に,定住促進・人口減少対策についてであります。 本市の人口は,昭和51年の約8万人をピークに減少を続けており, 国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと,平成52年には約 4万3千人余りにまで減少することが予想されています。 また,年齢構成を見ますと,年少人口及び生産年齢人口の割合が減少 する一方で,高齢人口の割合が増加する傾向にあり,平成52年の高齢 化率は40%を超えるものと推計されています。 人口の減少,とりわけ,働く世代の減少は,税収の減少をもたらす一 方で,高齢化社会の進展により社会保障費が増大することで,本市の財 政に与える影響は非常に大きいものがあります。 また,まちの活力の低下や空き家の増加による倒壊などの危険性の増 大,さらには防犯・防災機能の低下など,人口減少が様々な社会問題を 引き起こすことも懸念されます。 有識者らによる政策提言組織である日本創成会議によりますと,人口 の再生産を担う20歳から39歳までの若年女性人口が,平成52年ま でに半減するものと推計された「消滅可能性都市」が全国の自治体の約 半数にのぼっていること,また,これに本市も含まれていることに対し て,私も大きな衝撃を覚えました。 こうした中,本市の恵まれた自然環境や気候風土,海や港町への憧れ などによる市外・県外からの移住ニーズは,若者を中心に依然として高 い水準にあり,各種専門誌やメディアで紹介される機会も増えつつあり ます。 -9- 一方,本市におきましては,空き家バンクに登録された市内の空き家 に係るリフォームに対する支援制度を展開するとともに,新規住宅購入 者に対する住宅用太陽光発電設備の導入補助を増額するなどの定住促進 策を進めています。また,これまでも市民課窓口において,転入・転出 者を対象としたアンケート調査を実施し,それぞれの動向の把握に努め てきました。 今後は,こうした結果を詳細に分析し,定住を促すターゲットの絞り 込みとそれを実現するための施策を展開する,いわゆるターゲットマー ケティングの手法を取り入れた戦略的な取組も必要であると考えていま す。 こうしたことから,平成27年度は,政策部総合政策課内に「定住推 進室」を創設し,移住・定住に関する情報発信や相談業務などを行うほ か,新たな取組として,移住・定住希望者に本市の魅力や雰囲気に直接, 触れてもらうための移住体験ツアーを開催します。 また,移住希望者に対して,短期的に玉野で暮らしてもらうことで, まちの雰囲気の体感や求職活動に役立ててもらうための,おためし住宅 の導入に向けて検討します。 加えて,ターゲットマーケティングを活用しながら,シティセールス などの施策との連携,さらには,若者などの移住に取り組んでいる関係 団体とも連携しながら,効率的かつ効果的な定住促進を図るべく前進し ます。 -10- (3)子どもたちが明るく健やかに育つ環境づくり 次に,子どもたちが明るく健やかに育つ環境づくりについてでありま す。 私がこれまで重点的に取り組んできた施策の一つは子育て・教育です。 地域の未来を担う子どもたちが,この恵まれた自然環境の中で,心身 ともに豊かに成長し,社会へ羽ばたいてくれるよう,いつも願っていま す。 本市においては,待機児童がほとんどいないなど,安心して子育てし やすい環境を整えています。しかしながら,就学前の子どもの幼児教育 や保育に対する市民ニーズは,昨今の働く女性の増加に伴い,多様化し ているのが実情です。 こうした中,一昨年4月には,既存の幼稚園と保育園を一体化させた 本市初となる玉認定こども園を開設し,保護者の就労の有無に対応した 柔軟な受入れを可能にしたところです。 認定こども園の設置は,こうした保護者ニーズに応えるだけでなく, 子どもの育ちを第一に考えた適切な規模の集団を保つことや老朽化した 施設の統廃合を進めることができるなどのメリットもあります。 平成27年度は,玉認定こども園の運営状況や保護者の意見等を踏ま え,サンマリン保育園に新たな認定こども園を開設するとともに,各家 庭の就労状況やニーズなどに応じた子育てしやすい環境のさらなる充実 に向けて前進します。 次に,教育については,これまで,子ども達の確かな学力の向上を目 指し,小学校において,全学年での35人学級の実施のほか,小1グッ -11- ドスタート事業の通年実施や小学校算数力ステップアップ事業,小中連 携英語力育成事業などを実施しています。また,中学校においても,中 学校数学力ステップアップ事業や中学校アフタースクール学習事業など を実施し,小・中学校ともに子どもたちの学力向上のための取組を展開 しているところです。 また,平成27年度から市内の全小・中学校に防犯カメラを順次設置 し,子どもたちが安心して学習できる環境を整備します。 あわせて,これまで実施してきた事業を継続的に実施し,きめ細やか な教育支援体制のもと,全ての子どもたちの確かな学力と豊かな心の育 成に取り組みます。 (4)地域活性化 次に,地域活性化についてであります。 瀬戸内海の豊かな自然の恵みや温暖な気候,災害の比較的少ない地勢, そして, 「晴れの国・おかやま」の中で一番,また,全国でもトップクラ スを誇る年間日照時間の長さなど,私たちは大変恵まれた自然環境の中 で暮らしています。 また,近年は,現代アートで注目される,香川県・直島,豊島等を訪 れる観光客の増加に伴い,JR宇野駅や宇野港周辺では平日・休日を問 わず,キャリーバッグを引く観光客,中には,外国人の姿もよく目にし ます。 本市としては,このまちに足を運んでくれた観光客等に対し,我々が -12- 有するまちの魅力や地域資源などを効果的にPRすることで玉野に関心 を持ってもらうことが重要です。 平成28年春には瀬戸内国際芸術祭2016が開幕します。 瀬戸内国際芸術祭は直島を中心に開催されるアートの祭典であり,前 回の平成25年には100万人を超える来場者で賑わうなど,今では海 外からも注目を集めている一大イベントとなっています。 本市におきましても,新たなアートプロジェクト・イベントを展開し ていくこととしており,宇野港周辺会場では, 「連絡船の町プロジェクト」 と題し,宇高連絡船をはじめ,全国各地の連絡船などの写真展示や歴史・ 文化の調査研究を実施し,これに関連したイベントなどを開催すること としています。 平成27年度におきましては,瀬戸内国際芸術祭の推進体制といたし まして,産業振興部商工観光課内に「瀬戸内国際芸術祭推進係」を創設 し,万全の体制で準備を進めるとともに,市民や関係者の皆様との連携 のもと,地域資源を活かしたまちづくりを推進し,文化・芸術・観光振 興などの実効性を高めるべく前進します。 また,本市の渋川エリアは, 「日本の渚百選」にも選ばれている渋川海 岸,王子が岳といった観光地や海洋博物館,リゾートホテルなどの観光 施設の集積があり,本市随一の観光スポットといえます。しかしながら, レジャーの多様化などの影響を受け,観光客数は全体的に減少傾向にあ ります。 本市におきましては,こうした状況に対応するため,官民が連携した 渋川・王子が岳地区の活性化を検討する協議会を新たに立ち上げること -13- としており,平成27年度及び平成28年度におきましては,施設間の 連携により,エリア全体の魅力の向上を図るとともに,JRと連携した 岡山県の大型観光キャンペーン「晴れの国おかやまデスティネーション キャンペーン」などを通じて,効果的なPRを展開することで観光客な どへの訴求を図ります。 現在,官民を挙げて取り組んでいる中心市街地の活性化におきまして は,アートや「ののちゃん」などの地域資源を活用,連携させることで 中心市街地の賑わい創出と活性化を図っています。 平成27年度は,アート作品や「ののちゃん」の関連スポット,グル メ情報などを盛り込んだ観光マップを作成し,観光客や来街者等の中心 市街地での回遊へと繋げていきます。 加えて,先ほど述べました,天満屋ハピータウン・メルカへの公共施 設の移転・整備に当たりましては,メルカが中心市街地活性化基本計画 において,人が集い行き交う交流拠点の一つとして位置づけられている ことを考慮し,魅力的な公共施設とすることでメルカの拠点性の向上と 中心市街地の活性化に向けて前進します。 (5)産業振興 次に,産業振興についてであります。 本市の基幹産業である造船業は,懸案でありました製造現場に空白期 間を生ずる,いわゆる「2014年問題」を回避することができ,船舶 の受注環境も好転しつつあります。 -14- しかしながら,船舶需要を大幅に上回る供給過剰の状況が改善してお らず,韓国や中国などとの受注競争等により,船価の回復が進んでいな いことから,予断を許さない状況にあります。 また,こうした状況から造船を支える市内の下請け中小企業において も,依然として厳しい経営を余儀なくされており,これまで蓄積された 高度な加工技術などを活かした経営の多角化が求められています。 本市におきましては,中小企業者等が行う新分野進出・新製品開発や 個人等が行う新規創業を目的とした企画調査事業をはじめ,研究開発事 業,設備導入事業,販路開拓事業に対する支援を行ってきました。 また,中小企業者等の経営体質を強化するための人材育成や販路開拓 等を支援し,製造業に限らず,建設業やサービス業などの幅広い業種を 対象として,事業者の新たなチャレンジを後押ししてきました。 平成27年度は,引き続き,これらの支援メニューを展開し,積極的 なPRによる利用促進を図りながら,効率的かつ効果的な中小企業振興 に向けて前進します。 さらに,国による「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」の一 環として, 「地域住民生活等緊急支援のための交付金」が創設されたこと に伴い,当該交付金を活用した単年度の緊急経済対策として,従来から 実施しているプレミアム商品券の販売額を大幅に増額するとともに,定 住促進の効果も期待できる住宅リフォーム補助制度を新たに創設するこ とで,市内での消費喚起へと繋げるべく前進します。 次に,本市の農業は,従事者の高齢化や後継者不足による減少,さら には耕作放棄地の拡大などの多くの問題により衰退していることから, -15- 農家の経営基盤の強化や新たな担い手の確保・育成など,持続可能な地 域農業の確立が喫緊の課題となっています。 一方で,自然との触れ合いや自家栽培による安全・安心な食の確保な どを目的として,家庭菜園などの趣味的な農業に関心を持つ人は増加傾 向にあります。中には,田舎での農業を求め,リタイアしたシニア層が 都会からふるさとに帰ってくるケースや県外の若者が移住して就農する ケースも見られます。このように農業に関心を持つ人たちに農業の場を 提供することは,定住促進や新規創業,高齢者にとっての生きがいづく りや健康増進などの波及効果を生み出すことが期待されます。こうした 中,気候が温暖で年間日照時間の長い本市の自然環境は農業に適してお り,本市にとって気軽に農業を楽しむことのできる環境づくりはまさに 時代の要請といえます。 平成27年度におきましては,山田地区に市民農園を開設し,定住促 進や新規創業,健康増進などの様々な切り口から農業振興へ繋げます。 あわせて,従来から取り組んでいる若手就農者等に対する支援につい ても継続的に行うなど,活力ある地域農業の確立に向けて前進します。 近年,イノシシによる農作物等の被害が拡大しています。イノシシの 出没は,農業地域に限らず住宅地域においても,また,その範囲も市内 全域にわたっています。 こうした中,本市におきましては,産業振興部農林水産課内にイノシ シ対策係を創設するとともに,狩猟免許の取得に対する補助制度を創設 するなど,イノシシをはじめとした有害鳥獣対策を効率的かつ効果的に 行う体制づくりを進めたところです。その結果,平成26年度のイノシ -16- シの捕獲頭数は1月末日現在,238頭で,すでに平成25年度の捕獲 頭数143頭を大きく上回っており,一定の成果が出ているものと考え ています。 平成27年度におきましても,有害鳥獣対策を強力に推進し,農業被 害を軽減するとともに市民の皆様の安全・安心な暮らしを守るべく前進 します。 次に,競輪事業については,近年のレジャーの多様化や公営ギャンブ ルの人気低迷などの影響により事業環境は依然として厳しい状況が続い ています。 こうした中,本市におきましては,新たな取組として,ミッドナイト 競輪の導入に向けて検討を進めました。 ミッドナイト競輪は夜間に無観客の状態でレースを行うもので,ファ ンの方はインターネット環境があればどこでも競輪を楽しむことができ る一方,本市におきましても,運営経費の削減を図ることができるとい ったメリットがあります。 そして,昨年12月には,一時的な対応として,他の競輪場を活用し, ミッドナイト競輪を初めて開催したところです。 平成27年度におきましては,競輪場内にナイター照明設備を整備し, 秋に中国地方初となるミッドナイト競輪を本場開催する予定であり,新 たなファン層の獲得と収益の確保を目指します。 また,新たな競輪事業のあり方の提案,例えば,他の競輪場の開催レ ース誘致など,従来の手法にとらわれることなく,様々な角度から競輪 事業の環境改善に向けて前進します。 -17- (6)地域交通 次に,地域交通についてであります。 本市では,平成25年度からコミュニティバス「シーバス」にデマン ド型乗り合いタクシー「シータク」を組み合わせた新しい地域交通シス テムの本格運行を開始しました。 これに伴い,高齢者や学生をはじめとした交通弱者の移動手段の確保 と利便性の向上,さらには交通空白エリアの大幅な解消を図ることがで きました。 今後も,シーバス・シータクの積極的なPRや様々な施策との連携を通 じて,市民の皆様に,まずは乗っていただき,その利便性をご理解いた だくことで,さらなる利用促進を図るべく前進します。 次に,本土と石島とを結ぶ石島航路については,本年3月のスクール ボートの廃止に伴う対応策として,1月から石島港と宇野港とを結ぶ海 上交通の実証運航を開始したところです。 平成27年度におきましては,実証運航の内容の検証を行い,着実に 本格運航へと移行できるよう準備を進めることで,島民をはじめ,市民 の皆様にとって便利で安定的な交通手段の確保に向けて前進します。 次に,本州と四国とを結ぶ宇高航路については,国策による高速道路 料金の引き下げの影響による利用者の減少などにより,運航事業者は大 変厳しい経営を強いられています。 こうした中,昨年7月には,運航事業者が夜間及び早朝便の運航を休 止したことにより,宇高航路の半世紀にわたる24時間運航の歴史に幕 が下ろされました。 -18- 私自身,これまで「24時間眠らない港」を照らしていた灯りが消え たことは大変残念でなりませんが,3月からは,さらなる減便が予定さ れています。 宇高航路は,市民の日常生活や事業者の生産活動等を支える重要な足 といえます。仮に宇高航路が廃止となった場合,こうした利用者の利便 性が大幅に低下するばかりでなく,宇野港の人流・物流の拠点性の低下 と賑わいの減少にも繋がることが懸念されます。 昨年,私は高松市長とともに国土交通大臣に対して航路存続に関する 要望書を提出し,国による支援の必要性について直接,お願いしました。 平成27年度におきましても,引き続き,関係機関との連携を図りな がら,国等に対し,総合的な支援について要望を行うなど,最大限の努 力を続けることで,宇高航路の存続に向けて前進します。 (7)防災対策 次に,防災対策についてであります。 我々が暮らしているこのまちは大規模な地震や台風などの災害が比較 的少ない地域と言えます。 NPO法人ふるさと回帰支援センターが発表した「田舎暮らし希望地 域ランキング」によると岡山県は第3位となっており,災害の少なさも その要因の一つであると考えられています。 しかしながら,我々はこの恵まれた環境に感謝する一方で,平成16 年と平成23年の2度にわたり甚大な台風被害を受けたことを忘れては -19- いけません。 また,昨年8月,多数の尊い命が失われた広島土砂災害は,本市と類 似した地質上で発生したものであり,本市でも起こり得る出来事である と,多くの人が危機感を抱いたのではないでしょうか。 昨今の異常気象が多発する状況下では,いつ,どこで,何が起きても 不思議ではありません。 災害の発生を完全に防ぐことは不可能です。しかし,万が一,災害が 発生した場合でも,我々行政と地域とが一体となって被害を最小に止め ること,いわゆる減災という考え方のもとで,万全の準備を進めていく 必要があります。 こうした中,昨年,本市におきましては,地域防災計画の見直しを行 うとともに,津波及び土砂災害に対する地域防災ハザードマップを作成 し,市内全戸に配布することで,市民の皆様に対し,災害に対する備え の意識を持っていただくよう努めたところです。 平成27年度におきましては,継続的に取り組んでいる大規模な浸水 対策について,現在,田井地区において整備中の木ノ崎第3ポンプ場を 完成させるとともに,新たに前潟ポンプ場を整備し,効率的な雨水排水 を図ります。 災害発生時の情報伝達対策といたしましては,引き続き,市民の皆様 により早く,正確に,そして一斉に伝達することのできる防災行政無線 の整備を進めます。 また,市民が日常的に火災を起こさないという備えの意識を持つこと も重要です。本市におきましては,防火・防災意識の普及啓発等に対し -20- て,女性ならではのきめ細やかな視点で取り組む女性消防団員が活躍し ています。現在,13名の女性団員が活動しており,秋には全国消防操 法大会にも参加しますが,こうした地道な活動を通じて,本市の防災意 識の向上に繋げていくことも大事です。 今後におきましても,市をはじめ,市民の皆様や自主防災組織,自治 会,事業者及び各防災関係機関等が相互に協力・連携を行いながら,安 全で災害に強いまちづくりを目指して前進します。 (8)市民との協働 次に,市民との協働についてであります。 本市では,玉野市協働のまちづくり基本条例を制定し,市民の皆様と 市議会,そして行政がそれぞれの役割と責任を果たしつつ,お互いに協 力・連携することで自立した地域社会の構築を目指しています。 また,協働のまちづくり事業を展開し,市内の自治会・町内会やボラ ンティア・NPO団体などの各種団体が行う社会貢献活動に対する支援 を行っており,平成23年度からの試行期間を経て,平成26年度から は本格実施しているところです。 こうした中,昨年8月,協働のあり方などを協議する玉野市協働のま ちづくり推進委員会から,地域自治活動に対する支援や活動の基盤とな る拠点,また,協働のまちづくり基本条例の内容を具体化した行動計画 などについての意見が出されました。 協働のまちづくりとは,市民の皆様,市議会と市が,それぞれの役割 -21- や責任を理解し,お互いに補完・協力しながら,一体となってまちづく りを進めることです。そのためには,地域のことは,その地域に暮らす 住民や地域に関わる団体等が,主体的に考え,課題解決に取り組むこと が不可欠であると考えます。 平成27年度におきましては,地域で活動されている市民の皆様や団 体にとって,より活動しやすい環境づくりができるよう,協働のまちづ くり事業の制度改善に向けた取組を始めていきます。 加えて,協働のまちづくり基本条例に定めた理念を具体化した「協働 のまちづくりアクションプラン」を作成し,協働のまちづくりを前進さ せます。 (9)地域福祉 次に,地域福祉についてであります。 まず,高齢者福祉について,本市におきましては,高齢化率が34% に達しており,超高齢社会を迎えているといえます。これに伴い,寝た きりや認知症等で介護を必要とする高齢者の増加,さらには,核家族化 の進行に伴います一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯の増加も予想 されます。 こうした中,高齢者が安心して自立した生活を営むためには,介護予 防事業の充実のほか,高齢者の社会参加の促進などにより,元気な高齢 者を増やし,日々の生活に生きがいを感じてもらうことが重要です。 平成27年度におきましては,現在,改定作業を進めている「玉野市 -22- 老人保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づき,介護・介護予防・生 活支援などの施策を中心にいきいきサロン活動や百歳体操など,地域で の生きがい・健康づくり活動や支え合いの体制づくりを強化していくな ど,高齢者の安心して自立した生活を支援していきます。 また,認知症対策として,近年,認知症の方やその家族が気軽に憩え る「認知症カフェ」の設置が急速に広がっています。この認知症カフェ は厚生労働省が推進する「認知症施策推進総合戦略」いわゆる新オレン ジプランに盛り込まれているもので,認知症の方やその家族が地域住民 や介護の専門スタッフなどとの交流を通じて,地域社会との繋がりを持 つことができるほか,住民同士で支え合う意識を醸成できるなどの効果 が期待できます。 平成27年度におきましては,本市初となる認知症カフェを設置し, 認知症の方や家族の居場所づくり,認知症への理解を促進すべく前進し ます。 次に,障害者福祉について,私は障害の有無にかかわらず,全ての市 民の皆様が自分らしく生きることのできる環境づくりが重要だと考えて います。そのため,本市におきましては,障害者が積極的に社会参加す る一方で,地域住民も障害者に対する理解を深め,相互に助け合うこと のできる社会の構築を目指しています。 平成27年度におきましては,現在,改定作業を進めている「玉野市 障害福祉計画」に基づき,障害者がよりいっそう社会参加しやすい環境 の整備や就労支援を進めるとともに,障害者も健常者とともに活動し, 安心して自立した生活が送れるまちづくりに向けて前進します。 -23- 次に,生活困窮者対策について,平成25年度に制定された「生活困 窮者自立支援法」により,社会福祉事務所を持つ市町村においては,平 成27年4月から生活保護に至る前のセーフティネットとしての相談窓 口を設置することが義務付けられました。 本市におきましても, 「生活困窮者自立支援相談窓口」を開設し,ハロ ーワークなどの関係機関との連携による就労支援のほか,各種相談業務 や住宅手当の補助を行うなど,生活困窮者対策を進めます。 (10)シティセールス 次に,シティセールスについてであります。 少子高齢化や人口減少は,本市だけでなく全国の多くの自治体が抱え ている深刻な問題であり,今後はこれが加速度的に進行することも懸念 されます。 こうした中,各自治体が他の地域からヒトやモノ,カネを呼び込むた めの施策展開や各種PR等を繰り広げる都市間競争は,昨今のふるさと 納税制度などにも見られますようにますます激化しています。 このような競争を勝ち抜くためには,従来にない新しい発想で魅力的 な施策を展開することで他の自治体との差別化を図る一方で,これをタ イムリーかつ効果的に情報発信し,情報の受け手側に伝えていく,シテ ィセールスの推進が重要です。 本市におきましては,このようなシティセールスの指針となる「玉野 市シティセールス戦略」を策定し,フェイスブック,ツイッターや広報 -24- 紙,ホームページなどの多様なメディアを組み合わせ,より効果的な情 報発信を行うことで,情報交流人口の拡大と認知度の向上を図っている ところです。 今後は,情報の受け手となった人たちに,まずは玉野に足を運んでも らうことで交流人口の増加を図り,そして,本市の魅力を知ってもらい, さらには,本市を選んでもらうことで定住人口の増加へ繋げるといった シティマーケティングも戦略的に推進することがより重要となってきま す。 そのため,職員一人ひとりが本市のセールスマンであるとの自覚のも と,日頃の業務や外部との交流などの様々な機会を通じて,地域振興に 繋げていくという意識を持ちながら,積極的にシティセールスを行う必 要があります。 本市におきましては,これまで各部署においてシティセールスの中核 を担うシティセールス主任者を配置し,シティセールスのスキルアップ を図ってきました。 平成27年度におきましても,引き続き,それぞれの部署のそれぞれ の職員が,様々な機会をシティセールスの場と捉え,効率的かつ効果的 なシティセールスを展開すべく前進します。 (11)市職員のさらなる意識改革 次に,市職員のさらなる意識改革についてであります。 市役所は市民生活に密着したサービス業であるとの認識のもと,市職 員は常に市民目線に立った行政運営を推進し,市民満足度の向上に努め -25- なければなりません。また,複雑化かつ多様化する市民ニーズや行政課 題に適切に対応するためには,職員一人ひとりの職務遂行能力を高める とともに,コスト意識や経営感覚を身につけていくことも必要です。 こうした中,本市におきましては,組織力の向上に向け,職員の人材 育成を推進するため,職員人材育成基本方針の改定に取り組んでいると ころです。 平成27年度におきましても,職員が高い意欲で主体的に業務に取り 組むことを目指し,職員のモチベーションの向上を図ります。 また,これまでも国,県や姉妹都市などとの人事交流を行い,本市で は得られない多様な経験を積ませるとともに人的ネットワークの形成を 図っていますが,平成27年度は新たに民間企業への派遣を行うなど, 職員のさらなる能力の向上を図るべく前進します。 (12)地方創生 最後に地方創生についてであります。 先ほど述べましたように,地方における少子高齢化や人口減少が全国 的に進行しています。こうした中,国においては,地方の弱体化が将来 的には大都市の衰退に繋がっていくとの危機感を持ち,地方創生と人口 減少の克服に向けた「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と具体的 な施策をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され ました。 これを受け,各自治体は,平成27年度中に地域の特性を踏まえた「地 方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定に努めることとされてい -26- ます。 「地方版総合戦略」は地方が主体的に取り組む創意工夫に対して,国 が支援を行うもので,産業振興をはじめ,雇用創出,定住促進,中心市 街地活性化や子育て支援などの様々な政策分野の総合力,言うなれば, 各自治体の地域力を結集させた戦略であり,まさに地域の力が試されて いるといえます。 現在,本市におきましては,玉野版総合戦略の策定に向けて,全庁的 な体制を整え,具体的な検討に取り組んでいるところです。 平成27年度におきましては,様々な政策分野とその施策間での連携 や地域特性,地域資源などの様々な財産の活用,さらには,県や近隣都 市との広域的な連携などのあらゆる可能性を念頭におきながら,実効的 な戦略策定と具体的な施策展開を効果的に進めることで,地方創生の流 れを最大限活用します。また,これを一過性のものとして終わらせるの ではなく,次の政策展開への起爆剤としてステップアップすることで, 持続的なまちづくりを進め,地域活性化へと繋げるべく前進します。 -27- 4 予算額等 以上,平成27年度に取り組みます主な施策について,ご説明申し上 げました。 総合計画に掲げる将来像を目指し,以上のような施策を盛り込んで編 成いたしました平成27年度の当初予算は, 一般会計 241億9,000万円 特別会計 303億 656万円 企業会計 112億8,884万円 総 額 657億8,540万円 となっています。 一般会計で見ますと,平成26年度当初予算と比較いたしまして, 6.3パーセント,金額にいたしますと14億4,000万円の増とな っています。 地域経済については,先ほど述べましたように基幹産業である造船業 が依然として先行き不透明であることに加え,人口減少等により,税収 については多くを期待できないなど,財政状況は厳しい状況にあります。 予算編成にあたりましては,国の経済動向や行財政方針を十分認識し, 市税を中心とする自主財源の確保や一般行政経費の節減と抑制に努める 一方,最重要課題である公共施設の再編整備をはじめ,定住促進による 人口減少問題への対応や子育て・教育,地域活性化などにも配分し,行 政サービスの向上と財政運営の均衡保持に努めていきます。 -28- 5 おわりに 以上,新年度に向けた私の思いと主要な施策の大要を申し述べてまい りました。 「十年ひと昔」,世の中の移り変わりの激しさをこう表現します。 しかしながら,昨今の時代の流れはよりいっそうスピードを増してい るように感じます。 私は,市政のかじ取り役を担ってから9年余り, 「この事業は市民のた めに本当に必要か」,「もっと良い方法はないか」などといった改善の目 を持つとともに市民目線に立って,歩み続けてきました。 時には立ち止り,これまでの道のりを振り返ることも必要ですが,現 状に満足し,歩みを止めること,言い換えますと現状を維持し続けるこ とは,市政の停滞,ややもすると,市政の後退にも繋がりかねません。 今日の行政を担う私たちは,スピード感を持ちつつ,この地域の明る い未来を創り上げていく使命を担っています。 「未来のために今 ~前進~」 地方創生元年,私は,地域力を結集させて,未来のために今,大きく 前進します。 終わりに,議員の皆様,市民の皆様のご指導,ご鞭撻を心からお願い 申し上げまして,平成27年度の市政運営の基本方針といたします。 -29-
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