発表題目: 震災学習における学習効果の検証 発表者(大学名): 平川 達也(関西大学) ●震災学習の検証 2.96% 2.96% 阪神・淡路大震災から1月17日で20年を迎える。震災以 後、神戸には震災の教訓を学ぼうと多くの児童・生徒ら 向上した 16.30% 44.44% が足を運んできたが、学んだ知識や経験が地元に帰って どちらとも言えない あまり向上したと思えない から生かされているか否かは分かっていないものもある。 ここでは、昨年11月20日に神戸市立地域人材支援センタ どちらかと言えば向上した 向上したと思えない 33.33% ーで震災学習を受講された岡山県倉敷市立庄中学校の2 年生136人にご協力頂き、震災学習の前後に自然災害・非 常持ち出し品・救命救急に関する意識調査を実施し、そ 図2 の結果を基に震災学習は意味を成しているのか検証した。 ●防災グッズの備蓄状況について ●自然災害の意識に関する設問の結果 防災グッズの備蓄状況については、2回の調査間で大き な差異は出なかった。非常持ち出し品を備蓄しているか 以下、3つの領域ごとに特筆される内容を簡単に述べる。 第一に、自然災害の意識に関する設問についてである。 ここでは、“災害発生後、どこまで自分自身や家族で対 の問いに関しても「はい」と答えた割合もさほど増えて いない。そのため、この領域では震災学習の効果は明ら かにすることは難しい。 処・対応できるか”の問いについて取り上げる。結果は 図1の通りとなった。 ●救命救急に関する意識について 100% センターで受講した震災学習の内容にあった救命救急 90% 80% 28.15% 41.48% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 3.70% 2.96% 5.93% 6.67% 1.48% 3.70% 5.19% 12.59% そもそも自信が 関しては、震災学習の前後で知っている・どちらかとい 1週間程度 えば知っていると回答した割合が2割強から7割弱まで向 5日程度 18.52% 3日程度 9.63% 13.33% 第1回調査 第2回調査 に関して“AEDの正しい利用法を知っているか”の問いに ない 1週間以上 15.56% 17.04% 14.81% わからない 2日程度 上した。一方、自身の目の前で突然人が倒れた際に、119 番に通報後にAEDを適切に使用できるか、活用に関する設 問を置いたが、この領域に関しては、2回の調査間で差は ほとんど生じなかった。 図1 第1回(震災学習前)に比べて、第2回(震災学習後)の 方が、全体的に自分自身や家族で対応・対処できると思 う日数が延びている。センターでの震災学習においても、 避難所生活を体験しながら、プログラムを受講していた まとめ 震災学習によって、災害発生後にどこまで自活できる か・自身の危機管理能力・AEDの認知度と使用方法の4領 域は向上し、効果があったとされるが、その他の領域で は効果があったとは必ずしも言えない面も多かった。 ため、このプログラムの効果はあったと判断できる。 一方、“震災学習によって自身の危機管理意識が向上し たか”を尋ねた結果、図2の様に8割弱が向上した・どち らかといえば向上したと回答し、震災学習の意義を生徒 らが見出した結果がうかがえる。 謝辞 今回のプロジェクトにご協力いただいた、倉敷市立庄中 学校ならびに関係者の皆様に感謝の意を表します。
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